意味に記述と説明とがあるようである。意味を説明すると言えばふつうである。ところが意味を記述すると言えばちがいがある、説明との違いがあるようである。わかりやすく言おうとすることと、詳しく言おうとする、その違いがある。ただ、その分かりやすく言おうとすることにはさまざま、その方法がある。それに対して詳しく言うというのは、事実のままに、ありのままにとなる。
大辞林 第三版の解説
哲〙 〔description〕 物事のありさまを概念的説明を混じえずにありのままに書きしるすこと。また,その言語表現。
哲〙 〔explanation〕 記述が,事象の単なる描写や確認であるのに対して,ある事象がなぜそうであるかという根拠を法則からの演繹によって明らかにすること。科学的認識はこの段階に入って初めて予見が可能となる。
世界大百科事典 第2版の解説
せつめい【説明 explanation】
[説明と記述]
説明とは,広義には〈わからせること〉であり,言葉の意味の説明はその一例である。また数学における証明も,説明の一種である。しかし一般には,説明として〈科学的説明scientific explanation〉が考えられることが多い。科学的説明には,事象についての説明と法則についての説明がある。事象についての説明とは,ある事象について,なぜそれが起こったのかを明らかにすることである。そしてそれは一般に,法則に基づいてその事象の成立過程を記述することによって行われる。
記述的意味と非記述的意味
d.hatena.ne.jp/optical_frog/20080110/1199973449
2008/01/10 - 文の意味のうち,それがあらわす命題が真か偽かを決めるのは,まさにこの〔記述的な〕側面である.この特性が,「論理的」・「命題的」といったラベルをこのタイプにつける理由となっている. その表現を使って何を指示できるかを制限するのは, ...
http://d.hatena.ne.jp/optical_frog/
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1 文の意味のうち,それがあらわす命題が真か偽かを決めるのは,まさにこの〔記述的な〕側面である.この特性が,「論理的」・「命題的」といったラベルをこのタイプにつける理由となっている.
2 その表現を使って何を指示できるかを制限するのは,まさに意味のこの側面である.別の観点から言えば,何が指示対象として意図されているのかを聞き手が知る手引きとなるのが,このタイプの意味だ.これが,「指示的」というラベルをつける動機となっている.
3 このタイプの意味は,話し手と彼が述べていることを分離するという点で客体的 (objective) である.また,アメリカの構造主義言語学者チャールズ・ホケット (Charles Hockett) が導入した用語の定義で,このタイプの意味は転位している (displaced).つまり,目下の発語状況のいま-ここに縛られていない.
4 完全に概念化されている.つまり,このタイプの意味は,経験のさまざまな側面を分類する範疇を提供してくれる.そうした範疇化は経験を効率よく「記述」し,その属性についてさらなる推論を認可する.
5 文の意味の記述的な側面は,潜在的に否認や疑問を受けうるという点で「さらけ出されて (exposed)」いる.対話者が発する「嘘だ!」とか「それはちがう」といった反応は,言明の意味のうち記述的な部分を的にしている.
(Alan Cruse, Meaning in Language, 2nd edition, Oxford UP, 2004, pp.44-45,訳文引用者)
日本語語彙論 意味の記述9
2013-11-15 23:32:11 | 語と語彙
言語学が意味を話題にしたのは歴史言語の探求を地域言語の興味にシフトしたからである。その言語による違いをさらに個別言語のことがらと一般言語のとらえ方とを議論し始めた。ヨーロッパの隣接する国が言語の異なりをどのように意識していたか、19世紀まで領地の拡大獲得でせめぎ合っていたのだから自領土の言語にのみ重きがあり他地域の言語を見るのはつねに蛮族の語かバーバリアンの言語であった。
語の意味についての関心はその意味の変遷に向けられていた。意味の語を日本語で味わいをつけているようにとらえがたいとするなら、Semanticsはその初期においては予兆学に関わることであったようである洋の東西を問わずに、雪は豊年の兆し Snow is the sign of a good harvest.というごとくである。いまやこの語はコンピュータ用語の重要概念である。
語がそれだけで意味を持つような議論は語と語との関係において表される情報内容に見方をおいて、そこにあらわされる語の意味の記述をすることが行われるようになってきた。語がそれだけで意味を持つのは指示と概念で記述をすることになるが、個別言語では古来それぞれの語の用法がそれを表してきた。
日本語語彙論 意味の記述8
2013-11-14 21:14:24 | 語と語彙
意味記述を考えるのに、日本語の意味とは何かをしるために、何度も引く辞書の内容である。そのたび、同じ個所を繰り返し見ることになるが、一向に要領を得ない。まず、物事の、深みのある趣、含蓄のある味、また、それを味わうこと、とあって、言外の意味などとあっては、記述のしようがない。次にあるのは、言語、作品、行為など、なんらかの表現によって示される内容、また、ある表現が、ある物事の内容を表わし示すこと、というようで、表現と意味のことをとらえているようで、そこには言語表現、言語作品、言語行為など、記述する内容が茫洋としている。さらに、言語、作品、行為など、なんらかの表現によって示される意図・目的、また、表現される動機としてもつ原因、表現の背後にある理由、というのは、意図、目的、原因、理由などとなる。そして、価値、重要性となる。ここにこの辞書の解説においては、意味について、味わうことであったり、表現があったり、そこに意図、目的、、原因、理由ひいては価値や重要性であって、意味の記述がみえてこない。
はて、言語の意味とは何か、それは、心であるのか。
本語語彙論 意味の記述9
2013-11-13 22:22:08 | きょうのニューストピック
意味の記述は文を意味情報としてとらえ、その文で働く語の内容を他の語との関連で明らかにすることである。語が持つ指示意味、概念作用、そしてその語が使われる場面、文脈において、他の語との関係性をどう持つかによって文法的な意味を持ち、その語と語とが表わす意味を記述することになる。
そこには修辞で表される語の意味がその語の持つ情報内容を変えて新たな意味を表すこともある。比喩となったり、その文が象徴する意味内容である。そのように語を語との関係においてひとまとまりにする用法もあり、意味記述は語の意味として拡大したり転じたりすることがある。
言葉の使われ方は地域と民族によってその時間と空間とに制約され歴史と地理境界によって伝播することがあり、その都度、言葉の意味が確かめられようとしてきた。語を音の形式と見てそこに意味のあらわすところをとらえようとしてきたのである。ここに、もう一つの意味のとらえ方をその地理をへだて西洋と東洋とする漢字の言葉で見ることができる。
必ずしも語と意味の議論にはならないかもしれないが、訓詁の方法は語の関係性をちがったとらえ方で表そうとしてきたのである。
大辞林 第三版の解説
哲〙 〔description〕 物事のありさまを概念的説明を混じえずにありのままに書きしるすこと。また,その言語表現。
哲〙 〔explanation〕 記述が,事象の単なる描写や確認であるのに対して,ある事象がなぜそうであるかという根拠を法則からの演繹によって明らかにすること。科学的認識はこの段階に入って初めて予見が可能となる。
世界大百科事典 第2版の解説
せつめい【説明 explanation】
[説明と記述]
説明とは,広義には〈わからせること〉であり,言葉の意味の説明はその一例である。また数学における証明も,説明の一種である。しかし一般には,説明として〈科学的説明scientific explanation〉が考えられることが多い。科学的説明には,事象についての説明と法則についての説明がある。事象についての説明とは,ある事象について,なぜそれが起こったのかを明らかにすることである。そしてそれは一般に,法則に基づいてその事象の成立過程を記述することによって行われる。
記述的意味と非記述的意味
d.hatena.ne.jp/optical_frog/20080110/1199973449
2008/01/10 - 文の意味のうち,それがあらわす命題が真か偽かを決めるのは,まさにこの〔記述的な〕側面である.この特性が,「論理的」・「命題的」といったラベルをこのタイプにつける理由となっている. その表現を使って何を指示できるかを制限するのは, ...
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1 文の意味のうち,それがあらわす命題が真か偽かを決めるのは,まさにこの〔記述的な〕側面である.この特性が,「論理的」・「命題的」といったラベルをこのタイプにつける理由となっている.
2 その表現を使って何を指示できるかを制限するのは,まさに意味のこの側面である.別の観点から言えば,何が指示対象として意図されているのかを聞き手が知る手引きとなるのが,このタイプの意味だ.これが,「指示的」というラベルをつける動機となっている.
3 このタイプの意味は,話し手と彼が述べていることを分離するという点で客体的 (objective) である.また,アメリカの構造主義言語学者チャールズ・ホケット (Charles Hockett) が導入した用語の定義で,このタイプの意味は転位している (displaced).つまり,目下の発語状況のいま-ここに縛られていない.
4 完全に概念化されている.つまり,このタイプの意味は,経験のさまざまな側面を分類する範疇を提供してくれる.そうした範疇化は経験を効率よく「記述」し,その属性についてさらなる推論を認可する.
5 文の意味の記述的な側面は,潜在的に否認や疑問を受けうるという点で「さらけ出されて (exposed)」いる.対話者が発する「嘘だ!」とか「それはちがう」といった反応は,言明の意味のうち記述的な部分を的にしている.
(Alan Cruse, Meaning in Language, 2nd edition, Oxford UP, 2004, pp.44-45,訳文引用者)
日本語語彙論 意味の記述9
2013-11-15 23:32:11 | 語と語彙
言語学が意味を話題にしたのは歴史言語の探求を地域言語の興味にシフトしたからである。その言語による違いをさらに個別言語のことがらと一般言語のとらえ方とを議論し始めた。ヨーロッパの隣接する国が言語の異なりをどのように意識していたか、19世紀まで領地の拡大獲得でせめぎ合っていたのだから自領土の言語にのみ重きがあり他地域の言語を見るのはつねに蛮族の語かバーバリアンの言語であった。
語の意味についての関心はその意味の変遷に向けられていた。意味の語を日本語で味わいをつけているようにとらえがたいとするなら、Semanticsはその初期においては予兆学に関わることであったようである洋の東西を問わずに、雪は豊年の兆し Snow is the sign of a good harvest.というごとくである。いまやこの語はコンピュータ用語の重要概念である。
語がそれだけで意味を持つような議論は語と語との関係において表される情報内容に見方をおいて、そこにあらわされる語の意味の記述をすることが行われるようになってきた。語がそれだけで意味を持つのは指示と概念で記述をすることになるが、個別言語では古来それぞれの語の用法がそれを表してきた。
日本語語彙論 意味の記述8
2013-11-14 21:14:24 | 語と語彙
意味記述を考えるのに、日本語の意味とは何かをしるために、何度も引く辞書の内容である。そのたび、同じ個所を繰り返し見ることになるが、一向に要領を得ない。まず、物事の、深みのある趣、含蓄のある味、また、それを味わうこと、とあって、言外の意味などとあっては、記述のしようがない。次にあるのは、言語、作品、行為など、なんらかの表現によって示される内容、また、ある表現が、ある物事の内容を表わし示すこと、というようで、表現と意味のことをとらえているようで、そこには言語表現、言語作品、言語行為など、記述する内容が茫洋としている。さらに、言語、作品、行為など、なんらかの表現によって示される意図・目的、また、表現される動機としてもつ原因、表現の背後にある理由、というのは、意図、目的、原因、理由などとなる。そして、価値、重要性となる。ここにこの辞書の解説においては、意味について、味わうことであったり、表現があったり、そこに意図、目的、、原因、理由ひいては価値や重要性であって、意味の記述がみえてこない。
はて、言語の意味とは何か、それは、心であるのか。
本語語彙論 意味の記述9
2013-11-13 22:22:08 | きょうのニューストピック
意味の記述は文を意味情報としてとらえ、その文で働く語の内容を他の語との関連で明らかにすることである。語が持つ指示意味、概念作用、そしてその語が使われる場面、文脈において、他の語との関係性をどう持つかによって文法的な意味を持ち、その語と語とが表わす意味を記述することになる。
そこには修辞で表される語の意味がその語の持つ情報内容を変えて新たな意味を表すこともある。比喩となったり、その文が象徴する意味内容である。そのように語を語との関係においてひとまとまりにする用法もあり、意味記述は語の意味として拡大したり転じたりすることがある。
言葉の使われ方は地域と民族によってその時間と空間とに制約され歴史と地理境界によって伝播することがあり、その都度、言葉の意味が確かめられようとしてきた。語を音の形式と見てそこに意味のあらわすところをとらえようとしてきたのである。ここに、もう一つの意味のとらえ方をその地理をへだて西洋と東洋とする漢字の言葉で見ることができる。
必ずしも語と意味の議論にはならないかもしれないが、訓詁の方法は語の関係性をちがったとらえ方で表そうとしてきたのである。