桂米朝〔1925/11/06-2015/03/19〕が死去しました。
これで、私が最も高く評価してきた3人がすべて、この世から去ったのです。
その3人とは
- 升田幸三〔ますだこうぞう 1918/09/25-1991/04/05〕将棋棋士
- Bud Powell 〔バド・パウエル 1924/09/27-1966/03/19〕ピアノ演奏家
- 桂米朝〔かつらべいちょう 1925/11/06-2015/03/19〕落語家
3人に共通していたのは「創造性」。
- 升田幸三: とくに序盤でさえ他の誰も気付かない独自の創造性を発揮して将棋の奥深さを伝え、升田幸三賞という名で現在にもその影響を残しております。
- バド・パウエル: 軽く弾くだけがピアノ演奏ではないと、独自の音色と構想力を見せ、ビバップジャズの創造者の一人となり、50年後の現在にまで影響を与えています。
- 桂米朝: ゆたかな発想とともに、「学者肌の細部にわたる調査分析力」と「突出した声色や表情による品格あふれる面白さ」の両面をもった他に例がない芸風でした。
ただし世間は、誰に対しても、悪い一面を強調しがちです。
- 升田幸三: ガラが悪い、毒舌家だ。
- バド・パウエル: 薬物中毒患者だ。
- 桂米朝: 単に上方落語の復興に尽力した人で、学校の先生みたいでおもしろくない。
などと揶揄する人もいましたが、それでいいのです。何かを成し遂げた人には、必ず反発する人がいるものですから。
そこで、私なりに、上の順序に従って、再反論しておきましょう。
- 升田幸三: たしかにガラが悪かったが、立川談志のようなひねくれた幼稚さがなかった。満州進出の責任者の一人とはいえ、後日東条英機と対立して政界から離れた石原莞爾(いしはらかんじ)に似た明晰な頭脳をもっていた。
- バド・パウエル: 晩年たしかに薬物依存の影響を連想させる演奏家だったが、裏社会の白人たちによる犠牲者だったとも言え、時代が異なるもののMLBのロッド、ボンズ、マグワイア、ソーサなどの確信犯的な薬物使用「本塁打増産人物」とは大きく異なる。
- 桂米朝: たしかに古今亭志ん生や笑福亭松鶴、横山やすしのような破滅型の芸人を好む人には好かれないだろうが、それでいいと思う。私の知る限り、6代目三遊亭圓生と桂米朝は、文字通り「名人芸」を見せた。
桂米朝の言葉で好きなものを1つ上げておきます。
笑いは庶民の尊い文化だが、ブームになるとかそんな大層なものやない〔日本経済新聞〕
どうですか、立川談志のような低レベルの口調ではないでしょう?
まぁ、桂米朝と談志を比較すること自体が、桂米朝に失礼な話ですが(大笑)。
旧満州に縁のある人について
- まずこの桂米朝が、旧満州生まれであること〔出身地は実家のある姫路とする〕
- 終戦間際に、古今亭志ん生と三遊亭圓生が満州へ興行に出かけ、戦後何とか帰国し、その後、両者は50歳くらいを過ぎてからようやく売れ始めたこと
をご紹介しておかねばならないと思いました。
今もしも30歳代や40歳代の人で、「自分は不遇だ」と思っている方がいたとしたら、50歳を過ぎてからのこんな立派な人生もあるということを、知っておいて決して損ではない、と思うのです。今のあなたを磨いておくのがよろしいかと!
最後に
- 桂米朝の葬儀委員長は田中秀武米朝事務所会長、喪主は桂米朝の息子桂米團治。
- 桂春若の話では、風紀を乱す連中の集まりである上方落語協会(会員200名強)の初代風紀委員長が桂米團治で、2代目が桂春若らしい。