ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

おふくろさんと金八先生

2007年03月09日 | TV番組関連
現在、ワイドショーで一番取り上げられている話題といえば「おふくろさん騒動」だろう。森進一氏サイドが、この歌の作詞家・川内康範氏に無断で歌詞を付け加え、それをずっと歌い続けていたという事で川内氏が「もう森には、この歌を歌わせない!」と月光・・・では無く激昂しているこの一件、もし川内氏の主張が事実だとすれば同一性保持権の侵害で在り、彼が激昂するのも当然だと思う。誰だって自らが心血を注ぎ込んで作り上げた物に対し、他者が無断で手を加えたらおもしろくはないだろう。「付け加えられた歌詞の内容自体は悪いとは思わない。」と川内氏は語っていただけに、もっと早い段階で森氏が筋を通して許可を貰っていたら、こんな揉め事には発展しなかったのではないか。長い付き合いの中で、「この程度の事は許してくれるだろう。」という甘えがどんどん大きくなってしまった様に感じる。

同様のケースに、「3年B組金八先生」を巡る脚本家・小山内美江子さんと制作スタッフとの抜き差しならない対立が在る。

小山内さんは、自分にとって好きな脚本家の一人。「ウルトラQ」の中でも特に好きなストーリー「あけてくれ!」を手掛けた他、「キイハンター」や「アイフル大作戦」、「バーディー大作戦」といったハードボイルド物、「父母の誤算」及び「親と子の誤算」の”誤算シリーズ”等、数多の名作を書き上げて来たのが彼女だ。1979年に放送開始となった「3年B組金八先生」も彼女が脚本を担当し、一大ブームを巻き起こした。現在迄に7シリーズ制作されており、TVドラマの世界ではエポック・メーキング的番組と言えるだろう。

以前「金八フリーク」という記事で書いた様に、自分はこのシリーズが好きで全てをリアル・タイムで見て来ている。知り合いに教育関係者が多く、教育現場の実態を嫌という程聞かされているので、”金八ワールド”が現実的で無いのは承知しているが、それを理解した上でもああいう”世界”が好きなのだ。

第7シリーズの途中から唐突に「小山内さんの体調不良が原因」との事で脚本家が変更されたが、「どうやら制作スタッフとトラブった為の、実質的な”排除”だった。」という噂は耳にしていた。そして先頃、「週刊文春(3月1日号)」にて小山内さんがその内幕を赤裸々暴露している。やはり制作スタッフとの対立が在り、その事で脚本の担当から外されたという事で、その際に「今後、番組を作る場合は原作者(小山内さん)の了承を得る事。但し、原作者は特段の不利益が無い場合は了承する。」という合意書をTBSと交わしたものの、以後彼女は全く排除されたままで、番組自体も”おかしな方向”に持って行かれてしまったと。

唯、これはあくまでも小山内さんの言い分で在って、制作スタッフの言い分も別に在るだろう。主役の武田鉄矢氏が別の週刊誌にコメントを寄せていたが、「高校生の間で携帯所有が一般化して来た中でも、ドラマ内でそういったシーンが描かれず、制作スタッフが小山内さんに進言したものの聞き入れて貰えなかった。」といった様な事も在った様だ。又、彼自身もアドリブを入れた事で、小山内さんから怒られたとも。こうなると、小山内さんに融通性が足りなかったのかもという気もする。*1

とはいえ、あれだけの番組を作り上げた人物が石持て追われる様な形で排除される(され続ける)というのはどんなものか。制作スタッフ側に、はたまた小山内さん側に「この程度の事は許してくれるだろう。」という甘えが増大して行き、それが此処迄抜き差しならない関係に到ってしまったとしたら非常に残念。双方が胸襟を開いて、納得行く迄話し合って欲しいもの。そして小山内さんの脚本での第8シリーズ開始となれば、金八フリークの一人としては喜ばしいのだが。

*1 ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」の時代錯誤感はかなりのもの。登場する”若者”が「おふくろさん」や「おやじさん」といった言葉を平然と使ったり、親が今の若い子が皆欲しがってるオーディオ・セットを買って来た。なんて口にしている世界。恐らく脚本家の橋田壽賀子さんの中では、時代が20年以上前からストップしているのではなかろうか。

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ドラマにならない現実 (おりがみ)
2007-03-09 14:44:47
子どもや学校をめぐる状況は、腐ったみかんの頃とは比べものにならないくらい、悪い方向に動いていると思います。今の子どものしんどさを一言で言えば、「子ども時代を奪われた子どもたち」です。

寄り添う大人よりも、子どもを食い物にする大人のなんと多いこと。そうしなければ、大人も食ってゆけないのが「現実」ではないかと。

丁寧に作ってきたドラマも、「視聴率」という「成果」をあげなければポイされるのがテレビの世界。もともと、『太陽に吠えろ』の高視聴率に「金曜八時をなんとかしろ」と始まったのが金八先生ですから、追われてゆくのも実にテレビ的かな・・・?

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サカモチキンパツなんてギャグもありました (マヌケ)
2007-03-09 17:10:45
「渡る世間・・・」については見ている人たちの頭の中も20年前くらいから変わっていないから違和感などないのでは?(悪い意味ではなく) そういう視聴者層が中心だからそれでもいいのかもしれませんし。「時をかける少女」の最新版のアニメでのリメイク作品で、監督のコメントがCUT誌に掲載されていました。 20年前と今の女子高生では言葉遣いから男子に対する感覚などの違いが明らかにあるのでそこらへんは当然今風に描かないと違和感があるでしょうと語っていました。 ただし、時代が変化しても普遍的なテーマ性のあるものはきちんと受け継いで描いたつもりだということでした。 長寿番組というのが長く続く理由の一つが人が気に入る、おもしろさを感じ入る普遍的な部分を鋭くついていたり、うまく取り上げていたりするからで、それでもいつかは廃れてしまうのは人間が飽きっぽい生き物であることと、普遍的なものすら変わるほど世の中の変化が大きくなってきているということではないでしょうか。 ただし、それも大きな理由の一つですが。 
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>マヌケ様 (giants-55)
2007-03-09 20:48:49
書き込み有難うございました。

今はどの分野をとっても駄目になってしまいましたが、嘗てのTBSは報道、音楽、ドラマ等あらゆる分野で優れた番組が多く、民放では自分が一番好きな局でした。同局を賞賛する呼称が幾つか在りましたが、「ホームドラマのTBS」なんていうのもその一つ。「ありがとう」、「肝っ玉母さん」、「岸辺のアルバム」、「赤いシリーズ」等々、記憶に残るドラマが何と多かった事か。

「渡る世間は鬼ばかり」は、ハッキリ言ってワンパターン極まりないドラマです。唯、TBSがまともだった頃の香り、マッタリと見ていられるホームドラマの残り香が少なからず感じられるドラマなのも確かで、「こんなアナクロな設定(台詞)おかしいよ。」と毒づきながらも、毎週欠かさずに見ている自分です(笑)。予定調和的なドラマだからこそ、習慣的(常習的)に見てしまっている固定ファンも多いのでしょうね。
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サザエさんと渡る世間 (Spa supernova)
2007-03-10 14:32:35
この両者は「昭和の時代劇」ですよね^^;。

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>Spa supernova様 (giants-55)
2007-03-10 18:13:18
書き込み有難うございました。

「昭和の時代劇」、確かにそういった風情が在りますね。サザエさんワールドに携帯電話やiPODが登場するのは一体何時の事になるのやら。

「渡る世間は鬼ばかり」で言えば、”ヤングな”御兄ちゃんが家出をした際の置手紙に「御暇(おいとま)を戴きとう御座います。」といった「御前は武士か!」と突っ込みを入れたくなる文章が在ったりと、橋田ワールドはなかなかの味わいです。
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