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羽生選手を追いかける選手たち ~2016年の4大陸選手権の白熱した闘い~

2016-02-29 | フィギュアスケート全般について

いや~、2016年の四大陸選手権、男子の闘いは、本当に面白かったですね!!

羽生選手が出ていない試合なのに、ここまで面白いなんて!…というほど、興味深い演技がいくつもありました。

やはり、羽生選手を目標のトップとして、追いかける選手たちは、当然羽生選手の演技を意識して、それに追いつけ追い越そうと努力するわけですから、

私の一番好みの羽生選手の演技の良さを取り込みつつ、その選手の自分らしさを活かした演技を本気で目ざして下さるわけで、つまりは、かなり有り難い演技が増えるのだ、と気が付きました。

 

日本の番組での、解説の本田さんが、妙に嬉しそうな明るい声で解説して下さっていたのが、またとても良かったです!(笑) 

何かいいことあったのだろうか、と思ってしまうほど、良い声で解説して下さっていたけれども、少し前の「語り亭」でも、羽生選手の今後の演技にものすごく期待して、かなりワクワクして楽しそうだった様子を思い出しました。

日本の元祖4回転ジャンパーである本田さんにとって、きっと今の男子シングルの、4回転カムバック状態は、とっても嬉しいのかもしれない!と思いました。プルシェンコ選手と同じかな。「男は黙って4回転!」っていう名言(迷言)を叫んでいたのは、今の羽生選手くらいの年の頃の、本田さんですからね。(笑)

 

 

さて今回、優勝したチャン選手のフリーが凄かったのは確かなのですが、何が一番面白かったかって、やはり、

予想を超えた 中国勢二人(ハン・ヤン選手&ボーヤン・ジン選手)の大活躍 ですよ!

ボーヤン選手のフリー、シーズン最初は表現面が全然手が回っていなくって、上半身の動きも固すぎて、ジャンプ以外はあまり記憶に残らなかったのですけど、相当努力されているようで、かなり良くなっていました。

独特の妙な面白さがあり、上半身の動きのほうに、むしろ注目が行きました。 

フリーで4回転を4つ、ミスなく成功させるという偉業をも成し遂げ、ずいぶん変化した様子に、

思わず感動して、ボーヤン選手の演技に ジーン! となりましたとも!(笑)

 

ジャンプの質も良くなっているし、羽生選手にちょっと近づいたのでは?!

 

 

ボーヤン・ジン選手の、4回転を4つ決めたフリーの演技(アメリカ・NBC解説)はこちら→ https://www.youtube.com/watch?v=UqqdBc4zoik

 

全米選手権で、4回転を4つ成功させたネイサン・チェン選手への、本気の対抗心もあったのではないかと想像されます。 彼が出場できないのは、ちょっと残念ですね。

しかし、来シーズンは、4回転争いが、益々大変そうですね。羽生選手が、この先、4回転をフリーで4つ必要になるって言っていたのは、きっとネイサン・チェン選手やボーヤン・ジン選手のことが頭にあったからでしょうね。

 

かつてのプルシェンコ選手で有名な「タンゴ・アモーレ」を使っていながら、衣装の「模様」から、独特の動きから何から何まで、「超」がつくほど見ていて面白い、ユニークなショートの演技はこちら→ https://www.youtube.com/watch?v=GJJHw8H73Rk

4回転ルッツ+3回転トウループという、超高難度のジャンプを軽々と跳び、ジャンプの天才ぶりを発揮しています。 羽生選手のように、着氷後の流れなどはあまりないので、その辺の質は、まだ羽生選手にはかなわない印象ですが、あまりの軽々とした様子に、さすが曲芸の国・中国!と思わせてくれます。

 

こちらは、ボーヤン選手の、なぜか楽しいエキシビション。(笑)https://www.youtube.com/watch?v=hlPRmOzb1IY

ボールを使う意味が、客席に投げ込む以外には特に感じられないのですが(笑)、この動画の2分50秒ごろに、頑張ってます!という感じの「クリムキン・イーグル」を披露してくれていて、宇野選手の影響でしょうか… その熱い意欲だけはよく伝わってきましたね!(笑)

彼の演技は、羽生選手のように「惚れ込む」ような感じのものとは違うのですが、気が付いたら、なぜか顔が笑ってしまっているような、独特の楽しさあります。

 

 

 こちらは、中国のボーヤン選手のドキュメンタリー番組に、日本語翻訳をつけてくださったもの。 →https://www.youtube.com/watch?v=42TA1v4oopE

かなり興味深い内容です。 4回転ルッツも、初めてのたった1回か2回の練習で、いきなり跳べてしまったそうですから、まさに天才型ですね。

しかも、ボーヤン選手、「私にとって4回転ルッツは、技術じゃない。多分、気持ちと集中力で跳べるものです。」などと答えていますよ!気持ちと集中力だって!(笑)

羽生選手のトリプルアクセルが初めて跳べた時の話や、シニアに上がって初めての試合で成功させた4回転トウループと同じような感じ、あるいは、本田武史さんがかつて言った、4回転のコツは、「4回まわって降りるだけ!」発言に近い感じですね。

つまり皆様、同類なんですね。(笑)

ゲーム好きだというのは、羽生選手や外のフィギュアスケート男子と同じようですが、メダルにはあまり執着していない様子で、よほどのもの以外は、いつとったものかさえ、あまり覚えていないようです。

ボーヤン選手から漂う、ひょうひょうとした面白さは、こういうところなのかもしれませんね。

そうは言っても、さすがに、五輪の表彰台は目標のようです。

来シーズンは、ローリー・ニコル氏の振り付け指導で、表現力UPに努めるそうです。

 

 

もう一人、ハン・ヤン選手のフリーは、ロミオとジュリエットなのですが、これがまたとても良かったですね!(笑)→ https://www.youtube.com/watch?v=-5OoY1hkY98

ハン・ヤン選手は、他では見たことないような個性的で、どこかコミカルで、時にガクッと来るような(笑)演技が多かった印象なのですが、

今シーズンはなんと、「ロミオとジュリエット」という王道勝負に出ています。

それでもさすがハン・ヤン選手、ただのロミオとジュリエットでは終わらない!という個性的な演技。(笑)

 

とにかく、中国選手は、今まで観たことのないようなものを見せてくれる面白さがあって楽しいですね!

前半は、羽生選手も旧ロミオで使っていた、あの「Kissing You」という曲に合わせて、驚くほどしっとりと魅せてくれます。

ロミオとジュリエットの音楽を使っている割には、シンプルすぎるとも言われる彼のこの衣装には、どうも賛否両論があるようなのですが、ヤグディンのシンプル衣装の演技とか、羽生選手の練習着なども大好きな私にとっては、「おお! よくやった!」(笑)って感じでしかないです。きっと彼の好みはこういうスタイルなのでしょう。

衣装がシンプルだということは、体の動きがより明確に分かるので、本当に技や動きが洗練されていて、かなり自信がないと魅せられないので、ハン・ヤン選手の凄さが逆に目立っていいですね!

同じロミオ演技でも、マルチネス選手の、王道ロミオ衣装(→https://www.youtube.com/watch?v=-uVzhZPeOeQ)と対照的で、これはこれで面白い!(笑)

 

ところで、ハン・ヤン選手のこのプログラムの欠点は、後半、なぜだかわからない突拍子もない音楽のつなぎによって、雰囲気が突然ぶち壊されるところ・・・ だったのですが、今回初めて、あまり気になりませんでした!

「ああ、これは、こういうプログラムなんだね」って、初めて思えたのは、それだけ彼が滑り込んだからだろうと思います。

この振り付けは、かの有名なローリー・ニコルさんなのですが、数多くの浅田真央選手のプログラムや、今シーズンの宮原選手のフリーを見ても、彼女の今までのプログラムで、こんな「わけのわからない」音楽の切り替えは普通はないように思うので、

ハン・ヤン選手の今までのプログラムと同じような路線を踏襲している、この「突拍子もない切り替え」を使う演出はやはり、ハン・ヤン選手自身の強い希望による、意図的なものなのではないかと、ついに思うに至りました。(本当はどうなのかは、わかりませんが。)

それはそれで面白い!と思わせるほど、今回の演技は非常に良い出来だったと思います。

今回、2位と3位に入った中国選手のお二人は、今までにないような、どこか笑える、驚きと同時に、気が付いたら笑顔になっているような演技を見せてくれているという意味で、非常に貴重な個性だと思うし、とても楽しく観させてもらいました!

 

ここで、参考までに、現時点で、男子シングルSPの世界歴代最高得点となっている、グランプリ・ファイナルの時の羽生選手のショートの演技の練習映像を拝借してみます。

…やっぱり、練習着でも、シンプル衣装でも、真っ黒でもなんでも、素晴らしいものは素晴らしいのです!(笑)

この練習演技では特に、3つめのジャンプである、バックアウトカウンターからのトリプルアクセルを跳び終えた後の、流れのある美しい一連の動きに、私はなぜかいつも惚れ込むんですけど、特にこの時は、試合本番とも少し違っていて、また何とも言えず、超・素晴らしい~~~~!! 

ふわりとした試合用の衣装ではないからこそ、わかる動きの細部や流れのラインが、驚くほどよくわかり、とても美しくて本当にビックリします。  着氷した右足だけで、左足をつけずに滑り続けるのですが、左足の動きも非常に印象的で流麗だし、特に、音楽に合わせて後ろ向きから前向きに変わった時の、ハッとしたような感じが本当に素敵です。 

… と、いうわけで、ハン・ヤン選手のように、シンプル衣装でのロミオとジュリエットの演技も、十分にアリだ!と思う私です。(笑)

 

 

さて、今回優勝したパトリック・チャン選手のフリー演技はこちら。

→ https://www.youtube.com/watch?v=mVAZwsO8Z-4

 

冒頭の4回転トウループ+3回転トウループは、文句なく美しいですが、2度目の4回転も今シーズン初めて成功し、演技終了後に、今まで見たことないほどに喜びを爆発させたチャン選手。

確かにこれは、チャン選手の歴代演技の中でも、ベスト演技だったと言っていいでしょう。

4回転でも3回転半でも苦戦していたシーズン当初の演技を思えば、ずいぶん頑張ったのだろうと思います。

演技の後半だけを見ると、スケート・カナダの時のほうが印象に残った気がするのですが、前半で4回転が2度成功したと同時に、全体をミスなくまとめたという点で、今回のほうがより完成度は高く、得点も高くなりました。

まさかの、ショート5位からの大逆転となり、ご本人も嬉しかったに違いないですね。

チャン選手は、羽生選手や、他選手への嫌味発言みたいなものをやめてくれると、もうちょっと私も「カッコイイよね」と思えるかもしれないのだけど… と、前からいつも思うのだけど。(笑) 恐らく、本当は気が弱くてかなり繊細なのでしょう… ということが、最近のインタビューや会見の数々から、よくわかってきましたね。(笑)

まあ、その繊細さが良い方向へと活かされると、良い演技につながりますね。

今回は、他選手を意識しないようにしたのだそうです! 

羽生選手も、あのソチ五輪シーズン、そのように気持ちを切り替えていったグランプリ・ファイナルから、とても良い演技になって、躍進を遂げましたね。

今回、ショートよりもフリーの日に、氷の状態はかなり良くなったのだそうです。 

…ソチ五輪では、フリーの日、氷の状態がとても悪化していたように見えていましたけど、きっと間違っていないでしょうね。

 

 

宇野選手は、練習では4回転ループを成功させたと話題になっていましたけど、そのせいか、本番で逆に4回転トウループを失敗してしまい、まさかのメダル圏外に。ちょっと残念でしたね。

個人的に思ったのは、ちょっといつもよりも、プログラムへの入り込み度というか、「情熱要素」が弱かったかな…と思いました。 

冷静に、を意識しすぎたような… 冷静さももちろん大事である反面、宇野さんの独特の良さが、少しだけ減ってしまったような印象がありました。 でも、世界選手権では、また成長した姿を見せてくれるでしょう!

 

 

無良選手は、今シーズン、本当に動きが良くなりました。

男子は20代前半がピークなどと言われるフィギュアスケート界ですが、25歳でも、まだまだ全然、どんどん向上していけるという、お手本のような存在になりつつありますね!

https://www.youtube.com/watch?v=WXpDMOAlBss

宇野選手がジャンプで相当失点してしまったとはいえ、宇野選手のスコアと1点差というところに迫っていたのも凄いですね。

 

 

上位には入っていないのですが、マイケル・クリスチャン・マルチネス選手(フィリピン代表)の、エキシビションでの演技が素晴らしかったので、ご紹介します。

 

まずは、冒頭で複数回披露してくれる、スパイラルがそれぞれ男子としては凄いです。

次に、1分50秒ごろに出てくる、クリムキン・イーグルのあまりの凄さに、目を見張りました! 宇野選手のクリムキン・イーグルさえも超えているような美しさ。両手の位置や形に注目です。 

宇野選手のは男性的ですが、この優雅なクリムキン・イーグルはもはや、クリムキンさんのものでもなくて、マルチネス・イーグルでは、と言いたくなりますね。

彼はレイバック・イナバウアーもできるし(次のショート動画、1分56秒あたりで披露 https://www.youtube.com/watch?v=uh7SZ54K52k)、ビールマン・スピンの足の上がり方も半端ないし(この動画のラストの方)、柔軟性においてだけは、羽生選手と並ぶか、あるいは上回るかもしれません。ジャンプの成功確率だけが弱点のようですが、見ていて楽しい演技ですね!

 

 

田中刑事選手の、フリーの「椿姫」は、たとえジャンプが失敗していても、非常に華やかで雰囲気があって、見ていて楽しいです!

本当にオペラの世界を見せられているようなワクワク感があり、音を身体で表現することが出来ていて、とても素晴らしいと思います。

ご本人も好きなプログラムらしいですが、そういう思いがきちんと伝わってきます!

刑事というお名前とは、全く違ったイメージの演技が得意なようですね。(笑)

 

 

今回、タンゴをやった選手が何人もいたので、見ていたらやはり、羽生選手のタンゴが観たいよ!(笑)という気分になりました。

前は、20代のうちにやってくれればいいや、と思っていたのですが、出来れば数年以内にやってくれるといいな~と思えてきましたね。(笑)

 

色々な演技を見ていて思ったのですが、やはり、ノーミスはノーミスでも、「ノーミスを目指しました!という感じの無難なノーミス演技」より、「ただのノーミスを超えた、結果的にノーミスとなった演技」か、「ミスをまったく気にしないで全力でぶつけた、ミスあり演技」のほうが、印象に残ることは多いように思います。

 

やはり人間が機械とは決定的に違うところは、「魂」があり、「心」があり、それらが互いに伝わってくるところです。

だから私は、ボーカロイドの曲などは全然好きではないです。 歌に「心」が全然ないので、全く感動がない。 

決して胸を打たないし、歌詞も明らかにおかしいものが多いし。

前から何度も書いていますけど、プルシェンコ選手は、表現を最終的に決めるのは「心」の部分なのだと明確に語っています。 私もそう思います。 

 

 

最後に、あまり話題に出ていませんが、1月にあった、「メダル・ウィナーズ・オープン」の男子出場者の演技は、素晴らしかったですね。

ご紹介したくても今のところ動画が見つからず、残念です。

優勝したジェレミー・アボット選手の演技は、レ・ミゼラブルの「Bring Him Home」だったのですが、確かにとても素晴らしいものでしたし、見てよかったと本当に思わせるものでした。あれこそ、心の入った演技だったと思います。

惜しくも2位になってしまった織田さんは「愛の夢第三番」を滑りましたけど、ご家族様への思いをイメージして滑っていると言っていました。 途中で謎のコケがなければ優勝だったと思うくらい、前半は素晴らしく、レベルも高いものでした。

順位や得点では最下位だった、イリヤ・クーリックさん(1998年長野五輪・金メダリスト)は、衣装は上半身がラベンダーで下半身がグレーで、出てきたときは微妙な気持ちになりましたけど(笑)、かつて浅田選手や町田さんも使った、「ラベンダーの咲く庭で」の演技は、そんな第一印象をすべてを吹っ飛ばすような、情感あふれる印象的なものでした! 個人的には優勝のアボット選手の演技と並ぶほどに記憶に残る、素晴らしさでした!

現在38歳だそうで、ああいうのを見ると、(羽生選手が38歳になったらどんな演技をしてくれるのか・・・)と考えさせられて、楽しみになりますけど、羽生選手の将来設計からすると、そのころまではやっているかどうかわからない、ですね。(笑)

 

最後に、昨年末のグランプリ・ファイナルでの羽生選手の、ショートの歴代最高得点を得た時の演技動画を載せておきます!

 

 

 同じ、グランプリ・ファイナルでのショートの、カメラ角度の違う、スペイン語解説の動画です。

 

同じ演技なのですが、観る角度が違うため、下の動画の方が、ジャンプ(特に、2つめジャンプである、4回転トウ+3回転トゥ)が、よりきれいに見えます。 

この後にあった全日本選手権では、練習時も含めて、成功しているジャンプについては、ジャンプの軸の細さや回転が、グランプリ・ファイナルよりもさらに美しくなっていることに気が付きました。

 このグランプリ・ファイナルでのSPの演技は、昨シーズンの世界選手権(2015年春)の時の「バラード第一番」よりも、ステップ・シークエンスが特に良い意味で印象に残ります。

たとえレベルがどう認定されていようとも、確実に、昨シーズンよりも観ていてワクワクする気持ちになれるのです。何か、伝わってくるものが違います。(笑)

ボストンでの世界選手権では、会場はアメリカなので、演技が全体として特に「暗く、重苦しくならないことが重要」かと個人的には思います。威厳や迫力・重厚さ・静謐の中にも光るものがある、などが出てくる分には良いと思いますけどね!

 

ステップでワクワクすると言えば、今シーズンの浅田真央選手の、中国杯の時の演技です。

この演技は、浅田選手の弾けるような笑顔、本当にチャーミングで明るい、喜びに溢れた様子がとっても素敵です!

浅田真央選手には、堂々として思い切った、こんな笑顔が再び観られるような演技が出来ますように、お祈りしています! 浅田真央選手、絶対に出来るよ!(笑)

 

 

世界選手権まで、早くもあと1か月ですね。

羽生選手が、体調を整えて、日々、今できるベストな練習や休息等の的確な判断が出来ますように、お祈りしております!  

 


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