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元駐日大使の憂国の弁 文在寅政権は我が韓国の「信用」を失った

2019-04-26 18:22:00 | 日記

元駐日大使の憂国の弁 文在寅政権は我が韓国の「信用」を失った

【全文公開】――文藝春秋特選記事

 

2018/12/14(金) 7:00配信

文春オンライン

  

元駐日韓国大使・柳興洙(ユ・フンス)氏

黒田 今、日韓関係はここ数年で一番冷え込んでしまっていると言ってよいかもしれません。

 10月30日、韓国の大法院(最高裁判所)は、「第二次大戦中に日本企業に徴用されて強制労働させられた」とする韓国人男性が新日鉄住金(当時・日本製鉄)に損害賠償を求めた訴訟の差し戻し上告審で、訴えを認める判決を下しました。

11月29日には三菱重工業に対する判決も言い渡されました。

いわゆる「徴用工問題」では長年、日韓両政府は「1965年の日韓請求権協定で解決済み」という立場を取ってきたにもかかわらず、です。

また、11月21日、韓国政府は、2015年の「日韓慰安婦合意」に基づく元慰安婦支援の「和解・癒やし財団」の解散も一方的に発表しました。

 日本の世論は「韓国は国と国との約束を守れないのか」と相当、反発しています。

そこで、“知日派”として知られ、日韓慰安婦合意の時に駐日大使をされていた柳さんのお話を聞こうと思ったわけです。

柳 直近のこういった出来事が韓日関係を悪化させているのは間違いありません。

また日本人が「韓国がやっていることはおかしい」と考えるのもよく分かります。

 私の愛読書に、アメリカの生物地理学者ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』があります。あらゆる研究分野の知を結集して人類史の謎に迫ったベストセラーです。

 その本の中に、次の一節があります。〈韓国人と日本人は成長期を共にすごした双子の兄弟も同然だ〉。

私も心からそう思います。

韓日両国は本来、互いを兄弟だと認め合い、協力して生きていかなければならない存在なのです。

しかし今、私たちはそれとは真逆の方向に歩いて行こうとしている。とても悲しいことです。

 柳興洙(ユフンス)氏(81)は、韓国有数の“知日派政治家”である。

 韓国南東部の慶尚南道・陜川生まれで2歳の時に家族と共に渡日し、少年期を京都で過ごした。

1949年、小学校5年の時に帰国。1

962年にソウル大学を卒業後、内務省(現・行政安全部)に入り、治安本部長(警察庁長官)、忠清南道知事、全斗煥政権の政務首席秘書官等を歴任した。

1985年に国会議員に初当選。

2004年の政界引退まで国会議員を4期務め、日本語は完璧で韓日議員連盟幹事長に就くなど日韓交流に尽力した。

落選期間中の1989年には京都大学に1年間留学し、ロシア思想史研究の大家・勝田吉太郎教授に師事した。

 2014年から2年間、朴槿恵政権下で日本に豊富な人脈を持つ人物として駐日韓国大使に起用された。日韓国交正常化50周年となる2015年の「日韓慰安婦合意」に舞台裏でかかわった。

柳 黒田さん、覚えていますか。私の大使就任をスクープしたのは、韓国のメディアではなく、日本の産経新聞だったことを(笑)。

黒田 あのネタは情報機関筋から入手したんですが、あの時、電話で「僕はソウル京都大学同窓会の会長ですが、京大の“後輩”にあたるあなたが僕に連絡しないのはケシカラン」と冗談半分で言いました(笑)。

柳 そうだったかな。でも、大使になるかどうかは、家内にしか相談していなかったんですよね。

 

安倍晋太郎と爆弾酒

 

 

柳氏は朴槿恵大統領に仕えた

黒田 改めて、大使に就任した経緯を教えていただけませんか。

柳 2014年7月のことですが、朴槿恵大統領の金淇春秘書室長から電話がかかってきました。彼は私のソウル大同級生です。「最近どうだ」「忙しいと思って連絡しなかったよ」。一通り世間話を終えた後、翌日の朝食に誘われました。

 翌朝、ソウル市内のホテルで会った金氏から「今、韓日関係が非常に悪い。キミは日本語もできるし、人脈も多い。日本大使には一番適当だ。やってくれないか」と言われたんです。私は歳も歳だった(76歳)ので非常に驚き、「2、3日考えさせてくれ」と言ってその日は帰りました。色々と考えて、「健康状態はまだ大丈夫だ。韓日友好のために自分が力になれれば本望じゃないか」と思い、引き受けることにしたのです。

黒田 朴槿恵大統領からは、直接何か言われましたか。

柳 はい。「来年(2015年)は国交正常化50周年という節目だから、新しい韓日関係の元年になるように私も頑張るので」と言っていたことを覚えています。実は、昔から朴槿恵大統領のことはよく知っています。彼女は国会議員の後輩で、国会の外務委員会ではずっと隣の席だったからです。よくメシに誘ったのですがいつも断られました。彼女は真面目すぎて冗談も言わない。人とあまり食事もしないんですね。

黒田 朴槿恵大統領は、その生い立ちや両親を政治的事件で早く亡くしたことなどから、人間不信や警戒心が強かったと思いますね。このトラウマが大統領としての政治的力量不足にもつながったと思いますが、大使として赴任された後、一番大変だったことは何でしょうか。

柳 「日韓慰安婦合意」をめぐる水面下の交渉はもちろん骨が折れるものでした。しかし、個人的に思い出深いのは同じ年の6月22日に行われた「日韓国交正常化50周年記念レセプション」です。

 この日は、東京・ソウルの双方でレセプションが同時開催される予定でした。しかし、直前まで韓日両首脳の出席は未定のまま。3日前になり、日韓議員連盟幹事長の河村建夫さんから急に「もし安倍総理が東京で出席すれば、朴槿恵大統領もソウルで出席できますか」と電話があった。「はい。私が責任を持ってそうさせます」と即答しました。そして調整の末、安倍総理は東京、朴槿恵大統領はソウルで出席し、尹炳世外相が東京で朴槿恵大統領の祝辞を代読することが決まりました。これで上手くいく――そう思いました。

 ところが当日になって、日本の外務省が「安倍総理は国会が忙しいため自分の祝辞を述べたら帰ります」と言ってきた。驚いて、「それは絶対にダメだ。朴槿恵大統領の祝辞を聞かずに帰るなら来ない方がマシだ」と言ったんです。

黒田 記念行事の「真実味」がなくなってしまいますからね。

柳 そうです。時間も迫っており、事務方と話しても埒が明かない。そこで私は信頼する日本政界の大物に電話をして、「これでは韓日関係はもっと悪くなる。総理が忙しいのは分かるが、何とかならないか」と頼んだんです。その方は「分かった」と言いました。結局、安倍総理はレセプションの最初から最後まで出席してくれました。そして11月には首脳会談が行われ、12月に「日韓慰安婦合意」が実現したのです。

黒田 そういえば、柳さんは安倍総理のことは昔からよく知っているとお聞きしています。

柳 お父上の安倍晋太郎さんと親しかったのです。1980年代、晋太郎さんが外務大臣をお辞めになる直前、釜山で一緒に爆弾酒(ビールとウイスキーを混ぜた韓国式カクテル)を飲み交わしたことがあります。隣の部屋には秘書が待機していたのですが、それが若き日の安倍晋三さんでした。彼は決断力のある優れたリーダーになりましたね。国益が何かを柔軟に判断できる「実利的」な人だと思います。

 

10億円はどこへ?

黒田 ここからが本題です。こうした柳さんたちの努力によって形づくられてきた「良い日韓関係」は今、音を立てて崩れつつあります。

 たとえば慰安婦合意に基づいて日本が10億円を拠出して設立した「和解・癒やし財団」の解散ですが、朴槿恵政権の後に誕生した文在寅政権は発足当初から慰安婦合意に否定的でした。そしてわざわざ検証委員会で調査し、今回、「真の解決にはならない」と解散してしまいました。

 日韓慰安婦合意は国際的にも米政府や当時の潘基文・国連事務総長が肯定的に評価するなどウケは良かった。それを一方的にひっくり返した韓国に対し、日本では不満と不信が噴出しています。柳さんは文在寅政権のこの判断をどう見ましたか。

柳 今回の一方的な合意破壊はよくない判断だと思っています。

 この合意は韓国にとって日本との“外交交渉”としては画期的で評価すべきものだと自負しています。なぜならば、慰安婦問題に関して日本から3つの大きな譲歩を引き出しているからです。(1)日本が〈軍の関与〉を明確に認めたこと。(2)〈安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として(略)心からおわびと反省の気持ちを表明する〉と初めて総理の名前で謝罪をしたこと。(3)10億円の資金は国家予算から出ていること。特に(2)について、日本政府はこれまで総理の名前で謝ったことはありませんでしたから。

黒田 3点とも市民団体をはじめ韓国側が執拗に日本に要求してきたことですよね。それに「10億円の資金」については、当事者である元慰安婦の70%以上はすでに支援金の支給を受け、合意を了解しているという事実があります。

柳 そうです。韓国人としては非常に言いにくいことですが、支援の市民団体と一緒に行動して日本を延々と非難しているハルモニ(おばあさん)は今や少数派なんです。大多数は合意にOKしていたのです。

黒田 現在、存命のハルモニは27人。市民団体の運動に加わっている人は10名足らずだと思いますが、市民団体や政府が、少数の意見を元慰安婦の総意であるかのように主張しているという構図は、韓国でも意外に知らされていないですね。

柳 当時、間接的に耳にしたところによると、市民団体の人たちも、政府サイドから「今後もあなたたちが活躍できるような、例えば『国際的な女性の人権』という分野など立派な仕事がたくさんあるではないですか」と言われ、内々では合意を了解していたという話もありました。

 検証委員会の調査結果を受け、文在寅大統領は「手続き的にも内容的にも重大な欠陥があった」と指摘しましたが、具体的な内容には文句をつけていません。結論ありきの「言い訳」という感じでしたね。

黒田 韓国では国家が後退し、市民団体や労働団体などの“無理筋”の声が強くなったせいでしょうが、文在寅政権はそれらが支持基盤ですから、その声に弱いんですね。

 それから、「徴用工問題」です。日本社会は「なんであんな判決が出るの?」と驚き、反発しています。

柳 1965年の日韓請求権協定に基づき、当時の韓国政府が日本政府から無償3億ドル、有償2億ドルの供与を受けたのは歴史的事実。私は、元徴用工に関する請求権もこの協定に含まれていると考えています。国家と国家が締結した協定は絶対的に守らなければならないのは外交の大原則です。

黒田 しかし、大法院は判決で「元徴用工“個人”の請求権は『日韓請求権協定』では消滅していない」と言っていますよね。

柳 その点は留保すべきだと思います。私は法律の専門家ではありませんが、確かに“個人”として元徴用工が請求できる法的権利までは失われていないと考えています。

黒田 と、したとしても、それは韓国政府が代わって資金を受け取っているわけですから、韓国政府が処理すれば済む話ですよね。

柳 だから、「韓国の民事判決」が“韓日決裂”という外交問題に発展している今、それを解決する責任は間違いなく韓国政府にあるということです。「司法の判断であり行政は関係ない」と知らん顔をしてはいけません。韓国政府はどう解決するか悩みに悩む必要がある。文在寅政権がそれをするかどうか、心配です。

強くなりすぎたNGO的発想

 

 


マイナス成長、失政を認めない韓国大統領府の独善

2019-04-26 18:12:03 | 日記

(朝鮮日報日本語版) 【社説】マイナス成長、失政を認めない韓国大統領府の独善

4/26(金) 9:22配信    

    

朝鮮日報日本語版

 韓国の1-3月期の経済成長率が前期比0.3%減となり、過去約10年で最悪を記録した。

2017年10-12月期の0.2%減に続き、文在寅ムン・ジェイン)政権発足後で2回目だ。

通貨危機以降の四半期別成長率でマイナス成長だったのは、

盧武鉉ノ・ムヒョン)政権発足当時にSARS流行で1回、

李明博(イ・ミョンバク)政権当時に世界的な金融危機で1回あっただけだが、

文在寅(ムン・ジェイン)政権では特別な危機要因もない状況で2回もマイナスを記録した。

税金ばらまきで無理に成長率を押し上げたものの、年初に予算執行がやや遅れたことでたちまち実態が露見した。

税金投入の効果が切れればマイナスに転落するほど深刻な経済状況にあるということだ。
 

青瓦台は「外部の経済要因のせいだ」と言う。

確かに半導体の好況が終わり、輸出は5カ月連続でマイナスだ。

しかし、マイナス成長に陥るほど世界経済の状況が悪いとは言えない。

中国は1-3月に6.4%(前年同期比)という予想以上の成長を達成し、米国も2%台(年率)の堅調な成長が見込まれている。

多くの国が成長を維持する中、韓国だけ成長に急ブレーキがかかった。

景気状況を示す同時・先行指数は1970年の統計開始以来初めて9カ月連続で同時に低下している。

6カ月後の景気状況を示す景気先行指数の低下は、今後も成長不振が続くことを意味する。

 青瓦台の説明とは異なり、マイナス成長は内部的な要因が大きい。1-3月の設備投資は10.8%減少し、通貨危機以降の21年間で最悪を記録した。

製造業の生産は2.4%減で過去10年で最悪。

消費は0.1%の伸びにとどまり、過去2年余りで最も低調だった。

経済成長の3大軸である生産、投資、消費が一斉に不振に陥った。

どれを取っても良い指標はない。

オイルショックや通貨危機の当時にもなかった状況だ。

南欧の財政危機や税収欠損に直面した朴槿恵(パク・クンヘ)政権でもマイナス成長はなかった。

ところが、文在寅政権が発足すると、突然成長不振に陥り、低成長が定着する兆しを見せている。

結局は政策失敗のせいだと言うしかない。
 

急速な最低賃金引き上げといった行き過ぎた労働者偏向政策が市場の活力を損ねている。

大企業に対する捜査といった一連の反企業路線が企業の意欲をそいでいる。

昨年企業は国内投資を減らし、海外投資を増やした。

雇用と成長動力が国内の劣悪な環境を避け、海外に流出したことを示している。

設計を誤った所得主導政策が経済の活力を低下させ、成長エンジンを切ってしまう逆効果を生んだ。

政府が政策の正当性をこれ以上弁明することは難しい状況に至った。

反市場・反企業の所得主導成長路線を放棄し、経済の運用基調を全面的に見直すしか解決策はないというのが経済専門家に共通する指摘だ。
 

それでも青瓦台は「政策失敗という指摘には同感しない。

基調に変化はない」との立場を表明した。

マイナス成長に対する反省どころか、良い指標を周知するための経済広報を強化する方針だという。

青瓦台が政策の誤りを認めず、独善に陥っている限り、低成長のわなから抜け出す方法はない。


外国人材「特定技能」第1号は女性2人 農業のカンボジア実習生

2019-04-26 17:54:17 | 日記

外国人材「特定技能」第1号は女性2人 農業のカンボジア実習生

 外国人労働者の受け入れを拡大する新制度で、出入国在留管理庁は26日、カンボジア国籍で技能実習生の20代女性2人に、新たな在留資格「特定技能1号」への資格変更を許可する通知書を送ったと発表した。

業種は農業。新資格の第1号取得者となる。

また、特定技能1号の外国人を支援する「登録支援機関」になることを希望する法人や個人から19日までに計1176件の登録申請があり、うち8件を認めた。

 入管庁によると、19日までに、過去に技能実習生として日本で働き現在は海外在住の23人と、日本で実習中の4人から新資格取得の申請があった。

申請が認められたのは実習中の2人。残る申請者についても順次判断していく。

 2人は大阪府に本社がある農業経営の会社で約3年の技能実習の経験を積んだ。

今後、本人か代理人が必要書類や手数料を持参し、大阪出入国在留管理局で手続きをすれば、特定技能1号の在留カードが交付される。

2人は主に和歌山県御坊市などで働く予定だ。


サムスンが折りたたみスマホの発売を延期「韓国製造業の神話が壊れた」=中国

2019-04-26 17:21:57 | 日記

サムスンが折りたたみスマホの発売を延期「韓国製造業の神話が壊れた」=中国

サーチナ / 2019年4月26日 13時12分

写真                                                                        

                        韓国サムスン電子が、折りたたみ式スマートフォンの発売を延期したことについて、中国メディアは、「韓国製造業の神話が壊れた」と伝えた。(イメージ写真提供:123RF)                    

 韓国サムスン電子が、折りたたみ式スマートフォン「ギャラクシー・フォールド」の発売を当初予定の26日から来月以降に延期すると発表した。

これについて中国メディアの今日頭条は24日、「韓国製造業の神話が壊れた」とする記事を掲載した。
 

ギャラクシー・フォールドをめぐっては、発売を前にサムスンがレビュー機をメディア関係者などに配布していたが、

わずか1日から2日で不具合がいくつも報告され、直接の関係性は不明だがサムスンはギャラクシー・フォールドの発売を延期することとなった。
 

これを踏まえて記事は、専門家による話として韓国が近年力を入れてきた科学技術に「疲れが見えてきた」と分析。

韓国で「最強」のサムスンのスマホでさえ落ち目になってきており、韓国は海外投資戦略を調整する必要があるだろうとしている。

これまでのような、海外の安価な労働力に頼ってアドバンテージを確保するのは不可能であり、やはり業界の発展には技術革新が不可欠だという。
 

サムスン以外にも、折りたたみスマホ分野に参入しているメーカーはいくつもある。

記事は、ファーウェイのほか、同じく中国メーカーのRoyole(柔宇)が折りたたみスマホを発表していると紹介。

ファーウェイの5G対応の折りたたみスマホ「Mate X」は年内に発売される予定だと紹介し、

サムスンは今回の問題で水を差されたことで、「折りたたみスマホ合戦において対外的に早くも疑問符が付くこととなった」と、サムスンの置かれた状況の厳しさを強調した。 

 


輸出・投資の不振深刻に 韓国マイナス成長

2019-04-26 17:08:21 | 日記

輸出・投資の不振深刻に 韓国マイナス成長

 

2019/4/25 16:34
 
 
日経

【ソウル=鈴木壮太郎】

韓国の2019年1~3月期の実質成長率が前期比0.3%減と、予想外のマイナス成長に転落した。

マイナス成長は5四半期ぶり。

輸出は半導体をはじめ主力製品が総崩れの状態で、設備投資にも急ブレーキがかかった。

韓国政府は補正予算の編成などで景気の下支えを狙うが、回復が遅れれば文在寅(ムン・ジェイン)政権の経済政策への批判が強まるのは避けられない。

 

緊急関係閣僚会議で発言する洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相=韓国政府提供

緊急関係閣僚会議で発言する洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相=韓国政府提供

「サプライヤーで残ったところはほとんどありませんね」

韓国南西部の群山市――。

2018年5月に米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の韓国法人「韓国GM」が撤退した工業団地を訪れると、辺りはしんと静まりかえり、まるで抜け殻だった。

その一角でわずかに稼働しているようにみえた工場を見つけたので門をたたいた。

すると経営者が出迎え、男は疲れた表情でつぶやいた。

「製造業は、もううんざりだ。でも社長が逃げ出すわけにもいかないだろ」

韓国経済の厳しさが日に日に増している。韓国政府は25日、関係閣僚を緊急招集した。

洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相は「世界経済が当初の予想より大きく鈍化している」と説明。

閣僚らに「あらゆる政策を動員し、成長率目標の達成を」と発破をかけた。

マイナス成長となった主因は名目GDP(国内総生産)の4割強を占める輸出の落ち込みだ。

3月の輸出額は前年同月比8%減で、4カ月連続で減少した。

輸出の2割を占める主力の半導体は17%減。

他にも自動車が1%、鉄鋼が5%、スマートフォン(スマホ)など無線通信機器が32%それぞれ減った。

背景には中国企業の台頭がある。

中国勢の増産による価格下落が各社の収益を圧迫しており、

サムスン電子とLGディスプレーは1~3月期、ディスプレー事業が赤字に転落する見通しだ。

スマホも世界シェア首位のサムスンは華為技術(ファーウェイ)や小米(シャオミ)など中国勢の伸長で中国市場でのシェアをほぼ失った。

自動車も厳しい。

現代自動車はもともと世界最大の中国市場で独フォルクスワーゲン(VW)やGMに続き、販売が強かった。

だが特にこの1~2年間は、実力をつけてきた中国メーカーの攻勢で勢いを失っている。

利益を度外視した大幅な値下げで対抗姿勢も見せるが、1~3月期の中国販売も前年割れとなった。

輸出の不振で企業は先行きへの不透明感を強め、設備投資を絞っている。

1~3月期は前期比10.8%減と、通貨危機に見舞われた1998年1~3月期(24.8%減)に次ぐ大幅なマイナスとなった。

輸出と設備投資の不振で企業業績が悪化すれば影響は雇用に及び、個人消費を冷やす悪循環を招きかねない。

危機感を強めた韓国政府は25日、総額6兆7000億ウォン(約6500億円)の補正予算案を国会に提出した。

財政支出の拡大で、景気を下支えする狙いだ。

17年5月の文政権発足後、経済成長の伸び悩みは顕著になっている。

韓国銀行(中央銀行)による19年の成長率見通しは1年間に4回下方修正され、直近では2.5%まで下がった。

最低賃金の2年連続の2桁引き上げや残業の制限など分配重視の政策が企業の活力を奪っているとの不満は経営側に強い。

製造業の国際競争力の低下に加え、急激な少子高齢化も経済成長の阻害要因となっている。

経済の中長期の実力を示す韓国の潜在成長率は現在、2.7~2.8%とされる。

ただ、企業の設備投資抑制と少子高齢化がこのままのペースで進んだ場合

「20年ごろに2%台半ば、30年以降は1%台まで下がる可能性がある」(現代経済研究院の洪俊標研究委員)。

洪副首相は2.6~2.7%とする韓国政府の成長目標の達成に「全力を傾注する」と強調した。

ただ「この規模の補正予算では力不足だ」(KB証券のアナリスト)との声が多い。

保守系野党の自由韓国党は25日「経済の失敗は文政権の間違った政策が原因だ」と文政権を強く批判した。

経済の低迷が続けば、来年4月の総選挙に影響を及ぼすのは必至だ。

 

 

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