児童文学作家を目指す日々 ver2

もう子供じゃない20代が作家を目指します。ちょっとしたお話しと日記をマイペースに更新する予定です。

文化祭

2015-02-06 | 物語 (電車で読める程度)


高校に入って何に一番がっかりしたかってたずねられたら、そりゃもちろん 文化祭だろう。アタシが思い描いていた、文化祭って もっと出店があって 変なお人形をかぶったり、バンドや演劇をやったりなんかして ずっと人の声が絶えないものだと思っていた。でもそれは漫画やドラマの中のだけで、現実のそれはかなしいほどささやかなものだった。つまり、男女問わず人気者で、地味な女の子を気にかけてくれる、ミント系男子はいないということなのだ。出店はセンセー達が食中毒を恐れて禁止。バンドはアニソンばかり、演劇は暗くて湿っぽい体育館でやり、クラスでは出し物の押しつけあい…

こんなはずじゃなかった、中学生の頃期待したたくさんのキラキラは、時と共にひとつ、またひとつと輝きを失なっていってしまった。

「どーせ、学校なんて、
どこだって つまんない。」

事あるごとにそんな考えが頭の中を巡る。でも本当は知っている。学校よりもアタシ自身が一番つまんない奴だってことを。

現にアタシは今、それを証明していた。左手のなかの画面には同じ部活の子達がこんな文化祭でも小さな発見を呟き、誰かの言葉に応え、そしてたくさんの笑顔を寄せていた。マズそうな購買のパンも退屈な吹奏楽部の演奏会も、彼女達はそれらの一瞬を切り取り、加工し、精一杯の笑顔でひとつの作品にした。きっと、彼女達も不満はいっぱいあるんだと思う。けれども、携帯越しにみる彼女達の風景は、アタシと同じ場所にいるはずなのに、とっても輝いてみえた。
















その輝きは中学生の頃、アタシがみた光そのものだった。










【おわり】