祭りの翌朝 母親は惣菜加工のパートに出かけ
子供たちは夏休みの宿題をしていた。
「兄ちゃん、あたしねスイカ割りの時ね、何か大きか男の人の声が聞こえてきたとよ。」
「お前もか・・・・オイも母ちゃんの声よりも、そん男の人の振りかぶれの声で割れたとばい。」
九州に越して5年になる兄妹は今では普通に九州弁で喋っていた。
現在、兄は小学5年生、妹は小学3年生
両親と4人で過ごした大阪の景色と共に幼い記憶は成長と一緒に
忘れられようとしていたのだが・・・・。
「ほんでもな、兄ちゃんはあの声、昔、聞いた事ある気がするねん
ばってん、この事、オカンに言うたらアカンで」
「うん分かったわぁ、お母ちゃん練習の時、ほんま一生懸命やったもんなぁ
自分の声で割れたと思うてるもんな、ばってん兄ちゃん、不思議かとね
ほんでな、うち、その男の人の声聞いたら何か胸が熱くなってきたとよ
ほんで涙が出てきそうになったとよ不思議やなぁ・・やっぱお母ちゃんには黙っとこな・・・・。」
と時々関西弁も出てくるのだった。
「それにしても今朝のスイカの皮の漬物、めっちゃ美味かったなぁ
今まで捨てとったのに何でオカンは漬物にしたんかなぁ?」
「ええんとちゃう、もったいないから、うちはええ事やと思うし
それに、うちはあんまり覚えておらんけどお父ちゃんの大好物やったし・・・・」
「ほやなぁお父ちゃん、いっつも言うとったなぁスイカは実よりも皮が一番たい!!」
「なぁ兄ちゃん お父ちゃん、ほんまに生きてるやろか?」
「何ば言いよっとか!!お父ちゃんは今、悪か人に捕まって闘いよるとばい!!
お父ちゃんは強いとばい絶対帰って来るとばい!!
帰ってきたらお父ちゃんとスイカ割りばするとばい!!
そんで、お父ちゃんからオイは、よし!そこで振りかぶれ!と言うてもらうとばい!!」
いつしか兄は妹に泣きながら叫んでいた。
すると妹が驚いたような顔で言った。
「兄ちゃん・・・・今、スイカ割りの時の男の人とそっくりの声ばしとった・・・・・。」
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すんません関西の言葉、ムチャクチャです。
もし読まれている人がいたら九州人のイメージの関西弁と思うて下さい。
ばってん何でこの話しば書き始めたとか自分でもよう分からんとですが
きっかけは、スイカの皮には間違いないとばってん・・・・。