録画しておいた「100分de名著 エチカ」の一回目を視聴した。
それによると、スピノザは汎神論を唱えていたのだという。神は絶対的で、無限で、外部をもたない。つまりすべては神の内部である。ということは、すべては神の現れだということになる。スピノザ自身はヨーロッパに生まれ育ったユダヤ人であるにもかかわらず、ユダヤ・キリスト教の神概念からはかけ離れている。
そもそもすべては神と言ってしまったら、神そのものの意味というのは逆にどこにもなくなってしまう。解説者の国分功一郎さんは「神即自然」であると表現していた。
おもしろいのは、善悪というのは我々がものごとを比較することから生じてくる、と考えていることだ。この辺は仏教に通じるものがある。自然界には完全と不完全の区別はない。完全と不完全が生まれてくるのは、我々が恣意的に作った「一般観念」との比較によって生じるのだという。無常の世界は常に流動しているのであって、「一般観念」は生じようがない。(固定的な)「一般観念」というものはすべてドクサ(偏見)である。「一般観念」を「概念」に置き換えれば、龍樹と同じになるはずだ。
なかなか面白い。2回目以降も視てみようと思う。