グランプリファイナル2014から、2014年年末の全日本選手権までの間に、公開されてきた羽生選手のインタビュー等の動画を、複数ご紹介します。
まずは一つ目。
グランプリファイナル2014で優勝した羽生選手が、凱旋帰国した時の、インタビュー全体の動画です。 ↓
最初の方は、ちょっと目が虚ろな印象の羽生選手です。 お疲れでしょうか。 時差ボケ気味でしょうか。
答えるうちに、だんだんシャキッとしてきています。(笑)
「連覇について」聞かれて、連覇については意識していないと答える羽生選手。
私はいつも思うのですが、”5年以内に3回優勝するのと、連続で3回優勝して、そのあと2回負けるのとでは、どちらが凄いの?別にどっちでも良いと思わない?”みたいな気分ですね。
でも、羽生選手はひたすら、「連覇を狙っている」などと報道されていましたね。 なんか色々、大変ですね・・・。
「練習をするにあたって、何が課題としてあがるか、毎回毎回、自分が本番でやるような緊張感をもちながらやって、課題を見つけていました」 と。
「自分がスケートをしていて、とても楽しかったというか・・・ 試合でこれだけ幸せな気持ちで滑れたのって、本当に何年ぶりだろう・・・というくらいまで、本当に幸せだったので、そこが本当に良かったのかな、と思っています。」
全日本について、「演技構成は、変えるつもりはないです。」
全日本三連覇は、「意識していないです。毎年毎年、試合というのは、同じタイトルでも全く違う試合。全然意識はないです。」
身体の回復について、「戻ってきているという感覚よりも、新たに自分を作り直してきたという感覚の方が近いです。」と。
羽生選手のスケートをご覧になった方に伝えられたことは、と問われて羽生選手が答えた答え。
「最近はやはり、スケートを楽しむというか、そういうことが全くできなくって・・
やはり・・・例えば、前回のNHK杯であったら、(グランプリ)ファイナルに出なくてはいけない、というような自分の思いであったり、
または、中国杯の時は、とにかく滑りきらなくてはいけない、という思いであったり、そういうものがすごく強かったと思います。
その中で、今回は、自分自身の身体を目いっぱい使える、その幸せというか、そういうものを、あのー、少しでも感じて頂けたら嬉しかったですし、
または、あのー、なかなかファンの方々にご挨拶する機会というか、こうやって段々ファンの方が多くなっていくうちに、
なかなか、みなさん全員にご挨拶することがなかなかできないので、そういった中で、感謝の気持ちだとか、そういったものが伝わっていたら嬉しいなと思います。」
上の下線を引いた部分、これを聞くと、羽生選手はかなりの義務感をもって今シーズンのグランプリシリーズに臨んでいたということがうかがえますね。スケートを楽しめなくなっていたのが、それが原因なのかというと、もう少し前から試合ではそうだったような発言もあったりしたので、何とも言えないのですが・・・
とりあえず、怪我をきっかけに、スケートを滑る喜びに改めて気が付け、幸せに思えたのなら、本当に良かったのではないでしょうか。
逆境を乗り越える原動力についてそれが何かと問われて。
「逆境というか、自分が弱いところが見えた時というのは、実際好きですし、強くなりたいのだなと、思って一生懸命練習してこれた。」と。
さて、「なぜそんなに謙虚なの?」と問われて、自分で「全然謙虚だとは思っていない」と答えた羽生選手。
自分で「私は謙虚だと思う」と答えた瞬間に、謙虚ではないことになりますので、これで、”羽生選手はやっぱり謙虚だ”ということになってしまいました。(笑)
さらに、「勝気でビッグマウスだと思われているかも…」とも答えた羽生選手。
実態が伴っていたらビッグマウスとは言わず、「有言実行」と呼ばれます。 だから私から見ると、羽生選手は、才能ある、有言実行男ですけどね。
ソチ五輪の金メダルも、今回のグランプリファイナルの金メダルも、実行しちゃったし。
今月頭の、「思い切って一番上狙っていきます」発言は、自分を相当に追い込んでいるな…と思っていましたけど、実行しちゃったら、ビッグマウスではないですよね。
羽生選手は、シニアデビューの頃から、4位になると、「表彰台に上りたかった!」って、何の遠慮もなくハッキリと言っていましたけど、屈託ない正直な少年だなーって思っていただけです。(笑) 実際、表彰台に登れるほどの実力があったと思うので、ビッグマウスだと思ったことはないですね。
「羽生選手のように自分の子供を育てたいファンが沢山・・・」という質問について、羽生選手は実にまともな答えを返しています。
「僕は僕ですし、それぞれのお子さんの良さというか、人間は一人として同じ人はいない、人間は十人十色」 「自分にもすごい悪い所が沢山ある」とも。(笑)
羽生選手を見ていて、いつも本当に凄いなーと思う一番の点は、その長所をひたすら伸ばし、認めてもらいながら育てられたのだろうな、と感じる点です。
羽生選手の特徴って、必ずしも、今の日本で、育ってくる過程において、周囲に歓迎されるものばかりではないように思うのです。
どちらかというと、奇人・変人・変わり者・あまり理解されない系 ・・・ だったのではないかな、と想像することさえできます。
身体が超・柔軟な男子って、普通は何か得することあるかと問われれば、あまりない気がする。 少食な男子も。 泣き虫だという感受性も。 でも、フィギュアスケートをやっているからこそ、全てがすごい長所になる。
超のつく負けず嫌いも、一歩間違えれば、ただの嫌な奴になりかねません。でも、それをきちんと実力を伸ばす方向に向けていて、だからこそのものすごい努力家であり、金メダリストにまでなれた一番の要因かなと思います。
それ以外にも、非常にたくさんの、「一歩間違えれば大欠点」になりかねないような素質が羽生選手にはあるけど、全部逆転してかなりの長所にして活かせている。そこが、本当に凄いし、見ているだけでも、非常に多くを学ぶところです。
私は、羽生選手がもし野球選手を目指していたら、さすがにここまでの活躍は絶対にできなかっただろうと思っています。(フィギュアスケートファンはみんなそう思うでしょう。)
羽生選手は、自分でも言っているように、全てにおいて超のつく負けず嫌いだし、目標遂行能力が高いから、全ての分野で、「そこそこのレベル」までは絶対に到達する人だとは思う。
羽生選手が頭がいい、勉強ができる、成績がいいという話も、別にそんな報道なんかがなくったって、普段の羽生選手の発言を聞いていれば、相当頭のいい人だ、それも全く普通のレベルじゃないな、というのは、すぐに解ります。 発想が天才的なものを持っていると思うし。
でも、最後、どうしようもない天来の素質や才能の部分までは、それらだけではカバーできない。 やはり、その人が向かうべき道というのは、あるのだろうな、と私は思います。
羽生選手と同じ気質・性質・個性ではないのに、「羽生選手のように」育てようとしたり、なろうとしたりすると、やっぱりおかしなことになってしまうでしょう。
例えば、織田さんには織田さんの良さがあり、もし織田さんが羽生選手並みの「負けず嫌い」だったなら、もっと成績での実績が色々と出せた選手になっただろうとは思うけれども、全然負けず嫌いではない、そういうところにも、織田さんの良さがある。そういう人がいてくれるからこそ、世の中上手くいくんだろうとも思います。
そして、そういう織田さんこそが好きだ、そういう織田さんの演技が好きだ、という人は、沢山いると思うのです。(実際、私の周りにもいます。)
私は、羽生選手は稀に見る「王者気質」な人だと思うけれども、世の中みんながそんな人ばかりだったら、大変だし、怖いです。(笑)
私はそんな羽生選手の演技が凄く好きだけれども、逆に、「あまり惹かれない」「興味ない」という人たちがいてもいいと思うし、それが自然だと思う。
でも、だからって、わざわざ「それが好き」と思う人たちのところにまでやって来て、侮辱してくるような人とか、本人に面と向かって「嫌い」などと言う人たちは、どうかと思うのですが。
さて、こちらのインタビューでは、グランプリ・ファイナルでの勝因を分析させられています。
「諦めるとか、諦めないじゃなくて、「何をやるか」(が大事)。 ただ諦めないで、がむしゃらにやったって、何も変わらない。
それをとにかく、具体的に、自分が何をすべきか、自分が今、何をしなくてはいけないのかというのを、諦める諦めないの前に、考えるーーというのが、今回の僕の、良かった点かな、と思っています」と―――そのように語ってくれています。 ↓ ・・・確かにそうですね。
他にも、「あの怪我があって、練習の大切さを学び、本番に向けるために、練習でどれだけ集中できるかを、すごく大事にしています」と語っています。
「何の意味もなく、ただやっているだけみたくなるのを、変えるために、刺激として(トリプルアクセルを)本番の直前練習で入れた」
「新しいことをやるというのは、逆に集中するチャンスだと、僕はいつも思っている」
「いつも通りだと、だんだん慣れてきてしまって、注意力が散漫になってしまう。だったら、新しいことをパッと取り入れたほうが、割と集中できる。」
http://www.dailymotion.com/video/x2clpkx_141215_sport?start=516
こちらは、羽生選手が”今年の一文字”について、語ってくれた動画です。
羽生選手の2014年の一文字は、 「生」 (生きる)、だと答えています。 (動画の2分ごろから)
中国杯の事故があって、「生かされているような状態」 「生きているからこそ、全てを生かしていかなくてはいけないのかな、と思う」
「一人の人間としてスケーターとして、色んなことを経験できて、幸せだなと思います」 とのこと。
(ただ、この答えている最中に、あの中国杯での事故の映像が出てくるので、見たくない方はどうかあまり無理なさらずに。) ↓
http://www.dailymotion.com/video/x2cl4xy_1215%EF%BD%8E%E3%82%B9%E3%82%BF_sport
そして、羽生選手の特集動画。↓ ずっとファンだった方には、内容としてはもはや今更な内容ではあります。
でも、3年以上前の羽生選手を知らない方や、最近興味を持たれた方々には、ちょっと新鮮な番組だろうとは思います。 ↓
なかなか良い作りの番組です。
高橋大輔さんや織田信成さんたちよりも前に、日本男子で活躍していた、本田武史さんが解説で出てくれていますし、当時の演技映像も少しだけ出てきます。本田さんの演技は、今見ても本当にきれいだしカッコイイです。
改めて本田さんの演技を見てみると、羽生選手の演技との、共通性を感じます。 羽生選手が、影響を受けていたのは確かでしょう。
でも、もっと詳しく解説をやってくれれば良かったのに~と、私は思ってしまいましたが。
全日本選手権に向けての、宣伝動画です。 羽生選手が、「大人」について、語ってくれています。 ちょっと面白い映像です。↓
最後に、NHK杯での「花は咲く」を演じる前の、準備・練習中の羽生選手の様子が撮影された番組です。
あの「花を持っていた」女の子は、莉子ちゃんというらしい。(笑) 二人、莉子ちゃんがいるのだとか。(笑)
羽生選手が、傷ついてボロボロになった花に向かって、「この子が…」と表現しているのが、面白いです。
うーん、そうか、あのお花は、「この子」だったんだな。(笑)
そう思うと、羽生選手のあの”花”への演技中の慈しむような態度も、よく解りますね。
この映像だけ見ていると、とても、悔しがって泣き明かした翌日の羽生選手だとは思えないですね。 とても素敵な映像です。 ↓ かなりお勧めです。