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『ファーウェイ副会長、避けた米国訪問 8月には逮捕状』

2018-12-10 18:24:46 | 日記
『ファーウェイ副会長、避けた米国訪問 8月には逮捕状』

2018年12月8日(土) 朝日新聞

中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟(モンワンチョウ)副会長兼最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕された事件で、米司法当局が身柄拘束に向けて周到に準備を進めていたことが明らかになってきた。

中国と通商摩擦を繰り広げる米国に、孟氏の身柄が引き渡されるのかどうかが今後の焦点になる。

孟氏の保釈をめぐる聴聞手続きが7日、バンクーバーの裁判所で開かれ、カナダ検察が初めて容疑内容を示した。

それによれば、華為は2009~14年、実質的に傘下にある香港企業「スカイコム」を通じてイラン側と取引。

孟氏は、米国によるイラン制裁を逃れるため、決済に関与した複数の米金融機関に対して華為とスカイコムは無関係だと虚偽説明をした疑いだという。

孟氏側は容疑を否定している。

米ニューヨークの裁判所が8月にはすでに孟氏の逮捕状を出していたことも明らかになった。

孟氏は以前、米国をよく訪れていたが、米当局が華為の捜査を始めたと17年春に気づいて以降、華為幹部は米国訪問を避けるようになったという。

孟氏の逮捕は今月1日。香港からメキシコに向かう途中、バンクーバーで航空機を乗り換えるところをカナダ当局に拘束された。

旅程が事前に察知され、カナダの裁判所が11月30日に逮捕状を出していた。

米司法省は孟氏をニューヨークの裁判所に出廷させるため、カナダに身柄引き渡しを求めている。

逮捕から60日以内に米側が提出する証拠をもとに、カナダの裁判所が可否を判断する。

米国で有罪になれば最大30年間、収監される可能性があるという。

中国外務省の楽玉成次官は8日、カナダの駐中国大使を急きょ呼び出し、カナダ当局による孟氏の逮捕に強く抗議した。

楽氏は「すぐに釈放しなければ、必ずや深刻な結果を招き、カナダ側はすべての責任を負う必要が出る」と述べた。

意味は同じでもイメージが違う、『逮捕ではなくて「拘束」と表記したメディア』

この12月8日の朝日新聞デジタルの記事だけが、なぜか『逮捕』となっているが、それ以外のマスコミの表記は、他は例外なくすべて同じように『拘束』の言葉を使っていたのである。

逮捕なら捕まったファーウェイ副会長は犯罪者のイメージだが、拘束なら逆にファーウェイ副会長の方が拉致被害者のイメージになる。

(★注、たぶん、メディアは逮捕したカナダやアメリカの強引な国策捜査を暗に批判、米中の汚い紛争を危惧しているのでしょう)

金子勝‏@masaru_kaneko · 12月6日

【文字通りの貿易戦争】

ファーウエイCFO逮捕について、ボウルトン補佐官は、米中会談前にトランプは「知らなかった」という。情報独占による軍事優位を確保する思惑も加わって、中国の先端産業化を力づくでも阻止しようとする。世界経済のリスクはじわじわと押し寄せる。

『トランプ氏は拘束要請「知らず」 米中会談前、』2018年12月7日 ワシントン共同

ロイター通信は6日、米国が中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)拘束をカナダに要請していたことについて、トランプ米大統領が1日の米中首脳会談前に知らされていなかったと報じた。

米政府高官の話としている。

孟容疑者は米中首脳会談が南米アルゼンチンで開かれた1日、カナダで拘束された。

この会談に出席したボルトン大統領補佐官は6日、米公共ラジオ(NPR)に「(自分は)事前に知っていた」と明かす一方、トランプ氏については「分からない。大統領に全てを報告するわけではない」と述べるにとどめた。

金子勝‏@masaru_kaneko · 12月6日

【米中貿易戦争の激化】

ファーウエイCFO逮捕がいかに衝撃的か。

人民解放軍の技術者出身者が設立したファーウエイは研究費で世界6位、スマホやサーバーで急成長中だ。

ちなみに世界の研究費のトップを占める情報通信や医薬品で日本の姿はどこにもない。アホノミクスだ。

『日本市場で成長するファーウェイ 勢いを支える技術力の高さ』2018年12月4日 livedoorニュース

2018年、中国のファーウェイのスマホ端末は日本市場で躍進を続けているそう

日本の携帯大手3社のキャリア携帯に採用され、飛躍的な成長を遂げたという

またAppleを上回るとされるほどの開発費を投じ、技術力を高めたとのこと

金子勝‏@masaru_kaneko · 12月5日

最大の詐欺】

5日のNYダウが800ドル近く下落したが、市場関係者は景気後退懸念が急激に台頭している。ジャブジャブ金融緩和のアベノミクスでごまかしてきたが、ゴマカシがきかなくなる前に、アベは何でもアリ。民主主義を根こそぎ壊してもやりたい放題。

『11月30日、中国ファーウェイの最新型スマートフォン「HUAWEI Mate 20 Pro」が日本市場に向けて発売された』

中国IT企業トップのファーウェイのスマートフォンは、それまで世界シェア二位だったアップルを押さえて2位(世界一位は韓国のサムソン)に食い込んでいる。

通信設備の基地局では世界一のシェアは何と中国IT企業トップのファーウェイだった。

中国IT企業トップのファーウェイですが、(それまではアメリカの企業が一極支配していたのに、)第五世代の通信規格をめぐってアメリカと熾烈な暗闘の真最中であるらしい。(★注、スポーツでもITでも同じで、自分でルールを決めることが出来れば百戦百勝。必ず勝てるのである)

その世界企業の中国ファーウェイ社トップの娘が飛行機の乗り継ぎで通過するはずのカナダのバンクーバーで身柄を拘束されたのが今月の1日。

当然のことだが投資家が嫌がってアメリカでは800ドル、日本でも600円と株価が大暴落して株式市場が大騒ぎになる。



『トルドー首相、ファーウェイCFOの拘束についてコメント』2018年12月07日 Sputnik

カナダのトルドー首相は、中国通信機器大手ファーウェイ(Huawei)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)がカナダで拘束されたことについて数日前に連絡を受けていたとを明らかにした。

トルドー氏は「わが国には独立した司法があることをことをすべての人に保証できる。

関係当局は一切の政治的干渉なしにこの決定を下した」と述べた。Global Newsが報じた。

またトルドー氏によると、同氏は今回の件について外国のパートナーと協議していないという。

先に、米国が身柄の引渡しを求めている孟CFOをカナダ当局が拘束したと報じられた。



『米国、同盟国に中国Huaweiの機器の使用をやめるよう呼びかける』2018年11月23日 Sputnik

米政府は、世界中の主要な同盟国に対し、米国がスパイ活動を疑っている中国の通信企業Huawei(ファーウェイ)の機器の使用をやめるよう呼びかけた。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じた。

同紙によると、トランプ政権の役人たちは、自分たちの懸念を同盟国の政府関係者や、ドイツ、イタリア、日本などの無線及びインターネットサービスプロバイダーに伝えた。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、米軍が駐留している国々におけるHuawei機器の使用が、特に米国の懸念を呼んでいると指摘している。

消息筋によると、米国は、Huawei機器の使用をやめる国々に対し、埋め合わせとして資金援助を行う可能性を検討している。

今年初め、米情報当局は、Huaweiと中興通訊(ZTE)が製造した携帯電話を購入しないよう米国人に警告した。

米国の議員らは、両社と中国政府との「疑わしいつながり」をずいぶん前から懸念しているという。

『強引に5Gの主導権を握ろうとするアメリカの露骨すぎる思惑』

今年5月にはアメリカ国防省が『安全保障』を理由に米軍基地でのHuaweiなど中国製品の販売を禁止するし、8月には米議会が同じ理由で米軍や政府機関での使用を禁じる法案を通している。

今回のHuaweiのトップを拘束した騒ぎに関連して、ほぼ同じ時期(12月6日に4時間半)にソフトバンクの携帯電話が不通になるが、原因に挙げられているのがスェーデンの通信会社の不具合で日本以外にもイギリスなど世界11カ国で大規模な通信障害が起きていた。

★注、
ファーウェイと業務提携するソフトバンクの通信障害ですが、これはアメリカによる中国のファーウェイ排斥の動きと連動していた可能性が一番高い。

世界規模のウルトラ大本営発表『露骨すぎるインサイダー取引なのに、・・・世界中が一致して誰も何も言わない』

2001年アメリカの9・11事件でも、2011年日本の3・11でも同じで、

関連する株価が大暴落するので、もしも事前に内部情報を(1秒でも早く)知っていれば大儲けが出来るのですが、ファーウェイ社トップの娘がカナダで身柄を拘束された日付と、驚きのニュースがメディアに公開されて株価が大暴落するまでに明らかに時間差がある。

(★注、何んと、5日ものタイムラグは無茶苦茶である。Huaweiトップの拘束を米中両国もカナダも関係者双方の全員がマスコミに5日間も黙っていた)

村上ファンドの『偶然、聞いちゃったんですよ』との有名なセリフがあるが、偶然であれ何であれ、『聞いちゃった』ら明らかなインサイダー取引であり、村上世彰が逮捕投獄されているのですよ。

しかし、今のところカナダもアメリカも欧州も日本も何も動きが無い。(暴落時に空売りした全員を即座に逮捕して厳罰に処すべきで、特にアメリカでは厳しく罰せられる)

たぶん、資本主義の秩序維持では最悪のインサイダー取引以上のトンデモナイことが密かに進行しているのである。


悪魔の碾き臼である新自由主義(小泉竹中)を批判し、胡散臭い「痴漢事件」で逮捕された植草一秀

ところが、もっと胡散臭いファーウェイ社トップの娘の身柄拘束と株価の大暴落(インサイダー取引疑惑)を一切無視する態度が不真面目の極み。基本的に『有り得ない』のである。

『11月米雇用統計発表後にNYダウ急落』2018年12月 8日 (土)植草一秀の『知られざる真実』

12月7日のNY市場でNYダウが前日比558ドル下落した。

注目された11月雇用統計で雇用者増加数が15.5万人と10月の23.7万人から大幅に減少したことと、このなかかでFRB関係者から近い将来の利上げを支持するとの発言が示されたことが大きな背景になった。

週間の下落幅は3月以来の大幅なものになった。
(以下省略)

12月7日の558ドル下落は取り上げるのに、・・・直前の800ドルの下落は丸ごと無視する態度は面妖である。

これでは植草一秀の『知られざる真実』ではなくて、『知られたくない真実』だった。

何とも不真面目な植草一秀ですが、今回の800ドル暴落に対して何一つ言及しないなど経済学云々以前で、詐欺的な騙しの手法が腹立たしい。中国のファーウェイが余程都合が悪いのである。
★注、

実は、誰でも薄々感じている中国ファーウェイ幹部逮捕と株価の暴落の二つを関連付けて論じているのは金子勝ただ一人だった。

(その唯一の例外の金子勝もはっきりと誰にでも分かるように『結論』として出しているわけではなく、思いっきり薄めて、それとなく曖昧に指摘していた)

今回の場合、不真面目なのは植草一秀だけではなくて、世界中のマスコミも有識者も全員がほぼ同じ態度だった(必死で両者の関係性を隠した)のである。

『第五世代の通信規格を争う、アメリカと中国の仁義なきバトル』

日本のバブル崩壊を正しく予測した経済学者の金子勝ですが、中国ファーウェイ社トップの娘拘束が、第五世代の通信規格を争うアメリカだということは十分過ぎるほど分かっている。

(G20サミットで米中首脳秋談の日付と同じだったHua-wei創業者の

娘の拘束について、米CNNの解説者が『見事なまでの最悪のタイミングだった』と説明していると12月8日付け毎日新聞が書いていた)

パソコンのOSがウィンドウズにすることでビル・ゲイツ(マイクロソフト)は一人勝ちすることが出来たが、

同じようにこれから第五世代の新しいスマートフォンの通信規格を握ることが出来れば、

後発の日本が1970年代以降に世界に冠たる自動車大国だったアメリカを追い越した先例以上に(中国のファーウェイが通信規格を握れば)革命的な下剋上が起きるのである。

政治経済の生態学 スウェーデン・日本・米国の進化と適応

2018-12-10 17:40:18 | 日記
政治経済の生態学 スウェーデン・日本・米国の進化と適応

2017/12/31 15:24

「政治経済の生態学 スウェーデン・日本・米国の進化と適応」  スヴェン・スタインモ 著

著者は、政治学の分析対象である社会制度もまた、生命体と同様に変化・適応し、進化すると述べている。

しかし、世界経済のグローバル化の先進福祉国家に与える影響が、地球温暖化が類縁の生物種に与える影響と似ているとしても、

その影響に対してあらゆる国家が同じように適応する、もしくは世界中でこの適応が同じ結果になるという訳ではないと強調もしている。

そして、その具体例として、

著者は、スウェーデン・日本・米国という三つの異なる資本主義民主主義国が、資本主義の展開とグローバル化という同じ類の圧力に対して、

どのようにして、またなぜ、ここまで異なる適応をとってきたかを、進化と適応という視点から説明しようと試みているのだ。

1.

スウェーデン 

スウェーデンは世界でも最も重いレベルの税負担や寛容な社会福祉制度を備えた、高度に平等な国家と知られている。

同時に、スウェーデンは生産性の高い、技術的にも進んだ経済であり、世界有数の成功企業が生まれた国でもあり、国際的にも最高レベルの生活水準を達成している。

☆スウェーデン・システムの特徴

・高度な所得平等性 ・普遍主義的社会福祉と税制政策・高い労働組合組織率と経済力の集中 ・労働と経営間の融和と協調の歴史 ・世界で最も重い税負担 ・世界で最も高水準にある社会支出 ・男女間の平等度の高さ


☆普遍的福祉国家

スウェーデンと他の福祉国家との重要な違いについて、社会支出と重い税負担の度合いに注目されることが多いが、鍵となるのはその大きさではなく、普遍性と理解するのが肝要である。

このスウェーデンのシステムの基本要素は社会の中の最も貧しい、最も困窮あるいは保護を受ける資格のある家族を見つけ出し、社会支出や税控除の対象とするよりも、

ほぼ全ての国民に、それぞれの社会的、経済的状況に関係なく重税を課し、広い範囲に及ぶ恩恵を与えるものである。すなわち、誰もが恩恵を受け、誰もが負担するシステムなのである。

「福祉」や「福祉国家」といった言葉は、スウェーデンでは多くの国(特に米国)と極めて異なる意味や連想を伴う。

米国では「福祉」という言葉には否定的な含意があり、貧困層を対象に設計された資力調査付きの救貧対策を意味するのに対し、

スウェーデンで「社会福祉」は、肯定的な響きを持ち、ほぼすべての国民にとり、無償の医療から教育といった、幅広い公的政策プログラムを指す。

スウェーデンでは、「社会保護」関連支出の総計は国民総生産の31%にのぼるが、この支出の93.7%は、所得にかかわらず全ての国民に分配される。つまり、社会支出の大部分が収入にかかわらず国民に分配されているのだ。

またスウェーデン国民自身も、たとえ税が高すぎると思っても社会支出の継続を支持していることが世論調査の結果で示されている。

これに対する説得力のある説明は、スウェーデン国民が重い税負担に寛容なのは、その負担が公平に適用されていると感じているためだ。

要するに、このシステムは公平だという意識がスウェーデン国民の間に広く浸透していることと、

ほぼ全員がこのシステムに納税し、やはりほぼ全員が政府から直接給付を受けているため、

大多数の国民は、彼らの収めた税金が世界でも最良の部類に入る公教育、保育、産休、医療、有給休暇を支えそして経済が繁栄し続ける限りは、政府を支持するのだろう。

☆社会主義的自由主義

スウェーデンの政治経済システムは「社会主義的自由主義」とでも呼べるシステムだ。

スウェーデンが世界で最も平等主義的な社会であるという意味で「社会主義的」であり、また、国営企業が極めて少ないこと、

世界でも有数の開放経済であること、民間経済の方向性について政府が限定的な役割しか発揮しない点により「自由主義的」でもある。

スウェーデン・モデルの特徴は、資本と労働の極めて強い協調関係、経済力集中の度合いと労働組合組織率の高さ、そして巨大な普遍的福祉国家である。

政策決定を政治的問題というより、社会工学的問題と考えることにより、スウェーデンはグローバル化を他の国々とは全く異なる捉え方をした。

変化する環境に前進的に適応する戦略を選んだのだ。スウェーデンは、21世紀における比較優位性は、従来的な製造業ではなく、知的生産であるとの結論から、知識集約的型経済への移行を目指したのだ。

そして、教育水準の高い労働力、効率的な公共サービス、社会への信頼の高さは、スウェーデンにとって大きな強みと考えたのだ。


2、

日本

日本は世界で最も近代的な国であると同時に、驚くほど昔ながらの社会なのだ。また、日本は世界で最も社会階層制度の根強い国の一つである。

☆新旧遺伝のハイブリッド

政治制度は多くの意味で、国家の遺伝子と言える。日本の場合、これらの制度は国家に接ぎ木されたのであり、過去60年間のその大半をその適応に費やしてきたのだ。

また、第二次世界大戦後に構築された特異な選挙制度は、強い組織を持つ政党同士が経済問題や再分配をめぐって論争するという典型的な対立のない政治システムの創成に寄与して来た。

政治家は地域の選挙区に、その地域の問題を訴えて当選する。

西欧世界で通常、政党と呼ばれるものが、日本では驚くほど自律的な政治起業家によって構成される連合体になっている。

これらの政治家は派閥を構成するが、それは共通のイデオロギーや政治課題を促進するためではなく、顧客の要望に応えるためである。

このシステムは著しく地方を偏重しており、皮肉にも生産性の高い経済力の中心に不利益を生じさせている。

また悪名高い日本の公共事業は利益誘導の支出政策であると同時に、「雇用創出」福祉として働いているのだ。


☆労働組合

日本では、従業員と労働組合は「企業別労働組合」を通じて協調してきた。

多くの資本主義民主主義国家の労働組合勢力は自らの利害関心を階級的な意味で定義するが、日本の労働組合は企業の系列に沿って組織され、自らの関心を企業の経済的成功と結び付けてとらえることが多い。

だから、彼らは一般の集合財としての失業保険や年金のためというよりは、個々の企業特有の恩恵を求めて闘う傾向がある。

☆日本は福祉国家の国ではない

多くの人は、先進諸国では米国の福祉国家が最も小さいと信じている。

米国は最低レベルの公的支出、最高レベルの不平等さ、自己責任を強調する政治文化があるが、実際には日本より成熟した、幅広い貧困層向けのプログラムを備えている。

日本では他の先進民主主義国と比較して、低所得層向けの福祉プログラムや貧困層向けの支援プログラムはあまり進んでおらず、支出も少ない。

何らかの公的扶助を受け取っている世帯数は2001年に80万5000世帯である。

このような世帯の過半数は高齢世帯(37万世帯)か、障害者世帯(30万4000世帯)である。

人口が1億2000万人を超える国で、たった6万8000の「母子世帯」しか公的扶助を受け取っていない。

米国の多くの都市では、その地域だけで日本全体より多くの世帯が何らかの公的扶助を受け取っている。

日本全体として見ると、これらの公的福祉支出の不足を、企業の「福祉」支出と女性による「無料」の福祉機能によって補っているのだ。

この日本の女性が「無料」で提供している多くの機能を、スウェーデンでは女性が公的サービスとして提供し、賃金が支払われている。

これが、スウェーデンと日本の福祉国家の主な違いの一つである。

このような方法で、日本は、非常に小さな公の福祉国家を構築すると同時に、高いレベルの公共の福祉を保ってきたのだ。

また、税や社会支出はことさらに再分配効果が強いものではないが、戦後国際的にも成功した大規模な企業をいくつも輩出しつつ、非生産的で大きな経済の核を保ってきた。

それは、成功企業に重く課税し、成功しなかったものに補助金を与えている。

女性の権利を促進する法律を作りながら、公的な社会サービスを提供せず、社会サービスとしての妻等の女性に依存するものだった。

この国のシステムは近代化されていながら、同時に近代化されていないのだ。

☆衰退に向かいつつあるハイブリッド(交配種)

大規模輸出志向資本主義が、より伝統的で階層的な社会に接ぎ木された初代の交配種モデルは現在、急速な変化の局面を迎えている。

高度成長期には、日本の企業は業績が好調であったために、従業員への社会福祉給付と日本経済の大きな部分を占める非生産的で非効率な部門に対する実質的な援助を両方とも提供できた。

しかし、今日、これらの企業は極めて厳しい経済的圧力にさらされており、政府に社会福祉コストの一部を負担することや、中小企業とその従業員にも税負担を課すよう求めている。

しかし長きにわたり援助を受けてきた者達は、自分たちには余裕がないと主張し、競争力をつけるよう求めるどのような動きにも強く反対しているというのが政治的な現実である。

財政赤字のために厳しい選択肢をとれない政府とまさに同じように、中小企業や農家は、現在既に赤字経営であるために、再構築に必要な資金を賄いえないのだ。

3、

米国

☆隠れた福祉国家

近年、多くの研究者が、米国は他の先進経済諸国と少なくても同程度に、場合によってはより手厚く社会福祉(保育、医療、養育、介護など)に支出していると論証している。

従来のイメージに反して、米国と他の先進国との重要な違いは供給される社会福祉のレベルではなく、その供給のされ方と、資金調達の方法である。それが隠れた福祉国家と言われる所以だ。

米国連邦政府は、民間の福祉サービス提供に補助金を支出するにあたり、様々な方法で密接に関与しているが、租税による間接的な資金提供や補助金といったやり方が米国では好まれている。

社会福祉に対して、予算から直接支出せずに税制を通じて補助するという選択は、便益の分配に重大な影響を与えている。

一例を挙げると米国は、普遍的な保育プログラムに助成するのではなく、家族向けに保育税額控除を与えている。

同様に、国民皆保険制度を通じて全ての国民に医療保険を提供する代わりに、

雇用されて働く者の一部は、その医療保険にかかる費用の一部が所得税の対象となる所得から控除されるかもしれず、

同時に(あるいは)、もし加入する医療保険の費用が一定の状況下においてある額を超えた場合や収入が一定の基準を下回る場合には他の税額控除を利用できるかもしれない。

この書き方は、現状を極めて端的に示したものだ。

この複雑さのために、米国の社会福祉は高コストな制度になっている。

その訳は第一に、制度の複雑さを利用してごまかしをする者が多い。

もう一つには、制度が複雑なために、これを監視する官僚が多数必要である。

その複雑さとあからさまな不公平さのために、このシステムは一般歳入として徴収できる税金の額を減らすと同時に、普遍的なプログラムの拡大に対する世論の支持をも結果的には弱めている。

米国における社会移転の最大の受給者は中間層である。

しかし、中間層はあまりにも多くの給付を税制を通じて受け取るために、政府の社会支出から恩恵を受けていると実感する機会はめったにない。

要するに、米国は広範に及ぶ高額な福祉国家なのだが、その恩恵は、直接の公的支出を通して提供されず、税法を通じて巨額の支出がなされているのだ。しかもこっそりと、そして大部分が特定のグループに向けた条件付き給付であるため、隠れた福祉国家となっている。

☆米国における委員会制度とロビー活動

米国では、広い国土と文化的均質性の欠如によって、権力の分立が中央集権的な政府の樹立を阻んだが、問題は議会がいかに憲法で定められた立法義務を果たしうるかという事であった。

そして、その答えは、特定の政策分野を管轄する政治権力を特定の委員会に分散することであった。

この「委員会制度」により、中央レベルの政策を決定する権力は異なる機能を持ったユニットに分割され、それらの機能する領域について、一部の議員に統治権力が与えられたのである。

この結果として、規制政策を司る権力を、規制される側の利害関心そのものに変貌させてしまった。

そして、この意志決定モデルの意図せぬ帰結は、給付を特定層に限定し、コストを分配するのが難しい政策構造の創造となった。

米国では、公の利益を追及するために権力を制御しようと中央集権化する代わりに、権力をさらに分割し、断片化する選択をした。

このように、連邦政府への新しい時代の要求が、新しい政策決定環境を生み出し、そこでは強大な権力が委員会の長に与えられ、その結果、特定利益団体やロビー団体の影響力も強まってしまった。』

12月18日に、来年2018年10月から、日本の生活保護費のなかの「生活扶助」が、総額で年1.8%あまり削減されることが、厚労省から発表されたばかりだ。

格差と貧困が、今の時代の注目すべきワードとなるなかで、社会福祉という点で、日本の社会福祉システムがどういう位置にあるのかを他国との比較のなかで客観的に見たかった。

それも、あくまでも政治経済というシステムから独立したものとしてではなく、そういうシステムを土台とした観点から見たかったのだ。

更に、スウェーデンの高負担・高福祉の社会システムには、以前から興味を持っていた。

だから、この本の、スウェーデン・日本・米国を比較しながら、その政治経済の発展を見比べるという視点は、まさに私が今求めていた視点だったのだ。

この3国は、自由主義民主主義という点では共通するものがあるが、ほとんどその発展の過程は、全く個別の道を歩んでいるのだ。

具体的には、社会福祉という点でも、この3国が独自の進化と適応の道を歩んでいるのが、とてもよく分かった。

また、著者は、政治経済の制度的な進化と適応が必ずしも、最良のものとなるとは限らないと述べているのだが、

社会福祉という面では、現在の段階においては、スウェーデンの制度が適応という面では、若干他の2国よりうまく適応できているのかも知れない。

もちろん、スウェーデンの政治経済のシステムも、グローバル化による経済的影響や移民の流入による亀裂によって、現在揺らぎだしているが、それでもまだ比較的、国民の国家組織への信頼感の低下は限定的だと言える。

だから、高い税負担に対しても、それが適正に再配分される限りそれを受け入れようとしているようだ。

米国は、建国からの過程で中央集権化というよりも権力の分散化を望んだ為に、かえって全体の利益に繋がるような問題に対して統一した行動を取れなくなっている。

その最たるものが、医療保険に関する長年のゴタゴタだ。

しかし、反面、米国は隠れた社会福祉国家であり、普通イメージされているよりもずっと社会福祉的支出も多いようなのだ。

ただそれが税金等の控除や補助金という形で行われている為、国民がそれを実感したり、それに対して満足感を持つことが少ない。

日本は、システムの転換を迫られている。

政治経済・民主主義といった、西欧から接ぎ木されたシステムと旧来の階層社会的なシステムが色々な歪を生み出している。

過去の日本の成功を生み出した雇用・福祉・中央集権システムといったものが、すべて逆に現在の課題になって来ているのだ。

更に、巨大な財政赤字や人口減少や高齢化という問題も、待ったなしの問題となっている。

政治経済の全般における日本の諸々の差し迫った問題の巨大さは、他の2国よりもはるかに切実だ。

そして、著者も、3国の中でとりわけ日本に関しては、政治経済の全般において何も決定できないシステムに対しての強い懸念を抱いている。

しかし、これらの日本の問題を、日本が米国のようになることで、またはスウェーデンの真似をすることで解決できるかと言えば、そうはいかないと、著者は述べている。

日本は、日本の強みを考え、どうなりたいのかを、独自に考えなければならないと言っているのだ。

しかし、問題は、考える時間が日本にどのくらい残されているかだろう?

「政治経済の生態学 スウェーデン・日本・米国の進化と適応」  スヴェン・スタインモ 著

スマホ市場、中国勢が好調でサムスンに打撃

2018-12-10 17:29:26 | 日記
スマホ市場、中国勢が好調でサムスンに打撃

7~9月の販売台数、サムスン14%減、ファーウェイ43%増

2018.12.5(水) 小久保 重信

米国の市場調査会社ガートナーがこのほど公表したスマートフォン販売統計によると、今年(2018年)7~9月の世界販売台数は3億8900万台で、1年前から1.4%増と小幅な伸びにとどまった。

世界的にスマートフォン市場の成長が鈍る中、中国勢が販売台数を伸ばしており、首位の韓国サムスン電子に大きな打撃を与えているという。

サムスン、過去最大の落ち込み

7~9月のメーカー別出荷台数ランキングを上位から見ると、サムスン、中国ファーウェイ(華為技術)、米アップル、中国シャオミ(小米科技)、中国オッポ(広東欧珀移動通信)の順。

 
このうち首位のサムスンの台数は1年前から14.3%減少。

同社は今年4~6月も同12.7%減少していたが、7~9月は減少幅が拡大。ガートナーが統計を取り始めてから最大の落ち込みとなった。

サムスンは、今年3月に発売した旗艦モデルの「Galaxy S9」「同S9+」と、8月に発売した「同Note 9」で需要回復を狙ったが、苦戦を強いられたとガートナーは指摘している。

また、中・低価格帯製品分野では、中国の大手メーカーがインドなどの市場でシェアを拡大している。

これら中国メーカーは、アジア太平洋地域以外の市場でも勢力を伸ばしており、サムスンから販売機会を奪っているという。

ファーウェイ、サムスンとの差を縮める

ファーウェイは、今年4~6月に販売台数がアップルを上回り、初めて2位に浮上した。

そしてこの7~9月は、1年前から43.1%増え、2位を維持した。

ファーウェイは大中華圏でナンバー1のスマートフォンブランドであり、欧州の多くの市場でトップ3に入っている。

これに加え、中東、アジア太平洋、アフリカなどの新興市場で積極的な投資を行っており、ブランドや販路の拡大を図っている。

これにより今後も、ファーウェイと首位サムスンとの差は縮まっていくと、ガートナーは予測している。

そして、もう1つの中国メーカーであるシャオミも好調だった。

同社の7~9月の販売台数は1年前から23.7%増加。前述したとおり、この7~9月の世界スマートフォン販売台数は、1年前から1.4%増加した。

しかし、もしファーウェイとシャオミが存在しなかったら、台数は5.2%減少していたと、ガートナーは指摘している。

張夏準教授「韓国経済はいま国家非常事態だ」

2018-12-10 16:49:39 | 日記
張夏準教授「韓国経済はいま国家非常事態だ」


2018年12月10日10時12分

[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

「国家非常事態だと言わなければいけない」。張夏準(チャン・ハジュン)英ケンブリッジ大経済学科教授が規定した韓国経済の状況だ。

張教授は先月29日(現地時間)、ケンブリッジ大でインタビューに応じ、「問題がどれほど深刻かを認めることが解決の第一歩」とし、このように述べた。

張教授は文在寅(ムン・ジェイン)政権の経済政策について

「所得主導成長と最低賃金引き上げは悪いわけではないが対症療法」とし「栄養剤を与えれば、続いて体質改善をしなければいけないが、そのような話はない」と指摘した。

来年の最低賃金追加引き上げについては「自営業者の比率が6%の米国とは違い、韓国は25%にのぼり零細であるため、最低賃金引き上げを吸収する余力がない」とし「趣旨には賛成するが、現実を考慮せず、あまりにも急いだ」と述べた。

張教授は「韓国経済の問題は財閥があまりにも多くを握っているからでもなく、規制があまりにも多いからでもない」とし

「20年間にわたる投資不足と新技術不足で主軸産業が崩壊したのが原因」と診断した。


続いて「スウェーデンの事例などを見ると、

陣営論理とグローバルスタンダードに拘束されず、自らの道を着実に進んだ国が成功する」とし「政府と財閥が大妥協をし、

20-30年後に福祉国家を建設して安全網を確保するという目標で、韓国の現実に合うモデルを見いださなければいけない」と述べた。

--韓国経済が厳しいが、来年の見通しも良くない。

最近に限られた問題ではなく、最低賃金のために生じたことでもない。20年間にわたり投資をせず、中国にすべてのみ込まれているからだ。

蔚山(ウルサン)で見られるように重要な雇用が崩壊している。

金大中(キム・デジュン)、李明博(イ・ミョンバク)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、朴槿恵(パク・クネ)、文在寅政権すべてつながったのだ。

通貨危機以降、多くの投資をしたように見えるが、設備投資は半減した。

70-80年代の自動車、造船、半導体、そして90年代の携帯電話の後、韓国が新しく作ったものはない。

中国より確実に先を進んでいるのは半導体だけだが、中国政府の集中政策でこれさえも近く追い越されるだろう

--文在寅政権は所得主導成長、包容的成長を進めているが。

「分配を平等にし、所得水準が低い人たちも消費することになるため、短期的には生産にプラスになり、悪いことではないが、栄養剤注射を1本したにすぎない。

体質改善の話はない。

企業も規制緩和ばかり話すが、半導体と携帯電話で中国の追撃を受けるのは規制のためでない。

左派は最低賃金に、右派は規制緩和に執着するが、ともに大げさに騒いでいるだけだ

--代案は何か。

「国家非常事態という認識を持ってこそ解決策を見つけることができる。

中国が急速に追い上げてくるため、企業が新技術を開発し、投資をしなければいけないが、なぜできないかを分析するなら企業政策の話が出るだろう。

また、そのためには有能な若者が就職不安のために医大や法大、公務員試験に集中せず、工学部に進むようにすべきであり、これは福祉国家を建設し、社会の安全網をうまく構築しなければいけないという結論にいたるだろう」

--韓国が参考にするモデルとしてスウェーデンが取り上げられてきたが。

「成功した国は実用主義的だった。スウェーデンとフィンランドが成長と分配をうまく両立させた事例だ。

スウェーデンは所得分配が世界で最も平等だが、企業の集中度も最高レベルだ。

バレンベリーグループは一族6代目で、スウェーデンの国内総生産(GDP)の30%を占める。

サムスンや現代車とは比較にならない。

スウェーデン政界では企業が多く投資し、雇用を増やし、税金を多く出せばよく、多く持つことも問題でないとの意見が多い。

左右陣営論理から崩さなければいけない。

産業政策をするといえば韓国では過去に軍部政府がしたため右派の政策と見るが、英国では労働党政府がして左派の政策だ。福祉国家を作った人も保守政治の大家、ドイツのビスマルクだった。

福祉といえば欧州では保守政治と見るが、韓国では進歩とみる」

--福祉を増やすばかりでは破綻するという見解も多い。

「80年代以降、新自由主義化の中でも福祉国家は増え続けた。

高齢化のためだ。韓国は福祉支出がOECD(経済協力開発機構)加盟国のうちメキシコについで最も少ない

21.5%が平均だが、韓国は10%を少し超えるほどだ。

スウェーデンのような国では労働者が構造調整に命をかけて抵抗しない。

失業時には以前の月給の65-75%を受け、2年間の教育を経て政府が新しい職場を斡旋するからだ。


韓国は社会安全網がなく、職場で解雇されれば100から10に落ちるため抵抗する。

スウェーデンも1920年代にはストライキ率が世界最高だった。

1932年に社会党が執権した後、企業は福祉国家づくりを受け入れ、労働者はストライキを自制する妥協をした後、20年以上かけて完成させた。

30年を眺めて過去に経済開発をしたように、韓国も30年後の福祉国家を目標にすればできないことはない

--経済チームが交代したが、そのようなビジョンを推進する中心はやはり大統領だと考えられる。

「韓国の権力構造上、大統領が最も重要だ。今は労働者も高度な技術がなければ生き残ることができないため、革新は全国民が共にすることだ。

サムスンギャラクシーが5ポンド安いと売れるのではないため、企業も賃金1000ウォンのところを980ウォンにしたところでうまくいく時代ではない。

政府が初期に大幅投資し、企業が商用化しながら技術革新をする構造を作らなければいけない。米国が革新できるのは数人の天才がいるからではない。米国のように組織化がうまくいった国はない」

--韓国の次世代産業を挙げてほしい。

「政府の発表を見ると、10余りの新産業をするというが、これはしないというのと変わらない。

本当にする考えなら、過去に重化学工業の5、6分野をしたように集中しなければいけない。

韓国はGDP比の研究開発(R&D)投資が世界1、2位を競うが、効率性が落ちるため見直す必要がある。

お金は多く使うが、出てくるものがない。全体の研究開発投資のうち政府の比率は4分の1だが、政府と企業が対話をしない」

--大企業の危機を懸念して海外投機資本を規制しようというが、可能だろうか。

「(政界が)サムスンと現代車の支配構造をどうしろというが、海外投機資本にのみ込まれれば企業は崩壊して新産業を育成する余力がなくなる。

大企業が投機資本の影響で配当も増やし、自社株買いにお金を使う。

そうでなければ株価が落ち、M&A(企業の合併・買収)攻撃を受ける可能性があるため、そこに閉じ込められてしまった。

通貨危機以降、市場を開放したが、差別議決権制度などを導入することができる。

株式1年保有時に1票、10年以上保有すれば20票という形で短期資本の投資を制約することができる

チリの預託金制度のように投資資本が30%を寄託した後、1年以内に出て行けば持って行けず、長く保有すればすべても払い戻す方法もある。

米国と欧州が自由貿易協定(FTA)を名分に問題に取り上げる可能性があるが、グーグルとフェイスブックも差別議決権制度を使う。

あなたたちもするのに我々はどうしてできないのかと言える。

韓国の財閥が進化してきた複雑な歴史的要因があり、米国と英国で作られた経済学理論を教科書的に適用すれば葛藤を招くため、韓国に合うものを見つけなければいけない」

--親戚の張夏成(チャン・ハソン)前青瓦台(チョンワデ、大統領府)政策室長が退任した後、連絡はしたのか。

「年齢も私より10歳も上で忙しい方なので、政策室長から退いて電話をしていない。

人々は同じ一家なのになぜ考えが違うかというが、それは連座制的な考えだ。

社会を変えようという考えは同じだが、方法は私と違う。

張夏成教授は株式市場を通じて財閥を統制しようということであり、私は政治的ディールをしてより良い方向に向かうように努力しなければいけないという立場だ」


日韓リセット 松川るい の思い。

2018-12-10 12:09:22 | 日記

日韓リセット


2018年12月04日(火) 20時46分18秒

テーマ:松川るい の思い。

みなさま、おはようございます。

11月29日、韓国の最高裁が三菱重工にも徴用工に対し、またもや賠償命令の判決を出しました。

判決を出す理屈も10月30日の新日鉄住金に対する判決と同じく、「不法な植民地支配に直結した反人道的な不法行為を前提とする慰謝料請求」は日韓請求権協定によっても消滅しないという理屈です。

この判決が、1965年に結ばれた日韓基本条約及び日韓請求権協定に照らして、

ついでに言えば、韓国政府自身の従来の立場にも反するいかに荒唐無稽なものであるか、

また、なぜ、韓国は、藪から棒に、旭日旗、竹島、慰安婦と反日行為を次から次へと繰り出してくるのかについては、

前回のブログ(「韓国反日判決の存在の耐えられない軽さ」)で書いたのでできるだけ繰り返さないようにします(関心ある方はブログご参照下さい)。

今日は、前回判決から1か月たち、その間にも様々な動きがありましたので、この先どうなるのか、日本はどうすべきなのかを中心に書きたいと思います。


1.燎原の火

少なくとも戦時中の労働に関する裁判は他に12件あります。

今回、2件目も同様の判決が出たことの深刻さは、何等かの是正措置を取らない限り、今後、同様の判決が相次ぐことが予想され、その被害が甚大なものになり得るということです。

この判決の理屈に従えば、別に労働者に限らず、日本統治下において日本統治に関わって苦痛を感じた個人がいればその慰謝料を請求することも可能ということになり、

たとえば、「オイコラと警官から言われて苦痛を受けた」式の慰謝料請求だってできてしまいますから、

まさに、燎原の火のようにどこまでも賠償判決が広がり得、日本企業や日本政府に対する損害賠償もどこで終わりになるか予想もつかないという事態が論理的には導きだされます。

10月30日に既に崖っぷちに立った日韓関係ですが、

11月29日の2件目の判決により、日本側に生じ得る被害の甚大さが改めて認識されることになったわけで、日本として可及的速やかに是正措置を韓国政府に取らせなければならないという切迫感が高まったと言えます。

ここで、仲裁裁判や国際司法裁判所(ICJ)に訴えるという姿勢は、日本が自己の正当性に自信があることのアピールにはなるのですが、

所詮、仲裁裁判は韓国が同意しなければできず、ICJについても韓国は強制管轄権を受諾していないため、これらを拒否することが可能です。

そう、実際上の痛みは感じないで済むのです。


韓国がなぜ日本をなめた振る舞い(甘えた振る舞い)をするのか、それは、前のブログにも書きましたが、日本が「怖くない」からです(そして、日本に対し優位に立ちたいトラウマ)。

例えば、韓国は中国の恐ろしさは良くしっています。

直近で言えば例のTHHADの三不政策の時にも、中国は倍返しならぬ「5倍返し」とも言うべき、強烈な制裁を韓国に課しました。

実害がありました。

だから、中国に対しては気を使いますし、中国を怒らせることは極力やらないようにするのです。

でも、日本の場合は、何をやっても「遺憾である」と言われるだけで、痛くもかゆくもないのです。

また、その背景には、経済的政治的に言って、プラス面でもマイナス面でも、米、中に比べて日本の重要性が低下しており、また、韓国自身が経済発展したことにより、
日韓の国力の差がさほどなくなってきたという事実があります。

したがって、韓国に対し、行動をとらせようとするのであれば、韓国自身が「痛みを感じる」措置を取らねばなりません。

「今回は違う」ということをわからせなければならないのです。

多くの日本企業について損害が生じる可能性が高まった以上、日本政府としては、今回の判決により日本企業に損害が生じないよう、韓国政府に是正措置を速やかに取らせる必要があります。

韓国政府をして「是正措置を取らねばまずい」と思わせるに必要十分なレベルの対抗措置が必要ということです。


2.対抗措置

さて、「対抗措置」とは何でしょうか。

一般国際法上、違法阻却自由として、認められる行為の一つです(その他は、自衛、緊急避難、不可抗力、同意、遭難)。

通常であれば、国際法上違法となる行為であっても、相手国の国際法違反の是正や賠償を目的として、違法行為から生じる損害と均衡した(規模・性質)制裁措置を取ることは、「対抗措置」として、一般国際法上許容されるのです。

なお、対抗措置の目的は、違法行為を行う国に違法行為の停止や賠償を促すことですので、可能な限り相手国が義務を再び遵守できるような方法でなければなりません。

たとえば、トランプ大統領が中国に対して高関税をかけていますが、あれは、WTO上は疑義がありますが、一般国際法上は「対抗措置」と整理されるものでしょう。

ただし、手段(高関税)が中国による権利侵害(知財侵害等)と同等レベルかどうかわかりませんが。


対抗措置は、一般国際法上認められているもので特段条約が必要なわけではありませんが、国連の国際法委員会では、これを条文化する試みがなされており2001年に国家責任条文草案という形でまとめられています。

私が外務省で一番長くいた部署は条約局法規課(今の国際法局国際法課)なのですが、まさにこの国家責任条文草案の起草作業を担当をしていました。

ジュネーブに2か月ほど滞在して各国の国際法委員が議論を交わしながら起草したものです(拙論「国連国際法委員会国家責任条文草案の意義と問題点」大内記念論集、中央大学出版参照)。その時の知識を今頃思い出す事態になるとは思いもしませんでした。

さて、今回の一連の旧朝鮮半島出身労働者訴訟については、

日本企業に損害が及ぶことが予想されるので、それに見合うレベルでの対抗措置を取ることは一般国際法上許容されます。

同等の対抗措置ということになれば、日本における韓国企業の資産の差し押さえということになりますが、

措置は「均衡している」と解される限りは厳密に同一でなくとも構わないと解釈できる余地があるので、

その他、たとえば韓国の製品に高関税をかけるとか(ただし、個別法が一般国際法に優先するので、WTO違反となる可能性はある)、

韓国人に対し査証を発給しないとか、様々考えられると思います。

要するに、韓国政府をして国際法違反の状態を是正する行動を取らせるために必要な程度の措置と認定されるものであれば実際問題はいかようにも理屈はつけられるように思います。

また、実際に、対抗措置を取るまでに至らずとも、韓国政府が是正措置を取らない限り、これら具体的に韓国側に「痛み」を生じさせる対抗措置を日本は取るつもりであるということを韓国側に示唆しておくことは有益だと考えます。

韓国政府だって、韓国の最高裁が出した判決を全く無視するわけにもいきませんから(といっても本当はムンジェイン政権自身が誘導したに等しい判決なのですが)、何等か是正措置を取らざるを得ない理由が必要なのです。



3.韓国世論

この1か月の韓国世論の推移は面白いものがあります。

判決が出た当初は「正義が実現された」的な、まあ反日案件についての韓国での一般的なラインだったと思いますが、

この1か月、日本政府の断固たる態度と日本国民の怒りとあきれの報道に接したせいかと思いますが、韓国の世論も割れてきているように思います。

すなわち、日本批判一色というよりも、だんだん、「日韓関係が本当に破綻するかもしれない」という危機感、

これを回避するために「韓国政府が何等かの措置を取るべきではないか」との論調が保守派の中で高まってきたということです。

これは画期的なことです。

通常、慰安婦であろうと旭日旗であろうと、本当は、韓国国民の中にはおかしいなと思う人はいるのですけれど、

「親日的」と言われかねない声を表に出すことは憚られるわけです。

しかし、今回の判決については、時間が立つにつれ、「日韓関係を壊滅させていいのだろうか」といった論調が増えてきているわけです。

本文は昨日から書き始めたのですが、今日に至っては、日本側で対抗措置が検討されているという報道に反応して、「対抗措置は取るべきではない。日韓関係に悪影響」といった反応も出てきています。

これにはいくつか原因があります。

一つには、さすがに今回の判決はちょっとチャレンジしすぎ(韓国政府自身の立場にすら半する内容)だったということですし、

もう一つは、日本政府の反応が韓国人の予想以上に断固としていたということでしょう。

しかし、何よりまして一番大きい理由は、

ムンジェイン政権自身の経済政策の大失態と北朝鮮優先の韓国自身の安保無視の政策、

北朝鮮優先の余り米韓関係や米韓同盟に悪影響が及んできていることに不安を覚える国民が多くなってきたということではないかと考えます。


そうです。ビル・クリントンの名言「It’s economy, moron.」を引くまでもなく、政権に対する不満や疑問を国民が抱くのは、何を増しても経済です。

政治は、経済運営ができてなんぼなのです。

どっちに失礼なのかよくわかりませんが、今のムンジェイン政権を見ていると、民主党政権を思い出します。

ムンジェイン大統領自身は左翼ではあるものの、それなりにリアリズムの感覚をもった方だと思うのですが、

青瓦台に入れた側近たちは殆ど「活動家」と評するのが適当で、およそ国家を統治するとか行政を統べるといったことについて能力もなければ関心もない人たちのように思われます。

ムンジェイン政権の支持率は、経済失策に加え、今回のG20で米国にも冷たくあしらわれ、今や、48%とだだ下がりのようです。まさに、「貧すれば鈍する」といったところでしょう。

そのムンジェイン大統領は、G20の帰路「日韓関係は未来志向で」とツートラックアプローチを唱え、日韓関係が悪化しないようにしたいとの発言をしています。

結構なことですが、ツートラックアプローチというのは、加害者が言うには虫が良すぎるというものです。

過去は過去で追及するけれど、北朝鮮問題での協力は宜しくねって。

ツートラックアプローチは被害者が言うなら意味がありますが、加害者(今回の韓国)が言っても被害者(今回の日本)には響かないでしょう。

とはいえ、こうしたことをムンジェイン大統領自身が言い出したというのは良い兆候(good sign)です。大統領自身が、

この状態を何とか改善しなければならないと認識しているということではありますから。



4.日本の道

日本からすれば、慰安婦から旭日旗、竹島ときて、さらには、「徴用工」でとどめを刺された感があります。

今、多くの日本人をして、「韓国はそもそも友好国なのか。本当に日本にとって必要な国なのか」ということを問わざるを得ない状況まで追いやったのは韓国の失策です。

北朝鮮と融和して一体となれるので、もはや日本は不要と思ってしまったのかなとは思いますが、ちょっと早計だったのではないでしょうか。

日本にそっぽを向かれてみて、

意外と日本は(少なくとも安倍総理は)米国との強固な同盟関係があり、

日中関係も(米中新冷戦も相まって)改善してきており、

日本を余りないがしろにすることは、今後、北朝鮮との関係改善の中で資金援助を得るATMとして以上に、まずかったかな、と思い始めているのではないでしょうか。

当たり前です。韓国の周り中見回してみても、中国、北朝鮮、ロシア、日本とある中で、一体どの国が、韓国に対する実際上の脅威とならないのか、また、韓国に対して全うな対応をするのか、日本しかないというのは自明なのです。

もっとも、ムンジェイン政権的には、「南北統一することができれば、別に日本も中国も米国もそんなに要らないよね」という発想になるということは理解できるところです。

ただ、ここでの問題は、北朝鮮がそんなにバラ色の相手かということではあります。

それでは逆に、韓国はぶっちゃけ、どれぐらい日本にとって重要なのでしょうか。

私は、韓国が日本にとって重要な国であることには異論の余地がないと考えます。

ただし、過度に日本の外交リソースをつぎ込むべき相手ではなく、むしろ、安定した関係をマネージすることが重要です。

地理は変わらないからです。

1年前に書いたブログを詳しくは参照頂きたいと思いますが、朝鮮半島は日本にもっとも近接する地域であり、日本の安全保障政策は、7世紀の白村江の戦いから日清・日ロ戦争、日韓併合まで、一貫して朝鮮半島を敵対勢力に渡さないことを中心にしてきたのです。

もっとも、遠洋航海もできない7世紀の日本と安倍総理が飛行機で世界中訪問できる現在の日本とでは、安全保障環境も自ずと異なります。

日本は今や海洋国家であり、インド洋から太平洋までを睨んで外交・安全保障政策を展開しています。そういう意味で、韓国の重要性は、日本にとってもかつての代に比べれば相対的に落ちていることは事実でしょう。

今の日本にとって、大づかみに言えば、最も重要なファクターは強大化している中国であり、

中国からの潜在的脅威をいかに封じ込め、中国との関係をいかに生産的なものにしていくかということであり、

そのために最も重要なのが、日米同盟を中核とするインド太平洋戦略です。

今般の、G20で日米印の首脳会談ができたことは画期的であったと思います。

朝鮮半島については、日本のステークは、北朝鮮を親米国家にすること(もちろん、核の脅威を除去し、拉致問題を解決することも含む)、そして、韓国との関係を安定的なものにマネージしていくことです。

韓国とは政府間は今一な時があっても、観光はじめとする人の交流やビジネスは発展していきます。

一般の韓国の人は反日でもなんでもありませんし、日本人だって韓国料理も韓流ドラマもKPOPも違和感ないわけです。

一番ややこしいのが政府というか青瓦台なのです。

日韓の自衛隊と韓国国防部など現場は日韓や日米韓の重要性は理解していますし関係は良好です。

トップにいけばいくほどややこしい韓国政治ですが、ムンジェイン政権が過去ばかりに拘泥せずに、彼ら自身が言っているとおり「未来志向」になることこそ必要です。日本は既に過去は過去なのですから。