4月10日に放送された「日経スペシャル ガイアの夜明け」(動画)は「危機を救う 新技術」というタイトルで、「危機の現場を救うビジネス」を紹介していた。此方に其の内容が纏められているが、取り上げられたのは「各地で枯渇が問題となっている温泉(日本では、自噴の温泉の約8,000ヶ所で水位の低下が報告されているとか。)を調査&原因把握し、独自の技術で温泉を生き返らせる会社。」、そして「火災や台風、化学物質の流出事故等で被災した工場の事業再開を支援する会社。」だ。
何方の会社の業務内容も興味深かったのだが、今回の記事で紹介するのは、後者の「ベルフォアジャパン」。災害復旧を手掛けるドイツの「ベルフォア社」と日本の「東京海上日動火災保険」が立ち上げた復旧専門会社で在る。何故、損害保険会社がベルフォア社と手を組んだのか?其れは「差別化を図る事で、他社との激烈な競争に打ち勝ちたい。」という思いが背景に在る。被害を受けた企業が逸早く復旧する事で、支払わなければいけない休業補償を減じられるというのも在るのだろう。
火災で燃えずに済んだが、煤で真っ黒になってしまった壁。フラットな壁でも煤を拭い去るのは大変だが、凹凸の在る壁だと凹の部分に煤が入り込んでしまって困難極まり無い。其処でベルフォアジャパンが使用するのは、特殊なゴムを壁に吹き付けて、乾燥したらペロッと捲る「煤取りフィルム」。此れが驚く程に煤を吸着し、壁が元の様に蘇るのだ。水を一切使わないので、後処理も実に楽。
煙や消火剤に塗れた精密機械は、其の儘だと錆びたりする等、様々な不具合を生じさせる。其れを防ぐ為、ドライ・アイスを高圧力で吹き付けて洗浄。一番驚いたのは、煤等に塗れたプリント基板を特殊な“液体”で洗浄するシーン。「プリント基板に水が掛かると、ぶっ壊れてしまう。」と思い込んでいたのだが、電気が通っていなければプリント基板は水洗い出来るのだとか。(洗浄後は、きちんと乾燥させてから使わなければいけないが。)新しいプリント基板に交換するよりも遥かに安く済み、ドイツではこういった形で復旧させるのが普通なのだと言う。新しいプリント基板に交換するのが“常識”の日本は、世界で言えば異端な存在の様だ。
「環境先進国」と言われるドイツならではの災害復旧ビジネスだが、ベルフォアジャパンの社員が「嘗ての日本は直ぐに買い換えるのでは無く、修理を基本として、長く物を使っていたんですよね。」といった趣旨の発言をしていたのが強く印象に残った。高度経済成長の過程で「使い捨て文化」に馴染んでしまい、「環境への優しさ」も薄れて行ってしまった日本人。近年、「環境への優しさ」を意識し出してはいるが、「使い捨て文化」からは逃れられずにいる。「更なる経済成長を遂げるには、使い捨て文化が無くなっては困る。」という一面も在ろうが、“真の環境先進国”の仲間入りをしたいのならば、そろそろ考え方を変えなければいけない段階に来ている。