ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

ヴェニスの商人

2007年10月02日 | ミュージカル・演劇
市村さんが出ているので見に行ってみました。
実はあまり期待してなかったのですが(汗)面白かったです。
シェイクスピアって難しいイメージがあるんですが、案外面白いのかもしれませんね。「ハムレット」はピンと来ませんでしたが、「十二夜」とか「リチャード三世」は面白いと思いましたし。演出次第な部分もあると思いますが。
演出はRSCの人なんですね。なるほど面白かったわけかも。

開演前から、場内を仮面をつけた仮装行列がウロウロしてます。楽団も・・・
この仮装行列、女装の男性も混ざっていて、よく見るとスカートの前が割れてて結構怪しい格好・・・(汗)
この面々が開演するとステージに現れるのですが、仮面を外すと、なんと西岡徳馬さんのアントーニオとその友人たちだったりして、ちょっと度肝を抜かれました~(汗)うーん、面白いというか変わった演出ですなあ・・・
ステージは、板組みの枠組みの上にアクリル板だかの透明の板が貼ってあり、舞台下は枠組みと黒い布が張ってあるのが丸見え、というこれまた珍しい舞台でした。舞台奥はずっと海の背景だったので、港のイメージなんでしょうか。

実は「ヴェニスの商人」という話、ストーリーは有名な判決のシーンしか知らないし、登場人物に至ってはシャイロックしか知らないという状態・・・(汗)
ヴェニスの商人が誰のことなのかも、今回初めて知りましたよ・・・シャイロックのことじゃないんですね。
喜劇ということで、コミカルなシーンはたくさんありましたが、なんか全体的にひでー話だなあと・・・
今回の演出は、この物語のコミカルな面はしっかり残しながら、反ユダヤ主義と移民差別に端を発した物語、として捉えていて、そのあたりが現代的に上手くまとめていたなあと思いました。
アントーニオやバサーニオ、友人たちも、ユダヤユダヤとシャイロックに対してひどい扱いようで、シャイロックが金よりもアントーニオの命を、とまで思う気持ちもわかるな・・・という感じでした。
ヴェニスの法の、「外国人がヴェニス人を殺そうとしたら財産没収」というのも、移民差別を思わせましたし。
アントーニオのために憤る友人たちがかえって悪役に見えました。
父親のやり方が許せずに恋人と駆け落ちするジェシカも、駆け落ちするのはいいんだけど、父親の金で贅沢三昧をし、あげくに父親の指輪を猿を買うのに使ったり・・・という行動が、「そこまでしなくても・・・」な痛い感じでした。
最後に、シャイロックが「死後は財産を全て娘に譲る」と書かされた証文を見て、ジェシカがショックを受けていたのが救われる感じでした。あれは良かったなあ。

バサーニオが藤原竜也さん、アントーニオが西岡徳馬さんということで、親子でもおかしくない歳の差があるんですが、それでバサーニオがタメ口なのが不思議な感じ・・・本来は同年代の設定なんでしょうね?
若くてかわいい(笑)バサーニオに対するアントーニオの愛情は・・・なんかちょっとアブナい感じだったんですけど(汗)バサーニオも自分のかわいさがわかっていて甘えている感じ・・・
でも逆に、遊び人でフラフラしているようなバサーニオにあっさり大金を貸すのがわかりやすいかな、と思いました。
藤原竜也さん、舞台で見るのは3回目でしたが、やっぱり上手いですねえ。「ハムレット」では井上芳雄くんが素人のように思え、「ライフ・イン・ザ・シアター」では市村さんに負けてないばかりかむしろ勝ってたかも・・・の存在感でしたが、今回も市村さんともう一方の主役、ばりな存在感でした。
コミカルなところもしっかり笑わせるし、遊び人で甘ったれな色男、という役柄もしっかりハマっていて。
市村さんはさすがの存在感。ちゃんとひねくれ者の嫌な男ながら、差別されている悔しさと悲哀も滲ませていて。裁判のシーンの哀れさはさすがでしたね。いかにもかわいそう、といいう感じではなくて、憎憎しいながらも悲哀を感じさせるあたりが・・・
そういえば、天王洲についてポスターで初めてシャイロックの格好の市村さんを見ましたが、思わず「バルジャン・・・」と思ってしまいました(笑)
ポーシャの寺島しのぶさんは、話を知らないので最初「なんでこの人が?」と思ってしまいましたが(汗)後半の展開を見ていて納得。あれは彼女くらい上手い人でないとダメですよね~
しかし、全てを見通して裁判に乗り込んだわけではないんですね・・・。結構オロオロしながら思いついたように判決を言っていたのが・・・しっかり者というよりはかわいい女性にしたかったんでしょうかね。

そんな訳で、なかなか面白い舞台でした。「ヴェニスの商人」という作品自体が面白いのかもしれませんが。また違う演出でも見てみたいです。
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シンシナティ交響楽団のLotRシンフォニー

2007年10月02日 | 指輪物語&トールキン
TORnに9/28、29にシンシナティでやったLotRシンフォニーのコンサートレビューの記事がリンクされてました。珍しく詳しくていいレビューだったので(汗)ちょっとご紹介。
書いてる人がちゃんと音楽ライターなんですね。しかももしかして結構トールキンに詳しい? 少なくとも映画見て、多少の知識はある人のようですね。だからこういうレビュー書くんだなあと納得。
冒頭に、普段クラシックを聴く客層よりも平均年齢がずっと若かった、ということが書いてありました。これはいつものことですが、クラシックのコンサートを聴いたことがなかった若い人たちがかなり足を運んでいるようです。
チケットの売れ行きもかなりのものだったようです。と言っても売り切れじゃなかったんですよね。今まではキャパが5千とかの巨大な会場以外ではチケット売り切れて追加公演をやったりしてたんですが、この夏のクリーヴランドの野外音楽祭も当日券あったなあ・・・。そろそろ人気が衰えているんでしょうかね、さすがに。
ただ、シンシナティのMusic Hallはキャパが3千くらいあるようで、まあ大きいホールだったからかな。普通1000人程度ですよね、アメリカのコンサートホールって。(そういやBlossom Music Centerもかなり大きかったな・・・)
この方はLotRシンフォニーを聴いて、オルフの「カルミナ・プラーナ」やプロコフィエフの「アレクサンドル・ネフスキー」、ホルストの「惑星」、そしてワーグナーを彷彿とさせる・・・と書いてました。
カルミナ・プラーナやホルストやワーグナーはまあそうだよな、という感じですよね。カルミナ・プラーナや「惑星」はそれ自体映画音楽っぽい・・・というか映画音楽にも実際よく使われてますよね。特に「カルミナ・プラーナ」。
プロコフィエフに似てる、というのは前にも誰かの評だか感想だかで見ました。個人的にはそうかなあ? という感じですが、この「アレクサンドル・ネフスキー」を聞いてみたら似てるのかもしれませんね。聴いたことないんですが。
ちなみに私はRotKのThe End of All Thingsがブルックナーっぽいなーと思っているのですが、他にもそういう感想書いてる人みかけたことあります。
ホイッスルはピッコロで代用してた、とこの記事にはありますね。
第一楽章、第二楽章の少年のソロは、どうやらソプラノの人が歌ったらしいこともわかりました。てことは子供合唱はあんまり上手くなかったんだな・・・って行ったわけじゃないからどうでもいいんですが。
このコンサート、ポルトガルやウェールズからわざわざ来ていた人もいたそうです。
11月にパリでやるって知ってショックだったんじゃないですかねえ・・・ショア指揮だし。
というわけで、いよいよLotRシンフォニーも残るは11月のパリのコンサートのみ、となりました。ってまだある可能性もありますが・・・
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