韓国、輸出低迷で大ピンチ…世界が「韓国への需要」を減らし始めた…!
8/3(月) 7:01配信
真壁 昭夫(法政大学大学院教授)
現代ビジネス
外需の低迷…
韓国の雇用労働部の発表では、6月、製造業の雇用は7.7万人減少した。2月以降、韓国の製造業の雇用は失われ続けている。
製造業部門は、輸出依存度の高い韓国にとって重要な分野であり、その分野での雇用状況の悪化は、韓国の社会と経済に大きな影響を与える可能性が高い。
製造業部門で雇用が失われている背景の一つに、外需の低迷がある。
世界的なコロナウイルスの感染の再拡大によって世界経済の回復の足取りが怪しくなっており、それが韓国の雇用を直撃している。
これまで、世界の経済は4月第2週あたりに底を打ち、緩やかに持ち直しの傾向を示してきた。
ところが、コロナウイルスの感染が再び増加傾向を辿っていることもあり、世界的な回復傾向のペースは鈍化している。
今まで世界経済を支えてきた米・中では個人消費が伸びていないこともあり、V字型の景気回復を期待することが難しくなっている。
米国の4~6月期の国内総生産(GDP)成長率は、マイナス32.9%に陥りV字回復は期待できなくなった。
さらに、7月半ばごろから、米国をはじめ世界経済の持ち直しペースは明らかに鈍化している。
米国の経済政策への不安や感染の拡大などの影響は軽視できない。
外需依存度の高い韓国の雇用喪失は、世界経済の先行きがかなり険しいものになることを示唆している。
海外経済の動向の影響を受けやすい韓国
韓国経済の現状を端的に表現すると、どうしても海外経済の動きに影響を受けやすい。
輸出依存度が高いため(韓国の輸出はGDPの約40%)、米国や中国をはじめ世界経済の需要が落ち込むと、韓国の経済は急速に縮小してしまう。
特に、今回のコロナショックの影響は大きい。各国で人の移動が制限され、ヒト・モノ・カネの流れが停滞している。
韓国経済にとって、米国の個人消費の落ち込みの影響はかなり大きい。
近年の世界経済を振り返ると、米国の個人消費が緩やかに増加したことがグローバルな景況感の改善と成長を支えた。
韓国は、スマートフォンや半導体の需要を取り込んで輸出を増やし、経済成長を実現できた。
しかし、コロナショックの発生によって、米国の需要は大きく低迷してしまった。
それは韓国製造業の雇用喪失の一因だ。
データを見ると状況の深刻さがわかる。
トランプ政権が実施した失業給付の特例措置(週600ドル)などに支えられて、4月半ばごろに米国経済は底を打ち、5月、6月と小売売上高は反発した。
それでも、個人消費がコロナショック以前の状況に戻るにはほど遠い。
4~6月の米国GDP成長率を項目別にみると、個人消費は前期比年率ベースで25%減少だ。
また、韓国にとって最大の輸出先である中国経済はまだら模様だ。
生産活動は回復しているが、消費全体が伸びない。
生産面では公共事業向けに鉄鋼や建機分野が持ち直している。
そうした資材を中国は国内で生産し、韓国に取り付く島はない。
補助金に支えられた自動車を除き、個人消費は低迷している。
韓国の製造業は急速な需要の蒸発に直面し、雇用を減らして生き残りを目指さざるを得なくなっている。
韓国の雇用喪失で高まる国民の不安感
今後、韓国の雇用環境はさらに悪化し、人々が将来に希望をもって生活することが難しくなる恐れがある。
世界経済の低迷が続き、韓国経済がかなり厳しい状況を迎える可能性がある。
まず、ワクチンの開発と供給体制が整わない中で、新型コロナウイルスの感染を本格的に食い止めることは難しい。
米国では感染者が増加するだけでなく、亡くなる人が増えている。
トランプ政権は失業給付の特例措置の延長を目指したが、民主党との対立以前に共和党内部で経済対策の規模が大きすぎるとの批判が出てしまった。
世界最大の経済大国である米国の政策不透明感の高まりは、世界経済にとってマイナスだ。日中欧や新興国地域でも感染者が増加している。
それに加えて、今後、米中対立は熱を帯びるだろう。
米国の保守派層では、オバマ前大統領が政治・経済・軍事における中国の台頭を楽観し、結果的に中国の海洋進出や5G通信をはじめとするIT先端分野での覇権強化を許したとの批判は根強い。
また、民主党内には共和党以上の対中強硬論者が多い。
当面、米中対立は激化し、世界の貿易取引は低迷するだろう。
外需依存度が高い分、韓国経済は世界経済の変化を機敏に反映する。
同国製造業の雇用喪失は先行きの不確定要素の増加を示唆する。
わが国をはじめ世界各国は感染症や米中の覇権国争いというリスクに対応しつつ、今後の社会と経済の安定を目指さなければならない。
そのために重要なのは、自力で先端の技術を生み出し、米中をはじめ各国のリスペクトを得ることだ。
わが国に依存して輸出競争力を高めてきた韓国にその力があるとは考えづらい。
真壁 昭夫(法政大学大学院教授)
8/3(月) 7:01配信
真壁 昭夫(法政大学大学院教授)
現代ビジネス
外需の低迷…
韓国の雇用労働部の発表では、6月、製造業の雇用は7.7万人減少した。2月以降、韓国の製造業の雇用は失われ続けている。
製造業部門は、輸出依存度の高い韓国にとって重要な分野であり、その分野での雇用状況の悪化は、韓国の社会と経済に大きな影響を与える可能性が高い。
製造業部門で雇用が失われている背景の一つに、外需の低迷がある。
世界的なコロナウイルスの感染の再拡大によって世界経済の回復の足取りが怪しくなっており、それが韓国の雇用を直撃している。
これまで、世界の経済は4月第2週あたりに底を打ち、緩やかに持ち直しの傾向を示してきた。
ところが、コロナウイルスの感染が再び増加傾向を辿っていることもあり、世界的な回復傾向のペースは鈍化している。
今まで世界経済を支えてきた米・中では個人消費が伸びていないこともあり、V字型の景気回復を期待することが難しくなっている。
米国の4~6月期の国内総生産(GDP)成長率は、マイナス32.9%に陥りV字回復は期待できなくなった。
さらに、7月半ばごろから、米国をはじめ世界経済の持ち直しペースは明らかに鈍化している。
米国の経済政策への不安や感染の拡大などの影響は軽視できない。
外需依存度の高い韓国の雇用喪失は、世界経済の先行きがかなり険しいものになることを示唆している。
海外経済の動向の影響を受けやすい韓国
韓国経済の現状を端的に表現すると、どうしても海外経済の動きに影響を受けやすい。
輸出依存度が高いため(韓国の輸出はGDPの約40%)、米国や中国をはじめ世界経済の需要が落ち込むと、韓国の経済は急速に縮小してしまう。
特に、今回のコロナショックの影響は大きい。各国で人の移動が制限され、ヒト・モノ・カネの流れが停滞している。
韓国経済にとって、米国の個人消費の落ち込みの影響はかなり大きい。
近年の世界経済を振り返ると、米国の個人消費が緩やかに増加したことがグローバルな景況感の改善と成長を支えた。
韓国は、スマートフォンや半導体の需要を取り込んで輸出を増やし、経済成長を実現できた。
しかし、コロナショックの発生によって、米国の需要は大きく低迷してしまった。
それは韓国製造業の雇用喪失の一因だ。
データを見ると状況の深刻さがわかる。
トランプ政権が実施した失業給付の特例措置(週600ドル)などに支えられて、4月半ばごろに米国経済は底を打ち、5月、6月と小売売上高は反発した。
それでも、個人消費がコロナショック以前の状況に戻るにはほど遠い。
4~6月の米国GDP成長率を項目別にみると、個人消費は前期比年率ベースで25%減少だ。
また、韓国にとって最大の輸出先である中国経済はまだら模様だ。
生産活動は回復しているが、消費全体が伸びない。
生産面では公共事業向けに鉄鋼や建機分野が持ち直している。
そうした資材を中国は国内で生産し、韓国に取り付く島はない。
補助金に支えられた自動車を除き、個人消費は低迷している。
韓国の製造業は急速な需要の蒸発に直面し、雇用を減らして生き残りを目指さざるを得なくなっている。
韓国の雇用喪失で高まる国民の不安感
今後、韓国の雇用環境はさらに悪化し、人々が将来に希望をもって生活することが難しくなる恐れがある。
世界経済の低迷が続き、韓国経済がかなり厳しい状況を迎える可能性がある。
まず、ワクチンの開発と供給体制が整わない中で、新型コロナウイルスの感染を本格的に食い止めることは難しい。
米国では感染者が増加するだけでなく、亡くなる人が増えている。
トランプ政権は失業給付の特例措置の延長を目指したが、民主党との対立以前に共和党内部で経済対策の規模が大きすぎるとの批判が出てしまった。
世界最大の経済大国である米国の政策不透明感の高まりは、世界経済にとってマイナスだ。日中欧や新興国地域でも感染者が増加している。
それに加えて、今後、米中対立は熱を帯びるだろう。
米国の保守派層では、オバマ前大統領が政治・経済・軍事における中国の台頭を楽観し、結果的に中国の海洋進出や5G通信をはじめとするIT先端分野での覇権強化を許したとの批判は根強い。
また、民主党内には共和党以上の対中強硬論者が多い。
当面、米中対立は激化し、世界の貿易取引は低迷するだろう。
外需依存度が高い分、韓国経済は世界経済の変化を機敏に反映する。
同国製造業の雇用喪失は先行きの不確定要素の増加を示唆する。
わが国をはじめ世界各国は感染症や米中の覇権国争いというリスクに対応しつつ、今後の社会と経済の安定を目指さなければならない。
そのために重要なのは、自力で先端の技術を生み出し、米中をはじめ各国のリスペクトを得ることだ。
わが国に依存して輸出競争力を高めてきた韓国にその力があるとは考えづらい。
真壁 昭夫(法政大学大学院教授)