国際決済銀行(BIS)が昨日、「最終リスクベース国際与信統計」の最新版のデータ(2018年12月末基準)を公表しています。

おりしも当ウェブサイトでは頻繁に取り上げているテーマの1つが「韓国に対する経済制裁」です。

こうしたなか、「韓日の結びつきは切っても切れないほど深い」という指摘が韓国メディアから出てくることがあるのですが、実際のところはどうなのでしょうか?

あらためて、最新データを使って、「日韓関係の本当のところ」を探ってみたのですが、日本にとって韓国への投資残高はざっくり全体の2%にも満たないという事実が浮かび上がってきます。

 新宿会計士

 

 

ただ、どうしても韓国の日本に対する不法行為が目に余るためでしょうか、

 

被災地水産物買うぞ!』という文章を紹介してくださったのですが、これがなかなか秀逸です。

というのも、WTO報告書の原文を精緻に読み込んで執筆しており、ここまで詳しい内容はマスコミ報道でもあまりみかけないのではないかと思いますが、そのような人物と私を同列に位置付けて下さったことは光栄というほかありません。

 

まだまだ読み込みが甘い!

ただ、非常に残念ながら、やはり当ウェブサイトの分析をあとから自分自身で読み返してみると、深読みが足りず、まだまだ甘いと思わざるを得ないことが多々あります。

韓国というジャンルで見れば、最近、『デイリー新潮』に活躍の場を移された、日本を代表する韓国観察者である鈴置高史氏の論考は非常に秀逸です。

というのも、毎回、さまざまな情報を丹念に読み込んだうえで、深い洞察に基づいて文章が構成されているからです。

また、速報性と洞察力を兼ね備えているという意味では、いつも申し上げているとおり、

楽韓Webというウェブサイトが非常に優れていると思いますが、同サイトと比べれば、

 

図表1 外国に対しておカネを貸している国ランキング(2018年12月末時点)

順位外国向け与信(百万ドル)
1 日本 4,121,350
2 英国 3,407,497
3 米国 3,370,523
4 フランス 2,775,554
5 カナダ 1,817,739
6 ドイツ 1,801,453
7 スペイン 1,709,194
8 オランダ 1,304,189
9 スイス 1,054,877
10 イタリア 822,391
  その他 3,687,040
  合計 25,871,805

(【出所】BIS統計(CBS Table B1-S)より著者作成)

なんと、驚いたことに、銀行が連結ベースで世界でもっとも巨額のカネを外国に貸し出している国は、日本だったのです(!)。金額は約4.1兆ドルで、1ドル=110円で円換算すれば、約453兆円にも達する計算です。

こうやって改めて突きつけられてみると、日本のGDPの8割前後にも達する金額が外国に貸し出されているというのも凄い話でもありますが、言い換えれば、日本の金融機関にとっては国内に融資先・投資先がないという証拠でもあります。

韓国が外国から借りている金額

一方、視点を「資金の出し手」から「資金の借り手」に転じてみましょう。

2018年12月末時点において、韓国の企業や銀行が外国の金融機関から借りているおカネの合計額は3102億ドルです(図表2)。

図表2 韓国が外国から借りている金額(2018年12月末時点【単位:百万ドル】)
相手国金額(カッコ内はシェア)うち1年以内
米国 83,275(26.84%) 32,589
英国 80,772(26.04%) 13,238
日本 56,269(18.14%) 11,439
フランス 23,124(7.45%) 7,201
ドイツ 15,743(5.07%)
その他 51,031(16.45%) 42,662
合計 310,214 107,129

(【出所】BIS統計(B4-S/Korea)より著者作成)

これで見ると、もっとも多くの金額を貸し付けている国は米国ですが、2番目は英国であり、日本は3番目です。

また、3102億ドルのうち、1年以内に満期を迎える金額は1071億ドルですが、この金額についても米国が一番多く、英国と日本がこれに続く形です。

とくに短期借入については、外国の民間金融機関からの借り換え(ロール)が拒否されれば、即座にデフォルト(債務不履行)に陥るリスクもあります。

このため、韓国の中央銀行としては、この1年以内の借入金の動向については慎重にウォッチする必要があるのです。

――↓本文は以下に続きます↓――

改めてみる「洗濯機」説

日本から見た韓国の重要性

さて、図表2では韓国が日本から563億ドル(うち短期114億ドル)のおカネを借りているということがわかりましたが、

一方で日本にとって韓国はどのていど重要な相手国なのでしょうか?

ここで、日本が貸している相手国とそのシェアを、上位順に並べ替えてみましょう(図表3)。

図表3 日本が貸している相手国(2018年12月末時点)
相手国金額(百万ドル)シェア
1位:米国 1,679,667 40.76%
2位:ケイマン諸島 570,018 13.83%
3位:英国 204,751 4.97%
4位:フランス 185,686 4.51%
5位:オーストラリア 120,367 2.92%
6位:ドイツ 114,195 2.77%
7位:ルクセンブルク 91,287 2.21%
8位:タイ 89,145 2.16%
9位:中国 80,515 1.95%
10位:カナダ 75,150 1.82%
その他 910,569 22.09%
合計 4,121,350  

(【出所】日銀『BIS国際資金取引統計および国際与信統計の日本分集計結果』より著者作成)

あれ?

韓国メディアなどが普段から「韓日両国は切っても切れない重要な関係にある」と主張しているわりに、このランキングに韓国は出て来ませんね?

以前、『カリブ海の小国に63兆円を貸し付ける最強の日本の金融機関』でも報告しましたが、日本が貸している相手国はトップが米国(約1.68兆ドル)ですが、2位はケイマン諸島(約5700億ドル、1ドル=110円換算で約63兆円)です。