句は語が複数、関係しあう構成体である。
句は文法単位として語と文とにかかわる。
句そのものが独立してまとまった意味を持てば慣用句となる。
それは一方で、文学の伝統に、起承転結の句、発句としてとらえられるなど、詩歌を構成している単位となる。
歌句などの韻律における一まとまり、五音または七音の区切りとするもの、発句または付句として近代の俳句に受け継がれる。
漢詩では四字、五字、七字からなる一まとまりとなる。
文法における言語単位には、語が連続して一つのまとまった意味を表すものとなる。
文を形成するか、文の一部分をなすと説明がある。
フレーズの訳語とする場合があり、あるまとまった意味を表して一つの単語の働きをする。
句を連語と区別するか、語のとらえ方で文の構成要素の一つに文節があるため、その連続において文法形式として機能を持つ語連続がある。
句読法、句読点として、文法の句点は文尾切れ目を表すようになったことから、句そのものを文とする考え方をすることがあった。
禁句・警句・語句・字句・冗句・成句・絶句・文句
句法/起句・結句・詩句・初句・承句・俳句・発句・連句
世界大百科事典 第2版の解説
く【句 phrase】
言語学の用語。単語が二つ以上つながったもので,全体としてまとまりを有するものをいう。ただし,従来通俗的には,そのようなもののうち,単語のあるもの(あるいはある品詞)と同じ機能を有するものをこう呼んできたようである。たとえば,名詞句(“a young lady”といったもの)とか動詞句といった呼び方が用いられている。もっとも,内部構造が文に類似しているものは〈節clause〉と呼ばれてきた。しかし,本質的にいうと,それと同じ機能を有する単語があるかどうかを句と呼ぶべきか否かの規準にすることも,内部構造の違いによって句,節といった区別をすることも問題がある。
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
句
く
統語上の単位で、節よりも下位のもの。伝統的分類では、句は節と異なり、文の資格を備えた統語体を含まないものとされる。句は統語上の機能に応じて、名詞句、動詞句、形容詞句、副詞句の四つに分類されることが多い。名詞、代名詞、動詞、形容詞、副詞は単独でも句になりうるが、句は語連続からなるのが普通であり、一つの句が複数の句から構成されることも少なくない。たとえば、「赤い花」は、形容詞句「赤い」と名詞句「花」とがあわさった一つの名詞句である。
上記4種の句以外にも、句が認められる。「太郎は花子にダイヤの指輪をやった」の「花子に」は句であるが、これは副詞句とはいえない。これに対応する英語表現‘Taro gave a diamond ring to Hanako.’の‘to Hanako.’は前置詞句とよばれることがあるが、これは句の機能ではなく、句の構成要素の名に基づく名称である。これに倣うと、「花子に」は「助詞句」ということになるが、この名称は一般的ではない(国文法では、この種の句を「連用修飾語」とよぶことがある)。
以上の句と節とは、英文法でいうフレーズphraseとクローズclauseにほぼ対応する(英分法ではclauseを「主語、述語をもつ統語体」とし、それ以外をphraseとする)。なお、国文法では、句と節を以上とは逆の意味で使うことがある。また、生成文法では、文以外の任意の統語体を句とよび、節を含む構造、たとえば「彼が書いた本」などを名詞句とよぶので、注意を要する。[山田 進]
世界大百科事典内の句の言及
【シンタクス】より
… シンタクス上,まず留意されるのは語順すなわち[1]〈単語間の前後関係〉である。だが,実は,単語はただ1列に並んで文をなすわけではなく,ある連続した二つ(またはいくつか)の単語がまず密接に結びつき(これを句という),その全体がまた別の単語や句と結びついてさらに句を作る,というような関係が重なって一文をなしていると見られる。例えば,The boys have nice cars.という文は,(1) [[The boys] [have [nice cars]]]のような構造をなしている。…
句は文法単位として語と文とにかかわる。
句そのものが独立してまとまった意味を持てば慣用句となる。
それは一方で、文学の伝統に、起承転結の句、発句としてとらえられるなど、詩歌を構成している単位となる。
歌句などの韻律における一まとまり、五音または七音の区切りとするもの、発句または付句として近代の俳句に受け継がれる。
漢詩では四字、五字、七字からなる一まとまりとなる。
文法における言語単位には、語が連続して一つのまとまった意味を表すものとなる。
文を形成するか、文の一部分をなすと説明がある。
フレーズの訳語とする場合があり、あるまとまった意味を表して一つの単語の働きをする。
句を連語と区別するか、語のとらえ方で文の構成要素の一つに文節があるため、その連続において文法形式として機能を持つ語連続がある。
句読法、句読点として、文法の句点は文尾切れ目を表すようになったことから、句そのものを文とする考え方をすることがあった。
禁句・警句・語句・字句・冗句・成句・絶句・文句
句法/起句・結句・詩句・初句・承句・俳句・発句・連句
世界大百科事典 第2版の解説
く【句 phrase】
言語学の用語。単語が二つ以上つながったもので,全体としてまとまりを有するものをいう。ただし,従来通俗的には,そのようなもののうち,単語のあるもの(あるいはある品詞)と同じ機能を有するものをこう呼んできたようである。たとえば,名詞句(“a young lady”といったもの)とか動詞句といった呼び方が用いられている。もっとも,内部構造が文に類似しているものは〈節clause〉と呼ばれてきた。しかし,本質的にいうと,それと同じ機能を有する単語があるかどうかを句と呼ぶべきか否かの規準にすることも,内部構造の違いによって句,節といった区別をすることも問題がある。
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
句
く
統語上の単位で、節よりも下位のもの。伝統的分類では、句は節と異なり、文の資格を備えた統語体を含まないものとされる。句は統語上の機能に応じて、名詞句、動詞句、形容詞句、副詞句の四つに分類されることが多い。名詞、代名詞、動詞、形容詞、副詞は単独でも句になりうるが、句は語連続からなるのが普通であり、一つの句が複数の句から構成されることも少なくない。たとえば、「赤い花」は、形容詞句「赤い」と名詞句「花」とがあわさった一つの名詞句である。
上記4種の句以外にも、句が認められる。「太郎は花子にダイヤの指輪をやった」の「花子に」は句であるが、これは副詞句とはいえない。これに対応する英語表現‘Taro gave a diamond ring to Hanako.’の‘to Hanako.’は前置詞句とよばれることがあるが、これは句の機能ではなく、句の構成要素の名に基づく名称である。これに倣うと、「花子に」は「助詞句」ということになるが、この名称は一般的ではない(国文法では、この種の句を「連用修飾語」とよぶことがある)。
以上の句と節とは、英文法でいうフレーズphraseとクローズclauseにほぼ対応する(英分法ではclauseを「主語、述語をもつ統語体」とし、それ以外をphraseとする)。なお、国文法では、句と節を以上とは逆の意味で使うことがある。また、生成文法では、文以外の任意の統語体を句とよび、節を含む構造、たとえば「彼が書いた本」などを名詞句とよぶので、注意を要する。[山田 進]
世界大百科事典内の句の言及
【シンタクス】より
… シンタクス上,まず留意されるのは語順すなわち[1]〈単語間の前後関係〉である。だが,実は,単語はただ1列に並んで文をなすわけではなく,ある連続した二つ(またはいくつか)の単語がまず密接に結びつき(これを句という),その全体がまた別の単語や句と結びついてさらに句を作る,というような関係が重なって一文をなしていると見られる。例えば,The boys have nice cars.という文は,(1) [[The boys] [have [nice cars]]]のような構造をなしている。…