徴用工判決「日本企業の資産凍結、恐れているのは韓国政府」李元徳・国民大教授
2018.11.29
国民大学の李元徳教授
1965年の日韓請求権協定をめぐる両政府の立場は真正面から対立し、いわゆる65年体制は「不合意の上の合意」という形になっていたのが実情だ。
日本政府は35年間にわたる朝鮮半島支配は不法ではないという立場だ。
一方、韓国政府は1910年の日韓併合条約そのものが不法だという立場を貫いてきた。
これを踏まえると、今回の判決は、両政府の不一致な部分を確認しただけだと受け止めている。
問題は判決を受け、韓国政府がこれまでの対日外交の原則を変えるかどうかだが、大きく転換するとは考えにくい。
韓国政府が、日本政府にこれ以上責任を追及することはないだろう。
韓国内の問題として処理していくと確信する。つまり韓国政府としては65年の協定をもって、補償問題は終わったということだ。
最悪のシナリオとして、韓国や第三国で敗訴した日本企業の資産が凍結されるのではないかとの懸念があるが、これを最も恐れているのは実は韓国政府だ。
客観的にみて、韓国の国際的な信用度が低下するのは誰の目にも明らかだからだ。
日韓が協力して北朝鮮の核問題などを解決しなければならないときに、徴用工や挺身隊をめぐる訴訟で日韓関係がぎくしゃくすることは非常に不幸なことだ。
今回のような訴訟が日韓関係を悪化させる要因になるという認識を韓国国民も持っているだろう。
両政府は互いに相手を尊重し、円満な解決策を模索してほしい。(聞き手 岡田美月)