勝又壽良
Sent: Thursday, April 18, 2019 5:00 AM
「戦犯」文氏が潰したコリア経済、間違いの雇用政策で外資急減
労働政策で違憲訴訟へ
雇用政策でFDI急減
GDP2%割れ目前に
政府間の融和が前提へ
文在寅(ムン・ジェイン)政権は、韓国経済を長期停滞に陥れた「戦犯」として、歴史にその名を記憶される気配となりました。
性急な最低賃金の大幅引上げと週52時間労働が、韓国経済に大きな混乱をもたらしているのです。
韓国社会は、低賃金でも一生懸命働くことで、「ダイナミック・コリア」の起爆剤として機能してきました。
ところが、文政権の登場による理念先行で、十分な移行時間を置かないままに雇用条件の改善に踏み出した結果、韓国経済は空中分解の危機に直面しています。
冒頭から、こういう危機論を持ちだすと怪訝な思いを抱かれるかも知れません。
だが、4月25日になれば分るでしょう。1~3月期のGDP成長率が2%割れの事態が予想されています。
昨年のGDP成長率は2.7%でした。
このレベルから一挙に2%を下回ることになれば、韓国世論が沸騰し「文政権批判」が高くなるのは避けられません。
性急な最低賃金の大幅引上げと週52時間労働は、韓国国内の労働者と零細企業を苦しめているだけではありません。
海外から韓国への直接投資が、今年1~3月は7年ふりの低下となりました。
海外企業も韓国の硬直的な雇用政策に二の足を踏み始めています。
さらに、日韓関係の政治的な悪化が、日本企業の足を止めています。
韓国の経済団体「全国経済人連合会」(全経連:日本の経団連)の許昌秀(ホ・チャンス)会長が15日、「韓日関係が良かった時は韓国経済も良かった」と嘆いています。
文政権は、こういう経済界の嘆きをよそに「反日街道」まっしぐらです。
学生運動家上がりの韓国政権です。学生時代の理念を今も持ち続けた「親中朝・反日米」路線が、破綻しかけていてもそれすら気付きません。
外交も経済も同時に落込む。
そういう危機が迫っているように感じます。
労働政策で違憲訴訟へ
韓国では、最低賃金の大幅引上げと週52時間制による失業と所得減が、違憲として憲法裁判所へ提訴される準備が始まっています。
具体的には、「最低賃金法および同法施行令、そして勤労基準法が、憲法上の財産権、職業の自由、契約の自由、企業活動の自由、身体の自由、勤労の権利を侵害し、過剰禁止原則に背く」というのです。
違憲の訴えを準備する ウ・インシク弁護士は、「週52時間制を画一的に導入し、残業や特別勤務を望んでも勤労基準法規制のために働けないため、月の所得が急減して不満を提起する人が多い」と指摘しました。
「過去は、法定勤労時間が遵守されないとして労働搾取を訴えたとすれば、最近の勤労者はもっと働かせてほしいと訴えている」ので、こういう憲法訴願は前例がないそうです。
以上は、『中央日報』(4月11日付け)が報じています。
労働時間の短縮は、勤労者の健康や休息の確保という面で不可欠です。
しかし、韓国ではもっと長く働かせて欲しい。そうしなければ、生活が成り立たないという層が多いのです。
財閥系企業と零細企業において、勤労者の雇用条件が全く異なることを浮き彫りにしています。
韓国政府は、財閥系企業の勤労者を対象にした労働時間短縮であったのです。
週52時間勤務で得られる所得で、生活が成り立つ勤労者はごく一部です。
アルバイトで生きている人たちは、給料そのものが安いのです。
その上、52時間労働で区切られれば死活問題なのです。
文政権が、こういう失敗を冒した最大の理由はなんでしょうか。
それは、現状無視で理念先行という、学生運動家上がり特有の思考回路が生きていることです。
20代の血気盛んな時代は、誰でも理想論を掲げます。
親の仕送りで大学へ通っていることなど、頭の片隅にもありません。
あの口角泡を飛ばすような議論が、現在の韓国政治にそのまま無修正で登場したのです。
文政権の支持基盤は、労組と市民団体です。ともに理想論だけを掲げて生きていける集団です。
文政権は、この集団の上に乗っかっているのです。過激な労働政策が登場した背景はこれでしょう。
雇用政策でFDI急減
韓国の性急な雇用政策が、対内直接投資(FDI)を急減させました。
今年1~3月期の外国人直接投資(FDI)が前年比35.7%減と7年ぶりに最低水準まで落込みました。
昨年と今年の4半期別の動向(前年同期比)は、次の通りです・
2018年1~3月期 27.9%増
4~6月期 88.7%増
7~9月期 13.6%減
10~12月期 17.8%減
2019年1~3月期 35.7%減
(出所:韓国産業通商資源部)
上のデータによれば、昨年7~9月期から前年同期比で減少に転じ、その後は期を追うごとに減少幅を広げています。
原因は、韓国が海外資本にとって投資適格地でなくなってきた結果でしょう。
最低賃金の大幅引上げと週52時間労働に伴い、高い残業料を支給しなければなりません。
これまで割安であった電力費も脱原発で引き上げられています。もはや韓国へ工場を立地してもメリットは少なくなったのです。
参考までに、今年1~3月期の地域別(前年同期比)の状況を見ておきます。
欧州連合 43.7%減
米国 78.7%減
中国 88.0%減
日本 31.0%減
これまで、韓国に多くの投資をしている国々の対外直接が軒並み減少したのです。
昨年、外資系企業は国内企業全売り上げの12.0%、雇用の5.7%を占めました。
外資系企業の活動が萎縮すれば、不安な国内経済がさらに悪化するほかありません。
GDP2%割れも目前
昨年の後半から、韓国経済の基調が変りました。
昨年10月に景気循環で言えば、下降局面に入ったと見ていいのです。
文政権は、虚勢を張って景気に対し超強気の構えです。
調査機関は、口を閉していますが、「不況局面」に入っているのです。
文政権は、不況発言をしないままに補正予算を組んでいます。
景気の落ち込みをカバーすべく、「景気補強策」に出るという不思議な行動を見せています。
国策シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)は、4月の経済状況診断で「内外の需要が低迷し、景気が徐々に不振になってきている」との判断を示しました。
昨年11月から5カ月連続で「景気鈍化」と表現してきましたが、警告レベルを一段階引き上げたのです。
ついに、4年ぶりに「景気不振」という表現を使い、景気後退が本格化するという診断を公式に示した格好です。
この点は、前にも書きました。
今月25日に発表される1~3月期のGDP成長率はどこまで落ちるか。これが、焦点になっています。
ソシエテジェネラルのエコノミストのオ・ソクテ氏は、1~3月期の成長率を前期比0.3~0.4%に予想したと報じられました。
現実化すれば、2017年10~12月期のマイナス0.2%以来、5四半期来の最低値が予想されます。
1~3月期の成長率を前期比0.3~0.4%とすれば、年率換算(4乗)して1.2~1.6%成長に低下します。
輸出の不振が大きく響いている結果でしょう。
政府の目標成長率は2.6%です。
GDPの計算上、1~3月期は「発射台」と称せられるように、この期の成長率の高さは、今年の成長率に影響して行きます。
文政権は、来年の総選挙を控えて、さらなる景気刺激策を発動するでしょう。
最善の景気政策は、最賃引上幅の圧縮か撤回ですがその場合、政策ミスを認めた形になります。
文政権には、失敗を認める度量はないでしょう。
韓国経済は、こうして深みにはまったまま「朽ち果てる」形になるのでしょうか。
政治のメンツほど怖いものはありません。その弊害は、未来永劫に続くからです。
韓国経済が、文政権という現実無視の理念先行によって、「不治の病」に冒されています。
韓国経済界には、痛いほどよく分かっているはずです。
文政権が、反日で騒いでいる間に、日本経済は着実に次なる成長を目指して対策を打っています。
来年から保育園・幼稚園の無料化によって、出生率の底上げをはかっています。
2025年には、合計特殊出生率を現在の1.4台から1.8へ押上げ、日本の総人口1億人体制を守る政策です。
政府間の融和が前提へ
韓国経済界から見れば、こういう手堅い日本の政策は夢のような思いで眺めているはずです。
韓国の合計特殊出生率は、昨年「0.98」まで低下し、さらに減速の度合いを強めそうです。
韓国経済界が文政権を分析すれば一層、日本と融和しなければ韓国経済の先行きを絶望と感じるでしょう。
その切羽詰まった感想が、冒頭に取り上げた韓国の経済団体、許昌秀会長による「韓日関係が良かった時は、韓国経済も良かった」という発言につながったと思われます。
許昌秀会長は、次のように具体的な発言をしています。
「全経連は、韓国政治指導者の拉致問題(1973年の金大中:キム・デジュン事件)で悪化した韓日関係を解きほぐし、日本の経済団体連合会(経団連)と共に『韓日財界会議』を開催した。
この時から日本企業の韓国投資が相次ぎ、技術提携も本格化した」と語った。390社以上の日本企業が韓国に進出し、約8万2000人の雇用を提供している。
2008年以降、第3国で韓日企業が共同で参加したインフラ開発プロジェクトだけでも100件を超える」(『中央日報』4月16日付け)
この発言は日韓の政府同士が、和解して協力する政治情勢が生まれなければ、日韓の経済関係は円滑に動かないと指摘しているのです。
文在寅大統領は、過去の日本のことを穿り返しています。
文氏は、「過去は過去、未来は未来」とツートラック方式を唱えていますが、人間は感情の動物です。
握手しながら足を踏まれている状態で、「友情」が生まれるはずがありません。
文氏の弱点は、こういうおよそ人間離れしたことを平気言うことでしょう。
米国のトランプ大統領が、「2分会談」に止めた気持ちがよく分かるのです。
文氏のような「常人」と異なる人間とは、長い会話は不可能でしょう。
文氏は、「クールヘッドとウォームハート」とかけ離れたタイプのように見えるのです。