現代日本語「誤」百科 830 おわびの気持ちの限りをつくす を、例題にしている。
ひもとく 日本「誤」百科 というコラムに、日本語新百科をこしらえようとして、日本語はどうなっているかと、日本語百科を書いてしまいました。コラムの著者には解説を簡潔に書いていくという制約があるでしょう。ご苦労を思いつつ、このようなブログを書くきっかけをくださって謝いたします。
「誤」百科 830 おわびの気持ちの限りをつくす を、例題にしている。
限りがないとつくすことはできないことから、おわびの気持ちは最大限を示すことができないため、この表現は不適であるとコラムは解説する。
さて、例題のこの言葉を用いるようなことはないだろうか。
力の限りを尽くす、と言えば、全部の力を出し尽くす、限度いっぱいに力を出すことである。
悪の限りを尽くす、と言えば、悪を極めることだ。
限り、と言う語に、限度内と限度範囲のすべてという使い方があり、さらには限度ぎりぎり、いっぱいの意味がある。
そして、つくす の意味に、情理、心、勧、気、意などの、用法としての結びつきがあって、おわびの気持ちに類すると考えられる。
限度を示すことができないものにも、そのすべてを使い切るという、日本語らしい表現である。
限度を物理量でとらえることだけだとすると、それは程度を捉えることではないが、気持ちの範囲を限度内にいっぱいにということは、言えるだろうし、それを尽くすということが行為としてあるならば、その表現は可能である。
>限りを尽くすに近い言葉→情理を尽くす|力を尽くす|心を尽くす|数を尽くす|贅を尽くす|歓を尽くす|気を尽くす|意を尽くす|身を尽くす|手を尽くす
大辞林 第三版の解説
つくす【尽くす・尽す】
( 動サ五[四] )
①なくなるようにする。
㋐すべて使い切る。 「全力を-・す」 「手を-・して探す」 「言葉を-・して説得する」
㋑終わらせる。 「大海を酌みて水をば-・すとも/三宝絵詞 上序」
②できるかぎりのことをして,これ以上はないという状態にする。きわめる。 「狼藉(ろうぜき)の限りを-・す」 「贅(ぜい)を-・す」
次は、例題になったおわびの一文である。
>この度、私、千**は
運転中、自らの過失により人身事故を起こしてしまいました。
人の命を奪うという取り返しのつかない事態に言葉に尽くせぬ思いでいっぱいですが、まずはお亡くなりになられた方とそのご遺族の皆様には心より深くお詫び申し上げます。
また関係する多くの方々には多大なるご迷惑とご心配をおかけ致しましたこと重ねて深くお詫び申し上げます。
起こしてしまった事の重大さに向き合い、深く反省するとともに、ご遺族の皆様には誠心誠意お詫びの気持ちの限りを尽くしてまいります。
誠に申し訳ございませんでした。
ひもとく 日本「誤」百科 というコラムに、日本語新百科をこしらえようとして、日本語はどうなっているかと、日本語百科を書いてしまいました。コラムの著者には解説を簡潔に書いていくという制約があるでしょう。ご苦労を思いつつ、このようなブログを書くきっかけをくださって謝いたします。
「誤」百科 830 おわびの気持ちの限りをつくす を、例題にしている。
限りがないとつくすことはできないことから、おわびの気持ちは最大限を示すことができないため、この表現は不適であるとコラムは解説する。
さて、例題のこの言葉を用いるようなことはないだろうか。
力の限りを尽くす、と言えば、全部の力を出し尽くす、限度いっぱいに力を出すことである。
悪の限りを尽くす、と言えば、悪を極めることだ。
限り、と言う語に、限度内と限度範囲のすべてという使い方があり、さらには限度ぎりぎり、いっぱいの意味がある。
そして、つくす の意味に、情理、心、勧、気、意などの、用法としての結びつきがあって、おわびの気持ちに類すると考えられる。
限度を示すことができないものにも、そのすべてを使い切るという、日本語らしい表現である。
限度を物理量でとらえることだけだとすると、それは程度を捉えることではないが、気持ちの範囲を限度内にいっぱいにということは、言えるだろうし、それを尽くすということが行為としてあるならば、その表現は可能である。
>限りを尽くすに近い言葉→情理を尽くす|力を尽くす|心を尽くす|数を尽くす|贅を尽くす|歓を尽くす|気を尽くす|意を尽くす|身を尽くす|手を尽くす
大辞林 第三版の解説
つくす【尽くす・尽す】
( 動サ五[四] )
①なくなるようにする。
㋐すべて使い切る。 「全力を-・す」 「手を-・して探す」 「言葉を-・して説得する」
㋑終わらせる。 「大海を酌みて水をば-・すとも/三宝絵詞 上序」
②できるかぎりのことをして,これ以上はないという状態にする。きわめる。 「狼藉(ろうぜき)の限りを-・す」 「贅(ぜい)を-・す」
次は、例題になったおわびの一文である。
>この度、私、千**は
運転中、自らの過失により人身事故を起こしてしまいました。
人の命を奪うという取り返しのつかない事態に言葉に尽くせぬ思いでいっぱいですが、まずはお亡くなりになられた方とそのご遺族の皆様には心より深くお詫び申し上げます。
また関係する多くの方々には多大なるご迷惑とご心配をおかけ致しましたこと重ねて深くお詫び申し上げます。
起こしてしまった事の重大さに向き合い、深く反省するとともに、ご遺族の皆様には誠心誠意お詫びの気持ちの限りを尽くしてまいります。
誠に申し訳ございませんでした。