ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

アレクサンドリア(ネタバレ)

2011年05月04日 | 映画
ようやく3月分の感想に入りました・・・(汗)
古代エジプトのアレクサンドリアに実在した女性科学者ヒュパティアの映画・・・と聞いて「これは見なければ」と行ってきました。
ヒュパティアと言えば、岡野玲子さんの「陰陽師」で晴明の前世のひとつとして描かれていたんですが(博雅はオレステスの生まれ変わり)、女性ながら学問に秀で、学問に一生を捧げたという人物像に「こんな人がいたんだ」と印象的だったので、映画でやるときいてぜひ見たかったんですね。
岡野玲子さん、プログラムに寄稿してたんですね。買わなかったので読んでませんが・・・
で、映画を観て、ちょっと意外だったのは、ヒュパティアを主人公として描くというよりは、ヒュパティアが生きた時代を描いた映画だった、ということでしょうか。意外とヒュパティアが中心には思えなかったんですね。ヒュパティアもまたあの時代を描くための一つの要素に思えたというか。
キリスト教徒とエジプトの神々を信仰する人々が、ある時は迫害され、ある時は迫害する側になり・・・とどちらも正義でも悪でもない、平等な描き方が良かったなあと思いました。
自分と異なる考え方の人々を憎み攻撃する・・・それは今現在も世界中で起こっていることで(戦争や紛争にこそなっていないけれど日本でだって)、人類って案外進歩してないよなあ・・・とつくづく考えさせられて、なんだかそのあたりが一番印象的でした。
だから、映画館で配ってたフリーペーパーで「女性の品格」の坂東眞理子さんがこの映画に絡んで女性が仕事をすることについてとかコメントしてたのにはかなり違和感が・・・(汗)
震災の直後に見たので、たくさんの遺体が並んでいる光景がこたえましたね・・・
ヒュパティアのキャラクターも良かったですね。真理を追究することに夢中で、学問の前ではリベラルな考え方だけれど、奴隷制度には何の疑問も持っていないという。そういう完璧な女性にしていなかったところとかが。
一方で自分の家の奴隷には優しかったり、でも彼らの本当の気持ちまで思いやることは思いも寄らないという。でも、そういう階級社会で自分が上位にいる場合、そういう考え方なのが普通なんでしょうね。
どんな状況におかれても真実を探求することに心をおき、ある意味浮世ばなれしてしまっていたのかもしれないけれど、純粋に真理を求めて研究したいという気持ちには共感できました。惑星の公転の軌道が楕円だということを実際にヒュパティアが発見していたかどうかはわかりませんが、なんだかそうあって欲しいような気がしてしまいました。
周囲に惑わされず、自分の信じるところを信じ、そのために身を滅ぼすことになっても信念を曲げなかった気持ちにも共感しましたが、生き延びるためには賢いやり方ではないですよね・・・。そのあたりを、ただ気高い人としてでなく、学問以外に興味がないある意味浮世はなれした純粋さから出たものとして描いていたのも、ヒュパティアを等身大に描いていて良かったと思いました。
その彼女の純粋さが、この時代の悲劇をより描き出させていたのではないかと思います。
理知的で活き活きとした、美しくて魅力的だけど色気とは程遠いサバサバ感?のあるヒュパティアを、レイチェル・ワイズが好演してました。イメージぴったりでしたね。
オリジナルキャラクターだと思われる奴隷のダオスの存在が上手かったですね。ちょっとフィクション感が強かったですが・・・
ヒュパティアの人をひきつけるところ、奴隷制度に無頓着なところ、などがダオスを通すことで自然に描かれていたと思います。同時にキリスト教徒側の様子を内側からも描くこともできたし。
ヒュパティアの最後については「陰陽師」でも文章では書かれていたのでおおよそ知ってはいましたが、あんな惨い最期だったなんて・・・映画でのダオスの最後の優しさには見ている方もせめて救われる気がしました。
全体としてヒュパティアよりもその時代を描いていた、とは感じましたが、ヒュパティアも魅力的に描かれていたし、他の登場人物たちも人間的に描かれていて、とてもヒューマニズムに溢れた作品だな、と思いました。
サントラも、異国情緒を感じさせつつ悲劇的な結末を予感させるようで、印象的でした。

てな訳で今年見た映画の順位。
1.アレクサンドリア / 2.グリーンホーネット / 3.GANTZ PART1

あと今年観に行く予定の映画
鑑賞済み「ナルニア物語第三章 アスラン王と魔法の島」「紙風船」「エンジェル・ウォーズ」「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」
公開中「抱きたいカンケイ」「GANTZ PERFECT ANSWER」
5月11日公開「ブラックスワン」
5月28日公開「マイ・バック・ページ」
6月20日公開「赤ずきん」
6月25日公開「メタルヘッド」
7月2日公開「マイティ・ソー」「水曜日のエミリア」
7月15日公開「ハリー・ポッターと死の秘宝 Part2」
7月29日公開「トランスフォーマー3」
8月20日公開「うさぎドロップ」
10月29日公開「ステキな金縛り」
10月公開「三銃士」
12月1日公開「タンタンの冒険」
公開時期未定「ハッピーフィート2」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする