少し遅れて、私は子供達と一緒に打ち上げ会場の店に入った。
宴席にいた人たちが全員で拍手をして私達を出迎えてくれた。
少し驚いた私は、何だか場違いな気がして少し来た事を後悔した。
でも子供たちは喜んでいたようで、次から次と料理を持って来てくれる
見知らぬおじさんおばさん達と、すっかり打ち解けていた。
その中に幼稚園児の帽子を被っていた女性とは特に仲良くなったようだった。
何で園児の帽子を?と誰も訊ねない雰囲気が、この会場にはあった。
私も明日から園児帽を被ったほうがいいのかなぁと思った。
「さぁ皆さんに紹介するから、こっちに来んね」と、お酒で顔を真っ赤にした
商店会会長の川崎さんが笑いながら私を手招きした。
覚悟はしていたけど、やっぱり自己紹介とか挨拶は苦手だった。
簡単に名前と住んでいる所ぐらいで済まそうと私は飲みかけの焼酎と
ビールを飲み干すと食べかけのダルムを喉の奥に押し込みその場に立った。
「え~~先日の歩行者天国スイカ割り大会で見事に兄妹でスイカを割られた
ご家族を本日は住民の皆様がたの代表と言う事でお出で頂いています。
では一言ご挨拶お願いします。」
「新田町に住んでいる大竹と言います。先日はありがとうございました。
そして、今夜は子供達までお招き頂きありがとうございました。
どうぞ、これからもよろしくお願いします。」
それだけ言って座ろうとしたら、誰かが訊いた「名前は何て言うとね?」
「あっ すいません私の名前は信じる子と書いて信子と言います。
子供は息子が啓太と言って小学5年生です、娘の名は紗江で小学3年生になります。」
言い終えた後、何故か一瞬その場が静かになったような気がした。
私に名前を訊いた男性が更に言った。
「あんた啓一の嫁さんじゃろ?」