面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「くわがらす」

2006年06月15日 | 落語
昨日、小噺を紹介したが、落語の記事を増やすイイ方法を思いついたものだと、我ながら感心した(単純)
いろいろと反響もいただいたし、また自分の中でも持ちネタの整理になるので、これは良い企画である、と我ながら感心している(もうエエて)

というわけで、今回は「くわがらす」というアホみたいな噺を。

お百姓が野良仕事を終え、ボチボチ帰ろうと畑を後にしようとしたそのとき、上空を飛んだ一羽のカラスが、
「くわー、くわー」
「…あ、ホンマや。畑に鍬を置いたまま、忘れて帰るとこやった。こんなとこに鍬を置いていったら、夜露に濡れて錆びついてしまうところやがな。いやー、カラスさん、ついぞエサもやったことないのに、えらいおおきに!」
家に戻ると庭先でニワトリが主人を出迎えて、
「クゥー、クゥクゥクゥクゥクゥ~」
「…お前は人の顔見たら『食う食う』ばっかり言うてエサの催促しやがって。さっきな、野良仕事の帰りがけに、鍬を畑に忘れて帰りそうになったら、カラスが『くわーくわー』て鳴いて教えてくれたわ。これまでエサもやったこと無いのにえらいやっちゃで、ほんまに。お前もカラスを見習え!」
と言うとニワトリが、
「トッテコーカー♪」
「もう、遅いわい!」

二種類の鳥の鳴き真似がポイントの噺であるが、ニュアンスは伝わるだろうか。
以前、紫亭京太郎氏がとある小学校での敬老会イベントの余興でかけたところ、お年寄の皆さんにえらいウケた。
米朝師がときたま披露していた、のどかな田園風景が目に浮かぶような、のんびりした噺である。

「雪うさぎ」

2006年06月14日 | 落語
ほんまに落語が少ないな!
などと毎回言ってるような気がするがしょーがない。
落語のことを書き出すと、思い入れも強いし、ストーリーを追うので書くのにヒマがかかる、という言い訳があるのだが。

というわけで、今回は季節はずれな小噺を一つ。

ある雪の日。
庭先で遊んでた幼い女の子が、縁側からあがって母親を呼んでいる。
「お母ちゃん、お母ちゃん!お盆の上に雪でうさぎ作ったで!見て見て!」
「はーい、すぐ行くからちょっと待ってや。」
「お母ちゃん、はよ来てぇな、はよぅ!」
「はいはい、台所で洗いもんしてたから手が離されへんかってん。かんにんやで。」
と、前掛けで手を拭き拭きやって来た母親、
「あれ?お盆の上が濡れてるだけで、うさぎ、あれへんやんか?」
「もう、お母ちゃんがはよ来ぇへんかったから、おしっこして逃げてしもたんや…」

雪で作ったうさぎが部屋の温みで溶けてしまったということをかわいらしく言い換えたオチ。
短い中にも風情のある噺。
皆さんも覚えて披露してみてはいかが!?

嗚呼、誉めぞこない

2006年06月13日 | 野球
むむむ…

3日連続お立ち台に立った鳥谷。
いよいよ待望のヒーロー登場か!?と誉めそやした4日のホークス戦。
勇んで甲子園に足を運んだにも関わらず、目の前の鳥谷は、タコなプレーでその日のドインケツ。

月曜のサッカー、ワールドカップ。
前半を終えて1対0。
後半も残り10分をとっくに過ぎていまだリード。
キーパー川口のファインセーブ連発も手伝って、
「今日は川口が立ってる限り、ゴールにボールは入らんな!」
と一人ごちた途端、残り6分で3失点…。

そして今日。
11日の日曜、イエローボックス8段という、一塁ベンチに戻ってくる選手一人一人の表情がハッキリと見える絶好の席でのライオンズ戦。
延長11回裏、久保田に代打スペ砲投入で後が無い場面ながら、1・2塁のチャンスにピンチヒッターとして登場した今岡。
外角の投球にくらいつくようにしてバット一閃。
打球がライトの頭を越え、感動のサヨナラヒット!
これで今岡もチームも、上昇気流に乗るはず♪
と、勝利に酔いしれた試合の次が今日の楽天戦。
今岡は初回のヒット1本だけ。
チームは15安打7四球とランナー出しまくりも15残塁の非効率な攻撃。

もう絶対に誉めへんからな!
どいつもこいつも、どないなっとんねん!?

「勝ち運」と「走らない走塁」

2006年06月13日 | 野球
すぐそこに選手が!(藤川がキャッチボール)


日が経ってしまったが、6月11日の西武戦、阪神ファン仲間から譲り受けたチケットで、イエローボックス8段という、選手の表情までハッキリわかる抜群の席で観戦した。
ちなみに、この辺のボックス席で観戦するのは2回目。
とはいえ、前回というのは、タイガースに竹之内がいた時代。
(昭和54年か!?)
今もハッキリ覚えているのは、その日は広島戦で、最終回にリリーフエース江夏から、竹之内が逆転サヨナラスリーランをかっ飛ばして勝ったということ。
(だから竹之内がいた時代、という言い方になる)
この席には「勝ち運」があると、勝手に解釈して臨んだのだった。

そして見事、今岡のサヨナラタイムリー!
やっぱり勝ち運は生きていた!と確信した試合となった。

しかしこの試合、チームに勝ち運をもたらしたのは今岡ではなく、中村豊である。
私見であるが、去年の“あの中日戦”以来、彼にはここぞというときの勝ち運がついている。
この試合も8回、先頭打者の鳥谷が二塁打を放ち、ようやく同点機が巡ってきたところで代打として登場。
このミエミエの“ピンチバンター”という難しい役どころで、見事三塁線へ死んだ打球をころがした。
我々スタンドのファンは
「よっしゃー!よう決めた中村!!お見事!!!」
と、ベンチに戻ってくる中村を大きな拍手で迎えようとしたそのとき、あれ?鳥谷が2塁にいてるやん!?え?なんで???という狐につままれた状況に陥れられた。

この真相は、実は翌日のニッカンスポーツで知ることとなった。
事前に吉竹コーチと、「捕手前のボテボテと投手への強いバントのケースは三塁に行くな」と打ち合わせたとか。
そうは言っても三塁に行きたくて仕方ないのが野球選手の本能。
しかしそこで見せたのが鳥谷の冷静な判断力。
中村の三塁方向へのバントはうまく転がったのだが、西武内野陣の猛チャージと守備陣形から「シフトが見えた」という鳥谷は、これは確実にアウトになる瞬時に見極め、二塁を飛び出したものの途中でやめて帰塁。
あまりにも何気ないプレーで、球場で見ていても何食わぬ顔で二塁にいる鳥谷に「??」だったのだが、「走らない走塁」というプレーであったとは、その場では全く気付かなかった。

話を再度中村の勝ち運に戻すと、圧巻だったのが10回表。
「久保田劇場」の渦中で2アウトながらランナー2塁の場面。
ワンヒットで勝ち越し点が入ってしまう。
バッター高山がバット一閃、「カーン!」と乾いた快音を響かせて鋭いライナーがセンターへ!
「あかん!とうとうやられてしもたーっ!」
と頭を抱えて叫んだそのとき、背走しながら落下してきた打球に飛びついた中村のグラブに、ボールがすっぽり!!
もんどりうって倒れこむ中村を確認した2塁塁審嶋田の腕が上がって「アウト!」

狂喜乱舞したのは言うまでもない。
その裏、2度目の打席が回った中村に期待したが、結果はピッチャーゴロ。
前打席の送りバント失敗のサードゴロに続いての凡打に、打率を.333へと下げてしまうこととなったがご愛嬌。
西武の方を向いていた勝利の女神をタイガースへと振り向かせたのは、間違いなく彼である。

そして、その波に乗れたのが今岡だ。
中村豊の「勝ち運」と、やはり際立つセンスをみせる鳥谷の「走らない走塁」が導いた勝利。
いやー、野球はやっぱり奥が深くて面白い!

紫亭京太郎情報

2006年06月12日 | 映画
一心同体の間柄である、シネマコミュニケーター・紫亭京太郎氏が、この度、大阪発のインターネットテレビ「Net Channel KYO」の番組に、準レギュラー出演することが決まった。

番組は、毎週木曜22時放送の「88(パルパル)YellowNight!!」
(翌金曜朝10時再放送)

進行の八代じゅんちゃん(イエローキャブ・ウェスト)を相手に、自分の気に入った作品の紹介するのがメインテーマではあるが、映画についての放言(!?)と、ちょっとしたマメ情報やオタッキーな視点など、好き放題しゃべっている“衝撃映像”が拝める。
ありきたりの映画情報に飽き足りない方には、ある意味新鮮ではないだろうか。

男子諸君はじゅんちゃんの天然系キャラに萌えていただき、女子諸君は「怖いもの見たさ」という人間が生来持つ欲求を満たしていただきたい。

↓過去の番組も閲覧できるこの放送局に、まずはアクセスを♪
NetChannel KYO

「ナイロビの蜂」

2006年06月11日 | 映画
活動家の妻と外交官の夫。
事故死とされた妻の死に疑問を持ち、謎を追ううちに明るみに出る製薬会社のとんでもない陰謀と、妻の深い愛情。

直情型の妻と、代々外交官を輩出してきた名門出身の穏やかな外交官の夫。
対照的なカップルは、しかしお互いに無い部分を補い合うように深く融和し、大きな愛でお互いを包みあっている。

触れてはならない闇に立ち入り、やはり殺されていた妻を追い、自分も殺される夫。
二人の遺志は仲間に引き継がれ、陰に蠢いていた巨悪は白日の下へとさらされていく。

夫婦の深い愛情という主題は間違いなく感動的ではあるが、当り前のことでしょう?そんなもん、というのは、やはりひねくれすぎているのだろうか。
個人的には、自ら死に臨むシーンが受け入れられずに入り込めなかったが、製薬会社がアフリカを“食いモノ”にしているという話には、さもありなんと思いつつ、憤らずにいられない。
「ホテル・ルワンダ」でも描かれていたが、白人社会によるアフリカ“軽視”の事実。
唾棄すべき現実がそこにある。

ナイロビの蜂
2005年/イギリス  監督:フェルナンド・メイレレス
出演:レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ

「ポセイドン」

2006年06月10日 | 映画
子供の頃、「ポセイドン・アドベンチャー」をテレビで何度か観た。
エンディングで流れる「モーニング・アフター」の印象が強い。
ストーリーはほとんど忘れ、映画のシーンが断片的に記憶に残っているだけだが、それでもラストシーンと主題歌が印象深く、子供心に面白い映画だったという覚えはある。

さて、当代の「ポセイドン」。
大晦日の夜、4000人の乗客を乗せて北大西洋を航行中の超豪華客船ポセイドン号。
新年を迎えるパーティーに人々が酔いしれているそのとき、超巨大津波“ローグ・ウェーブ”が船に襲いかかる。
一瞬にして50メートルを超える波に飲み込まれるポセイドン号。
阿鼻叫喚の場面が過ぎると、転覆した船内には生き残った数百人の乗客。
パーティー会場にいる生存者に対して、船長は救助が来るまで動かないように指示するが、ギャンブラーのディランは危険を直感して脱出しようとする。
そして彼とともに9人の人々が、脱出するために船底を目指して“のぼって”いく…。

リメイクというよりは、テイストを残して全く新しい作品として出来上がっている。
始まってすぐ(くらいの感覚)に大津波がポセイドン号を飲み込み、そこからは緊迫の場面が最後まで続いていく。
98分の上映時間はあっという間。
あまりにもあっけない気がしたが、「ポセイドン・アドベンチャー」は117分で大差ない。
しかし、「ポセイドン・アドベンチャー」の方が、これも子供心に、脱出劇における人間ドラマがもっとシリアスだった覚えがある。
本作においても、自分が助かるために仲間を見捨てるのかという葛藤や、娘とその恋人のために命を賭ける父親など、人間ドラマも入っているがいかんせん浅い。

わずか2分半のために制作に1年かけたという冒頭のシーンを始めとして、CG映像は実写と見紛うばかりに素晴らしい。
そして最後までスクリーンに釘付けにさせられる、観客を飽きさせないテンポもいい。
ただ、ストーリーとしてはいささか物足りない。
しかし、見事なCG映像と話の軽めなところが、先に観た「ピンクパンサー」同様、今風なのかもしれない。

何も考えずに観ることができ、終了と同時に安堵感が訪れ、心地よい緊張の緩和が得られるので、観終わってスーッとする映画。
“映画の基本”中の基本を踏襲した佳作ではある。

ポセイドン
2006年/アメリカ  監督:ウォルフガング・ペーターゼン
出演:ジョシュ・ルーカス、カート・ラッセル、エミー・ロッサム、マイク・ヴォーゲル

「ヨコハマメリー」

2006年06月07日 | 映画
まるで歌舞伎役者のように顔を真っ白に塗り、貴婦人のようなドレスに身を包み、戦後まもなく以来50年間、ヨコハマの街角に立ち続けた娼婦“メリーさん”。
その存在はヨコハマの風景の一つとなっていたが、1995年、忽然と姿を消した。
存在そのものが都市伝説のような“メリーさん”の真の姿を、彼女を見守りつづけたヨコハマの人々を通して追いかけたドキュメンタリー作品。

50年間、現役の街娼として生きてきた“メリーさん”。
その人生には若き日のアメリカ将校との悲恋が隠されていた。
彼女を置いて帰国してしまった将校が、いつか帰ってくると信じて、50年間街角に立ち続ける人生なんて想像できない。
そんなドラマにも描かれないような話を体現していることも、彼女自身を伝説とするに十分な要素である。

また、そんな彼女を支えたシャンソン歌手・永登元次郎との心の交流も胸を打つ。
彼を筆頭に、“メリーさん”を見守り続けた人々の思い出話にも心が温まる。
そんな周辺情報によって、住む家も無く、ビルの片隅でパイプイスをベッド代わりに夜を過ごす彼女の孤独な姿に心をかきむしられるような寂しさを感じるのだが、そんな常識的な「同情心」は彼女にとっては余計なものでしかないことが、様々なエピソードから浮き彫りにされる。

彼女のこの「強さ」はどこから来るのだろう。
人間、マイナスの要素が無ければ強くなれないと言うが、将校との悲恋に立ち向かうなかで築かれたものだろうか。
ヨコハマから姿を消した彼女は、晩年を田舎の老人ホームで過ごしていた。
そしてそこには本名で生きる素顔の彼女がいた。
“メリーさん”の仮面を脱いだその姿もまた、凛として強く、そして清々しい。
自分は、どこまであの強さに迫れるだろう…。

それにしてもヨコハマという街は奥が深い。
その昔、外国人居留区の入口に関所があり、居留区が“関内”であり、その外側で日本人が住む地域が“関外”だったとの歴史的な知識も無かったので、自分の中でのヨコハマは実は“関内”であることを初めて知った。
以前中華街を訪れたとき、神戸のそれとは規模も奥行きも違うことを実感したが、本作によってヨコハマの知られざる一面に触れることができる。

ヨコハマメリー
※画面右側の絵をクリックすると詳細情報が出ます
2005年/日本  監督:中村高寛
出演:永登元次郎、五大路子、杉山義法

おいおい!

2006年06月05日 | 野球
日曜日、タイガース仲間から譲り受けたチケットを握りしめ、会社の同僚とともに甲子園へ乗り込んだ。
イエロー34段ということで、どれだけ上かと思ったが、非常に見やすい適当な高さ♪
さあ、じっくり3タテ観戦といくか!

試合開始30分ほど前に席についたので、このスキに「やのシュー」を求めて食堂へ駆け込んだが、またしても売り切れとはっ!
こりゃ開門と同時に買いにこな、食べられんということか!?

…こんなネタでお茶を濁す書き出しにせんとやっとれんような試合になってしまった。

昨日思い切り大喜びさせていただいた“君がヒーロー”鳥谷。
なんと今日は、同じ人物とは思えない程ビックリのドインケツ。
チャンスを作れず活かせず、ボールが手につかずにエラー2つ。
特に1つ目のエラーは、試合の流れを完全にホークスのものにしてしまう致命的なものとなった。
なんせ、投手交代時のキャッチボールさえ後ろにそらしているくらいで、3日連続お立ち台が嘘のよう。

バッテリー発表で先発田之上と聞いた時は、
「よっしゃ!3タテ!!」
と期待に胸膨らませ、初回いきなり赤星、藤本連打、シーツおしい右翼大飛球で赤星3塁へ!となったときには、
「この試合何点入るやろ~♪」
と大喜びしたのだが…。
この1死1,3塁という絶好機に金本が三振した時点で、今日の試合は終わっていたのかもしれない。。

それにしても気になったのは赤星。
初回と6回に先頭打者として塁に出た2回とも、相手バッテリーに揺さぶりをかけるしぐさが全く見られなかったのは、残念を通り越して、足でも故障してるのか?と思ってしまうほど。
一方のホークス・大村が、
「走る…走るよ…走るかも…ほら走った、なんちゃって♪」
とばかりに、1塁ランナーとして出塁したとき、チョロチョロチョロチョロ動いていたのとは対照的であった。
それが結局、6回の藤本ゲッツーの呼び水になっている。
今年は盗塁死が多いため、かなりナーバスになっているのか。
このままでは、入団以来維持してきた盗塁王の座を明渡すことになってしまう。
(しかもその相手が讀賣の鈴木というのは許されない!)

しかし赤星・藤本のコンビでゲッツーは勘弁してほしい。
足の速い藤本を2番に置いている意味が全くない。
直後のシーツの一発はソロで終わってしまい、追撃弾としてのインパクトが弱まってしまったのは大きかった。
“不動の一塁手”ズレータの横をゆるいゴロで抜いてヒットを叩き出したアニキを、濱中が田之上攻略の見本のような右への鋭いあたりによる2塁打で返して押せ押せムードの中で飛び出した鳥谷三邪飛で攻撃自体が終わってしまい、反撃の勢いがすっかり消え失せたのも、藤本のゲッツーに遠因がある。
彼は、ランナーがいるときでも簡単にポコンとフライを打ち上げるような、自分の長所を活かしきれない打撃をすることがママある。
今回も、外角の変化球をムリヤリ引っ張って、ゲッツーにおあつらえの向きの打球を打ってしまっていたが、自分の足の特性と試合展開を読んだ打撃をしてもらいたいもの。
進塁打でなくとも、自分が生き残っていれば、シーツはツーランとなり、試合展開もまだまだ分からなくなるところだったのだが。

まあ、その反撃のノロシ失敗以前の6回表に登板した太陽の不出来も大きかったが。
鳥谷のエラーに端を発したホークスの追加点。
江草後を受けて、2,3塁にランナーを背負っての登板は厳しいものであるが、いきなり初球を暴投は無いだろう。
しかも、誰だかよく分からない代打・田上に一発を浴びてしまうとは、何しに出てきたのか全く意味が無い。

なんと讀賣が連夜のサヨナラ勝ちで2位に転落してしまったが、まだまだシーズンは長い。
この2日間と月曜日の3日間、藤川と久保田を休ませることができたのは大きい。
月曜日にはススキノ…もとい、札幌へ移動だろうが、火曜日からの日ハム戦に向け、北の大地で英気を養い、ドームへ元気に乗り込んでもらいたいものである。

ちなみに日曜の試合、ホークスの応援団が南海ホークスの球団歌を演奏していた。
関西での試合では必ずやってるのだろう?
久しぶりに聞いて感動と感傷にひたってしまった…。
今、南海ホークスと近鉄バファローズの球団歌を歌おうとすると、途中で涙が込み上げ歌えなくなるのだが、歳を取った証拠なのだろうか。

嗚呼、南海も遠くなりにけり…

さあ、君がヒーローだ!

2006年06月04日 | 野球
土曜日の昼下がり。
テレビの野球中継で、タイガースの先発が安藤、ホークスの先発が杉内と分かった瞬間
「負けた…」
まあ日曜に甲子園へ行くから、今日負けとけば明日は勝つやろ♪
と完全に意識は敗戦モードだったのだが…。

どうもテレビで見ていると杉内の調子が悪い。
いつもの、投げる瞬間「ピッ!」と音がしそうなキレが感じられず、変化球もすっぽ抜け気味。
中5日で無理をさせた結果か?と思いつつ中継を見る。

しかし、輪をかけて悪かったのが安藤。
久しぶりの一軍登板ということもあったのだろうが、試合開始時からどうも体のキレが悪そうな、だるい投球。
打撃面でも見事な“併殺バント”を決めてしまうなど、自滅感たっぷり。
これはやっぱり負けゲームやな。

ところがところが!
安藤がしっかり(?)失点し、ズレータの緩慢な捕球プレーで同点にしてもらった直後に再び安藤がしっかり失点するという、完璧な敗戦ペースで試合が進んでいたにも関わらず、杉内の調子が悪い悪い。
とうとう4回裏にこらえきれずに矢野に逆転満塁ホームランを食らう始末。
って、タイガースファンとしては大いに喜ぶべき展開である。

しかし、その逆転直後に登板した能見がまた悪かった。
せっかくの矢野の一発で盛り上がったチームのムードを、あっさり沈静化してしまう逆転を許す大炎上。
それでも次のイニングも投げ、無失点に切り抜けて試合を立て直したことは、後で効いてきたのだが。

それにしても救援陣に両チームの差が出たこの試合。
後々にも好投手が目白押しのタイガースに比べ、ホークスはやはり1枚も2枚もコマ不足。
結果的に馬原を出すタイミングを逸したのが致命傷となり、ルーキーの藤岡を最後まで投げさせざるを得なかったのが運の尽き。

おかげで我らがタイガースは、ウィリアムスに復帰後初星はつくわ、鳥谷は3日連続のお立ち台に立てるわ、めでたしめでたし♪

このお立ち台に立った鳥谷。
これで3日連続という珍記録であったが、9回裏の攻撃は何か暗示的で…。
シーツ、金本が連打でつないでお膳立てしたサヨナラの好機。
ここで登場の濱中が“不死鳥”となるかと見守っていたが、
「あー、4月なら確実にヒットにしてたのに…」
というボールを2球見逃し、絶好球はファールにしてしまった。
最後はデッドボールでチャンスをつなぐことはできたものの、単打でもヒーローになれるところで、なれないとは。

こうして、実にタナボタな満塁シチュエーションで、もうヒーローになれという天の配剤としか思えない打席に立てたのが鳥谷。
今の二人の勢いの差とも言えるが、いわゆるスターとして持って生まれた“星”の差を感じずにはいられなかった。

利き腕の右肩を2度も手術した濱中。
外野手としては致命的なケガを負いながら、応援歌そのままに不死鳥の如く甦ってきた感のある今年。
4月の猛打は、主砲としてのスター街道を歩き始めたかと思わせるものがあった。
それが5月の声を聞いた途端、同一人物とは思えないくらいの打撃不振。
メンタルなものとしか思えないが、濱中の「スター性」自体、この程度のものなのかもしれない…とも思う。

かたや鳥谷。
東京六大学のスター選手として、鳴り物入りのドラフト1位(いわゆる指名枠)で入団し、岡田監督もスター候補生としてショートのレギュラーを用意するほどの熱の入れ様。
おそらく、同じ六大学のスターだった岡田監督にしてみれば、鳥谷には同じ“ニオイ”を感じているに違いない。
そして、この3試合での活躍。
濱中を押しのけて、こちらがいよいよスターダムの階段を登り始めたか!?

スター選手の条件の一つには、頑丈なカラダがある。
先に書いたように2度も肩を手術した濱中に比べて、鳥谷は1年目から100試合以上に出場し、2年目には早くも全試合出場しながら故障は一切無い頑丈さ。
この一点だけをもってしても、二人の“星”の違いは大きい。

そういえば鳥谷は、昨年の最終戦でサヨナラホームランをかっ飛ばし、延長戦を完投で投げぬいた下柳に最多勝利投手の栄冠をプレゼントするという、水島新司もビックリの劇的なシーンを演出している。
久しぶりの生え抜きスター選手の開花は目前である♪