世界のニュース トトメス5世
経済・投資・流行・歴史ほか
2019年04月01日17:00
韓国の若者たち 競争社会に疲弊し生涯独身
韓国でも結婚しない若者が増加
出生率は0.98で人口を維持するのに必要な2.1の半分以下で、出生数は32万7千人と人口比で0.6%しかいない。
韓国の若者たちの生活スタイル
経済・投資・流行・歴史ほか
2019年04月01日17:00
韓国でも結婚しない若者が増加
出生率は0.98で人口を維持するのに必要な2.1の半分以下で、出生数は32万7千人と人口比で0.6%しかいない。
勝又壽良
Sent: Thursday, April 4, 2019 5:00 AM
「不況神」文在寅、韓国を長期停滞へ引っ張り込む危険なワナ
人口は衰退パターンへ
消費者物価は0%台に
若者が見せた涙の直訴
偏向秘書官と一蓮托生
韓国経済は現在、きわめて重要な局面にあります。長期停滞の入り口に立っているのです。
何を根拠にして、そう言えるのか。
韓国は、人口構成が長期不況のパターンに入っています。残念ながら、この重要な点の認識がありません。
人口は衰退パターンへ
その衰退パターンとは、総人口占める生産年齢人口(15~64歳)比率が下り坂に入っていることで、「人口オーナス期」と呼ばれています。
この概念は、2010年前後に一般化したために、十分に理解されていないかも知れません。
一国の潜在的な経済成長率を計測する上で、欠かせない指標となっています。
韓国の生産年齢人口比率は、2013年がピーク(73.4%)でした。
私がこれまで指摘してきた時期よりも繰り上がっていたのです。
ちなみに、日本は1992年がピーク(69.8%)でした。
これまで記憶していた数字と異なっていました。ここに、訂正させていただきます。
冒頭から、生産年齢人口比率などという、取っつきにくい話を持ち出したのは理由があります。
生産年齢人口比率がピークを付ける前(「人口ボーナス期」)は、どの国でも経済は黄金期を迎えます。
だから、「ボーナス」という名前が付くほどです。
ところが、ピークを過ぎた後は、前記のように「人口オーナス期」と呼んでいます。
「オーナス」とは負担、重荷という意味です。韓国も、人口構成が2014年以降に「オーナス期」となっています。
韓国の人口構成という「レントゲン写真」には、はっきりと黒点が映っています。
それを関係者全員が見落としています。
日本の生産年齢人口比率のピークは、前記の通り1992年でした。当時は、こういう概念が存在していませんでした。
しかし、日本経済の推移を振り返ると、1990年にバブルが崩壊し「人口オーナス期」入りの93年以降、その後遺症は成長率の低下や消費者物価上昇率の低迷にはっきりと表れました。
韓国でもそれと同じことが始まっているのです。詳細は、順を追って取り上げて行きます。
文大統領は、南北交流に政治的エネルギーをすべて使い切っている感じです。
経済問題は、二の次になっています。
現実は、二の次にできない緊急事態に突入しています。
昨年と今年の二年にわたる最低賃金の約30%もの大幅引き上げによって、経済基盤を破壊されてしまったからです。
ここで、大急ぎで最賃引き上幅を修正し小幅に戻さなければ、韓国経済は「土石流」となって押し流される危険性が高まっています。
南北交流事業の前に、国内経済対策をやらなければなりません。
本来、日本人の私が心配することではないのです。
ただ、崩壊するのを見過ごしているのも、人情として忍びがたいものがあります。
私は、日本のバブル経済の崩壊を『週刊東洋経済』の記事や社説で早くから警告しました。
この視点から、中国の不動産バブルの危機を、毎日書くブログで取り上げています。
韓国経済についても、日本経済を見る視点で分析すると、崩壊の淵をさまよい始めていると認識せざるを得ません。
消費者物価は0%台に
韓国は、今年1~3月期の消費者物価上昇率が前年同期比で0.5%に低下しました。
これは、四半期別統計を取り始めた1965年以降で最も低い水準です。
景気低迷にともなう需要萎縮で、日本型の「失われた20年」になるのでないか。そういう議論が出始めています。
価格はすべて、需要と供給のバランスによって成立します。
消費者物価も例外ではありません。
生活用品の供給では、それほど変動があるわけでありません。
となると、消費者物価上昇率が0%台に低下してきたのは、人口変動という需要要因の変化がカギを握っていると見て間違いないでしょう。
そこで、日本の消費者物価上昇率が、生産年齢人口比率のピークを打った1992年以後、どのように変化したかを見ておきましょう。
1993年は、1.1%の上昇率でしたが、94年から0.7%へ下がりました 。
これ以降は、基調として0%台、あるいはマイナスとなっています。例外は、次の年次だけです。
1997年 1.75%
2008年 1.38%
2014年 2.76%
これを見ると、韓国も0%台の消費者物価上昇率が基調になる恐れが強いでしょう。
韓国は、日本と異なるマイナス条件があります。合計特殊出生率の急低下です。
昨年は、「0.98」と歴史上、初めて「1」を割ったのです。
「2.08」の合計特殊出生率でなければ、人口は横ばいを維持できません。
それが、なんと0.98です。
絶句するほどの低出生率になりました。背景については、このメルマガでも何回か取り上げています。これが、経済の混乱を増幅しています。
若者が見せた涙の直訴
文大統領は、南北交流事業を軌道に乗せることを政治生命としている感じです。
それには、国内支援活動を盛り上げるため、労組や市民団体の強力な協力が必要です。
これら団体は、最低賃金の大幅引上げを求めている側です。
支持者の利益を保証しなければ、南北交流事業は成功しない。
文氏は、こういう政治的計算をして、最低賃金の大幅引上げに踏み切ったはずです。
そうであれば、最賃大幅引き上げによる経済混乱は放置せざるを得ません。
「所得主導成長論」というエセ理論を振りかざして突破するしかないのでしょう。
大統領府は、若者の政権批判が強いことから、青年団体の代表と懇談会を開きました。
その代表の一人が、涙ながらに次のような直訴をしたのです。
「政権が変わっても若者に対する政策は変わっていない」。
そして、「政権が変わって若者たちはいろいろと期待したが、結果的なことを言えば、若者の問題に対する政府の認識は依然として断片的だ」。
文大統領も人の子です。
今までに見せたことのない、哀しそうな顔で聞き入っており、手で口を塞ぐ表情が新聞で報じられました。
何か、必死で涙をこらえているような姿にも見えたのです。
この青年と変らない年代に、文氏は学生運動で火炎瓶を投げて抵抗していました。
大統領府に集まった若者は、暴力でなく言葉で直訴する姿に、大統領としての責任を感じたでしょうか。
若者は、純粋で直感力に優れています。
韓国経済が将来、どのような姿になるか肌で感じているはずです。
その直感力は、韓国の未来に絶望を感じ取っているようです。それは、出生率の急低下になって表れています。
今年1月の出生数が、統計を取り始めた1981年以来の1月基準で、史上最低値を記録しました。
出生数は3万300人で、前年同月比で2000人(-6.2%)も減ったのです。出産の先行指標である婚姻が、2桁の割合で減少したのです。
婚姻件数は2万1300件と、前年同月比で3100件(-12.7%)も減少しました。1月基準では最低値でした。
1970年代の出生数は、年間100万人台に達していました。今年は、30万人台以下に減少しかねないという予測が出ているほどです。
要約しますと、1月の出生数は前年比で6.2%減。
その前提である婚姻が、1月に前年比12.7%減という、まさにスパイラル的な減り方です。
この現実をどう見るかです。
「結婚も出産も個人の自由」と評論家のような発言は許されません。
大統領として考えるべきことは、大統領府で涙を流した青年の訴えが、南北問題でなく身近な悩みにあったのです。
政府は、青年の日々の暮らしの悩みを正面から取り上げていない。
そういう訴えなのです。
こうして、青年たちの不平・不満・不安は、「非婚」と「非出産」へ向かうほかないのでしょう。
韓国の政策課題は、南北の交流事業促進か内政問題の充実か、という優先度を付けるとなれば断然、内政問題でしょう。
文政権は、この順序を間違えているのです。
南北交流事業が韓国経済の起爆剤にはなりえません。
北朝鮮が、核放棄について曖昧な態度を取り続けている現在、対北朝鮮への経済封鎖は強まることはあっても、緩和が期待できる状況にないからです。
偏向秘書官と一蓮托生
大統領府は、文大統領と同じ政治思潮を持っている「同志」の集団です。
北朝鮮の「チュチェ思想」を信奉している、新興宗教の信者のような集団と見て間違いないのです。
学生運動家として権力へ立ち向かってきた彼らに、経済政策面で合理的思考があるとは思えないのです。
もともと、経済政策を論じるタイプと、反権力闘争を至上課題にするタイプでは、色合いは全く異なるからです。
かつて、日本の学生運動で名を馳せた故・西部邁氏は、学生時代に闘争に明け暮れてまともな勉強をしなかったそうです。
そこで、大学院へ進み大学教授への道を選ぶのですが、韓国の学生運動家はどういう人生過程を経て大統領府へ辿りついたのでしょうか。
この前歴不明の秘書官が、韓国政治を牛耳っているのです。
ただ、権力に任せて在野時代の欲求不満を発散させているに過ぎない人物が、何人もメディアの糾弾を浴びて失職しています。
原野をさまよっていた野武士が、たまたま「任官」したような風景に見えるのです。
権力を握る大統領府の秘書官が、経済について正しい知識も持たず、政治的な配慮優先で行なう経済政策は、韓国経済を取り返しのつかない道へ誘い込むでしょう。
現在が、その岐路にあるのです。経済政策は、専門家に任せて野武士は沈黙しているべきでしょう。
政治的野心の強い野武士が、次に始めることは、最賃大幅引き上げによる失業者増加を財政でカバーすることです。
これは、将来の財政危機を招く危険性を内包しています。
文政権が発足以降、政府から給与を受け取る国民は急速に増えています。
文大統領は、大統領選中に「政府が最大の雇用主になるべきだ」と、資本主義経済ではあり得ぬことを平気で発言していました。
その無定見な公約が今、現実化する事態になっています。
無軌道な「財政で雇う就業者」の実態を見ておきます。
『朝鮮日報』(4月3日付けコラム「就業者の4人に1人は国から給与を支給される国・韓国」)から引用しました。
1)2017年末に公務員と政府系企業など公共部門で働く者241万人。
2)民間企業の勤労者250万人も雇用安定資金で、給与の一部を国から支給。
3)中小企業に正社員で就職した若者の資産形成支援名目の「青年ネイルチェウム共済」に加入22万人。
4)企業が3人雇用すれば、1人分の給与を政府が負担する青年追加雇用奨励金の支給対象10万人
5)弱者層の雇用事業で賃金を受け取る人96万人
6)私立学校の教員や幼稚園教員約10万人も国から給与の全額または一部を支給
全て合計すると、約630万人が国の支払う給与に依存しています。
就業者全体2600万人の4人に1人に相当するのです。
文政権は、雇用の受け皿は民間であるべきという重要な前提を忘れています。
公的な雇用はできるだけ減らす。
これが、市場経済の原則ですが、文氏は大学時代に正統派経済学の授業を受けなかったでしょうか。
あるいは、左派経済学の授業であったとすれば、理解は無理なはずです。
文氏のやっている経済政策もどきは、百害あって一利なしという破滅的なものです。
大統領府の秘書官も皆同じ左派経済学では、韓国経済を衰退へ導くだけと言うほかありません。