面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

松坂メジャー入りの顛末

2006年12月16日 | 野球
すったもんだの末、ようやく松坂のレッドソックス入りが決まった。
レ軍首脳と松坂の代理人との間で、年棒に対して200~300万ドルの開きがあったりして交渉が難航し、決裂寸前までいったところで松坂が代理人を説得して契約に至ったとか。

交渉決裂も辞さずという代理人・ボラス氏の態度は、レッドソックスに入団したいという本人の意向に反するものであり、個人的には理解に苦しむ展開だった。
ボラス氏自身は、選手の価値が年棒に反映されないとして現状のポスティングシステムに反対の意見を持っており、その自説を正当化するためにも今回の契約がご破算になっても仕方ない、という姿勢だったようだが、これでは何のための代理人か分らない。
そんな自説は違う場面で論じてくれ!というのが松坂の本心だったのではないだろうか。

それにしても、今年はこの松坂を筆頭に、タイガースの井川、ヤクルトの岩村と、ポスティングシステムによる移籍が相次いだ。
しかも今回、松坂に対する入札で一気にポスティング市場の相場が跳ね上がった。
もちろん、松坂自身にそれに見合う実力(それだけの価値)があるからこそだが、その反動で井川の入札額が高騰したのは否めない。
こうなると、今後この制度を“活用”して選手を売り飛ばしにかかる球団が出てくるのではないか。

候補としては、金儲けのためなら手段を厭わないオーナーが率いる楽天やソフトバンクあたりが“危険”ではないかと勝手ににらんでいる。
ことに楽天は、高校生ドラフトで駒大苫小牧の田中を獲得した。
「順調に育ってくれよ」という思いは、現場を預かる野村監督と球団経営陣との間では大きな隔たりがあるのではないかと勘ぐられて仕方ない。

日本のプロ野球の将来にとっての悪弊として大きくなり始めたポスティングシステム。
私利私欲に走るのではなく、日本にプロ野球の“文化”を花開かせた大正力氏のような人物が現れることを祈るばかりである。