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【朝日新聞西部本社版の2003年6月27日付け記事より】
福岡市立小学校で、40代の男性教諭が4年生の男子に、「ミッキーマウス」や「ピノキオ」と称して鼻や耳を引っ張る等の行為を繰り返し、学級担任を外されていた事が判った。児童の親は家庭訪問の際、教諭に母親の曾祖父が米国人で在る事を話したのを境に態度が変わったとしており、差別意識が背景に在ると主張。学校側は「家庭訪問で『血が混じっている。』等不適切な発言が在った。問題になった行為との因果関係ははっきりしないが、人権意識が欠けていた。」としている。
学校側によると、問題が表面化したのは5月中旬。下校前、この児童にだけ10秒で荷物を片付ける様命じ、出来ないと耳を引っ張る「ミッキーマウス」、鼻を摘んで振り回す「ピノキオ」、頬を引っ張る「アンパンマン」等5つの「刑」から1つを選ばせ、実行していた。虐めは約半月続き、児童は耳が切れて膿む等したという。5月末に両親が学校側に抗議し、教頭等5人が交代で授業に立ち会う様になったが、その後も頭を叩いていた事が判明。教諭は6月23日に担任から外された。
一方、児童の親の話では、5月12日に在った家庭訪問の際、児童の母親の曽祖父が米国人で在る事に触れた所、教諭が「日本は島国で昔は純粋な血しかなかったのに、汚らわしい血が混ざった。」と発言したという。「問題が起きたのはその直後。背景に外国人差別が在るのは明らか。」と訴える。児童は家庭訪問の際、担任の発言を耳にし、両親に「僕の血は汚いの?」と尋ねる様になったという。両親は「二つの文化に跨がる個性を誇って欲しかったのに、教諭の言動は子供を深い所で傷付けた。」と話している。
校長は「教諭からは『血が混じっているんですね。』と言ったとしか確認出来ず、耳を引っ張る等の行為との因果関係ははっきりしない。だが、その後に問題が起きており、差別と受け止められても止むを得ない。」と釈明。教諭自身は「『汚らわしい血』と言った覚えは無く、(児童に対する行為も)差別が理由では無い。唯、自分の行動で子供を傷付けた責任は負いたい。」と話している。
【西日本新聞の2003年9月9日付け記事より】
福岡市西区の市立小学校の男性教諭(46歳)が4年男児(10歳)に暴力を繰り返していた問題で、同市教育委員会は教諭の行為を全国で初めて「虐め」と認定し、停職6ヶ月の処分を決めた。だが、一時は非を認めた教諭は全面否定を続けている。男児の両親は「息子は『死ね。』と言われ、飛び降り自殺迄しかけた事も判った。」として刑事告訴も辞さない構えだ。
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4年前のこのニュースを、頭の片隅に記憶しておられる方も多いのではないだろうか?尋常ならざる教諭の虐待によりPTSDに追い込まれ、自殺を口にする迄追い込まれた生徒。当時このニュースを見聞した自分は、このニュースに憤りを感じた一人だ。しかし時の流れと共にこのニュースの事は、次第に脳裏から抜け落ちていた。
今回「でっちあげ 福岡『殺人教師』事件の真相」(著者:福田ますみさん)を読み終え、「あの事件は一体何だったのだろうか?」と頭が混乱してしまった。「人としか思えない悪辣非道な教諭と、陰湿な虐めで人間不信に陥らされた気の毒な生徒。」という図式が180度変わってしまう内容なのだ。
あくまでもこの本の内容が正しいとする”ならば”、「殺人教師」と迄マスメディアで猛バッシングされた男性教諭は全くの冤罪という事になる。「常軌を逸しレベルの、最早病的としか思えない程のクレーマーな男児の両親」が、「優柔不断で気の弱い男性教諭」に難癖を付けまくり、その事にビビってしまった「事勿れ主義の校長や教頭」が事を穏便に済ませるべく、男性教諭に”精神的圧力”を掛けて”在りもしなかった事柄”を”事実として認めさせてしまったという図式がこの本からは浮かび上がって来る。勿論、徹底的な取材を怠り、一方の意見だけを”真実”と信じ込んで男性教諭を猛バッシングの嵐の中に放り込んだマスメディアも問題だろう。*1
この事件に関する経緯を、この本から抜粋して紹介するのは控えたいと思う。部分的な抜粋だと正確に伝わらない面が在ろうし、何よりもこの事件の裁判は終わっていないからだ。実際に最初から最後迄この本を読んで戴き、個々人で判断を下して貰えたらと思う。
事実だけを記すならば、「この事件は男児の両親が、男児のPTSDを理由に男性教諭と福岡市を相手取り、約1,300万円の損害賠償を求める民事訴訟を福岡地裁に起こした。(男児側の弁護団は最終的に、500人を超える膨大な人数となったという。)」という事と、「2007年7月28日に『男性教諭の不法行為は認定するも、男児生徒のPTSDに付いては矛盾だらけで信用出来ない。』という判決が下された。」という事。男性教諭の不法行為、即ち体罰が在ったという判決なれども、その内容は虐めとは到底言えるレベルのものでは無く、ましてやその事でPTSDが引き起こされるものとは考えられないというのが裁判所の考え。
しかし、著者の福田さんは自身が徹底的に取材した内容から、「この不法行為(体罰)の認定は、被告で在る福岡市が既に男性教諭の体罰や虐めを認定し、停職6ヶ月という懲戒処分を行なっていた事を重視し、『体罰等すらも無かったとしてしまうと福岡市のメンツが立たないので、無難な所で決着させよう。』、『間を取って、男性教諭が一寸やった事にしよう。』という裁判官の意思が介在したのではないか。」と記している。
この裁判は今年1月から控訴審が開始となったという。故に最終判決がどうなるか、今の段階では判らない。この本に書かれている事が正しいか否かも含め、先ずは自分の頭で整理&考える癖を付けなければならないと思う。自分の好きなネット配信者が良く言う言葉「想像せよ、そして疑え!」というスタンスは、こういう時代だからこそ余計に必要だろう。*2
*1 著者の福田さんは、「子供は善、教師は悪という単純な二元論的思考に凝り固まった人権派弁護士、保護者の無理難題を拒否出来ない学校現場や教育委員会、軽い体罰でも直ぐに騒いで教師を悪者にするマスコミ、弁護士の話を鵜呑みにして、可哀想な被害者を救うヒロイズムに酔った精神科医。そしてクレーマーと化した保護者。結局、彼等が寄って集って男性教諭を”史上最悪の殺人教師”にでっち上げたというのが真相だろう。言い換えれば、バイアスのかかった一方的な情報が人々を思考停止に陥らせ、集団ヒステリーを煽った挙句、無辜の人間を血祭りに上げたので在る。」とも記している。
*2 最近マスメディアでやたらと取り上げている「美智子さまの恋文」なる本。今上天皇が皇太子だった時代に、美智子皇后が送った二通の手紙を元に記されたもので、著者は今上天皇の御学友との事。「”普通ならば”入手出来ない手紙が、何故入手出来たのか?(諸説言われているが、個人的にはどれも極めて懐疑的に思っている。)」、「何故”この時期”にこの手紙の存在が明らかに”されなければならなかった”のか?」等、この辺も「想像せよ、そして疑え!」のスタンスで”裏”を読むと”別の面”が見えて来る気がするが・・・。
【朝日新聞西部本社版の2003年6月27日付け記事より】
福岡市立小学校で、40代の男性教諭が4年生の男子に、「ミッキーマウス」や「ピノキオ」と称して鼻や耳を引っ張る等の行為を繰り返し、学級担任を外されていた事が判った。児童の親は家庭訪問の際、教諭に母親の曾祖父が米国人で在る事を話したのを境に態度が変わったとしており、差別意識が背景に在ると主張。学校側は「家庭訪問で『血が混じっている。』等不適切な発言が在った。問題になった行為との因果関係ははっきりしないが、人権意識が欠けていた。」としている。
学校側によると、問題が表面化したのは5月中旬。下校前、この児童にだけ10秒で荷物を片付ける様命じ、出来ないと耳を引っ張る「ミッキーマウス」、鼻を摘んで振り回す「ピノキオ」、頬を引っ張る「アンパンマン」等5つの「刑」から1つを選ばせ、実行していた。虐めは約半月続き、児童は耳が切れて膿む等したという。5月末に両親が学校側に抗議し、教頭等5人が交代で授業に立ち会う様になったが、その後も頭を叩いていた事が判明。教諭は6月23日に担任から外された。
一方、児童の親の話では、5月12日に在った家庭訪問の際、児童の母親の曽祖父が米国人で在る事に触れた所、教諭が「日本は島国で昔は純粋な血しかなかったのに、汚らわしい血が混ざった。」と発言したという。「問題が起きたのはその直後。背景に外国人差別が在るのは明らか。」と訴える。児童は家庭訪問の際、担任の発言を耳にし、両親に「僕の血は汚いの?」と尋ねる様になったという。両親は「二つの文化に跨がる個性を誇って欲しかったのに、教諭の言動は子供を深い所で傷付けた。」と話している。
校長は「教諭からは『血が混じっているんですね。』と言ったとしか確認出来ず、耳を引っ張る等の行為との因果関係ははっきりしない。だが、その後に問題が起きており、差別と受け止められても止むを得ない。」と釈明。教諭自身は「『汚らわしい血』と言った覚えは無く、(児童に対する行為も)差別が理由では無い。唯、自分の行動で子供を傷付けた責任は負いたい。」と話している。
【西日本新聞の2003年9月9日付け記事より】
福岡市西区の市立小学校の男性教諭(46歳)が4年男児(10歳)に暴力を繰り返していた問題で、同市教育委員会は教諭の行為を全国で初めて「虐め」と認定し、停職6ヶ月の処分を決めた。だが、一時は非を認めた教諭は全面否定を続けている。男児の両親は「息子は『死ね。』と言われ、飛び降り自殺迄しかけた事も判った。」として刑事告訴も辞さない構えだ。
*****************************
4年前のこのニュースを、頭の片隅に記憶しておられる方も多いのではないだろうか?尋常ならざる教諭の虐待によりPTSDに追い込まれ、自殺を口にする迄追い込まれた生徒。当時このニュースを見聞した自分は、このニュースに憤りを感じた一人だ。しかし時の流れと共にこのニュースの事は、次第に脳裏から抜け落ちていた。
今回「でっちあげ 福岡『殺人教師』事件の真相」(著者:福田ますみさん)を読み終え、「あの事件は一体何だったのだろうか?」と頭が混乱してしまった。「人としか思えない悪辣非道な教諭と、陰湿な虐めで人間不信に陥らされた気の毒な生徒。」という図式が180度変わってしまう内容なのだ。
あくまでもこの本の内容が正しいとする”ならば”、「殺人教師」と迄マスメディアで猛バッシングされた男性教諭は全くの冤罪という事になる。「常軌を逸しレベルの、最早病的としか思えない程のクレーマーな男児の両親」が、「優柔不断で気の弱い男性教諭」に難癖を付けまくり、その事にビビってしまった「事勿れ主義の校長や教頭」が事を穏便に済ませるべく、男性教諭に”精神的圧力”を掛けて”在りもしなかった事柄”を”事実として認めさせてしまったという図式がこの本からは浮かび上がって来る。勿論、徹底的な取材を怠り、一方の意見だけを”真実”と信じ込んで男性教諭を猛バッシングの嵐の中に放り込んだマスメディアも問題だろう。*1
この事件に関する経緯を、この本から抜粋して紹介するのは控えたいと思う。部分的な抜粋だと正確に伝わらない面が在ろうし、何よりもこの事件の裁判は終わっていないからだ。実際に最初から最後迄この本を読んで戴き、個々人で判断を下して貰えたらと思う。
事実だけを記すならば、「この事件は男児の両親が、男児のPTSDを理由に男性教諭と福岡市を相手取り、約1,300万円の損害賠償を求める民事訴訟を福岡地裁に起こした。(男児側の弁護団は最終的に、500人を超える膨大な人数となったという。)」という事と、「2007年7月28日に『男性教諭の不法行為は認定するも、男児生徒のPTSDに付いては矛盾だらけで信用出来ない。』という判決が下された。」という事。男性教諭の不法行為、即ち体罰が在ったという判決なれども、その内容は虐めとは到底言えるレベルのものでは無く、ましてやその事でPTSDが引き起こされるものとは考えられないというのが裁判所の考え。
しかし、著者の福田さんは自身が徹底的に取材した内容から、「この不法行為(体罰)の認定は、被告で在る福岡市が既に男性教諭の体罰や虐めを認定し、停職6ヶ月という懲戒処分を行なっていた事を重視し、『体罰等すらも無かったとしてしまうと福岡市のメンツが立たないので、無難な所で決着させよう。』、『間を取って、男性教諭が一寸やった事にしよう。』という裁判官の意思が介在したのではないか。」と記している。
この裁判は今年1月から控訴審が開始となったという。故に最終判決がどうなるか、今の段階では判らない。この本に書かれている事が正しいか否かも含め、先ずは自分の頭で整理&考える癖を付けなければならないと思う。自分の好きなネット配信者が良く言う言葉「想像せよ、そして疑え!」というスタンスは、こういう時代だからこそ余計に必要だろう。*2

*1 著者の福田さんは、「子供は善、教師は悪という単純な二元論的思考に凝り固まった人権派弁護士、保護者の無理難題を拒否出来ない学校現場や教育委員会、軽い体罰でも直ぐに騒いで教師を悪者にするマスコミ、弁護士の話を鵜呑みにして、可哀想な被害者を救うヒロイズムに酔った精神科医。そしてクレーマーと化した保護者。結局、彼等が寄って集って男性教諭を”史上最悪の殺人教師”にでっち上げたというのが真相だろう。言い換えれば、バイアスのかかった一方的な情報が人々を思考停止に陥らせ、集団ヒステリーを煽った挙句、無辜の人間を血祭りに上げたので在る。」とも記している。
*2 最近マスメディアでやたらと取り上げている「美智子さまの恋文」なる本。今上天皇が皇太子だった時代に、美智子皇后が送った二通の手紙を元に記されたもので、著者は今上天皇の御学友との事。「”普通ならば”入手出来ない手紙が、何故入手出来たのか?(諸説言われているが、個人的にはどれも極めて懐疑的に思っている。)」、「何故”この時期”にこの手紙の存在が明らかに”されなければならなかった”のか?」等、この辺も「想像せよ、そして疑え!」のスタンスで”裏”を読むと”別の面”が見えて来る気がするが・・・。

僕が、ウルトラマンや時代劇やプロレスが好きなのは、そこにははっきりとした勧善懲悪の世界があるからなんですよね
しかしまあ、現実のほうはことの真相がまったくわからないのに一人歩きしちゃってる話のほうが多くて…ええ、すっかりやさぐれた中年になりましたとも(笑)
一番悪いのは、それを横から割り込んで周りを煽って得をする人物でしょうね。それこそ大仁田みたいに
誰それが悪いとイメージが決まればその論調でしか各誌各メディア。全てそれ。
横並びでないと安心できないのです。
この手の事件ってワイドショーでよく取り上げられると思うのですが、みのもんとの番組と羽鳥アナの番組とで正反対の視点からの取材があっていいと思います。それを観て視聴者が考えればいいのです。
マスメディアが視聴率至上主義(or販売実績至上主義)一辺倒になりがちな中、視聴者(or購入者)の耳目を惹き付けるべくより誇張した表現になってしまう面は在るでしょうね。それにアラメイン伯様が指摘されている「マスメディアの横並び体質」も、それをする事が「視聴者(or購入者)の意に適う」という部分が全く無ければ成立しないともいえ、そうなると「横並びを好む日本人の国民性」というのが少なからず反映されている様にも思います。マスメディアの問題も在りますが、我々視聴者(or購入者)の側にも問題が在るのでしょうね。
それにしても、この事件に関しては完全に「とんでもない教師」という見方しか自分の中には無かっただけに、この本を読んでビックリさせられた次第です。真実は何処に在るのでしょうね。
撃を受けたのに、4年前に同じ福岡でこんな事件が起
こっていたとは・・。私が10年前に博多へ移住した
ころは「不景気知らずの元気都市・福岡」として人気
抜群の転居希望都市だったのに、2,3年前くらいか
らボロが出始め、去年オリンピック招致で東京と争っ
た時の市職員による飲酒事故、自己破産地獄の九州、
キレるとヤクザに豹変する広島の「仁義なき戦い」の
イメージそのものの粗暴さ、無責任で子供っぽい大人
気ない年配多数・・・など福岡のウィークポイントが
次から次へと全国に広まり、最近では大阪より嫌われ
る評価もあるくらいです。福岡の住人としてとても残
念です。
この本の中でも「”殺人教師事件”のその後に付いて、地元(福岡)ですらも知らないままに居る人が少なからず居り、三輪中の男児自殺が報道された際には『”又”問題教師か!』という声が上がった。」という趣旨の記述が在りました。その報道が過剰で在れば在る程、例えそれが誤報道で在ったとしても、悪いイメージは容易に払拭されないもの。ましてやマスメディアが自らの落ち度を認めず、訂正報道を為さなければ悪いイメージのままで在り続けてしまう恐ろしさを感じます。
大きな問題が起きると、得てしてマスメディアはその地域を徹底的に取り上げがち。時には針小棒大な報道も在りましょうし、問題行動を為す人物は福岡のみならず何処の地域でも居ます。嫌な報道も在りましょうが、自らの住まわれる地域に誇りを持って下さい。
「又、JAL機か!」自分もJAL機のトラブルが起こる度に口にしてしまうフレーズですね^^;。JALという組織自体に問題が在る事も確かですが、マスメディアの過剰な報道に毒されている点も在るやもしれません。
以前にも書いた事ですが、「朝日新聞だから」、「中国や韓国だから」と「何から何迄駄目!」としてしまうのは視野を狭くしてしまうだけだと思うんです。特定地域に関しても同じで、事象事象を個々に判断して是々非々を捉える必要が在るでしょうね。