ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「不可逆少年」

2021年10月03日 | 書籍関連

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若き家庭裁判所調査官・瀬良真昼(せら まひる)。「どんな少年も見捨てない。」、そう決めて彼等と向き合って来ただった。然し面を被る
少女が犯した凄惨な殺人事件を目の当たりにして、信念は大きく揺らぐ。不可解な事に、被害者は全員同じ高校の在る人々だった。被害者遺族の男子高校生を担当する真昼は、思わぬ形で事件の真相に迫り・・・。
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第62回(2020年)メフィスト賞小説法廷遊戯」で受賞した五十嵐律人氏は、現役の弁護士でも在る。作品は2020週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」の4位「このミステリーがすごい! 2021年版【国内偏】」の3位、そして「2021本格ミステリ・ベスト10【国内偏】」の9位と、昨年のミステリー関連の年間ブック・ランキングで高い評価を受け、自分も総合評価を「星4つ」とした。

そんな彼が文壇デビューから2作品目として上梓したのが、今回読んだ「不可逆少年」。少年法は『非行に走った少年を、保護観察官少年院法務教官が教育を施す事で更生させる。』という“教育主義”が理念となっているが、其れが通じない少年。」の事を、此の作品内では“不可逆少年”と呼んでいる。自分も教育主義には限界を感じていたので、不可逆少年が存在する事には「そうだろうな。」という思いが。

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故意に被害者を死亡させた16歳以上の少年は、検察官送致されて刑事裁判を受けるのが原則とされている。つまり、この場合は成人と同様に刑罰科されることになり、犯情によっては無期刑、18歳以上であれば死刑もあり得る。また、20年ほど前に行われた改正によって、16歳未満の少年であっても14歳に達していれば、一定の場合には検察官に送致して刑罰を科すことが可能とされた。(中略)一方、13歳以下の少年に成人と同様の刑罰を科す道は、現行法のでも拓けていない

虞犯少年とは、行動や性格、周囲の環境に問題があって、そのまま放置すると罪を犯すおそれがある少年を指す。現時点では何とか踏み止まっているが、その先には切り立った崖が待ち構えている。そんな少年のことだ。件数としては多くないが、深夜徘徊補導された少年が反社会的勢力との関係を仄めかしたり、援助交際発覚した場合などに、虞犯少年として家裁に送致されるケースがある。
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「狐面を被る1人の少女が、3人の男性を惨殺し、1人の女子高生を毒殺し様とする光景をネット上で生放送。」、そんな異常なシーンから、ストーリーは始まる。加害者の少女が毒殺し様としたのは実姉、そして加害者の少女は刑罰が科されない13歳。「彼女は何故、凄惨な事件に走ったのか?」、「彼女と被害者遺族との関係は?」といった点が、謎解きのになっている。そして、
「不可逆少年に対して、社会はどう対応すべきなのだろうか?」というのが、作品のテーマなのだろう。

加害少女と被害者遺族との関係に付いては、在り得ないとは言えないものの、結構無理が在る様に思う。又、或る少年を殺害した犯人に付いても、無理さを感じてしまう。謎解きとしては「在り。」なのだろうけれど、すっきりしない。「無理無理な設定を、無理無理に作り上げている。」という感は否めない

総合評価は、星3つとする。


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