**********************************
1位: 手塚治虫氏(10,751票)
2位: 藤子・F・不二雄氏(4,715票)
3位: 鳥山明氏(3,704票)
4位: 尾田栄一郎氏(2,212票)
5位: 藤子不二雄Ⓐ氏(833票)
6位: 井上雄彦氏(610票)
7位: 松本零士氏(517票)
8位: あだち充氏(506票)
9位: 青山剛昌氏(457票)
10位: 赤塚不二夫氏(443票)
**********************************
敬愛する手塚治虫氏が断トツの1位に輝いたのは嬉しいが、今回の結果は意外な点が幾つか在った。
藤子不二雄としてコンビを組んでいた藤子・F・不二雄氏と藤子不二雄Ⓐ氏だが、両者にこんな大差が付くとは・・・。藤子・F・不二雄氏は「オバケのQ太郎」、「パーマン」、「ドラえもん」等、少年漫画をメインに描いて来た事や、他国でも良く知られたキャラクター達を多く生み出した事が、大差を付けた要因なのだろう。「魔太郎がくる!!」や「笑ゥせぇるすまん」等に代表される、藤子不二雄Ⓐ氏の“ブラックな世界”も、個人的には結構好きなのだが。
ベスト10迄に、女性漫画家が1人も入っていないのも意外。12位に漸と、高橋留美子さん(323票)の名前が入っていたが・・・。
松本零士氏や赤塚不二夫氏、そして11位の石ノ森章太郎氏(385票)なんぞは、四半世紀位前ならば確実に上位に入っている面子と思われるが、楳図かずお氏の名前がベスト20にも入らなかったのは寂しい。
で、何と言っても一番意外だったのは、永井豪氏の名前がベスト10どころか、ベスト20にも入っていなかった事。以前に「永井豪作品ベスト10」という記事を書いたが、彼は手塚氏とは別の立場で“一時代を築いた漫画家”で在り、彼が居なかったら「巨大ロボット漫画」や「セクシー系漫画」の隆盛期は無かっただろう。彼に対する一般の評価の低さが、本当に悔しい。
**********************************
「御主人の欠点は浮気性。」。帰宅すると、不倫相手が妻と談笑していた。こんな夜遅くに何故、彼女が俺の家に?2人の関係はばれたのか?
動揺する俺に、彼女の行動はエスカレートする。妻の目を盗んでキスを迫り、そして股間へのタッチ。彼女の目的は、一体何なのか?
平穏な結婚生活を脅かす危機。俺は、切り抜ける 手立てを必死に考えるが・・・。 (「夜の訪問者」より)
**********************************
百田尚樹氏の「幸福な生活」は、上記の「夜の訪問者」を始めとした、19のショートショートで構成されている。百田氏と言えば、色合いの全く異なる作品を次々に生み出している作家だが、今回の「幸福な生活」も又、此れ迄の作品とは全く異なった色合い。“守備範囲の広さ”には、改めて脱帽。
(好きだった)星進一氏のショートショートを思い出させる雰囲気。19作品全て、最後の1頁(上手い具合に全て、最後の頁は捲らないと見られない様になっている。)に1つの文章だけが記されており、其れが強烈にブラックな落ちとなっている。
子供の頃、怖い物が苦手な癖に、何度も読んだ「雨月物語」。読んだ日は怖くて、夜はトイレに行けなかった程だが、其の中でも特に怖かったのが「菊花の約」という話。(「幸福な生活」の中の)「再会」という話には、「菊花の約」を思わせる部分も在り、印象に残った。
・・・と、此処迄は褒めて来たが、残念な点も在る。“19の落ち”の中には早い段階で読めてしまう物も幾つか在ったし、1つ(「賭けられた女」)は意味が良く判らなかった事。(ネット上での“解説”も読んだが、判った様で、矢張り判らない落ちだったし。)此れは、減点ポイント。
総合評価は、星3.5個とする。
40年前なら横山隆一、長谷川町子、田河水泡も入っていたでしょうし、今、高齢者に聞けば入ってくるでしょう。現在50代女性なら池田理代子、萩尾望都が入り、60代男性なら白土三平、ちばてつやが入るでしょう。(梶原一騎は漫画家なのかな?「漫画原作者」なのかな?漫画原作者なら結構いろんな人いますよね。小池一夫とか佐々木守とか)
「頁を捲ると、“落ち”が待っている。其れも、“1つの文章”だけ。」という設定は、「上手いなあ。」と思いました。流石、「探偵!ナイトスクープ」の構成作家を長年されているだけ在ります。
「ブス談義」は、自分も可成り早い段階で“落ち”が判りました。「秀作と駄作の差がハッキリしている1冊。」と言えるかもしれません。
伊坂幸太郎氏の新刊、書店で並んでいましたので、近い内に読もうと思っています。「肌合いは合わない。」だ何だと文句を言い乍ら、新刊が出ると手に取ってしまう。本当に不思議な作家です。
「後世に残したい名曲は?」というアンケートと、今回のアンケートは似た部分が在るかもしれませんね。或る世代にとっては「絶対に此の局は残したい。」と思える物でも、別の世代にとっては「こんな曲知らん。」という物が在ったりもする。
長谷川町子さんは「日本を代表する漫画家」足り得るとは思うのですが、「『サザエさん』のキャラクター達が、世界中で知られているか?」となると、「うーん・・・。」という感じが。「日本を代表する」というのが「多くの日本人に知られている。」という意味に取るか、「世界中の人達に知られている。」と取るかで、選ぶ漫画家が分かれるのかも。
一昨日の2月9日は、手塚治虫氏の命日でした。25年前の此の日、帰宅途中の電車内で訃報を知り、茫然自失になった事を、今でもハッキリ覚えています。もう四半世紀が経ってしまったんですね・・・。