ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

トールキンの分身としてのメリー

2007年09月08日 | 指輪物語&トールキン
メリーの名台詞をやっていたら、前から思ってはいたのですが、改めてメリーってトールキン自身が投影されている部分があるなあ・・・と思いました。
メリーに限らず、というか、フロドやガンダルフはメリー以上にトールキンの分身であるだろうし、登場人物たちは皆ある程度トールキンを投影している部分があると思います。
でも、なんだかメリーは特にトールキンを連想させる部分が多いような気がします。単に私がメリーに特に注意してるだけかもしれないけど(汗)
ホビットの中で、主人公のフロドはまあ別として、サムは意外とトールキン自身からは離れているように思います。
トールキン自身、サムを第一次大戦の従軍経験の時の従卒たちがモデルだと言っていたそうですし。サムの素朴な強さは、ある意味トールキンにとって理想の存在であって、自分自身ではなかったのではないかと思います。
ピピンのキャラクターも、作っている部分がある分、トールキン自身とは違うんじゃないかと思います。
と言っても、多分最初からメリーをトールキン自身の分身にしようなんて意図はなかったんだと思います。メリーはキャラクターがピピンやサムほどはっきり作られていなかった分、後からトールキン自身の体験に基づいた要素を入れやすかったのではないか、なんて勝手に思っています。・・・やっぱメリー影薄いんだ・・・(自分で書いててへこむ・・・)
メリーのトールキンらしいところとしては、まず、後に本草学の本を書いたり、ローハン語とホビット庄の言葉の類似に興味を持ったり、暦に興味を持ったり、という部分ですね。
考えてみたら、序章の「ホビットについて」に出てくる記述は、メリーが書いていると思われますよね。(違う? でもサムではないような気がするんですが・・・)赤表紙本の追記部分ということになるんでしょうか。そう思うとますますメリー=トールキンという感じがしますね。
あと、前から気になっていたのが、メリーがローハン軍と馬鍬砦(エドラスだったっけ?)に向かう途中での山についての記述ですね。
かれは山々を愛していました。それとも遠いかなたからもたらされた物語の周辺に連なる山々を頭に思い描くことを愛していたのです。しかし今は中つ国の支えきれぬ重さに圧倒されてしまいました。
これ、トールキン自身が大きな山を見た時の経験ではないかなあと想像してしまうんです。あまりにもリアルな描写なので・・・
HoMEシリーズのThe History of the Lord of the Ringsに出ている下書きによると、最初は単にメリーが山が好き、というだけの記述だったそうですが(私は原文を読んでいないので、ふむ道、小道、数多くでの感想を参照させていただいてます)、後からメリーの孤独を描写するためにこういう記述になったのではないかと思いますが。
イギリスには高い山はないそうですが、「J.R.R.トールキン-或る伝記」によると、トールキンは若い頃、家庭教師をしていた家族と一緒にアルプスを訪れているそうなので、その時の体験がかなり反映されているのだと思われます。
そして、メリーがデルンヘルムと戦場に向かう時のメリーの心境、そう思って読むと、トールキンが第一次大戦に従軍した時の経験が入っているのではないかなあと・・・
一緒にいるローハンの兵士たちの多くが生き残るとは思えなかった、という記述とか、そう思って読むとすごくリアルだなあと・・・。
最前線に従軍して、仲間の多くが戦死し、自身は負傷のため生き残り・・・
多くの作家にとって、戦争の体験というのは作品に大きな影響を与えていると思いますが、トールキンの戦争体験もこういう形で作品に現れているんだなあと思います。
そう言えば、負傷のために病院にいて取り残された、というのもメリーと一緒ですね。やっぱりメリーってトールキンっぽいなあ。
メリーの、特に一人になってからの描写が等身大で共感できるのって、もしかしたらトールキン自身の若い時の体験が投影されているからなのかな、なんてことを思いました。
そして、最初から意図していたわけではなかったかもしれませんが、そうやってトールキン自身が投影されている部分が多くなった結果、メリーって逆にあまり目立たない、控えめというか傍観者的?なキャラクターになったのかなあ・・・なんてことも思いました。
トールキンて、明らかにメリーよりもピピンを贔屓してるなあ、と思うところがあるんですが(汗)自分に近いからと控えめなキャラクターにしたのだとしたら、ちょっと納得もできるかなあ、なんて・・・違いますかねえ(笑)
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