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2014GPF直前・今までの葛藤と本音を語った、羽生選手の重要インタビュー

2014-12-11 | 羽生結弦選手・注目発言

テレビ朝日系列の番組内で、羽生選手が松岡修造さんに、今まで語られることのなかった、今シーズンに起きた一連のことについての「本音」を語ってくれました。

その動画です。

非常に重要なインタビューだと、私は思います。 

ただし、このインタビュー自体は、「NHK杯後のフリー翌日に収録された」とあるので、「花は咲く」を演じた、エキシビション当日の発言ということになろうかと思います。

 

すごく重要な羽生選手の本音が語られており、12月頭には収録されていたはずなのに、今頃(12月9日放送)やっと出されたのが、残念に思います。

 

羽生ファンなら、必見。フィギュアスケートファンの方でも、今回は必見。

まだ見ていない羽生ファンの方は、もちろん必見!! 

 

下に、全文を私が書き起こしたものを載せておきます。 

 

映像はこちら → http://www.dailymotion.com/video/x2c5sgj_1209-%E8%91%9B%E8%97%A4%E3%81%A8%E6%B1%BA%E6%96%AD_sport

 

今まで語れなかった「本音」と「葛藤」を、羽生選手が自然な言葉で、率直に、正直に、語ってくれています。

 

なんというか・・・ 私は心底ホッとしました。

ちょっと、涙も出ました。

 

この1か月、今まで、あちらこちらからいろんなことを言われたり書かれたり、勝手に決めつけられたりしていましたけれども、ちっとも羽生選手本人からの言葉が、聞けませんでした。 NHK杯直前会見で、少しだけ聞けたけれども。

フィギュアスケートの人気選手に関連した報道等では、今までも、書き手に都合の良い内容にされたもの、書き手の見方や思い込みによってかなり歪められたもの、何らかの意図があって完全に虚偽のもの、イメージを意図的な方向へと誘導しようとするもの等が、出てくることがあったので、鵜呑みにするのは問題なことがあります。

(なぜそれが解るかというと、のちに選手ご本人のインタビューや会見等で、明確に否定されたりしたことが何度もあったからです。)

 

私は基本的には「映像で」羽生選手の口から出ている言葉と、その表情等を一番重視してきましたし、今後もできるだけそうしていきたいと思っています。

(それでも、意図的にカット・編集されることさえありますし。)

たとえ「建前」で語られる場合があっても、本人がそうする必要があってそう言っていると考えるので、それを重視します。

本音じゃないもの、無理しているもの等は、その表情や話し方等を見れば、ある程度はわかるし伝わるものだと思うので・・・。

 

羽生選手が自らが語った、揺るがない映像という証拠つきで、その本音をしっかりと確認したいと思っていた私には、全ての中で、これが一番信用できる気がしました。

 報道による一部抜粋形式だと、また誤解が生じかねないと思ったので、放送された羽生選手の言葉全部を、(それでもカットされたものもあるでしょうけれども)、ここに書き起こしておきたいと思います。「あー」だのなんだのという細部まで、忠実に再現してみたつもりです。

 

以下、映像からの聞き取りによる、羽生選手の答えた内容の、管理人による、全文書き起こしです。 (羽生選手の言葉が、黒い太字です) 

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松岡修造さん (以下、松岡) 「悔しいのは解っています、羽生さんが。悔しいというのを、超えているところに今いるんだろうなっていう・・・」

羽生結弦選手 (以下、羽生) 「いや、でも、悔しかったですね。あのー、なんですかね、久しぶりに悔しくて泣いたなって。はい。

                   あのー、控室の中で、自分でも分かってたんですけど、泣いてどうするって思ってたんですけど・・・。

                   でも、次のことを考えながら、今日何がダメだった、これがダメだったって、口で言いながら、もうずーっと涙が止まらなかったです。

松岡 「その涙は、自分の演技が出来なかったのか、ファイナルに行けなかったからなのか、色々あると思うんですけど。」

羽生 「あ、でも最初はファイナル行けないって思っていました。」

松岡 「・・・その権利を得た時の、心境というのはどうだったのですか。」

羽生 「いや、特に変わらなかったですね。悔しさも全然紛らわす事ができなかったですし。

    自分の中ですごく色んな言い訳を考えてて・・・ で、負けた時どうしようって考えてた自分もいて・・・ それがいたことが、まず悔しいですね。

 

ナレーション (羽生は、大会期間中、あきらかに、いつもの心理状態ではなかったという。)



羽生 「 『いつも通りやろう』・・・だから (ハッと、何かに気が付いたように)、もう、そうだよ!(自分で言いながら悔しそうに目をつぶる) だから、いつも通りやろうとしている時点で僕の負けなんですよ。

     練習を出そうとしたら、それは本番じゃないじゃないですか。練習じゃないですか。その時点で負けですよ、僕の。

     人との勝ち負けじゃなくて、自分の中で負けてます。 」

松岡 「今回の羽生さん見てて・・・勝手な想像ですよ?やっぱり、あの中国のアクシデント、普通じゃないですよ。氷の中での恐怖心と言うものが、嫌でも出てくるんじゃないかなって、そこらへんはどうでした?」

羽生 「いや、出てきますね、やっぱり。集中したりしなかったり、周りを見たりなんだりかんだりっていうのが、絶対あったんだと思います。

 

ナレーション ((前略) ・・・あの時、衝突したタイミングは、冒頭から3つ目のジャンプ、トリプルフリップの助走に入った、この瞬間だった。(映像流れる))

 

松岡 「(略)・・・特にあれは、3つ目のフリップジャンプの前だったじゃないですか。何かこう、自然な流れで行かないとか、そういうのってあったんですか。」

羽生 「6分間練習のフリップの前はさすがにビビりました。 あのー、いないって分かってるんですよ。気配を感じないし、風も感じないし・・・。

    ほら、フィギュアスケートって結構ぶんぶん行っているんで、結構風が通ったりするんですね。全然気配とかもないのに、どうしても後ろ見ちゃうんですよ、怖くて。  自分が入る前に、本当は、こっち側をみて、アピールしてから、こっち入るのに、もうずーっと、こうやって見ているんですよ。

それで、パンクして(注:ジャンプで、回転が抜けてしまうこと)、 『ああ、ビビってんな、俺』ってとかって思って・・・笑ってたりもしましたけど。

 

ナレーション (これほどまでの恐怖心を植えつけられた中国杯から、NHK杯までの3週間、羽生は、一体何を思いながら過ごしていたのか。)


羽生 「あのー、やっぱ、いろんな声が聞こえたんですよ。いろんな、ほら、すごく・・・ 自分でも驚くくらいワイドショーやってて。(笑) (周囲爆笑)

     いろんな、いろんな人たちが(笑)、ほら、もう、あれはフィギュアスケートの問題じゃなかったんですよ。

     ”一スポーツ”の状態として、”あれを出すのはどうなんだ!”と。

     でも、色んなこと考えて、やっぱり、反省したんですよ、すごく。 

     でも、僕達は(アメリカのドクターの診断を)あのとき、信じるしかなかったから、出たわけで。

     こうやって、せっかく(2位という)結果も頂けたんだから、じゃあ次の事を考えよう、と思って。 

     で、初めて氷・・・ 本当は、1週間しっかり安静にして、で、痛みが引きはじめたら徐々にリンクに乗ってもいいよっていう話になってたんですけど、全然(痛みが)引かなくって、で、結局10日間滑れなくて。

     でも、NHK杯をちょっと考えるんだったら、ちょっとでも(氷に)乗らなきゃダメだねっていう話になって、10日後に初めて乗ったんですけど・・・

     もう絶望しました。

     もう、ダメだって思いました。初めて自分から自分の親に・・・多分初めてだと思います、試合というか、弱音というか、まず、諦めるということをしたのは。 

     “(NHK杯に)出ない”って言いました、あの時。」

 

ナレーション (それでもなお、羽生が、NHK杯に出場した理由の一端が、垣間見えたシーンがあった。

          それは、中国大会でのアクシデント直後、競技を続ける決断をした羽生は、実は、こんなことを呟いていた。

          『 さあ、オリンピックチャンピョンらしい演技を! 』 )



羽生  「もちろん、プライドはかかっていますよ。もちろん、そのプレッシャーもすごくかかっているし・・・ 

     “あぁ情けないな”ってすごく自分でも思うんですけど、それよりもまず、そんなこと考える前に、プライドとか何よりも、まず課題が見つかって、

      次の試合に行けるって・・・ 次の、もう1個の課題を克服するチャンスが「来た」っていうのは・・・ 

      それはもう、ただただ、いつも思うように、こんな恵まれたことはないですよ。

      こんなにも沢山の課題を・・・立ちはだかる、どんだけ高い壁が用意されてるのってくらい、もう、高い壁いっぱいあるんですよ。(笑)

     (課題好きですか?と松岡さんに聞かれて、)  課題、大好きです。(笑) 

     だって、それを乗り越えたら絶対、その上があるわけじゃないですか。そしたらまた、上があるし。

松岡  「何にこだわっているのか、みんなわからなかったんです。別にだって、みんな休むんですもの。オリンピック金取った人は。」

羽生  「いや、本当は休もうと思ってました。 あんだけの・・・まあ、まず(シーズン前の)腰痛からはじまり、中国(大会)に出て、

     これはマジ、本当に、これは本当に休めってことかな?と思って。

     これでもし、グランプリ・ファイナル行けなかったら、これはもう、”全日本に向けてしっかり休め”と、神様が言ってるんだなと思ったんですけど、出れたんで・・・

   だから、“ちゃんと乗り越えてみせろよ”って、言われたんだと思います。

 

 以上全文。

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さて、このインタビューで解るのは、そもそも、最初の腰痛発症の段階あたりから、羽生選手は、休むことも考えてきていた、という点です。

「いや、本当は休もうと思っていました。」と、この番組の中で、羽生選手は明確に語ってくれています。

さらに、もしファイナルに出られなくなったなら、全日本選手権に向けて、「神様が休めと言っている」と考えようとしていたこと。

NHK杯前も、自分の状態に絶望して一度はあきらめて、「出ない」とご両親には伝えていたこと。

 

8月に、「休む勇気も、持てたらいい…」と、羽生選手自らが、ちょっと疲れたような顔でしみじみと語っていたのを私は覚えていますし、多くのファンも覚えているでしょう。

それはやはり、「ちょっとは休みたかった。でも休めなかった。(あるいは、休めない。) 休む勇気が持てなかった。(あるいは、何らかの理由で休ませてもらえなかった。) ちょっと後悔している。」と、言っているようなものだと、私には思えていましたので、そのあたりから、今シーズンの羽生選手の体調や疲労度が、私は気になっていました。

8月の24時間テレビでの演技の後だったかで、「いつまでこの身体が動くかわかりませんけれども、この身体が動く限り…」 って挨拶した羽生選手に、私はちょっとドキッとさせられて、危機感を感じていました。

今までこんなセリフを聞いたことはない。

「この身体が動く限り、滑る」という覚悟は、この時から見えていたわけですが、冒頭の「いつまで~」という言葉からは、多分、今までにない「身体の限界」をどこかに感じ始めているのではないか? 相当疲れているのでは? 既に無理が生じているのを感じているのではないかしら?と私には思えました。

(五輪シーズンも過密スケジュール、その最後の時点で既に腰痛が酷そうだったのに、その後も休みなしで、どう見ても異常なスケジュールでしたから。)

 

その後、腰の状態も、3日に一日は練習を完全に休まなければならない状態で迎えた、あの中国杯。

 

羽生選手は基本、目の前の高い壁を見ると、「克服したくなるタイプ」なのでしょうね。(笑) 諦めるのが嫌い。

中国杯での悲惨な衝突事故の後でも、「オリンピックチャンピョンらしい演技を」と、滑る前に呟いていたという話からは、少なくともあんなに転倒するつもりはもちろんなく、責任感やプライドをかけて挑んだであろうことがうかがえます。 

 

中国杯後、リハビリ期間の間に氷の上に初めて立った時も、絶望して、「(NHK杯は)出ない」と、あきらめて、ご両親の前で弱音を吐いたという羽生選手。

・・・そこで、本当にあきらめたって、良かったと私は思うんですが・・・、

「五輪チャンピョンとしてのプライドももちろんあった」、 でも、チャンピョンのプライド以上に、「目の前の課題」が突きつけられたら、それを(その壁を)乗り越えたいという思いが非常に強いらしい、羽生選手。

 「課題、大好きです!」とも。(笑)

「“あぁ情けないな”ってすごく自分でも思うんですけど、それよりもまず、そんなこと考える前に、プライドとか何よりも、まず課題が見つかって次の試合に行ける、次の、もう1個の課題を克服するチャンスが来たっていうのは・・・ それはもう、ただただ、いつも思うように、こんな恵まれたことはないですよ。」と、言い切った羽生選手。

 

「課題を克服するチャンスが来た」というのを、「この上ない恵み」だと捉えていて、さすが羽生選手です。(笑)

多少無理して言っていたのだとしても、とにかく前向きにとらえようとするところが、本当にスゴイし、 そしてこの辺が、「常に挑戦者でありたい」「チャレンジャーでいたい」という、言葉につながっていくのでしょうね。

 

今までの多方面からの断片的な情報、一見矛盾する内容、その他が、やっと羽生選手本人の言葉によって、きちんと一つにつながったように思いました。

 

NHK杯後、悔しさのあまり、号泣したという羽生選手。

言い訳をいっぱい考えてあって、負けた場合どうしようという思いもあり、「いつも通りやろう」という自分の甘さが、既に負けだったと認めた、羽生選手。 

「いつも通り」―――それは練習でしかないから、と。

 

・・・あー、でも、その「いつも通り」がちょっとだけ、有難かった人間が、ここに一人います。(笑)

実は私は、あのNHK杯の羽生選手の演技に、なぜかその後、少しだけハマっていました。

羽生選手が、あまりに悔しすぎて大泣きしたほどの演技だというのに、なぜ私は、この羽生選手の演技の、一体何にハマったのか?と自分でも疑問に思って、理由をしばらく考えていました。

よくわからないのですが、見ていて強く思うのは、何か「安心感」を感じる、ということでした。

練習のような羽生選手――― でも、その状態の羽生選手の演技を見て、なぜか安心している自分に気が付いたのです。

 

羽生選手が、生きているし、無事だし・・・ とりあえず、ここまでは回復したし、それでも必死に頑張っているし。 

やっぱり、人間だったことの証明になっているし・・・ みたいな、そんなところでしょうか。(笑)

 

中国杯の、あの状態でも演技を許されたことが、あまりにも非人間的に見えて、「さすがにまさか、死のリスクを冒させるなんて、あり得ないでしょう!」と思う一般の人々からは、プロレスのような「ヤラセ疑惑」までもが出ていました。

(ヤラセで血を流すフィギュアスケートなんて、あるか!)と私は思ってしまいますが、それほど、一部の人には信じがたい光景に見えた、ということです。

NHK杯に出場できることになったらなったで、「やはり怪我というのは嘘で、一連のことは大げさな演技だった説」まで出てくるほどだったので、もしあそこで羽生選手がパーフェクトな演技で怪人ぶりを発揮したとしたら、逆に世間からは、「中国杯の、あれはやらせだったのでは?大げさな演技だった。 フィギュアスケートはプロレスと同じで、ただのショーみたいなものだ。騙された。」という印象を強く持たれる方向へ、より多くの人が向かったのではないかと思います。

金メダリストの羽生選手が、NHK杯で、わざとジャンプを失敗したりして惨敗するようなことはあり得ないので、結果的にはあれにより、やらせでも演技でもなくて、本当に身体の状態が大変で、無理を押して出場していることが証明された面がありました。

羽生選手は悔しいでしょうけれども、羽生選手のためには、NHK杯は逆に惨敗で良かったと、私は思っています。

 

  

「もし、グランプリ・ファイナルに行けなかったら、全日本に向けてしっかり休めと、神様が言ってるんだなと思ったんですけど、出れたんで・・・

だから、“ちゃんと乗り越えてみせろよ”って言われたんだと思います。」

と答えた羽生選手。

 

すごく、真摯にとらえていますね。 

ここは、羽生選手の考え方が、よく解るポイントです。

 

絶対に、目の前の困難から逃げようとしない、徹底的な姿勢

出来るだけ、責任放棄しないで済むように、ギリギリまで頑張っちゃう姿

 

あるいは、目の前に高い壁が置かれたら、乗り越えたくなっちゃう性格

 

そんなものが、見えてくるかと思います。

 

そして、乗り越えるべく、 グランプリファイナルに向けて、

「出来る限りの練習をしてきた」「いつになく追い込んできた」、と、キッパリと語る羽生選手。

凄いですね。

 

素直に弱音も吐けて、残っている恐怖もきちんと告白出来て、自分の弱点も現状を見つめられて、カメラの前で自然体で、本音も語れることのできた羽生選手の映像を見て、私はすごく安心しました。

「恐怖」を認められないでいる間のほうが、まだまだ精神的ダメージは深刻だと思うので。

 6分間練習の時の、恐怖心はまだまだ残っているようなので、しばらくは大変だとは思いますけれども・・・。

 

また、このインタビューでは、自宅でお休み中に、「これはフィギュアスケートだけの問題じゃない。 スポーツ選手として、あの出場はどうだったのか」を、議論されていた、ということもきちんと把握しており、詳細まできちんと理解できているようで、「沢山反省もした」、と語ってくれています。

 

・・・良かったです。 

これは、とても重要な点だと思います。 ここが伝わっていなかったせいで、立場的にも、羽生選手はアスリートとしてもフィギュアスケーターとしても、かなりの信用と尊敬を一部では失いかかっていたと思うし、危機的だったと思います。

 

NHK杯の前の会見で、「アメリカのドクター(の臨時診断)を信じたい」、と語っていた羽生選手。(NHK杯前の会見では、それほど強くではないものの、頭を打ったことを認めていました。)

羽生選手の立場に立てば、それは、よくわかります。

でも、その「アメリカのドクター」の診断こそが、精密検査なしでゴーサインを出したという、日本での常識から見ると「信じられないほど無責任」なものだとして、批判の対象となったわけですが、羽生選手はこのインタビューでは、「信じるしかなかった」と話しています。

 

しかし、それでも残っていた重大な問題は、滑った後になってから緊急帰国して、脳の精密検査を受けさせている点です。

もし、そもそも脳震盪の疑いが全くなかったのなら、脳の精密検査を受ける必要が全くなかったはずであり、緊急帰国した後の「脳の精密検査」も、不要だったはずです。

後から精密検査させる事態を容認するのは、危険な賭けを許したようなもので、羽生選手がどうなってもいいと思っていることに等しいということであり、まるでロシアン・ルーレットのように危険なこと(運よく生き延びるか、運悪く死ぬか)を容認するに等しい、とみなされても仕方がありません。

 

また、首より上の頭部に「衝撃があった場合には、強制棄権させないと選手たちの命は守れない」点こそが、この問題と議論のポイントだったというのに、

「頭部が関係ない」怪我での強行のケースを持ち出されて、「アスリートの意思をこそ尊重するべき」などという、そもそも論点が間違った話にすり替えられてしまい、ごちゃごちゃにされて議論されていってしまう始末。 

 「頭部に少しでも衝撃が加わった場合」は、「自己判断できない」「自己判断してはならない」「精密検査が必要」だからこそ、「意思に関係なく、強制棄権」させる必要があり、あれでは危険だ、という議論だったはずなのですけども。

 

「頭に衝撃を受けた選手は、正しく自己判断できない」「選手は基本、競技続行したがるもの」だからこそ、命を守るために「ルールが必要」なのです。

競技続行を容認した過去の結果、既に死者を出してしまったスポーツは、このような取り返しのつかないことを、二度と繰り返さないために、「脳震盪の疑い」レベルでも、非常に厳格な「強制棄権」のルールを設けています。

実際にそのようにして、精密検査でも問題が見えず、大丈夫そうに見えたにもかかわらず、不幸にも、その後突然急変して、予想外にお亡くなりになった方々が沢山いるという、重すぎるほどの事実があります。

だからこそ、首から上に強い衝撃が加わった可能性があるならば、(直接打っていなくても)、「その後一日絶対安静」、が普通は言い渡されるのです。

それを油断してしまい、命を落としたという不幸な事実が沢山あるということが、これを機会に広く正しく知れ渡ったのであれば、羽生選手の事故にも、非常に大きな意味があったといえるでしょう。

 

 

休みたいときは休みたいって、選手がきちんと、普通に言えて、認められる世界であってほしいなと、ファンとしては思います。

そして、正直な本音が聞ける方が、ずっと安心します。

 

「体は万全ではない」としながらも、「本当に本当に練習してきました」「出来ることを、楽しんできたい」と言って、バルセロナへと飛び立ち、

現地に到着してからは、「自分らしい演技がしたい」と言ってくれた羽生選手に、心からのエールを送ります!

 

今できることを、そして、羽生選手らしい演技を、楽しんでやってきて下さい!

 

羽生選手はもちろん、町田選手、無良選手も含めた、日本人3選手の活躍を、心よりお祈りしております。