きんせんに ふれる 琴に触ることであるから、そのまま、音がする。その琴線はどこにあるか。自らの胸の内にあるか。相手の心にある琴線か。さらには共鳴するものかどうか。琴を優雅な音色を持つ楽器と心得るなら、その琴線には和琴をイメージする。いや、ハープのような洋琴のものか。逆鱗に触れた、というのが、連想となると、これまた逆鱗がわからないのか。それに触ると何がどうなる。胸の琴線、こころの琴線、そこに共鳴する、この捉え方ができる、できないのようなことではなくて、その文脈、場面に応じた用法を示さなければ、調査回答をもってその用法が決まってしまったような解説は避けた方が、勘違いをしないもとになるのではなかろうか。ただ琴線をうちに持ってそこに手を入れられて触れてきたようなことであるならば、もとより共鳴するようなことではないことになるので、この語のイメージは異なったものになってしまうだろう。どうも、この国語調査は琴線に触れることがない。
きん‐せん【琴線】
1 琴の糸。
2 心の奥深くにある、物事に感動・共鳴しやすい感情を琴の糸にたとえていった語。「心の―に触れる言葉」
[補説]2は、「琴線に触 (ふ) れる」で成句となり、良いものに感銘を受ける意で使う。不愉快になる意で用いるのは誤用で、その意味では「気に障る」「癪 (しゃく) に障る」などの表現がある。→琴線に触れる[補説]
琴線に触れる
《琴線は、物事に感動しやすい心を琴の糸にたとえたもの》良いものや、素晴らしいものに触れて感銘を受けること。「心の―・れる」
[補説]文化庁が発表した平成19年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味とされる「感動や共鳴を与えること」で使う人が37.8パーセント、本来の意味ではない「怒りを買ってしまうこと」で使う人が35.6パーセントという結果が出ている。
出典:デジタル大辞泉
きん‐せん【琴線】 例文一覧 3件
・・・こういう厳粛な敬虔な感動はただ芸術だけでは決して与えられるものでないから、作者の包蔵する信念が直ちに私の肺腑の琴線を衝いたのであると信じて作者の偉大なる力を深く感得した。その時の私の心持は『罪と罰』を措いて直ちにドストエフスキーの偉大なる霊・・・<内田魯庵「二葉亭余談」 青空文庫>
・・・どんな抽象的な教材でも、それが生徒の心の琴線に共鳴を起させるようにし、好奇心をいつも活かしておかねばならない。」 これは多数の人にとって耳の痛い話である。 この理想が実現せられるとして、教案を立てる際に材料と分布をどうするかという問・・・<寺田寅彦「アインシュタインの教育観」 青空文庫>
・・・かつて他の面で活動をしていた人々が、人間の「胸の琴線にふれる」文学の仕事に転じて来た時、センチメンタルになり、人間の観方、文学的表現等では、非常に抵抗少く過去の文学的常套に伏するのは何故であろうか。こういう経歴の作家に通有な文学に於ける面白・・・<宮本百合子「ヒューマニズムへの道」 青空文庫>
きん‐せん【琴線】
1 琴の糸。
2 心の奥深くにある、物事に感動・共鳴しやすい感情を琴の糸にたとえていった語。「心の―に触れる言葉」
[補説]2は、「琴線に触 (ふ) れる」で成句となり、良いものに感銘を受ける意で使う。不愉快になる意で用いるのは誤用で、その意味では「気に障る」「癪 (しゃく) に障る」などの表現がある。→琴線に触れる[補説]
琴線に触れる
《琴線は、物事に感動しやすい心を琴の糸にたとえたもの》良いものや、素晴らしいものに触れて感銘を受けること。「心の―・れる」
[補説]文化庁が発表した平成19年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味とされる「感動や共鳴を与えること」で使う人が37.8パーセント、本来の意味ではない「怒りを買ってしまうこと」で使う人が35.6パーセントという結果が出ている。
出典:デジタル大辞泉
きん‐せん【琴線】 例文一覧 3件
・・・こういう厳粛な敬虔な感動はただ芸術だけでは決して与えられるものでないから、作者の包蔵する信念が直ちに私の肺腑の琴線を衝いたのであると信じて作者の偉大なる力を深く感得した。その時の私の心持は『罪と罰』を措いて直ちにドストエフスキーの偉大なる霊・・・<内田魯庵「二葉亭余談」 青空文庫>
・・・どんな抽象的な教材でも、それが生徒の心の琴線に共鳴を起させるようにし、好奇心をいつも活かしておかねばならない。」 これは多数の人にとって耳の痛い話である。 この理想が実現せられるとして、教案を立てる際に材料と分布をどうするかという問・・・<寺田寅彦「アインシュタインの教育観」 青空文庫>
・・・かつて他の面で活動をしていた人々が、人間の「胸の琴線にふれる」文学の仕事に転じて来た時、センチメンタルになり、人間の観方、文学的表現等では、非常に抵抗少く過去の文学的常套に伏するのは何故であろうか。こういう経歴の作家に通有な文学に於ける面白・・・<宮本百合子「ヒューマニズムへの道」 青空文庫>