ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「やめるな外科医 泣くな研修医4」

2022年07月10日 | 書籍関連

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雨野隆治(あめの りゅうじ)は、30歳の外科医。受け持ち患者が増え、大きな手術も任される様になった。友人の患者・向日葵(むかい あおい)は、相変わらず明るく隆治を振り回すが、病状が進行しているのは明らかだった。或る夜、難しい手術を終えて後輩と飲みに行った隆治に、病院から緊急連絡が入り・・・。
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「1980年生まれの現役外科医で、37歳の年に病院長にもなった。」という経歴を持つ中山祐次郎氏。「医師で在り、作家でも在る。」という異能の人だ。

3年前、彼が上梓した小説泣くな研修医」を読んだ。そして、此のシリーズを読み続け(記憶違いで無ければ、何故だか判らないけれど、第2弾は読み落としている。)、今回読了した「やめるな外科医 泣くな研修医4」は、シリーズの第4弾。

第1弾の「泣くな研修医」では、「何も出来ず、何も判らず、先輩医師や上司から、怒られる許り新米医師。」だった雨野隆治も、経験を積み重ね、医師として何とか動ける様になっている。そんな彼の前に、“生と死”という相反する現実が立ちはだかる

年齢も病状も似ているが、見た目や言動は全く異なる2人の高齢女性が救急外来に運び込まれる。見た目や言動は全く異なるけれど、彼女達と接して行く中で、隆治は彼女達が抱えている深い闇を知る事に。結論から言えば、彼女達は共に死を迎えるのだけれど、「死によって、彼女達は何を得たのだろうか?」という事を考えると、余りにも大きな違いを感じてしまい、複雑な思いになってしまった。

又、今回の作品で、隆治は“2つの大きな存在”を失う事になる。外科医という職業に就いているからこそ、過敏に気付いてしまう事も在れば、其の激務に失ってしまう物も。「自分だったらそういう状況を、果たして耐えられるだろうか?」と、自問自答してしまった。

現役の医師だからこそ、記述リアリティーが在る。医師としての日常には「そういう感じなのか・・・。」と思い知らされる事が多く、特に“書類を書く作業”の余りの多さには「もっと改善出来ないのかなあ?」という疑問が。(隆治の場合、「書類を書く作業だけで、週に5時間程取られている。」と記されていた。)

人の命を預かる仕事だからこそ、どうしてもそういう作業が増えてしまうのだろうけれど、例えば「患者が加入している保険会社の書類への記載。」では、「フォーマットは保険会社に全て異なり、然も患者1人で複数の保険に加入している事も珍しく無い臨床医は年中此の書類に病状や癌のステージ、診断日や手術結果等を記入している。」と在った。「保険会社の書類形式を全て統一出来れば、書類記載の業務も、少しは楽になるのでは?」という思いが。

読ませる内容で、一気に読了してしまった。総合評価は、星4.5個とする。


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