急ぎでもないワシントン会談のために臨政100周年行事に不参加
文在寅大統領は4月10日ソウルを離れて、ワシントンで現地時間11日トランプ大統領と会った後、帰国する。
11日の上海臨時政府100周年行事には参加しないということだ。
そうしなければならないほどの緊急な事態が発生したとも思えないのに、なぜあえてそのような日程を組んだのか疑問だ。
彼は2015年11月5日に当時の野党「新政治民主連合」代表として、
朴槿恵大統領に「大韓民国は、1919年の3・1独立運動とそれによって作られた臨時政府によって建国されたのではなく、1948年8月15日に初めて建国されたということが政府の見解なのかと公開的に尋ねる」と質問し、次のように発言したことが記録されている。
「1948年に建国されたとすれば親日反逆者らが大韓民国建国の主役になる。
政府と与党が作ろうとしている国定教科書の目的がまさにそれだと私は考える」
彼は大統領として2017年12月16日、中国の重慶の旧臨時政府庁舎を訪問した席で
「臨時政府は私たち大韓民国のルーツです。2019年は3・1運動100周年であり臨時政府樹立100周年になり、それはすなわち大韓民国建国100周年なのです」と言った。
ところで、昨年「大韓民国建国70周年」を祝わなかった文在寅政権は、今年、「大韓民国100周年」を記念しないで、ただ 「大韓民国臨時政府100周年」としている。
大韓民国は突然に誕生日がない国になってしまった。
しかも北朝鮮と共に3.1節100周年を記念するという約束も、金正恩の約束破りで実行されなかった。
金正恩が大韓民国100周年を嫌ったので、こっそりと建国100周年行事を取りやめたという話に説得力があるのは、この政権がなぜ建国100周年を記念しないのか説明しないためだ。
文在寅大統領は、大韓民国をまだ建国されていない、だから誕生日がない私生児的存在に転落させたわけだが、北朝鮮政権のことをどのように見ているのだろうか。
文大統領は2018年9月の平壌5・1競技場演説で自分のことを「南側大統領」と紹介した後、金正恩のことを「国務委員長」と呼んだ。
大韓民国を南側という地方に格下げして、いわゆる朝鮮民主主義人民共和国を「国家」と見る表現法だった。
それなら我々韓国の国民は質問する権利と義務がある。文在寅氏の祖国はどこなのか。
1948年の建国を認めることはできない理由が、親日反逆者らが建国したからなのか。
そうであるなら李承晩は親日反逆者なのか。初代内閣に親日反逆者と見ることができる長官がひとりでもいるのか。
「親日-独裁-軍部-保守-反共-産業化勢力は偽善と虚偽の勢力」
文在寅大統領は自叙伝である『文在寅の運命』で毛沢東を崇拝する左翼学者李泳禧氏の影響を最も多く受けたと書いている。
彼がベトナムの共産化を予告し、それが現実になるのを確認した時には「喜悦」を感じたという。
文大統領は他の対談集では次のように話している。
「親日勢力が解放後にも依然として権力を握り、独裁勢力と安保を口実にしたニセ保守勢力は民主化以後も私たちの社会を支配し続け、そのときそのとき化粧だけを変えたのです。
親日から反共にまたは産業化勢力に、地域主義を利用して保守という名に、これが本当に偽善的な虚偽勢力です」(文在寅著『大韓民国が尋ねる、完全に新しい国、文在寅が答える』)
大韓民国の建国勢力を「親日反逆者」と考えて、その後の大韓民国の主流勢力を「親日-独裁-軍部-保守-反共-産業化勢力」と規定して、
「偽善的な虚偽の勢力」だと憎悪する大統領が、そのような勢力よりはるかに危険で毒悪な金日成勢力に対しては意味ある批判をしたことがない。
このような人が果たして金正恩の核兵器から国民の自由・生命・財産を守って韓米同盟を維持しようとするだろうか。
首都圏にサードミサイルを配備せず、核兵器に備える避難訓練もせず、首都圏上空に我が国空軍の手足を縛る飛行禁止区域を設定したのは、多数の国民の安全より金正恩ひとりの幸福のほうがさらに大切だという考えの反映だと見るほかはない。
もちろん憲法第10条などにある国民の生命権を放棄したということだ。
彼の文章、発言と政策を見れば、憲法の出発点である国民主権論に反する階級的歴史観によって、敵味方を区分して国民を2分している。大
韓民国憲法は共産主義と北朝鮮労働党政権を敵であり悪だと見るように命令しているが、憲法守護者でなければならない文大統領はその命令を拒否する。
このような大統領が核武装した金正恩から国民の生命・財産・自由を守る意志があるのか、特に韓米同盟を守護する心があるのか。
上海臨時政府100周年を称えるためには、臨時政府の初代大統領李承晩を称賛せざるをえない。
ハングル創作を記念しながら世宗大王について、また三国統一を評価しながら金庾信についても言及しないわけにはいかないのと同じだ。
文在寅大統領が4月11日を選んで祖国を離れてワシントンに行くことにしたことは、一歩遅れて上海臨時政府と李承晩の切ろうにも切れない関係がわかったためではないか。
李承晩が1945年10月に帰国した時、彼は共産党勢力と韓民党勢力の両方から指導者として推戴を受けたが、これを断って左右を網羅した汎国民組織である独立促成中央協議会を構成し、指導者になった。
1919年に臨時政府を推進した3つの団体全部が李承晩を指導者として推戴したのと結びつけてみれば、大韓民国建国と独立運動から李承晩を消すことは不可能だということを切実に感じることになる。
文在寅大統領もこの事実を遅まきながら知って、不都合な行事への参席を避けるためにワシントン行きを選択したのだろうか。
文大統領は、北朝鮮労働党政権が金日成による抗日運動をねつ造するために3・1運動と上海臨時政府を嫌うということも、最近になり知ったのではないだろうか。
金正恩が嫌うから3・1節と臨時政府100周年行事に対する関心が低下したのではないか。
要するに大韓民国に対する愛情がないという話だ。 建国70周年でもなく、建国100周年でもないならば、大韓民国は誕生日のない私生児的存在だ。
それなら北傀(北にある傀儡政権)と呼ばれた朝鮮民主主義人民共和国が韓民族のチャンピオンで、韓半島の正統国家ということなのか。
大統領として最初にした仕事が親大韓民国の教科書廃棄
文在寅大統領が就任後最初にした仕事は、大韓民国の正統性教育を強化した国定歴史教科書を廃棄したことだ。
2017年5月12日尹永燦・国民疎通首席秘書官は次のように説明している。
「大統領は常識と正義を正す次元で歴史教育正常化のため国定歴史教科書の廃止を指示しました。
国定歴史教科書は旧時代的な画一的歴史教育と国民を分裂させる敵味方二分教育の象徴で、これを廃止することでこれ以上歴史教育が政治的論理によって利用されてはならないという大統領の確固たる意志を見せたのです。
このために教育部に、2018年から適用予定だった国定・検定混用体制を検定体制へ転換すると直ちに修正告示するように指示しました」
文大統領はそれに続いて、大韓民国の正統性を否定するために英文解釈までねつ造した学者を重用した。
1948年12月、国連総会が「公正な選挙でスタートした大韓民国政府は韓半島の唯一の合法政府」と認める決議をしたが、これを「38度線南だけでの唯一の合法政府として認定した」と歪曲した人を大韓民国歴史博物館の館長に任命したのだ。
現政権は文在寅式の歴史観を反映して、2020年から使われる中・高校歴史教科書で「自由民主主義」と「韓半島の唯一合法政府」という表現を使わないようにさせた。
国家の正統性とアイデンティティーが集約した表現を消したのだ。国家の魂を抜いてしまおうとしているのだ。
「南側大統領」と「国務委員長」
文在寅大統領は2018年9月19日に平壌5月1日競技場で、大韓民国の憲法精神と国家の正統性を放棄する演説をした。
「南側大統領として金正恩国務委員長の紹介で皆さんに挨拶をすることになり、その感激を言葉で表現できません。」
「南側」は国号でなく地域だ。地域代表は自動的に国家を代表する国務委員長の部下となる。大韓民国憲法精神をくつがえす上下関係だ。
文大統領は「私たちの民族の運命は私たち自ら決めるという民族自主の原則を確認」し、金正恩と「自主統一の未来を早めようと堅く約束」したと話した。
こは「自由民主的基本秩序に立った平和的統一」を規定した憲法第4条に全面的に違反している。
「自由」と「平和」が抜け落ちた「自主」とは米軍を追い出す統一を意味する。
金正恩は民族共助を反米共助と解釈する。金日成集団は民族反逆者であり、そのような民族反逆者と共助するのは自動的に民族反逆行為であるのに、文大統領はこれを「自主統一」だとした。
韓米同盟解体を統一の条件と考えているという暗示だ。
文大統領は、「私は、私とともにこの大胆な旅程を決断し、民族の新しい未来に向かって足音を立てて歩いている皆さんの指導者金正恩国務委員長に惜しまない賛辞と拍手を送ります」と語ったが、脈絡からしてその旅程とは「自主統一」すなわち米軍を追い出した後の共産化統一という意味に解釈するほかはない。
ある脱北者はこの演説を聞いて、ひょっとして北側が書いた通りに読んだのではないかと推測した。
文大統領は続けて「金正恩委員長と北の同胞が(中略)難しい時期にも民族の自尊心を守り、最後まで自ら立ち上がろうとする不屈の勇気」を見たと述べた。
これは核兵器を開発し人道に悖る犯罪で国際的孤立を自ら招いた北朝鮮を称賛したものと解釈される。
国際制裁で北朝鮮を難しい時期に追い込んだアメリカと国連など文明世界を敵視する姿勢が隠れている。
この演説直後にアメリカの著名な保守評論家ゴードン・チャンは、2018年秋の自身のツイッター(@GordonGChang)に以下のように書いた。
「文在寅は北朝鮮のエージェントかもしれない。
エージェントであってもそうでなくとも、私たちは彼をエージェントだと見なさなければならない。
彼は自由、民主主義、そして韓国に反逆している。彼は危険だ。
(Moon Jaein could be a North Korea agent,yet whether he is or not we should treat him as one. He is subverting freedom,democracy and South Korea. He is dangerous.)」 そこにアメリカのタフツ大学の李ソンユン教授(@SungYoonLee1)がコメントをした。「文は苦難の時期、北朝鮮のエリートが『民族の自尊心を守った』と話したがこれは北朝鮮労働党がいつも使っている表現だ(Moon also said that the Pyongyang elite had “defended the pride of the Korean ethnic nation during arduous times.” Straight out of KWP.)」
「自由」を意図的に忌避する大統領
文大統領は大韓民国憲法の最高価値である「自由」という言葉を極度に忌避する。
2019年新年記者会見における単語別言及回数は次のとおりだ。
経済35,成長29,革新21,平和13,公正10,雇用9,韓半島6,改革3,北朝鮮3,積弊2,清算2,ロウソク2,両極化2,平等2,民主2,大韓民国1,安保1,自由0。
4・27南北板門店宣言では平和11,民族10,韓半島9,繁栄5,統一3,非核化3,自由0だった。
文大統領は2018年年頭会見の演説でも「自由」を一度も使わなかった。これは徹底した意図的な用語選択だ。
「自由」を極度に嫌って、安保にはこれといった関心がなく、北朝鮮労働党政権と左翼が喜んで使う言葉である、民族、平和、改革、清算、統一、平等が好きだという推理が可能になる。
「自由」を嫌うのは国家アイデンティティーの否定で、自由な選挙で樹立された大韓民国建国を否定するのは国家正統性と民主的正統性の否定だ。
これは大韓民国の総体的否定だ。 彼の言語生活そのものが階級的意識を反映している。
「建国」と「自由」をこのように嫌う人が国民の生命と自由を守る韓米同盟を大切に思うだろうか。さらに調べてみたい。
金正恩の子犬たち
北朝鮮同胞に対する人権弾圧に冷淡な文大統領は、金正恩に対しては格別の感情を表わす。
文在寅大統領は旧正月連休であった2月6日の昼食を大統領秘書室長および首席秘書官らと共にトック[韓国式お雑煮]の代わりに大統領夫人である金正淑女史が準備した温飯[汁かけ飯の一種。
平壌料理]にしたという。金女史は「正月には普通、トックを食べるが、北では温飯もたくさん食べる」と言って「暖かい食べ物なので平壌から来られるお客さんのことを考えて準備した」と話した。
2018年12月25日、文在寅大統領はクリスマス・メッセージをインターネットに発信したが、金正恩がプレゼントした豊山犬の子犬6匹の写真がついていた。
写真説明は「金正淑女史と会った子供たちが毛糸で作ったマフラーをまいたコミーの子どもたちの姿」だった。
2018年11月11日大統領府ツイッターは「平壌訪問時、金正恩委員長から贈り物としてもらった豊山犬の「コミー」が金曜日(11月9日)明け方に子犬6匹を産みました。
雄と雌3匹ずつ、全部白色、みんな元気に見えます。犬は妊娠期間が2ヶ月程度なので、「コミー」が子犬を身ごもったまま私たちのところに来たことは明らかです」と書いた。
文在寅政権の下の報勲処は、朝鮮労働党員でも抗日の履歴があって、北朝鮮政権樹立に直接寄与したことがなければ勲章を与えられるように叙勳基準を変えたのに続き、北朝鮮政権要人でも抗日運動をしていたら勲章を与えることができる方向で検討もしているという。
大韓民国に敵対したとしても、すなわち国家反逆の罪を犯したとしても、「抗日」でそれを見逃してしまうということは、階級的民族主義または超国家的発想だ。この論理のとおりならば民族反逆者金日成にも勲章を与えることができる。[2019-04-07]