義務教育期間中に父を病で亡くした事も在り、若い頃から“死”に付いて思いを馳せる機会が少なく無かったが、今年は例年以上に、そういう機会が多くなりそうだ。新型コロナウイルスの感染によって亡くなった人が世界で30万人を超え、其の中には志村けん氏や岡江久美子さんといった、古くから見知った方も含まれている。「新型コロナウイルスが流行しなければ・・・。」と、余りに早過ぎる死が残念でならない。
大学時代からの友人が居る。彼は別の大学に通っていたのだが、法律関係の勉強会で一緒になり、仲良くなったのだ。会う機会は減ったものの、メールでは連絡を取り合う仲。そんな彼から、4月頭にメールが届いた。「新型コロナウイルスに感染してしまい、自宅療養する事になった。」と。医師によって感染確認はされたものの、“判断基準”からすると「軽症」に当たるので、入院は認められずに、自宅療養になったのだそうだ。「高熱が続き、背骨が折れそうな程の痛みが在るのに、判断基準では軽症。」という事らしい。
彼は飲食店を2つ経営していたが、感染確認された事で共に休店とし、何年か前に離婚しているので、1人で自宅療養する事となった。「肺炎の症状は出ていない。」という事だったが、「年齢に関係無く、容態が急変して亡くなった。」という報道に触れていた時期だったので、最悪の事態も覚悟していた。
幸いな事に、彼は病に打ち勝った。「もう大丈夫だ。」というメールを受け取ったのは、今月に入ってから。同い年の友人を失わないで済んだ事が、本当に嬉しかった。
だが、同時期、遣り切れない話を聞く事に。家族の知り合いで、自分は面識が無いのだけれど、彼は「末期癌で、余命は長くて半年。」という告知を医師からされたと言う。病気らしい病気をした事が無いという彼は50代後半という若さで、大学に通う子供が居る。「自分が、同じ状況に置かれたら。」と想像するだけで、堪らない気持ちになってしまう。