曲がり角の向こうに・・・

毎日の暮らしの中でフと心に留まった人やもの、そして風景を描きとめています。 

再び「フレディの遺言」を胸に

2021-10-31 | 良い加減介護

見出し画像の本については

ブログを始めて間もない

2018年9月1日に

「川の流れと人の世は」のタイトルで

取り上げたことがありました

長年多くの患者を診察してきた

老人病院院長が

「私がボケた時のお願い」

と合わせて

「21世紀型ボケないための生活習慣」

をしたためた本です

 

特に「フレディの遺言」は

「私がボケた時のお願い」として

絵本となっていて

自分が認知症になったら

そうして欲しいなと思う言葉が

書かれています

発行は2008年12月ですので

その当時は夫はまだ元気でした

聖路加国際病院院長をなさっていた

故日野原重明先生が推薦されている本ということで

買い求めたのだと思います

 

それが、計らずもその後夫の介護をすることになり

私にとってのバイブルとなりました

 

                    

フレディの遺言(全文)

 

私がまさかボケることはないと

思われるかもしれませんが

先のことは私にも分かりません

 

万一のときのために、家族や

私の介護にあたってくださる人へ

次のようなことを

今からお願いしておきたいと思います

 

医者だったことを まず忘れてください

私は過去とは別の人間になってしまったのです

 

「しっかりして!」と大きな声で怒鳴られても

ただ恐ろしいのでおびえるだけです

ですから 私に何か言いたいことがあれば

笑顔で優しく 簡単に話して下さいね

 

きっと私は変なことを言うと思います

例えば「蛇がいる」と言ったら

「じゃぁ 追い払いましょうね」と

私の要求をまず受け入れて下さい

 

「ごはん まだか」と言ったら

「お腹が空いたのね」と

優しくクッキー1枚くれれば満足です

 

それから私は何をやっても

すぐ忘れる病気の人だと思ってください

もちろん 目の前の人が

誰なのかもわかりません

 

ただ あなたが私の目をしっかりと見て

優しい声で話しかけてくれたら

きっとあなたが大好きになります

ほかの人が言うことを嫌がっても

あなたなら聞こうとします

笑顔が好きだからです

 

私の頭の中はモヤーッとしています

だから とても不安でいっぱいなのです

夜は正直 何かが出てきそうで

とても怖いのです

 

そのために 騒ぐときがあるかもしれません

そんなときでもしからないで

優しく肩を抱いてください

 

私の心が寂しいとき

私が若いころに

大好きだった曲を聴かせてください

どんなに知性が破壊されても

その分 感性だけは豊かなのですから

 

私は こうしたことを

ごく自然にしてくれる

心優しい人に囲まれて

余生を過ごしたいと願っています

 

                    

 

夫を介護する生活は10年を過ぎました

理解できない言動に何度も振り回され 悩まされてきました

そのたびにこのフレディの遺言を

思い出して何とか笑顔を取り戻そうと

努力しましたが・・・なかなか難しいことでした

 

一昨日のドクターと看護師そして施設の責任者との面談は

夫の現状と今後の見通しについてドクターを中心に

詳しい説明がありました

 

最近になって食事を摂れない状態が続いていて

全身状態の低下が見られる

認知症も進んでおりリハビリも困難な状況にある

また高齢であるため

積極的な加療は困難であり改善も困難な状態であると

大変厳しい見解を示されましたが

大方予想していたことでした

 

夫にはこれ以上余分な痛みや苦しみのない

穏やかな日々を送ってもらいたい

そのためには延命措置は望まない・・・と

心に決めておりましたので

若い頃夫とそんなことを冗談めかして

話したことがありました・・・)

施設の中で穏やかな看取りを

お願いいたしました

これについては娘も納得しています

で なんと

話し合いのその日から

病室での面会が許可となりました

顔を見る限り顔色も良く

問いかけにも簡単に答えるなど

そんなに衰弱しているとは思えませんが

手足のマーッサージをしてみて

余りに細くなってしまっている手足に

愕然としました

『奥さんの顔を見たら元気になるかもしれません

看取りに入っても1年2年と元気になって

過ごされる人は何人もいますから

希望を捨てないでください』

とは施設の責任者の言葉

 

とにかく毎日夫と会えことになりました

昨日は口を開かないと言われている夫が

持参した紅茶をスプーンで差し出すとなんとか1杯飲んだし

ミカンを剥い絞った果汁を

こぼしながらもスプーン2杯口にしました・・・

ちゃんと口を開けるじゃない・・・

家で介護できれば・・・と

胸が痛みました

 

それでも

30分ほどの短い面会時間ですが

好きなゴールウェイのフルート曲を

CDで一緒に聞いたり

写真を見たり

夫の好物を食べさせたり

マッサージをしてやったり

夫との静かで穏やかな時間を

過せることに感謝しています

寿命は神のみぞ知ると思っておりますので

あれこれ考えず日々できることを

淡々とやっていこうと

思っていますが

どういうことになるでしょうか・・・

 

皆さまには大変ご心配を頂き有難うございました。 

また、ここまで長々と長文にお付き合い頂いて心から感謝しております。

コメント (20)    この記事についてブログを書く
« 京都の秋・・・振り返り | トップ | 穏やかな時間の中で »
最新の画像もっと見る

20 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (yoko)
2021-10-31 07:52:39
おはようございます。

いつも頑張っておられる、のりさんには
頭が下がります。
ご主人様とお会いできて、本当に良かったですね!
「フレディの遺言」は、心に響きました。
これから始まるかもしれない、姑の介護の事…
この言葉をしっかりと胸に、置いておこうと思いました。
ありがとうございました。
返信する
Unknown (ベル)
2021-10-31 08:28:46
おはようございます
面会できるようになってよかったですね
久しぶりにご主人の側で食事の介助
百聞は一見にしかずですね

会話ができて身体が動く時の対応はほんと幼稚園児と話してるような感じで話してますね
とにかく相手の言い分聴いて一言で抑える
それまで真っ赤になって怒っていたのが瞬時に柔らかい顔つきになる そばで見てると不思議でした
何十年精神科にいるとそんな対応は当たり前の事なんでしょうけど初めてだとななかなか難しいですね
返信する
Unknown (ピエリナ)
2021-10-31 08:35:38
おはようございます。

お掛けする言葉も見つかりませんが、皆様が日々穏やかに過ごされますように祈っております。
返信する
yokoさんへ (のり)
2021-10-31 09:14:49
おはようございます。
「フレディの遺言」に心動かされたと知って、とても嬉しいです。 チョッと長文になるのでどうしようか、と迷いましたが、認知症に対する理解を少しでも多くの方に深めて欲しい・・・と願って載せました。

夫にはこれまで病院での診察や入退院、施設への入所の際に顔を見ることはありましたが、コロナのために握手くらいで、本当にもどかしい思いでおりました。 今こういう状態になって毎日病室で会い、好きなように過ごせるようになり、複雑な思いではありますが、この夫との日々を大切に過ごそうと思っております。

yokoさんもお姑さんのことや、ご自身のご病気のことなど、色々大変でしょうが、どうぞご無理をなさらずお過ごし下さい。

詩情あふれる写真も楽しみにしております(^-^)

コメント頂き有難うございました。
返信する
ベルさんへ (のり)
2021-10-31 09:27:54
おはようございます。
ハイ、面会できるようになったことはとても嬉しいです。 チョッと複雑ではありますが・・・

色々とんでもないことをしでかしてくれた頃の元気が懐かしいです。 リモートでは分からなかったのですが、実際に会って見ると、身体全体が萎んでしまっていて驚きました。 幼児に戻っている夫との最後の日々を大切に過ごそうと思っております。

ベルさんには貴重な体験の中から色々とアドバイスを頂き、心から感謝しております。 今後ともよろしくお願いいたします。

コメント頂き有難うございました。
返信する
ピエリナさんへ (のり)
2021-10-31 09:44:13
おはようございます。
優しいお言葉を掛けて頂き有難うございます。

ピエリナさんが高齢なお母様の介護に、日々心を込めて精一杯務めていらっしゃる姿から元気を頂いております。 どうぞ、くれぐれもご無理ならさずお過ごし下さいね!

コメント頂き有難うございました。
返信する
のりさんへ (ミルク)
2021-10-31 13:03:03
こんにちは。
「フレディの遺言」詠んだことありませんでしたが、
体の隅々まで、染みわたりました。自分に置き換えてみた時に
いちいち、うなずける言葉ですね。
面会が30分ということですが、毎日出来る事になって良かったです。
お好きだった紅茶・フルートの音色 ぜ~んぶご主人にとっては、嬉しかったことでしょう。

のりさんの心は、絶対、とどいてますからね。
ご主人も穏やかに、のりさんも穏やかに、見送る決心をされたことに敬意を・・・
くれぐれも、お身体には気を付けてくださいね。
返信する
のりさんへ (のびた)
2021-10-31 13:54:13
人の一生 長さは分かりませんが ガンや認知症を経ての旅立ち 必ず来ますね
フレディの遺言 私は自分を当てはめて読んでいます
他人には 元気 健康を誇っていますが 実情は 物忘れがひどくなってきています
特に単語が思い出せないことが多くなり 悩むことを忘れよう 全て神が居るならお任せと・・
それでも いろいろ脳トレなどトライはしています
ご主人と 穏やかな日を過ごす これが一番の療法かと思います
僅かでも進行を抑えることが出来たら それだけお二人の時間が伸びることです
熱心なうたごえファンのお二人の男性が最後は緩和ケアにお世話になりました
こんなこと 考えたくありませんが いつか 自分のことと考え ご主人へも想いを表すものです
のりさんの健康も心配になります
どうぞ 心だけは前を向いて 強く生きてください
返信する
ミルクさんへ (のり)
2021-10-31 13:59:48
こんにちは。
ミルクさん、色々ご心配頂いて有難うございます。
「フレディの遺言」を読むのはミルクさんも初めてなのですね。 そして、フレディの言葉がミルクさんの身体中に沁みわたった・・・ 良かったです(^-^)

今回の決断を認めて頂き嬉しいです。 長い介護の日々の最後に、二人で穏やかな時間を過ごせることになり感謝しています。 

今日は寒いです。 そちらはもっと寒いことでしょうね。 風邪など引かないよう気を付けて下さい。
コメント頂き有難うございました。
返信する
Unknown (ゆっくん)
2021-10-31 15:52:34
こんにちは。
フレディの遺言を見てとても納得いたしました。が。
現実は、当初近親者の認知症が、こちらで受け入れられなく、感情になったりしたことを思い出しました。
うけいれる事の難しさですね。
ご主人様との面会ができるようになられたのですね。
複雑な心境と思いますが、やはり近くで手足を擦ってあげるとの事は、リモートでは無理ですね。
やはり、ご主人様もやさしいのりさんを愛していらしゃるのですね。説明できない力だと感じます。
スプーンで飲むことが出来たことも。
長い間コロナ禍で、直接会えなかったですから、これからは、近くで声をかけてあげたら、元気になられると思います。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

良い加減介護」カテゴリの最新記事