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米朝双方から圧力、追い込まれた自称「仲裁者」文在寅大統領

2019-04-15 19:09:42 | 日記

記事入力 : 2019/04/15 10:30

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

米朝双方から圧力、追い込まれた自称「仲裁者」文在寅大統領

文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこれまで「仲裁者、促進者」を自認してきたが、

今回の韓米首脳会談が「ノーディール」で終わり、また北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)からも

「差し出がましく『仲裁者』や『促進者』のように行動するな」と露骨に指摘された影響で、非常に困難な状況に追い込まれている。

 

 文大統領は当初、今回の韓米首脳会談と次の南北首脳会談を通じて3回目の米朝首脳会談に向けた雰囲気を高めようとしていた。

ところが米国からは「韓米同盟の側に立て」と言われ、北朝鮮からは「わが民族同士」を口実に北朝鮮の側に立つよう求められたことで、結局は板挟みとなり動きが取れなくなってしまった。

文大統領は15日、金正恩氏の演説と韓米首脳会談、さらに4回目の南北首脳会談について自らの考えを表明する計画だったが、米朝双方から仲裁者役を拒否され、どちらの側を選ぶか選択を迫られてしまった。

 韓国大統領府は金正恩氏の演説について14日は沈黙を守った。

金正恩氏は3回目の米朝首脳会談について、米国の態度が変わることを前提に「もう一度応じる用意はある」として対話の扉はオープンとの考えを示した。

これは南北米による首脳会談を相次いで開催するという韓国大統領府の構想と一部通じるところもありそうだ。

しかし文在寅政権は金正恩氏から

「仲裁者や促進者のように行動するな」

「民族の利益を擁護する当事者になれ」と注文され、

米国ではなく自分たちの側に立つよう露骨に要求された。

韓国大統領府がこの日沈黙を守った理由も、金正恩氏による韓国への批判が予想以上に厳しかったからだ。

北朝鮮は文在寅政権に対し「事大根性」「外勢依存」などの厳しい言葉でその姿勢を批判した。

これに韓国大統領府は大きな衝撃を受けたようだ。

大統領府の関係者も

「現時点では金正恩氏の演説について言うべきことはない」

「文大統領が15日にその考えを明らかにするだろう」とコメントするにとどめた。

文大統領は15日に大統領府で予定されている首席・補佐官会議でも金正恩氏の演説への具体的な言及は控え「南北関係改善を通じて米朝対話再開のモメンタム(動力)を維持する」との原則的な考えの表明にとどめるという。

大統領府はこれまで「韓国は米国と北朝鮮の双方から信頼を得ている」と自画自賛してきたが、

外交に詳しい識者の間では「今回の韓米首脳会談と金正恩氏の演説でこの信頼も大きく崩れた」との見方が広がっている。

  ところが大統領府のある幹部は韓米首脳会談について「うまくいった」と自画自賛した。

金正恩氏もトランプ大統領も3回目の米朝首脳会談に前向きな態度を示したため、仲裁者としての役割に一層力を入れたいと考えているようだ。

具体的にはまず南北首脳会談の実現に向け、今週中に北朝鮮に特使を派遣する方向で手続きを進めることにした。

特使としては大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長と徐薫(ソ・フン)国家情報院長の名前が上がっている。

鄭室長は16日から予定されている文大統領の中央アジア3カ国歴訪に同行しないという。

  しかし南北首脳会談の実現までに乗り越えるべきハードルは幾つもある。

まず北朝鮮が4回目となる次の南北首脳会談に応じるか現時点では分からない。

北朝鮮は韓国が3回目の米朝首脳会談に向け仲裁者、促進者を自認することについて「民族の側に立て」として事実上拒否している。

韓国政府は北朝鮮の非核化と米国の制裁解除を段階的に進める「グッド・イナフ・ディール(十分に良好な取引)」という概念を仲裁案として提示した。

しかし米国は「ビッグディール(一括妥結方式)」を譲らず、北朝鮮も制裁解除にこだわらない考えを明確にしたため、韓国政府の仲裁案は北朝鮮と米国の双方から拒否される形となった。

そのため南北首脳会談で文大統領と金正恩氏が顔を合わせたとしても、文大統領としては金正恩氏を3回目の米朝首脳会談に応じさせる見返りを提供できない。

南北関係改善を口実に開城工業団地や金剛山観光の再開など制裁に反する経済協力に乗り出した場合、韓米同盟が危機的状況となるだけでなく、韓国が国際社会から孤立してしまうからだ。

南北首脳会談の時期としては板門店会談1周年となる4月27日が検討されてきた。

しかし今週は文大統領の中央アジア3カ国歴訪が予定されているため、大統領府は5月ごろが可能と予想している。

会談をどこで行うかも問題だ。

韓国と北朝鮮は昨年9月、平壌で行われた首脳会談の際、金正恩氏がソウルを訪問することで合意したが、ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談決裂により事情は大きく変わった。

まず金正恩氏のソウル訪問について昨年は韓国国内の世論が大きく割れたが、今年は決して好意的とは言えない。

金正恩氏としても米朝首脳会談が決裂した影響でソウルを訪問する大義名分がなくなった。

そのため南北首脳会談が実現するとしても、板門店での「ワンポイント会談」あるいは平壌開催が有力視されるだろう。

  ただし文大統領が再び平壌を訪問した場合、金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権に続き文在寅政権においても「首脳会談といっても平壌開催ばかり」といった南北のアンバランスが問題視されそうだ。


半導体低迷で韓国経済が“袋小路”に…従北政権に米が“お仕置き”も!? 文大統領の存在自体が「リスク」の声

2019-04-15 18:50:28 | 日記

半導体低迷で韓国経済が“袋小路”に…従北政権に米が“お仕置き”も!? 文大統領の存在自体が「リスク」の声

2019.4.15

 韓国経済が袋小路に入り込んだ。

サムスン電子の1~3月期の連結決算(速報値)で営業利益が前年同期比6割減となった要因に、半導体事業の低迷が挙げられているのだ。

「稼ぎ頭」の半導体の不調は即、韓国経済に多大な影響を与えるが、替わりとなる輸出商品は見当たらない。

こうしたなか、北朝鮮への過度な肩入れと、異常な反日姿勢が目立つ文在寅(ムン・ジェイン)政権の存在が「リスク」と指摘する声もある。

ドナルド・トランプ米政権の対韓不信は高まっており、「お仕置き」を課せられる恐れすらあるからだ。

 「韓国経済は、輸出の20%前後を占めてきた半導体の不調に加え、米中経済戦争のあおりを受けた対中輸出の不振が目立つ。

サムスンは韓国株式市場の時価総額の4分の1を占めているため、この変調は国全体の不振と歩調を合わせることになるだろう」

 韓国ウオッチャーとして知られる元日本経済新聞編集委員の鈴置高史(すずおき・たかぶみ)氏はこう語った。

 5日に発表されたサムスンの連結決算はそれだけ、ショッキングな内容だった。

 本業のもうけを示す営業利益が前年同期比60・4%減の6兆2000億ウォン(約6100億円)となった。

売上高も14・1%減の52兆ウォン(約5兆1000億円)に落ち込んだ。

 同社は事業部門別の実績を公開していないが、3月下旬に、「ディスプレーや半導体事業の環境悪化」を理由に業績が悪化するとの見通しを示していた。

その傾向は昨年10~12月期の決算ですでに鮮明だった。

営業利益が前年同期に比べ、約28・7%減少した要因として指摘されていたのは、半導体の需要低迷による価格下落や、スマホの販売台数の減少、ディスプレー事業の不振だった。

 聯合ニュースは5日、「半導体メモリーの好況が終わるや否やサムスン電子の利益が急減したことで、これまで懸念されていた『半導体偏重』の副作用が現実のものになっているとの指摘もある」と伝えた。

 この先の見通しも明るくない。

 朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「中国は国を挙げて半導体に力を入れている。

サムスンがいくら大企業といっても、かなうはずがない。

今回の営業利益急減も中国の台頭が原因だが、中国の影響力はこれからどんどん増す。

韓国の半導体産業はとどめを刺されるという状況まできているのではないか。

かといって半導体の代わりとなる存在も見いだせず、韓国経済は大変な状態となっている」と説明する。

 さらに、文政権の存在が経済の足を引っ張るとの見方もある。

 前出の鈴置氏は「韓国の経済界が最も恐れているのは、米国との対立だ。

2月の米朝首脳会談が物別れに終わった後、

米国は制裁維持の姿勢を示しているが、文政権は、北朝鮮にドルを供給する開城(ケソン)工業団地と金剛山(クムガンサン)観光の再開に意欲を見せている」と分析する。

 そして、米国側が韓国に対して非情な仕打ちに出る恐れがあるという。

米国はこれまで、韓国が裏切るたび、『通貨危機に陥りやすい』という弱点を突いて為替で脅してきた。

今回も米韓関係が破局の危機を迎えれば、パニックに陥った市場参加者が一斉に韓国からお金を引き上げるかもしれない」

 11日にホワイトハウスで行われた米韓首脳会談は、北朝鮮への対応をめぐる両国の温度差を改めて浮き彫りにした。

 トランプ氏は開城工業団地と金剛山観光の再開について、「今は適切な時期ではない」と述べたのだ。

2人きりの会談時間はわずか2分程度で、会談後に共同記者会見が行われることもなかった。

「文政権リスク」は確実に高まっており、韓国経済は危険水域に入りつつあるようだ。

 


「5G時代」の覇者は、あの国内メーカー4社だ

2019-04-15 18:28:23 | 日記

「5G時代」の覇者は、あの国内メーカー4社だ

                    

                                                                                 

2020年代に爆発的な伸び                                        

3月期決算企業の4~9月期中間決算の発表シーズン終了。全般的には米中貿易戦争などで不透明感が漂い、通期業績下方修正も少なくなかった中、好調ぶりが目立ったのが「電子部品」セクターだった。これまで元気の源は電装化が進む自動車向け電子部品だとされてきたが、それに加えてモバイル通信の新方式「5G」関連の電子部品の受注、生産が、「5G元年」の2019年に向けて本格化する。高周波用の電子部品の分野では日本勢が圧倒的な強さをみせており、各社の通期の業績や来期の業績では「5G」によって上向きのドライブがかかりそうだ。                                        

                                                                                 

経済ジャーナリスト 寺尾 淳                                        

                                    
 

経済ジャーナリスト 寺尾 淳                                                    

経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、経済・経営に関する執筆活動を続けている。                                                    

                                                                                         
photo                 5G時代到来にともない、日本メーカーに大きなチャンスが訪れる
(©metamorworks - Fotolia)
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絶好調の電子部品メーカー4社の共通点

 2018年11月9日、電子部品セクター主要企業の4~9月期中間決算が出そろった。
画像                 電子部品大手4社の中間期業績、通期業績見通しの前年同期比伸び率
 
アルプス電気は中間期も通期見通しもそろって減益で他の3社と対照的だが、同社は前期の2018年3月期、中間期の営業利益は117.9%増、最終利益は179.5%増の3ケタ増益、通期の営業利益は62.0%増、最終利益は35.7%増の2ケタ増益だったので、業績悪化と言うよりは「業績高止まり」。
 
前期が良すぎた、あるいは他社が良すぎるとも言える。
 
村田製作所、TDK、アルプス電気、太陽誘電と並べると、「ほかの電子部品大手の日本電産や京セラやロームや日東電工は、なぜないのか?」と聞かれそうだが、電子部品セクターの中でも「5G」との関係の深さでピックアップすると、この4社がまず挙げられる。

高周波電子部品は日本の独壇場

 

 「5G(ファイブ・ジー)」について改めて説明すると「第5世代移動通信システム」の略称でその特徴は「超高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」という3つのキーワードで説明される。
 
通信速度10Gbps以上、最高50Gbpsという「超高速・大容量」は、4G・LTEの10~100倍に達し、2時間の4Kハイビジョン動画をたった3秒でダウンロードできるという。
 
また、通信の遅延(タイムラグ)が1000分の1秒以下という「超低遅延」によって信頼性が増し、自動車の自動運転や遠隔医療で安全性が保証されやすくなる。
 
さらに1部屋で約100台、1平方キロメートル四方で100万台以上の通信機器が同時利用できるという「多数同時接続」は4G・LTEの最高100倍の能力を発揮し、あらゆるモノがネットでつながるIoT(モノのインターネット)の実用化への道を開く。 
5G関連部品の市場シェア順位
  1位 2位 3位 4位
チップ積層セラミックコンデンサ 村田製作所 サムスン 太陽誘電 TDK
表面波(SAW)フィルタ 村田製作所 クアルコム    
デュプレクサ 村田製作所 アバゴ・テクノロジー    
セラミック発振子 村田製作所      
EMI除去フィルタ 村田製作所 TDK 太陽誘電  
無線LANモジュール 村田製作所 USI TDK  
ブルートゥースモジュール 村田製作所 アルプス電気    
インダクタ TDK 村田製作所    
※表中のサムスンはSamsung Electro-Mechanics ※楽天証券作成の図表を参照
 
中でも村田製作所は「絶対王者」で、上で挙げた8種のうち7種で世界のトップシェアに君臨する。
 
「表面波(SAW)フィルタ」「デュプレクサ」「セラミック発振子」「無線LANモジュール」では世界シェアの過半数を占めている。
 
「インダクタ(RFインダクタ)」ではトップの座をTDKに譲るが、それでも2位につけている。
 村田製作所以外では「チップ積層セラミックコンデンサ」では太陽誘電が2位の韓国サムスンに次ぐ3位で、TDKが4位。
 
「EMI除去フィルタ」ではTDKが2位、太陽誘電が3位。
 
「無線LANモジュール」ではTDKが2位の台湾USIに次ぐ3位。
 
「ブルートゥースモジュール」では2位にアルプス電気がつき、「インダクタ」ではTDK、村田製作所に次ぐ3位に太陽誘電が入っている。
 
なお、「表面波(SAW)フィルタ」の世界シェア2位はクアルコムだが、それにはもともとTDKと設立した合弁会社で生産した分が入っている。 
 

5Gスマホ、韓国で使ってみた 速度4倍も不安定

2019-04-15 18:15:50 | 日記

5Gスマホ、韓国で使ってみた 速度4倍も不安定     

2019/4/5 17:26情報元日本経済新聞 電子版

【ソウル=山田健一】

韓国で5日、スマートフォン(スマホ)向けに次世代通信規格「5G」の通信サービスが本格的に始まった。

記者が実際に5G対応のスマホを使ってみると、通信速度は現行の4Gの4倍。

ゲームのダウンロード時間は短くなったが、地下では5Gの電波が届かない場面があり、使い勝手はいまひとつと感じることもあった。

5日昼、ソウル市庁近くにある韓国通信最大手SKテレコムの代理店で、韓国サムスン電子の5G対応スマホを購入した。

店員によると、同店で5Gスマホを契約したのは記者が初めてという。

ソウル市庁前で測った「5G」対応スマホ(右)の速度は441メガビット(5日)

ソウル市庁前で測った「5G」対応スマホ(右)の速度は441メガビット(5日)

その場で通信速度を測るアプリ「ベンチビー」をダウンロードし、5Gと4Gの通信速度を比べてみた。

5Gは新製品のスマホ「ギャラクシーS10.5G」、4Gは昨年発売の「ギャラクシーS9」を使い、それぞれ同時に3回測った。

結果は5Gが平均で毎秒193メガ(メガは100万)ビット、4Gは同47メガビットとなり、5Gは4Gの4倍だった。

データ容量が大きい韓国で人気のゲームをダウンロードしたところ、4Gは6分28秒かかったのに対し、5Gは1分51秒で終わった。

ただ、SKテレコムやKTが主張する「4Gの最大20倍」という宣言文句とは差が大きいと感じた。

店の外でも測ってみた。一般的にスマホの通信速度は室内より屋外の方が速い。

ソウル市庁前で同じように測ると、5Gは平均で毎秒430メガビットで店内の約2倍だった。

ただ町を歩き始めると、5Gの通信はよく途切れた。

10分ほどソウル市庁の周辺を歩いたが、4Gに切り替わることも少なくなかった。

地下鉄の駅の階段を降りていくと、5Gの電波をつかまえるのも難しくなった。

5Gをめぐっては、2時間の映画のダウンロードが5分から3秒になるとの期待もある。

だが、実際に使ってみた5Gスマホは、そうしたイメージにはまだ遠い。

SKテレコムは自社の5Gサービスの通信速度について「19年は最高2.7ギガ(ギガは10億)ビット、20年は同7ギガビット級に引き上げる」と説明。

KTは19年末までに「スマホの利用者の10%を5Gに取り込みたい」と話す。

消費者が安定的に5Gのサービスを使えるようになるには、基地局の一段の整備が不可欠と感じた。


上野千鶴子さん「社会には、あからさまな性差別が横行している。東大もその一つ」(東大入学式の祝辞全文)

2019-04-15 17:33:52 | 日記

NEWS        

        2019年04月12日 16時00分 JST                      |         更新                     2019年04月12日 16時22分 JST             

上野千鶴子さん「社会には、あからさまな性差別が横行している。東大もその一つ」(東大入学式の祝辞全文)

「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください」

 

                

    
時事通信社東京大学

4月12日、東京大学の2019年度入学式が日本武道館で行われた。

祝辞には、女性学のパイオニアである社会学者の上野千鶴子名誉教授が登壇。

2018年に発覚した東京医科大学の性別や年齢による差別的な不正得点調整について言及し、性差別について、がんばりが報われない社会、そして「知」とは何かについて新入生に語りかけた。 

Jiji Press社会学者の上野千鶴子名誉教授

 女子学生の置かれている現実と、研究者の女性比率

「ご入学おめでとうございます。あなたたちは激烈な競争を勝ち抜いてこの場に来ることができました」

   

上野さんは、祝辞の冒頭、そう言って新入生を歓迎した。

続けて「その選抜試験が公正なものであることをあなたたちは疑っておられないと思います。

もし不公正であれば、怒りが湧くでしょう」と話し、2018年の東京医科大学の不正入試問題について触れた。

 そして全国の医学部医学科でも、男子学生のほうが合格率が高いことや、東京大学でも入学者の女性比率は長きにわたって「2割の壁」を越えない現実を紹介。

2019年度は18.1%と前年度を下回ったことも言及した。

一方で、他学部では理工系も文系も女子学生のほうが優位にあることや、女性受験生の偏差値が男性受験生よりも高いことも説明。

この現実に対し「この差は成績の差ではありません。『息子は大学まで、娘は短大まで』でよいと考える親の性差別の結果です」と指摘した。

「学部においておよそ20%の女子学生比率は、大学院になると修士課程で25%、博士課程で30.7%になります。

その先、研究職となると、助教の女性比率は18.2、准教授で11.6、教授職で7.8%と低下します。

これは国会議員の女性比率より低い数字です」と学生だけでなく研究職の女性割合も著しく低いことにも触れた。

 そして「女性学部長・研究科長は15人のうち1人、歴代総長には女性はいません」と述べた。

「かわいい」の価値とは何か。「東大」と言えない女子学生の心情

 上野さんは、東京大学で学ぶ学生が過ごす環境についても語った。

「他大学との合コンで東大の男子学生はもてます。

東大の女子学生からはこんな話を聞きました」と切り出し、女子学生は「『キミ、どこの大学?』と訊かれたら、「東京、の、大学...」と答えるのだそうです」と話した。

続けて上野さんは「なぜ男子学生は東大生であることに誇りが持てるのに、女子学生は答えに躊躇するのでしょうか」と新入生に問いかけた。

そして「なぜなら、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです」と言い、「かわいい」という価値観について次のように語った。

「女子は子どものときから『かわいい』ことを期待されます。

ところで『かわいい』とはどんな価値でしょうか?愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれています。

だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです

また、東京大学の女子学生が入れず、他大学の女子学生のみが加入できる東京大学の男子サークルが半世紀以上続いている現状についても説明。

そして次のように警鐘を鳴らした。

「大学に入る時点ですでに隠れた性差別が始まっています。

社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行しています。東京大学もまた、残念ながら例外ではありません」

 「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください」

 熾烈な受験を勝ち抜き東京大学へ入学した新入生に向け、努力の結実についても上野さんは次のように話した。

「がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください」

そして「あなたたちが今日

がんばったら報われる』(と)思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです」と念を押した。

続けて、「世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。

がんばる前から、『しょせんおまえなんか』『どうせわたしなんて』とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます」と語り、こう訴えた。

「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。

恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください」

知とは何か

上野さんは、祝辞の最後、知とは何かについても触れた。

受験のように正解の分かる知識ではなく、未知への挑戦に背中を押した。

「大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています」と話し、「ようこそ、東京大学へ」と結んだ。

【平成31年度東京大学学部入学式 祝辞全文】

ご入学おめでとうございます。あなたたちは激烈な競争を勝ち抜いてこの場に来ることができました。

その選抜試験が公正なものであることをあなたたちは疑っておられないと思います。

もし不公正であれば、怒りが湧くでしょう。

が、しかし、昨年、東京医科大不正入試問題が発覚し、女子学生と浪人生に差別があることが判明しました。

文科省が全国81の医科大・医学部の全数調査を実施したところ、女子学生の入りにくさ、すなわち女子学生の合格率に対する男子学生の合格率は平均1.2倍と出ました。

問題の東医大は1.29、最高が順天堂大の1.67、上位には昭和大、日本大、慶応大などの私学が並んでいます。

1.0よりも低い、すなわち女子学生の方が入りやすい大学には鳥取大、島根大、徳島大、弘前大などの地方国立大医学部が並んでいます。

ちなみに東京大学理科3類は1.03、平均よりは低いですが1.0よりは高い、この数字をどう読み解けばよいでしょうか。統計は大事です、それをもとに考察が成り立つのですから。

女子学生が男子学生より合格しにくいのは、男子受験生の成績の方がよいからでしょうか?全国医学部調査結果を公表した文科省の担当者が、こんなコメントを述べています。

「男子優位の学部、学科は他に見当たらず、理工系も文系も女子が優位な場合が多い」

ということは、医学部を除く他学部では、女子の入りにくさは1以下であること、医学部が1を越えていることには、なんらかの説明が要ることを意味します。

事実、各種のデータが、女子受験生の偏差値の方が男子受験生より高いことを証明しています。

まず第1に女子学生は浪人を避けるために余裕を持って受験先を決める傾向があります。

第2に東京大学入学者の女性比率は長期にわたって「2割の壁」を越えません。

今年度に至っては18.1%と前年度を下回りました。

統計的には偏差値の正規分布に男女差はありませんから、男子学生以上に優秀な女子学生が東大を受験していることになります。

第3に、4年制大学進学率そのものに性別によるギャップがあります。

2016年度の学校基本調査によれば4年制大学進学率は男子55.6%、女子48.2%と7ポイントもの差があります。

この差は成績の差ではありません。「息子は大学まで、娘は短大まで」でよいと考える親の性差別の結果です。

最近ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんが日本を訪れて「女子教育」の必要性を訴えました。

それはパキスタンにとっては重要だが、日本には無関係でしょうか。

「どうせ女の子だし」「しょせん女の子だから」と水をかけ、足を引っ張ることを、aspirationのcooling downすなわち意欲の冷却効果と言います。

マララさんのお父さんは、「どうやって娘を育てたか」と訊かれて、「娘の翼を折らないようにしてきた」と答えました。

そのとおり、多くの娘たちは、子どもなら誰でも持っている翼を折られてきたのです。

そうやって東大に頑張って進学した男女学生を待っているのは、どんな環境でしょうか。他大学との合コン(合同コンパ)で東大の男子学生はもてます。

東大の女子学生からはこんな話を聞きました。

キミ、どこの大学?」と訊かれたら、「東京、の、大学...」と答えるのだそうです。なぜかといえば「東大」といえば、退かれるから、だそうです。

なぜ男子学生は東大生であることに誇りが持てるのに、女子学生は答えに躊躇するのでしょうか。

なぜなら、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ね

じれがあるからです。

女子は子どものときから「かわいい」ことを期待されます。

ところで「かわいい」とはどんな価値でしょうか?愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれています。

だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです。

東大工学部と大学院の男子学生5人が、私大の女子学生を集団で性的に凌辱した事件がありました。

加害者の男子学生は3人が退学、2人が停学処分を受けました。

この事件をモデルにして姫野カオルコさんという作家が『彼女は頭が悪いから』という小説を書き、昨年それをテーマに学内でシンポジウムが開かれました。

「彼女は頭が悪いから」というのは、取り調べの過程で、実際に加害者の男子学生が口にしたコトバだそうです。

この作品を読めば、東大の男子学生が社会からどんな目で見られているかがわかります。

東大には今でも東大女子が実質的に入れず、他大学の女子のみに参加を認める男子サークルがあると聞きました。

わたしが学生だった半世紀前にも同じようなサークルがありました。

それが半世紀後の今日も続いているとは驚きです。

この3月に東京大学男女共同参画担当理事・副学長名で、女子学生排除は「東大憲章」が唱える平等の理念に反すると警告を発しました。

これまであなたたちが過ごしてきた学校は、タテマエ平等の社会でした。

偏差値競争に男女別はありません。

ですが、大学に入る時点ですでに隠れた性差別が始まっています。

社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行しています。東京大学もまた、残念ながらその例のひとつです。

学部においておよそ20%の女子学生比率は、

大学院になると修士課程で25%、博士課程で30.7%になります。

その先、研究職となると、助教の女性比率は18.2、准教授で11.6、教授職で7.8%と低下します。

これは国会議員の女性比率より低い数字です。女性学部長・研究科長は15人のうち1人、歴代総長には女性はいません。

こういうことを研究する学問が40年前に生まれました。

女性学という学問です。のちにジェンダー研究と呼ばれるようになりました。

私が学生だったころ、女性学という学問はこの世にありませんでした。

なかったから、作りました。

女性学は大学の外で生まれて、大学の中に参入しました。

4半世紀前、私が東京大学に赴任したとき、私は文学部で3人目の女性教員でした。

そして女性学を教壇で教える立場に立ちました。女性学を始めてみたら、世の中は解かれていない謎だらけでした。

どうして男は仕事で女は家事、って決まっているの?

主婦ってなあに、何する人?ナプキンやタンポンがなかった時代には、月経用品は何を使っていたの?

日本の歴史に同性愛者はいたの?...誰も調べたことがなかったから、先行研究というものがありません。

ですから何をやってもその分野のパイオニア、第1人者になれたのです。

今日東京大学では、主婦の研究でも、少女マンガの研究でもセクシュアリティの研究でも学位がとれますが、それは私たちが新しい分野に取り組んで、闘ってきたからです。

そして私を突き動かしてきたのは、あくことなき好奇心と、社会の不公正に対する怒りでした。

学問にもベンチャーがあります。

衰退していく学問に対して、あたらしく勃興していく学問があります。

女性学はベンチャーでした。

女性学にかぎらず、環境学、情報学、障害学などさまざまな新しい分野が生まれました。

時代の変化がそれを求めたからです。

言っておきますが、東京大学は変化と多様性に拓かれた大学です。

わたしのような者を採用し、この場に立たせたことがその証です。

東大には、国立大学初の在日韓国人教授、姜尚中さんもいましたし、国立大学初の高卒の教授、安藤忠雄さんもいました。

また盲ろうあ三重の障害者である教授、福島智さんもいらっしゃいます。

あなたたちは選抜されてここに来ました。

東大生ひとりあたりにかかる国費負担は年間500万円と言われています。

これから4年間すばらしい教育学習環境があなたたちを待っています。そのすばらしさは、ここで教えた経験のある私が請け合います。

あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。

ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。

そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。

あなたたちが今日「がんばったら報われる」思えるのは、

これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。

世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。

がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。

あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。

恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。

そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。

女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、

フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。

フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。

あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、予測不可能な未知の世界です。

これまであなた方は正解のある知を求めてきました。これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。

学内に多様性がなぜ必要かと言えば、

新しい価値とはシステムとシステムのあいだ、異文化が摩擦するところに生まれるからです。

学内にとどまる必要はありません。東大には海外留学や国際交流、国内の地域課題の解決に関わる活動をサポートする仕組みもあります。

未知を求めて、よその世界にも飛び出してください。

異文化を怖れる必要はありません。

人間が生きているところでなら、どこでも生きていけます。

あなた方には、東大ブランドがまったく通用しない世界でも、どんな環境でも、どんな世界でも、たとえ難民になってでも、生きていける知を身につけてもらいたい。

大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。

知を生み出す知を、メタ知識といいます。そのメタ知識を学生に身につけてもらうことこそが、大学の使命です。

ようこそ、東京大学へ。  

平成31年4月12日 認定NPO法人 ウィメンズ アクション ネットワーク理事長 上野 千鶴子