「長くは生きたくない。」、そう考える人が増えていると言う。「長生き=悪」というコンセンサスが社会に拡大しているのだとしたら、其れは残念だし、哀しい事だ。長生きがマイナス・イメージで捉えられてしまう要因には「経済的な不安」等が挙げられ様が、「自分の介護で、家族に迷惑を掛けたくない。」という思いを持っている人は多い事だろう。
祖父は認知症に罹患した。過去に「介護」等の記事で書いたけれど、若くして罹患しただけに体力は其れ程衰えておらず、祖母達は徘徊阻止等で相当難儀したと言う。其れを知っているだけに、自分も「介護で家族に迷惑を掛けたくない。」という気持ちは強い。多くの人が「ピンピンコロリ」を「理想の死」としているそうだが、其の思いは良く判る。
厚生労働省の推計では、2010年時点での認知症罹患者数は208万人に上るとか。単純計算で言えば我が国の約60人に1人は認知症を罹患している事になるが、208万人というのも病院で診断&認定された数で在り、実際にはもっと多くの罹患者が存在している事だろう。「2035年には、認知症罹患者数が445万人に上る。」という推測も在り、介護がより大きな社会問題になっているのは確実。
東京新聞には、「BOOKナビ」という書評欄が在る。2月6日付けの同欄では、「認知症と長寿社会 笑顔のままで」という本が紹介されていた。信濃毎日新聞で連載されていた記事を書籍化した物なのだそうだが、此の本を紹介しているのはフリー・ジャーナリストの佐藤幹夫氏。
「私にとって『認知症』の問題は、医療や介護の分野だけには留まらない物が在る。」とする同氏は、「経済」という観点から「認知症の影響」を示している。同氏によると、介護の為に離職した人の数は14万8千人にも上るのだとか。労働人口から見れば決して無視出来ない数なのに、国による抜本的な対策が講じられているとは言えない状況。
又、認知症高齢者が押し売りや詐欺等の経済被害に遭った金額は年間で約2兆円、家族による不動産の無断売却や保険の無断解約等による損失は年間で約1.27兆円だとか。即ち認知症の罹患によって、3兆円以上が1年間に消えていると言っても良い。「(此の内の)幾らかでも健全な経済活動に回す事が出来れば、不況対策になると考えるのは私の浅知恵か。」と佐藤氏は記しておられるが、金銭の有効活用という意味では的外れで無いと思う。
「認知症を罹患した人間が悪い訳では全く無い。」というのは言う迄も無いけれど、認知症を罹患してしまった事で患者自身&社会が少なからずの損失を被る構図が在るとしたら、国家としてしっかりとした対策を早急に取らなければいけないだろう。
祖父は認知症に罹患した。過去に「介護」等の記事で書いたけれど、若くして罹患しただけに体力は其れ程衰えておらず、祖母達は徘徊阻止等で相当難儀したと言う。其れを知っているだけに、自分も「介護で家族に迷惑を掛けたくない。」という気持ちは強い。多くの人が「ピンピンコロリ」を「理想の死」としているそうだが、其の思いは良く判る。
厚生労働省の推計では、2010年時点での認知症罹患者数は208万人に上るとか。単純計算で言えば我が国の約60人に1人は認知症を罹患している事になるが、208万人というのも病院で診断&認定された数で在り、実際にはもっと多くの罹患者が存在している事だろう。「2035年には、認知症罹患者数が445万人に上る。」という推測も在り、介護がより大きな社会問題になっているのは確実。
東京新聞には、「BOOKナビ」という書評欄が在る。2月6日付けの同欄では、「認知症と長寿社会 笑顔のままで」という本が紹介されていた。信濃毎日新聞で連載されていた記事を書籍化した物なのだそうだが、此の本を紹介しているのはフリー・ジャーナリストの佐藤幹夫氏。
「私にとって『認知症』の問題は、医療や介護の分野だけには留まらない物が在る。」とする同氏は、「経済」という観点から「認知症の影響」を示している。同氏によると、介護の為に離職した人の数は14万8千人にも上るのだとか。労働人口から見れば決して無視出来ない数なのに、国による抜本的な対策が講じられているとは言えない状況。
又、認知症高齢者が押し売りや詐欺等の経済被害に遭った金額は年間で約2兆円、家族による不動産の無断売却や保険の無断解約等による損失は年間で約1.27兆円だとか。即ち認知症の罹患によって、3兆円以上が1年間に消えていると言っても良い。「(此の内の)幾らかでも健全な経済活動に回す事が出来れば、不況対策になると考えるのは私の浅知恵か。」と佐藤氏は記しておられるが、金銭の有効活用という意味では的外れで無いと思う。
「認知症を罹患した人間が悪い訳では全く無い。」というのは言う迄も無いけれど、認知症を罹患してしまった事で患者自身&社会が少なからずの損失を被る構図が在るとしたら、国家としてしっかりとした対策を早急に取らなければいけないだろう。
