6月1日(日)
高徳線に乗り高松へ。通勤形電車以上に無味乾燥気味に思える1000系気動車で大坂峠を越え香川県へ。普通列車で香川入りするのは何年ぶりだろうか・・・・。
JR高松駅から高松築港駅まで歩いて、琴電に乗り換え瓦町へ。瓦町駅の東側にあるアーケード街を地図を頼りに、しばらく歩いていくと目的の映画館「ソレイユ」にたどり着く。シネコン全盛のこの時代に、よくぞ残っていたという昔風の映画館がそこにはあった。
なぜ映画を見るために、高松まで来ているのかと言えば、この映画、徳島ではやっていないから!
本日見る映画は、ミスト
今日は映画の日だそうで1000円で済んだ。
入り口で小学生高学年程の女の子を連れたお父さんが、映画館の人と押し問答を繰り広げている。
お父さん「入れて下さいよ・・・・」
映画館の人「申し訳ありませんが、R15指定ですので・・・」
と食い下がるお父さんに、丁寧にですがきっぱりと断っていた。
私個人は横で聞いていて、そんなに杓子定規にしなくても・・・。R15っていってもたいしたこと無いだろうし、多少の刺激的なシーンがあっても、テレビなんかでも日常的に流れてるんだし入れてあげたら良いのにと思ってました・・・。そのときは!
ほなけん評価 ★★★★☆
原作は、スティーブン・キングの短編小説。私が初めて読んだキングの小説であり、短編とはいえキングのエッセンスがギュッと詰まった深くて濃厚な内容であった様に思う。特にラストは、絶望の中にほんの小さな希望を匂わせる、余韻の残るもので読後20年近く経っているにもかかわらず、強い印象がいまだに残っている。正直、映画化されれば見てみたいとずっと思っていた。そしてついに実写版が完成し、本日見る事となった訳である・・・。
原作者が原作以上と評した原作とは違う衝撃のラストを見る為に・・・・・。
映画は良く出来ている。ラスト以外は、原作に極めて忠実であり、登場人物の極限状態に陥ってから、徐々に変化していく心理描写は説得力がある。異常な環境下で、最初は異端視していた宗教おばさんの言葉に人々がすがりだし、殺し合いが始まる過程を丁寧に描いている。ショッピングセンターを襲うモンスターよりこちらの方が恐ろしい・・・。
そしてラスト。殺し合いが始まったショッピングセンターを子供を連れ脱出した主人公達の運命は、原作とは大きく違っていた・・・・。原作には希望があった。けれど映画には、救いが無かった。全く・・・・。原作以上の出来というのは当たっている。けれどもう見たくない!しばらくは、心が受け付けない。
これは無いだろ・・・。このラストは・・・・。ここまで救いのないラストは・・・・。
この状況下で理性をもって最善と判断した事が、覆されてしまう、ラストは今後十年位は私の心を縛ってしまうくらいのインパクトがあった。
エンドロールが終わり場内が明るくなった時、私の二列隣に座った男子高校生は腕を組んだまま立ち上がれない様子であった。この映画のラストが、彼の心のトラウマとなったことを確信して、映画館を後にする。地上に出る階段を上るお客達は、誰も無口で、デート中のカップル同士すら互いに感想を口にすることを憚っていた。すでに高松の街は薄暗い闇に包まれていた・・・。
今にして思うが、映画上映前に追い返された小学生を連れたお父さんに、「映画見れなくて良かったですね」と声をかけたくなる。もし見せていればお子さんのお父さんを見る目が変わってしまうかも・・・、と余計なことを考えながら、帰りの列車に揺られて、大坂峠を越えて徳島に戻っていった。
次こそは楽しい映画を見たいモノだ・・・・。
それにしても、この映画をかけない現在徳島県唯一の映画館である、北島サンシャインシネマに対しては一言、言いたい。
「商売も大事だけど、見る目ないよ・・・!でも、見せない事が親切かもね・・・。」