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韓国、「文政権死に体」不支持51.6%と過半超え「国政遂行能力?」

2018-12-29 14:46:20 | 日記
勝又壽良の経済時評

日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。


2018-12-29 05:00:00

韓国、「文政権死に体」不支持51.6%と過半超え「国政遂行能力?」

奢れる者久しからずとは、平家物語の一節だ。韓国政界もこれを地でいっている。

昨年5月、朴槿惠政権の不名誉な弾劾の後を受け、文在寅大統領は颯爽と登場した。

国民の和解を訴えて、「国民のための政治」を宣言した。

就任直後から高い支持率を得たが、やったことは3点ある。

「積弊(保守党政権)の一掃」、

「大幅な最低賃金引き上げ」、

「反日政策の総仕上げ」である。

いずれも、破滅的な結果をもたらした。



1.「積弊(保守党政権)の一掃」は、国内の政治的な対立激化をもたらしている。


2.「大幅な最低賃金引き上げ」は、失業率を高めて国内経済を不況に追い込んでいる。


3.「反日政策の総仕上げ」は、日韓関係を根本から破壊し修復不可能な状態に陥れた。




これまで、支持率を押し上げていた南北融和ムードは、韓国が北朝鮮の金正恩氏に利用されただけというムードが強まり、逆に支持率を下げる要員になっている。


今や、世論調査での不支持率が、支持率を7ポイントも上回るほどの不人気政権である。

与党「共に民主党」も支持率が下落し、「限界線」に接近している。


『中央日報』(12月28日付)は、「50%超えた文大統領への否定的評価、国政動力の低下も」と題する記事を掲載した。

(1)

「世論調査機関リアルメーターは、27日、最新の世論調査結果を発表した。

支持率は43.8%(前週比-3.3ポイント)

不支持率は51.6%。(前週比+5.5ポイン)

リアルメーターの調査で、否定的な評価が肯定的な評価を上回ったのは、政権発足後初めて。

肯定的な評価と否定的な評価の差が、誤差範囲外(7.8%)に広がった」


大統領選における文氏の得票率は41%である。

世論調査の支持率は43.8%だ。この調子で支持率が下落すれば、来年最初の調査で41%のラインを割り込みそうだ。

不支持率が過半を超えており、若者や自営業者の支持率低下が大きく影響している。いずれも、最賃大幅引上げの犠牲になっている人たちだ。

(2)

「与党は大統領支持率のマジノ線を40%、与党「共に民主党」の支持率下限線を35%とみている。

今回の調査で民主党の支持率は1.7ポイント下落した36.3%と、臨界点に近づいている。

民主党関係者は「いわゆる『コンクリート支持率』が崩れる場合、国政運営動力の確保に支障が生じるとみている」と懸念を表した」


与党は、大統領支持率のマジノ線を40%、与党「共に民主党」の支持率下限線を35%に引いている。

今回の調査で与党は36.3%であり、首が皮一つでつながっている状況である。ここまで支持率の落勢が強まると、与党も新年早々の調査で、想定下限線を割り込むであろう。

政権に就いた直後の「共に民主党」は、積弊一掃で保守党を徹底的に潰す戦略に出た。

前政権に関係した人々を告発して逮捕させ、刑務所に送った。そのやり口は、北朝鮮並の「粛清」である。

無実であることの証として、死を以て抗議する自殺者が5名も出ている。

残酷な仕打ちをしたものだ。次の大統領選で保守党が勝てば、今度は「共に民主党」が被告席に立たされる。

因果応報とは言うが、韓国政治の前近代性を物語っている。


(3)

「政界は支持率自体より『速度』が尋常でないと見ている。

9月末に65.3%だったが、大きな悪材料なく3カ月間で20ポイント以上も下落したのは異例という分析だ。

カ・サンジュ檀国大政治学教授は、『景気に敏感な自営業者と非正規職労働者の離脱が目立つ』と語った」


これほど無策の政権も珍しい。多くの学者を政権幹部に登用した。口は達者でも実務能力はゼロ。

学会の論文発表のような「最賃大幅引上げ論」を発表し、得意満面であった。

多くの論理的な反対を受けたが、一切無視し強行した。

その結果が、現在の破綻に瀕する韓国経済である。

もはや、どうにもならない所まで突っ込んでしまった。国内で暴動が起っても不思議でない。それほど矛楯に満ちた政権なのだ。


中国は大国のメンツ維持を優先、米へ妥協し経済危機回避へ必死

2018-12-27 11:59:05 | 日記
勝又壽良

Sent: Thursday, December 27, 2018 5:00 AM

中国は大国のメンツ維持を優先、米へ妥協し経済危機回避へ必死


中国の世界覇権阻止へ全力

米国の外濠埋め立て作戦へ

ファーウェイ包囲網を構築

本格化する経済危機の到来

経常赤字で為替・株価大揺れ


米中貿易戦争は、来年2月末まで「休戦」状態になっています。

この間に、通商交渉を進めていますが、順調に進んでいるようです。

12月には、中国通信機メーカーのファーウェイ(華為技術)副会長が、米国の要請によってカナダで逮捕される事件が発生しました。

従来の中国であれば、これを理由に米中交渉を中断してもおかしくはありません。

だが、中国は「ファーウェイ事件と米中通商交渉は別問題」として、交渉を続けています。

中国は、カナダに対して厳しい態度に出ています。

カナダ人二人を違法拘束して「人質」にとっています。カナダへこういう態度を取るならば、米国へも「報復」して当たり前でしょう。

それを控えていることが、今回の米中交渉を妥結させたいという中国の強い意志の表れと見られます。

米国は、中国に5項目で合意を迫っています。

その内の一つである、米国農産物輸入と米国製自動車関税を引下げは、中国が同意し実行に移しています。

問題は、残りの4項目です。

知財権保護、ハッカー禁止、技術移転強要禁止などが焦点になっています。技術移転強要禁止は全人代(国会)の常務委員会で成文化の検討を始めました。

このように、中国は断片的ですが対米合意に向けて動いています。

来年1月になれば、米中両国の交渉団が、顔を合わせて直接交渉を行なうと伝えられています。

米国は、合意書にサインしたあとも、実際に合意事項が履行されているか検証することを要求しています。

中国得意の「食い逃げ」は許さない強い姿勢です。

米ホワイトハウスのナヴァロ通商政策局長は、「中国が経済政策の変更をしなければ、実効を挙げえないだろう」とも指摘しています。

米国は、不退転の決意であることを示しています。

中国の世界覇権阻止へ全力

米国が、中国に対して強硬姿勢をとっている理由は、安全保障上の問題も絡んでいます。

中国の習近平国家主席は、自らの権力基盤を固めて国家主席の任期制(2期10年間)を廃止し、自らの「終身国家主席制」に道を開きました。

この余勢を駆って、2050年頃には、米国の世界覇権に挑戦する夢まで語ってしまったのです。

これが、米国の強い反発を受けました。

独裁国家が、世界覇権を握りたいとう野望は、世界の歴史を逆回転させるに等しいことです。聞き捨てにできない「放言」です。

人間は、長い歴史において第二次世界大戦や、その後の米ソ対立という冷戦を経験して、ようやく世界的な民主主義政治の確立を見ました。

それが突然、新興国の中国が、米国と覇権争いをすると名乗り出たのです。

米国とその同盟国が政治的危機感を覚え、独裁国家の中国へ対抗する姿勢で足並みを揃えたのです。

この点は、中国にとっては予想外のことであり、ここに先進国vs中国という対抗の構図に変ったのです。

こうなると、中国は、もはや手も足も出ません。中国の大誤算というべき事態です。


中国は、「中国製造2025」という産業構造高度化のプロジェクトを立ち上げています。

2025年までに、日本やドイツの工業化水準に追いつくというものです。

日本でも過去、「所得倍増計画」や「産業構造高度化計画」を立ててきました。

これが、何らの問題を起こさなかったのは、自主技術開発や、他国からの正規の技術導入によって実現を目指したからです。

中国は、スパイによる技術窃取や技術移転強要など、犯罪行為を駆使しているのです。

国家が経済犯罪を煽動するという、これまで考えられない手を使ってきました。

米国は、中国に対して「中国製造2025」を中止せよと言う資格はありません。内政干渉になるからです。

米国は、技術窃取や技術移転強要などの禁止を中国に求める資格はあります。

中国へ要求している4項目(5項目から農産物などの輸入を除く)の是正は、「中国製造2025」の外濠を埋めさせる行為なのです。

卑近な例で言えば、盗賊集団に盗賊行為を禁じれば、盗賊は生存不可能になると同じことなのです。

米国の外濠埋め立て作戦へ

米国による外濠埋め立て作戦の例を挙げておきます

1.

中国人の米国入国へのビザ発給の厳格化です。

米国留学生の中で、最大の比率は中国人です。

米国の大学は、中国人留学生の授業料で経済的に潤ってきました。

これが、産業スパイの温床になっていました。

大学院生が米国の大学の研究室から研究成果を盗み出す役割をしていたのです。

また、米国大学院で博士号取得後に米企業に就職し、米企業の極秘情報を盗み出す例が跡を絶ちません

これに業を煮やした米国政府は、ビザの発給そのものを厳格化することに切り替えています。

留学生や研究者のビザを大幅に絞ったのです。

ビザ申請者の電話の通話記録やSNSのIDの調査が検討されていると報じられました。10年有効のビザも大幅に減っています。

一般旅行者のビザの発給も減らしています。

米国にいるスパイから資料を受け取って帰国すれば、まんまと米国の極秘資料の盗み出しに成功するからです。

2.

スパイ摘発に積極的に取り組んでいます。

米司法省は12月21日、米国の石油会社から機密情報を盗んだとして中国国籍の男を逮捕しました。

10億ドルを超える製品に関する情報を盗んだものです。

容疑者のパソコンからは、リチウムイオン電池の材料の生産ラインを開発している中国企業との雇用契約を発見しました。

押収した資料は携帯電話とリチウム電池システムに関する機密情報といいますから、盗み出しを唆した中国企業は特定できそうです。

ファーウェイが最近、スマホに力を入れ、世界一を目指しています。疑われる理由は十分にあるのです。

3.

ハッカーでは中国人2人を起訴しました。

米司法省は先端技術を盗み出した疑いで、12月20日に起訴した2人の中国人をハッカー集団のメンバーと断定しました。

同集団は、2016年ごろからサイバー攻撃を強めていました。

活動拠点は、中国にあると見られています。

米政府は中国の情報機関である国家安全省の関与を指摘し、国家主導で世界規模のハッキングを画策したとみなしています。

中国の名門大学・精華大学からも発信されたと指摘されています。パソコンのIPが精華大学と指摘されています。

ファーウェイ包囲網を構築

4.

ファーウェイ包囲網を構築しています。

ファーウェイの副会長が、米国政府の依頼によりカナダで逮捕されました。

現在は保釈中ですが、米国へ身柄移送となればファーウェイと中国政府の関係などが捜査されると思います。

中国はこれを恐れて、副会長の身柄移送阻止に出ているのです。

ファーウェイは、次世代ネットワーク「5G」で世界制覇を目指しています。

世界の情報を窃取して北京へ集め、人民解放軍が活用する戦略です。

これが実現したならば、人民解放軍が世界支配のトリガー(引き金)を握ると言われています。

米国は、これを阻止すべき「ファイブアイズ」という、米国が機密情報共有協定を結ぶカナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランドを動員しています。

これら5ヶ国を核にして、日本、ドイツ、フランス、インドを巻き込みファーウェイ製品を除しようとしています。

こうして、具体的にファーウェイ「枯死作戦」を展開する戦略です。

米国が、ファーウェイ副会長に逮捕状を出したのは、容疑が固まり次第ファーウェイへ処分を下すという意味です。

その具体的な内容は、先にZTE(中興通訊)へ下した米国からのソフトや半導体輸出禁止措置(その後に撤回し罰金15億ドル)になれば、ファーウェイの「5G」は製品化不可能と見られています。

中国は、「中国製造2025」の核としてファーウェイを位置づけています。

前述のような米国の戦略によれば、主要部品の輸出は阻止され、製品の販売でも多大のダメージを受けます。

こうして、ファーウェイは企業としての活動が麻痺状態を迎えるのです。米国は、ファーウェイをそこまで追い詰める決意です。

結局、「中国製造2025」はすでに、2025年までの実現が不可能になったのです。

中国が、「無駄な抵抗」を止めて、米国との話し合いに入った背景は、以上の諸点が障害となっていることを挙げられます。

米中貿易戦争は最早、「勝負あった」というのが実感なのです。

本格化する経済危機の到来

中国が抱えている経済的な問題は、対米貿易戦争だけではありません。

不動産バブルを放置していたことによる過剰債務問題です。

対GDP比で260%以上という債務を抱えて、信用機構は不良債権によって窒息状態に追い込まれています。

金融機関は、信用不安で新規融資が不可能な状態なのです。

この結果、マネーサプライ(M2)は、10月、11月ともに前年同月比8.0%増という低増加率です。

名目GDP成長率を下回っている異常な状態です。普通の経済ではあり得ない現象です。

過剰債務は、過剰投資につながっています。

中国経済の生産性が落ちているので、借りた資金を返済できず、それが根雪のように溜まっているからです。

過剰債務=過剰投資です。

これが、「限界資本係数」を押上げています。

つまり、GDP1単位を産み出すために、他国経済よりも多く(2倍)の資本を投下しなければならない「欠陥経済」に変質したのです。次の例を挙げましょう。

中国農業では、現実に農薬を他国よりも2倍多く散布しています。

これまでの過剰な農薬散布が土壌を悪化させており、これが新たな病虫害を発生させているのです。

そこでまた、農薬を増やすという悪循環の繰り返しです。中国経済もこれと同じことの繰り返しです。

中国経済が、過剰債務=過剰投資に陥ったことで、国際競争力は低下しています。

つまり、効率性の劣る中国経済の産み出す工業製品は、輸出競争力の低下に見舞われています。

これが、貿易収支の黒字を減らしているのです。

2015年の5939億ドルをピークに減少し、17年には4195億ドルに低下しています。

最大の問題は、これによって経常収支の赤字問題が浮上することです。

今年の経常収支の黒字は300億ドル以下と見られます。来年は確実に赤字です。

中国の経常収支が赤字になれば、大変なニュースバリューを持ちます。

対外直接投資は、経常黒字が「元金」になります。

経常赤字では、中国の対外投資に大きな制約がかかるのです。

華々しく登場した「一帯一路」融資の元手が手薄になる事態で、中国はどう振る舞うのでしょう。

去年も5000億ドルの債務を増やして、対外直接投資を行ないました。これ以上の債務増加は望ましくありません。

中国政府が、「ニーハオ」と言って日本へ接近した理由は、すべて経常収支問題に絡んでいます。

中国は、財政的な弱小国を「債務漬け」して国際的な批判をあびました。

中国は、担保に目がくらんでいますが、貸し付けた資金は回収できません。

こういう未回収資金が、中国の外貨資金バランスを悪化させているはずです。

中国は本来、「債務漬け」にするほどの資金的ゆとりがない国です。それがいま、馬脚を現したと言うほかありません。

経常赤字で為替・株価大揺れ


中国の経常収支が赤字になれば、人民元相場に大きな影響を与えます。

中国人民銀行は1ドル=7元を維持したいとしていますが、経常赤字が回復せずに、かなりの期間にわたり継続するとなれば、7元を割り込むことは必至でしょう。

外貨準備高3兆ドル台を取り崩すのは当然ですが、ここで投機筋の「人民元売り」が加わります。

株価は暴落します。2015年の為替と株価の急落劇再現です。

来年の中国経済は、米中貿易戦争がなくても劇的な変化に見舞われる条件下に差し掛かっています。

従来の野放図な経済政策の総決算の段階を迎えたからです。

私は、2010年5月からブログを始めました。

それ以後、休みなく毎日ブログを書き続け、中国経済と向き合っています。

日本のバブル経済崩壊と重ね合わせながら、中国経済の「栄枯盛衰」を眺めてきました。

バブル破綻という最終局面にあることは間違いありません。

仮に、米中の合意が成立しなければ、中国経済は最悪事態を迎えます。

習近平氏が、それを見通せずに「意地」を張れば、習氏自身の権力の座も危うくなると見るほかありません。

ナガスクジラ猟を続ける捕鯨国アイスラン

2018-12-26 18:20:52 | 日記
「クジラの血が体に流れる」アイスランドの鯨捕りは日本のIWC脱退と商業捕鯨再開の方針をどう見たか


木村正人 | 在英国際ジャーナリスト


12/25(火) 12:03 


ナガスクジラ猟を続ける捕鯨国アイスラン


[ロンドン発]

日本政府が国際捕鯨委員会(IWC)から脱退し、30年ぶりに商業捕鯨を再開する見通しになっていることについて、IWCに留まりながら商業捕鯨を継続してきたアイスランドで捕鯨会社「クバルル(アイスランド語でクジラの意)」を経営するクリストヤン・ロフトソン社長(75)が電子メールで筆者のインタビューに応じてくれました。

日本の吉川貴盛農相は12月25日、閣議後の記者会見で「商業捕鯨の早期再開を目指している」と強調する一方で、IWC脱退の方針については「答えは差し控えたい」として、この日は脱退を公表しませんでした。

クジラを解体する風景の中で育ち、13歳から父親の捕鯨船で皿洗いや甲板磨きを手伝い、31歳の時に亡父から会社を相続したロフトソン社長は「自分の体にはクジラの血が流れている」と胸を張ります。

筆者は世界金融危機後の2009年1月にアイスランドを訪れた際にも、日本に鯨肉を輸出するロフトソン社長にインタビューしたことがあります。

当時、世界金融危機で経済が破綻寸前に陥っていたアイスランドでは、欧州連合(EU)に加盟して単一通貨ユーロを採用する代わりに、捕鯨を断念するか否かが真剣に議論されていました。

EUは捕鯨に反対しているからです。

ロフトソン社長は捕鯨船を背に「EUに加盟すれば水産関係の仕事は減る。入るならユーロより米ドルが良い」と話してくれました。

今回、ロフトソン社長は筆者の質問に「約30年間も続いた日本の調査捕鯨は少し行き過ぎていた。再開される商業捕鯨が政府の補助を受けて行われないことを望んでいる」と答えました。

――日本が商業捕鯨を再開するために、クジラ資源の保存と捕鯨産業の秩序ある発展を図るIWCからの脱退を決めたことについてどう思われますか

「個人的にはIWCから脱退する日本政府の決定に100%同意します」

――日本政府はIWC脱退後、南極海での捕鯨は行わず、その代り日本の沿岸や排他的経済水域(EEZ)内での商業捕鯨を認める方針のようですが

「IWC離脱後、日本は200海里のEEZ内で商業捕鯨の割り当てを決める完全な権利を有しています」

――日本政府はIWCが捕鯨国と反捕鯨国の対立で30年以上も二進(にっち)も三進(さっち)もいかなくなっているため、脱退を決めました。

膠着状態に陥っているIWCの状況についてどう思われますか

「IWCは長期にわたって死んでいます。今もそれが続いています」

――アイスランドでの商業捕鯨の現状について教えてください。持続可能で、必要と思われますか。課題はありますか

「アイスランドではEEZ内でナガスクジラとミンククジラの商業捕鯨が行われています。ナガスクジラとミンククジラの資源量は商業捕鯨を行っても十分に持続可能です。アイスランドは商業捕鯨を、資源を有効活用する漁業と同じように考えています」

――EEZ内で行われているアイスランドの商業捕鯨では、国連海洋法条約(UNCLOS)にどう対処していますか

「アイスランドはIWCの加盟国ですが、商業捕鯨モラトリアム(一時停止)を留保しています。

また、クジラを主とする海洋資源の管理を行う北大西洋海産哺乳動物委員会(NAMMCO)の加盟国でもあります。

(クジラの管理は『国際機関を通じて活動する』とする)UNCLOSを順守しています」

――日本は1982年のIWCの商業捕鯨モラトリアムを受けて88年に商業捕鯨を中断しました。
と同時に87年から科学的データを収集するためとして南極海や北西太平洋で調査捕鯨を続けてきたことについてどう思われますか

「日本のように約30年間も『調査捕鯨』を継続するのは少し行き過ぎだと思います。

日本は調査を分析するために50年前の方法を使っています。このため、他の国の研究者は日本の調査結果を用いて比較できないのです」

「商業捕鯨と同時に捕鯨について必要なすべての調査を実施できます。それが、私たちがアイスランドで行っていることです」

――日本では捕鯨で生計を立てている人たちがいます。彼らに捕鯨を止めることはできないでしょう。あなたはどうして捕鯨を続けているのですか

「われわれは良好な資源量、すなわち持続可能な資源量の中から商業捕鯨を行っています」

「私は、日本が政府からいかなる補助金も受けずに商業捕鯨を行うことを望んでいます。日本の漁業ではそれが当たり前です」

――アイスランドで反捕鯨団体シー・シェパードはどんな妨害活動をしていますか。欧米の反捕鯨国から圧力を受けていますか

「われわれは必ずこうした『何にでも反対する』グループに直面します。

しかし、覚えておかなければならないことは、彼らはあらゆることに反対を唱えるということです。何にでもね」

ロフトソン社長は船をシー・シェパードに沈められたことがあります。

日本の国際機関脱退は戦後ほとんど例がありません。

元日までにIWCに脱退を通知すれば、新年6月30日以降に商業捕鯨を再開することができるようになりますが、南極海での調査捕鯨を断念しなければなりません。

下衆の勘繰りかもしれませんが、突然、4島一括返還の政府方針を転換した北方領土返還交渉と同じように、夏の参院選に向けた目玉づくりなのでしょうか。

2010年、IWCは調査捕鯨の枠組みを撤廃し、南極海での日本の捕鯨枠を当初の5年間は年405~410頭、その後の5年間は205頭に縮小して容認する議長・副議長提案を発表したことがあります。

しかし、この時も捕鯨国と反捕鯨国が激しく対立し、協議は決裂しました。

今年9月にブラジルで開かれたIWC総会で日本はIWC改革案を提案、IWCの機能回復と立場の異なる加盟国の共存を訴えましたが、反捕鯨国の強硬な反対によって否決されました。

これを受けて「あらゆるオプションを精査せざるを得ない」と脱退を強く示唆していました。

現在、商業捕鯨を行っているのはIWC加盟国のアイスランド、ノルウェー、非加盟国のカナダとインドネシア。

先住民生存捕鯨を行っているのは米国、ロシア、デンマーク領グリーンランド、セントビンセントです。

(おわり)

木村正人

在英国際ジャーナリスト


在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

コーヒー1杯韓国5000ウォンvs日本3000ウォン…日本学者が見た韓国経済の異常兆候

2018-12-26 17:40:50 | 日記
コーヒー1杯韓国5000ウォンvs日本3000ウォン…日本学者が見た韓国経済の異常兆候

2018年05月30日07時56分

[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]


青島矢一教授

今月27日、5年ぶりに韓国を訪れた日本の青島矢一・一橋大学教授(52)には驚いたことがある。コーヒーの値段だ。ソウルにあるカフェのメニューを撮影したほどだ。

「コーヒー1杯が4000~5000ウォン(約400~500円)だった。

日本ではスターバックスでも同じようなメニューが3000ウォン(約300円)台だ。コーヒーはもちろん、ほとんどの生活物価が日本よりも10~30%は高い」。

28日、中央日報とのインタビューに応じた青島氏は「生活物価が非常に高くなった」とし「韓国の年3%経済成長率は日本と比べて低い数値ではないが、こんなにも体感景気が悪いと思わなかった」と述べた。

青島氏は韓国経済に現れている異常兆候を指摘した。「まず物価が高く、失業率も高い。だが平均的な賃金水準は低い」と述べた。

青島氏はその原因を一つの単語に縮約した。両極化だ。

青島氏は「長期間のウォン安を通じて輸出企業には恩恵がもたらされたが、これによって輸入物価が高くなり物価が上昇したのではないかと考える」とし「

輸出で稼いだ分が一部の高所得層だけを潤しながらも、全体賃金水準が上昇しなかったからではないか」と説明した。

ウォン安を土台にした輸出主導型経済がもたらした深刻な副作用だと青島氏は診断した。

「物価が上昇したら通常は賃金も上昇するはずだが、経済学的に説明するのは難しい」とし

「韓国は輸出主導型国家なので、国内の物価が上昇しても(世界の物価に連動して)国内賃金が上昇しない場合もある」と分析した。

この部分が日本とは明らかに違う点だと青島氏は強調した。

「日本は輸出市場と同じくらい内需市場の比重が高いうえ、景気低迷期を経て日本の物価は下がった」とし

「似たような景気不振の状況でも物価は高止まりしたままの点が日本と韓国では違う」と述べた。

青島氏は「当然、韓国の状況のほうが悪い」と付け加えた。

アベノミクスを足がかりに、日本経済が復活しているという判断のためだろうか。そうではない。

青島氏は「日本経済が『失われた20年』から脱出したとは言えない。

過去よりも景気が良くなったのは確かだが、円安政策や株価浮揚など日本政府の人為的テコ入れ策によるものだ」と述べた。

日本国内で雇用が増えて失業率が低くなる現象に対しても青島氏の評価は批判的だ。

青島氏は「引退後の再雇用形態である60歳以上の再就職比率が非常に高い」とし

「前年に比べて就業者数が40万~50万人程度増加しているが、その中身を見てみると60歳以上の再雇用率が高いため、

アベノミクスが実質的な雇用指標改善につながっているとは考えにくい微妙な状況だ」と答えた。

日本国内の企業の状況も違わない。

青島氏は「日本企業が400兆円に達する利益を上げているが、過去の不況の経験や未来の不確実性のためなのか、攻撃的に未来産業に対して投資をしていない」と指摘した。

そう述べつつ、日本自動車産業を例に挙げた。

青島氏は「自動車は日本経済の根幹産業だが、

モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)、自動運転、カーシェアリング等で産業の構造そのものが変化している」とし「

日本自動車企業がこのような新産業に対する投資を積極的にしなくなっているため、アマゾンなどにおされて今後競争力を維持することは難しいだろう」と予想した。

産業競争力でも、韓国は日本よりも危険だと指摘した。

青島氏は「それでも日本は完成品の生産・組立から部品・素材まで産業階層が厚く形成されているが、背後産業の面で韓国は弱いのではないかと思う」とし

「また、内需比重より輸出比重が過度に高いことも問題」と分析した。

解決策はないのだろうか。この質問に青島氏は少し悩んでから回答を提示した。

「不確実性に対する投資を回避するべきではない。企業内に蓄積している資金を未来に投資しなければならない」とし

「皆が『スペースX』(民間宇宙探査船)を作り出したイーロン・マスクのような最高経営責任者になれというわけではないが、

政府でも企業でも、資金が未来のための投資財源に回るように構造をしっかりと組むことが最も重要」と述べた。

「約束は無効と覚悟せよ」 福沢諭吉が見抜いた韓国の本質

2018-12-26 13:46:26 | 日記
「約束は無効と覚悟せよ」 福沢諭吉が見抜いた韓国の本質

2018.4.16 16:34

韓国の不実はいまに始まったことではない。

明治の傑出した知識人、福澤諭吉は当時すでにそのことを看破していた。「

脱亜論」で彼はなぜ朝鮮を見限ったのか。いまこそその背景にある思想に学ぶべきだ。文芸評論家の富岡幸一郎氏が解説する。

 * * *

《左れば斯る国人に対して如何なる約束を結ぶも、背信違約は彼等の持前にして毫も意に介することなし。

既に従来の国交際上にも屡ば実験したる所なれば、朝鮮人を相手の約束ならば最初より無効のものと覚悟して、

事実上に自ら実を収むるの外なきのみ》(『時事新報』明治三十年十月七日)


これは福澤諭吉の言葉であるが、まさに現在の日韓関係の本質を言い当てているではないか。

ただし福澤は決して「嫌韓」論者なのではなかった。

後で引く有名な「脱亜論」もそうである。

彼は西洋列強のアジアへの帝国主義的な侵略にたいして、明治維新によって近代化の道を拓いた日本こそが、中国や朝鮮にたいして力を貸して共に連帯して抗すべきであると考えていた。

また亜細亜という言葉から中国(清朝)と朝鮮を同じく捉えていたのではなく、むしろ朝鮮をアジア同胞として清韓の宗属関係から脱却させ日本のように文明化させることの必要性を説き尽力したのである。

李氏朝鮮の旧体制(血族や門閥による支配)のままでは早晩、清国やロシアの植民地となり、それはそのまま日本の国難になるからだ。

李朝末期のこの腐敗した絶望的な国を変革しようとした開化派を福澤は積極的に支援し、そのリーダーであった金玉均らの青年を個人的にも受け入れ指導教育を惜しまなかった。

また朝鮮に慶應義塾の門下生を派遣する行動を起こし、清朝の体制に取りこまれるのをよしとする朝鮮王朝の「事大主義」の変革をうながした。

清仏戦争が勃発し、清国軍が京城から退却したのを機に開化派がクーデターを企てるが(甲申事件・明治十七年)、それが失敗に帰したことから、朝鮮における清国の影響力は決定的となった。

福澤のなかにあった日本による朝鮮の文明化の期待も潰えた。

日本に十年余り亡命した金玉均も明治二十七年上海で朝鮮の刺客に暗殺され、その遺体は無残に切断され国中に晒された。

福澤に「脱亜論」を書かしめたのも、朝鮮の開明派、独立派の人々への必死の支援がことごとくその固陋な中国従属の封建体制によって無に帰したことによるものだ。

《我日本の国土はアジアの東辺に在りと雖ども、その国民の精神は既にアジアの固陋を脱して西洋の文明に移りたり。然るに爰に不幸なるは近隣に国あり、一を支那と云い、一を朝鮮と云う。》(「脱亜論」明治十八年三月十六日)。

この近隣にある「二国」は、《その古風旧慣に恋々するの情は百千年の古に異ならず……教育の事を論ずれば儒教主義と云い、学校の教旨は仁義礼智と称し、一より十に至るまで外見の虚飾のみを事として……道徳さえ地を払うて残刻不廉恥を極め、尚傲然として自省の念なき者の如し》

◆挑戦への絶望と苛立ち

 
福澤の文章の烈しさは、そのまま朝鮮の開化を祈念していた彼の思いの裏返しの憤怒であった。

しかし福澤は「文明化」自体に絶対的な価値を置いていたのではない。

「脱亜論」の冒頭でも「文明は猶麻疹の流行の如し」といい、「有害一偏の流行病にても尚且その勢いには激すべからず」として文明化は利害相伴うものであることも語っている。

むろん福澤はアジアのなかで唯一文明化に成功した日本を正しい選択であったとしている。

大切なのは西洋文明の波がかくも急速に高く押し寄せているときに、旧態依然の「外見の虚飾」を捨てない朝鮮の政体と人民への絶望と苛立ちをはっきりと表明してみせた言論人としての姿勢である。

《左れば今日の謀を為すに我国は隣国の開明を待て共に亜細亜を興すの猶予あるべからず、寧ろその伍を脱して西洋の文明国と進退を共にし、その支那、朝鮮に接するの法も隣国なるが故にとて特別の会釈に及ばず、正に西洋人が之に接するの風に従て処分すべきのみ。悪友を親しむ者は共に悪名を免かるべからず。我れは心に於て亜細亜東方の悪友を謝絶するものなり。》

当時も今も国際社会のなかで外交を「謝絶」することはできない。

問題は「心に於て」、すなわち日本はユーラシア・中華帝国の膨張の現実を前にして、この世界史に参与すべく如何なる「思想」を自ら打ち建てるかである。

韓国に関していえば日韓基本条約(一九六五年)で国交正常化をなし、日本から韓国への膨大な資金提供もあり「漢江の奇跡」と呼ばれた経済復興を成し遂げたにもかかわらず、日本のおかげというその現実を認めたくないがために慰安婦問題や戦時徴用工などの「歴史問題」を繰り出し続けてやまない。

その国家としての態度に日本は毅然とした「処分」を示さねばならない。韓国がやっているのは、福澤のいうまさに「外見の虚飾のみを事として」の「背信違約」の狼藉三昧である。

かかる「悪友」への処し方を、われわれは今こそ明治国家の多極的な外交戦略と、その背後にあった福澤諭吉のような近代日本の思想的先達によくよく学ぶべきであろう。

【PROFILE】富岡幸一郎●1957年東京生まれ。中央大学文学部フランス文学科卒業。在学中に執筆した「意識の暗室-埴谷雄高と三島由紀夫」で「群像」新人賞評論優秀作を受賞、文芸評論活動に入る。関東学院大学国際文化学部比較文化学科教授、鎌倉文学館館長。近著に『虚妄の「戦後」』(論創社)がある。

※SAPIO2018年3・4月号