淋しくて隠れ家日記

前向きに生きたい!!

遠く聞こえる祭りの音 その2

2011-08-03 15:27:47 | すらごと日記

何だろうか?
大阪育ちの私は思わず知らない男性に「嬉しかぁ!」と
つい九州弁でしゃべってしまった・・・・・。

その夜、今年最初のスイカを子供たちと半分だけ食べ終えた後
私は何故か皮を捨てる事が出来なかった。

私と子供二人を残し出張先の海外の紛争に巻き込まれ
消息を絶ってしまった主人の実家は九州のこの町だった。
その主人の実家の近くに越して来て今年で5度目の夏祭り・・・。

子供を、ようやく寝かせ終えた時、網戸の外から声が聞こえてきた。

私が皮を捨てると主人はいつも言っていた
「何で捨てるとね?漬物にしたら美味しかとよ。」
主人の大きなあの声が・・・・・。

私は悔しくて悲しくて力まかせにスイカの皮を切り始めた
まな板を叩く音だけが静かな台所に大きく響き渡った。

皮に塩をふりかけ重石をして冷蔵庫の扉を開けると
娘が割ったスイカが冷蔵庫を占領していた。

そう言えばスイカ割り大会で私に声をかけた男性は
私の嬉しくて流した涙でもらい泣きしていた・・・・・。
多分いい人なんだろう・・・
もし今度逢う事があったらゃんと挨拶ぐらいはしよう。

でも、あの男性の涙はどこかで見たような気がする・・・・

その時、祭りの終わりを告げる打ち上げ花火が遠くに聞こえてきた。
少し風が吹いてきた。
カレンダーが少しめくれた。

明日から8月か・・・・
私の両親は、この世にはいない
だからお盆も兄夫婦の住む実家には自然と足が遠のいていた・・・・・・。

 

思い出した あの男性の涙を

姿は違うけど あの目は確かに父だった・・・・・・・・・・・・・・・・・。
祭りの夜、迷子になった私を見つけて抱き上げながら泣いていた
あの夜の父だった。

涙が 溢れてきた
花火の音はもう消えていた。