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徴用工判決「日本企業の資産凍結、恐れているのは韓国政府」李元徳・国民大教授

2018-12-01 16:22:49 | 日記

徴用工判決「日本企業の資産凍結、恐れているのは韓国政府」李元徳・国民大教授

2018.11.29

国民大学の李元徳教授

1965年の日韓請求権協定をめぐる両政府の立場は真正面から対立し、いわゆる65年体制は「不合意の上の合意」という形になっていたのが実情だ。

日本政府は35年間にわたる朝鮮半島支配は不法ではないという立場だ。

一方、韓国政府は1910年の日韓併合条約そのものが不法だという立場を貫いてきた。

これを踏まえると、今回の判決は、両政府の不一致な部分を確認しただけだと受け止めている。

問題は判決を受け、韓国政府がこれまでの対日外交の原則を変えるかどうかだが、大きく転換するとは考えにくい。

韓国政府が、日本政府にこれ以上責任を追及することはないだろう。

韓国内の問題として処理していくと確信する。つまり韓国政府としては65年の協定をもって、補償問題は終わったということだ。

最悪のシナリオとして、韓国や第三国で敗訴した日本企業の資産が凍結されるのではないかとの懸念があるが、これを最も恐れているのは実は韓国政府だ。

客観的にみて、韓国の国際的な信用度が低下するのは誰の目にも明らかだからだ。

日韓が協力して北朝鮮の核問題などを解決しなければならないときに、徴用工や挺身隊をめぐる訴訟で日韓関係がぎくしゃくすることは非常に不幸なことだ。

今回のような訴訟が日韓関係を悪化させる要因になるという認識を韓国国民も持っているだろう。

両政府は互いに相手を尊重し、円満な解決策を模索してほしい。(聞き手 岡田美月)

米国に尻尾を掴まれた中国、経済成長ままならず来年が危機

2018-12-01 15:35:46 | 日記
勝又壽良レポート

2018-11-29 05:00:00

米国に尻尾を掴まれた中国、経済成長ままならず来年が危機

「中国製造2025」が壁

26年前に米国は騙された

中国の早まった世界覇権論

3大業病抱える中国の末路


香港不動産下落が象徴する

米中金利逆転は来年3月に

米中首脳会談は、今週末(11月30日~12月1日)のG20サミットで開催予定です。

米中貿易戦争が、「一時休戦」するのかどうか注目されます。

事前の事務レベルの折衝では、肝心のハイテク技術をめぐる問題で溝が埋まりません。

この点が、米中貿易戦争の核心部分です。

米国には、対中貿易赤字の改善も大きな問題です。

ただ、中国が米国企業の技術窃取を是正しない限り、米中貿易戦争は解決しないのです。


米通商代表部(USTR)が、米通商法301条に基づく中国の知的財産権・技術移転政策に関する最新調査で、次のような行為が継続されていると指摘しました。

1.サイバー空間での米知的財産権の侵害行為やそれを支援する政策・慣行を継続している。

2.差別的な技術ライセンスの制限を引き続き行っている。

3.外資規制を利用して米企業に中国部門への技術移転を強制したり圧力をかけたりする。

「中国製造2025」が壁

米国の基本的な立場は、中国が前記3点の行為を中止することを求めています。

これに対して、中国が回答を渋っている理由は、習近平国家主席の肝いりで始った「中国製造2025」計画の実現が遅れることにあります。

この計画は、7年後の中国の産業構造をハイテク化して、海外からのハイテク製品輸入に頼らずとも、自立できる体制を目指したものです。

米国といえども、中国の計画を阻止はできません。内政干渉に当ります。

米国の言い分は、米国を初めとする先進国技術の窃取行為を止めることを求めているだけです。

ところが、中国は前記の3つの手段で窃取計画を継続する意思を鮮明にしているのです。

これでは、制裁を加えるしかありません。

米国企業の技術を窃取して製造した製品には、高い関税を科すという大方針を中国に突き付けているのです。

ただ、ハイテク製品以外にも対象品目が拡大されています。

家具などはそういう好対照ですが、「流れ弾」が当ったような被害を被っています。

中国は、必死になって来る米中首脳会談で、「一時休戦」に持ち込みたいと米側に申入れています。

米国の関税第3弾2000億ドル相当製品の上乗せ関税率25%(現在は10%)が、来年1月1日から実施予定です。

トランプ米大統領は、米中首脳会談で米国の望むような解決案が提示されない限り、第3弾関税上乗せ分を実行する。

同時に、第4弾として残り2630億ドル相当製品に関税をかけ、中国からの全輸入品を対象にすると迫っています。

ここまで事態が悪化すると、世界経済への影響が大きくなります。その前に、中国経済が金融的に破綻するリスクを抱えます。

26年前に米国は騙された米国が、中国の申入れに冷淡であるのには理由があります。

26年前の1992年、現在と同じような米中貿易摩擦が起こりました。

まだ、貿易戦争という規模までに大きな広がりを持ちませんでした。

中国は、今回のように米国へ「泣き」を入れて、改善を約束したのですが、結果は無残にもすべて裏切られたのです。

中国は、約束を守らない国である。米国は、このように認識したのです。

92年、米国のブッシュ(父)政権は中国と、現在と驚くほど類似点のある貿易紛争に直面していました。

その時の米中合意は、すぐに失望に変わったのです。

米会計検査院(GAO)の報告によれば、その後3年も経ずに米産業界は『深刻かつ、とどまる所を知らない』知的財産問題に直面したのです。

会計検査院は、『米産業界、特に著作権業界の代表らは、作品の著作権に関する広範な侵害が起きており、それに対処する手段は不十分だと訴えている』と報告しました。

以上の記述は、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(11月27日付「米中貿易戦争につながる『不和の過去』」からの引用です。

米国は、このように中国から煮え湯を飲まされたのです。

今週末の米中首脳会談で、中国が証拠を見せない限り、「一時的休戦」でも合意に達するのには、米国の政治的決断が必要でしょう。

問題は、米中対立の原因が貿易不均衡だけでないことです。

米中の地政学的な対立にまで発展していることです。

つまり、軍事的な対立を意味する地政学的問題は、安全保障に関わる問題です。米国は、安全保障という点で、中国に対して引くに引けない立場になりました。

中国の早まった世界覇権論

習近平国家主席は、昨秋の党大会で21世紀半ばに米国覇権に対抗すると発言しました。

従来は、「中華再興」に止めていたのが、ついに世界覇権を目指すとまで宣言したのです。これは、米国を大きく刺激しました。

ここに、米中貿易戦争は米中覇権争いの一環という位置づけに変ったのです。

米国が、貿易問題で中途半端な合意をすることは、26年前に米国のブッシュ(父)政権が冒した失敗の繰り返しになると意識させたのです。

米中関係は、当時と全く異なります。

地政学的対立になっている以上、米国は世界覇権を守ることが、自由と民主主義の防衛になるという正義論に関わってきました。

中国は、独裁政治で国民に選挙権も与えず、人権弾圧を行なっています。少数民族の新疆ウイグル自治区では、100万人以上の人々が収容所に強制収容されています。

こういう状況になった以上、先進国は対米関係で摩擦を抱えながらも、大局観から米国支援に回らざるを得なくなりました。


これが、中国の大きな誤算でしょう。先進国全体を潜在的な「敵」に回すことになったのです。

中国は、生きるも死ぬも米国次第という絶体絶命の事態に追い込まれたようです。

米中貿易戦争が、地政学的問題と絡んでしまった以上、短期的に解決する期待は持てません。

米国は妥協できないからです。「敵に塩を送るな」という言葉があります。米国は、中国に対してそういう局面になっているのです。

一方の習近平氏も、永久国家主席が可能な状況になっているので、米国と妥協すれば習氏の政治的威厳に大きな傷がつきます。

これを避けるには、米国と争わざるを得ません。まさに、舞台から降りるに降りられない事態の到来で、中国は経済的には最悪事態を迎えました。

3大業病抱える中国の末路

中国経済が抱える問題点を次に整理します。

第一は、不動産バブルによって積み上がった過剰債務が、中国の金融システムの脆弱性を招いています。

バブルは、日本の経験のように、その後遺症で20年も苦しめらます。

中国のバブルは、日本を上回る規模です。

中国の経済成長はこれまで、バブルが生んだ住宅投機が押上げました。

バブルは、社会的熱病と言われます。

後から冷静になれば、「どうしたあんな高値で買っただろうか」と反省させられるように、常軌を逸した行動の積み重ねです。過剰債務は、こうやって積み上がりました。

今、中国の不動産バブルが冷え始めています。

破裂したとは言えません。「満ちた月は必ず欠ける」と同じで、バブルが永続することはないのです。

かつて日本のバブルが崩壊した後、ドイツの蔵相が言った言葉があります。

「ドイツでは、通貨管理を厳重に行なっているから絶対に起らない」と。その通りです。緩和的な金融政策を長期に続ければ、こういう結果を招いて経済構造を破壊します。

中国バブルも長期の金融緩和政策が起こしたものです。

積み上がった過剰債務は、金融機関に不良債権として残り、それが新規融資の障害になっています。

「貸し渋り」「貸し剥がし」という日本で経験した現象が今、中国の金融を極度に逼迫化させています。

第二は、不動産バブルが中国経済を非効率化させました。

GDPの押上げが最大の目標であったので、無駄なインフラ投資や不動産開発投資が行なわれました。

効率を考えない闇雲な投資が、「限界資本係数」という値を悪化させました。

これは、実質GDP1単位を産み出す追加投下資本の単位を指す言葉です。

少ない投資で効率的な生産をすれば、投下資本係数は上がりません。

中国では、他国の2倍以上の投下資本でGDP1単位を産み出しています。つまり、非効率経済の典型になりました。

一般的な「限界資本係数」は2~3程度です。

実質GDP1単位を産み出す追加投下資本は2~3単位です。

中国の場合、5~6単位にもなっています。

中国経済の技術水準が低い結果、多量の追加資本を投下しなければ高い経済成長が実現できなかったことを意味しています。

無駄なインフラ投資と不動産バブルが招いた結果と言うほかありません。皮肉にもこれが、中国の国際競争力を奪っているのです。

対米貿易では多額の黒字を計上していますが、貿易全体の純輸出(輸出-輸入)で見るとGDPに寄与せず、足を引っ張っています。

例えば、2011年以降で、純輸出がプラスであったのは、12年、14年、17年です。後は全てマイナスです。

今年も1~9月でマイナス0.7%の寄与率です。

ここで、このパラグラフを要約しておきます。

中国の限界資本係数が高い理由は、既述の通り無駄な投資を行なっていることが原因です。

そうしなければ、高い経済成長率を達成できないという切羽詰まった理由があります。

さらに突き詰めると、技術水準が低いので多量の資本を投下する悪循環です。それが、国際競争力を奪うという矛楯の連鎖を描いています。

第三は、これまで表面化しなかった国際収支問題が浮上します。

先に指摘したように純輸出では、GDPの足を引っ張る局面がたびたび起っています。

中国の国際収支構造で問題なのは、今年の経常収支黒字が急減することです。

1~9月の実績は128億ドルの赤字です。今年は通年でどれだけの黒字を出せるか。

米中貿易戦争の悪影響を考えれば、多くを期待できないでしょう。来年は確実に赤字転落です。

これが、国際的に巻き起こす衝撃は極めて大きいはずです。国際収支上の問題は、後ろで取り上げます。

香港不動産下落が象徴する

これまでの中国の対外イメージは、「世界の工場」、「世界一の輸出高」、「世界一の外貨準備高」というきらびやかな記録に飾られてきました。

この結果、無敵の勢いで世界経済の階段を駈上ってきたのです。

ところが、以上のような問題を水面下に抱えています。急速な経済成長がもたらした「成人病」とも言えます。健康体ではありません。

国内では、不動産バブルの崩壊が始ったと見るべきでしょう。

香港の不動産価格が下落に転じた背景には、中国本土の「チャイナマネー」の流入が減ってきたことに窺えます。

香港不動産市場に流れる資金は、4分の1が中国本土の資金といわれます。

香港不動産市場は、高級住宅市場のシンボルです。過去8年間、世界一の高い相場を維持してきました。

この高級住宅価格の下落が、中国本土の不動産市場へ敏感に反応するでしょう。

すでに、北京や上海の住宅価格は頭打ちから下落に転じています。

中国は、投機目的の住宅取得が主流です。

思惑が外れたと見れば、一斉に投げ売りに転じるでしょう。投機相場の崩壊は一瀉千里です。

中国経済は、バブルという思惑を背景に動いてきました。

米中金利逆転は来年3月に

この投機的な思惑を根本から打ち砕くのは、米中金利の逆転が起る来年の3月以降でしょう。ここに注目したいと思います。

中国経済の死命を制するのは、米中金利動向です。

資金は、金利の低い所から高いところへ集まります。米中金利は、来年3月以降に逆転して米国が中国を上回る見通しが濃くなってきました。

その時起る中国からの資金流出は、中国にとって悪夢そのものになります。

中華の夢が崩れる日でもありましょう。

これまで、中国の高い経済成長をテコにして集まった資金が、中国から本格的に去ってゆく日になるでしょう。

不動産バブル崩壊も決定的になって、日本と同様に「失われた20年」が始る日になる恐れが強いのです。

長期金利の目安となるのは、10年国債利回りです。

現在、中国が3.38%前後。米国は3.08%程度で中国のほうが高い状況です。

米国は、短期金利を3ヶ月に一度0.25%のペースで引き上げています。

この状況が続くと、米国の国債利回りが上昇して、来年3月以降に米中逆転が起こり得る。そういう見方が、強まっています。

米国の長期金利が上がれば、ドル相場の上昇が起ります。強いドルに引っ張られて世界の資金は米国へ向かいます。

人民元相場は下落します。

今のところは、1ドル=6.9元台に止まっていますが、1ドル=7元突破の元安は不可避でしょう。

来年は7.5元という見方もあります。19年は、すでに指摘したように、中国の経常収支は24年ぶりに赤字が予想されます。

元安相場の流れは不可避です。

その時、中国経済に対する過剰評価は一変するでしょう。

外貨準備高は3兆ドル台を割り込みます。

経常収支の赤字転落で、「一帯一路」のように海外へ融資する余力は失われます。

経常収支が赤字では、理屈の上で言えば対外投融資の資金がなくなるのです。

経常収支赤字の原因は、貿易黒字の減少と所得収支の赤字、サービス収支の赤字によります。

中国人の海外旅行はこれまで通り続けられるか疑問です。

制限を加えることになりましょう。その時の国民の反応が注目されます。来年は、中国が耐乏生活を始める初年度と見られるのです。