1963年に2枚のアルバムと、5枚のシングル盤を発表したザ・ビートルズ。11月に2ndアルバム『With The Beatles』を発表した後、すぐにシングル5枚目の「I Want To Hold Your Hand(抱きしめたい)」をリリースし、この曲で全米初のヒットチャート1位を掴みました。
この「抱きしめたい」のレコーディングから、4トラックのテープレコーダーを駆使することになります。今までの一発録りから、オーバーダビングを繰り返して複雑な楽曲作りが始まったのです。
1964年に入り、すでに人気絶頂となったビートルズは、初のアメリカ公演や数々のライブをこなしながら、映画の撮影をしつつ、曲作りとレコーディングという殺人的スケジュールとなりました。
7月になり、遅れていた新しい映画のテーマ曲が完成しました。そして3枚目のアルバム『A Hard Day's Night(ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!) 』を発表します。
録音機材の新化が楽曲に大きく影響したアルバムとなりました。
楽器も進化しました。ジョージ・ハリスンは12弦ギターを手に入れて華麗なサウンドを披露し、初めて耳にする世界のギター少年たちの度肝を抜いたのです。
ではドラムはというと、まだラディックの3点セットは変わらず、リンゴは相変わらずシンプルなセットを使用していました。
ですが、ドラミングは大きく変わっていきます。今までのオールドロックンロールスタイルから、2拍4拍のバックビートのタメを効かせたロックビート主体になります。
アイデアの塊のようなこのアルバム。まずレコードに針を落とした瞬間、アルバムタイトルの「A Hard Day's Night」のイントロの「ジャーン!」は誰もが驚き、今でもそのコードの構成についてミュージシャン同士で話題になるほどです。
また、オーバーダビングでいろんなものをミックスして新しいグルーブを作っています。同曲ではボンゴやカウベルをダビングして疾走感を増しています。この曲のテンポは140ぐらいで決して速くないのに、このスピード感は素晴らしい。彼らの全楽曲の中でも最高傑作だと思います。
リンゴさんのスネアのタイミング、BDの突っ込み方は気持ちよすぎる出来です。特にサビの後半、ポールが声を張るところでの8分音符連打は鳥肌ものです。シンプル且つグレイト。
実は、個人的にこのドラムトラックは若干テープ速度を変えているんじゃないかとずっと昔から思っています。正式にそういう発表はないと思いますが、あのスネアやハットの音とノリがこの曲だけ違い過ぎていると思うからです。この曲の間奏はジョージの12弦ギターとジョージ・マーティンのピアノのユニゾンなんですが、何度やっても息が合わずテープ速度を落として録音した、と何かで読みました。
なので、楽曲完成を最優先しテープ速度を変える事についての抵抗は全くなかったと思われます。
したがって、このアルバム以降のリンゴさんのドラミングは、ドラマーとしての変な固定観念を持たず、多少のテープ速度の変化についてはおおらかな気持ちで聞くべきだと思っちょります。
「Tell Me Why」でのドラムブレイクはリンゴさんならではの高速両手打ち6連×2。左利きスーパードラマーじゃなきゃ絶対ムリだよな~なんだけど、これもテープスピードマジックなら?
アイデアという点では、「すてきなダンス」でオーバーダブしたタムタムサウンドが素晴らしい。あのベントダウンするドゥンって音に痺れてしまいました。
さて、3か月ちょっとの間に集中して鬼のように録音したアルバムですが、曲数が多くてアルバムに入り切らず、なんと4曲入りEP「Long Tall Sally」として先に発売したという。
ノリに乗った天才の4人組。中でもリンゴのドラミングは、若干24歳にして既に油が乗った感じです。『A Hard Day's Night』の13曲はほぼオールドスタイルのドラミングではなく、独特の重みのある8ビートに変わっています。
もっともこれはリンゴだけが変わったというのではなく、曲のつくりが4ビートシャッフル主体から8ビートロックに変化していったからであって、曲ありきのリンゴさんはそれに合わせていったという事でしょう。
それでも先に発売したEP「Long Tall Sally」でのドラミングは、リンゴお得意のオールドドラミングの中でも最高峰の芸術ドラミングをしています。ロック史上でも奇跡の1曲と断言しちゃいます。
こうしてアルバム発表しても休むことなく曲作りやライブと仕事に明け暮れる4人ですが、64年の暮れに4枚目のアルバム『Beatles For Sale』を発表します。
全体的に地味な曲の多い印象がありますが、カバー曲も随所取りいれて聞き応えのある1枚となりました。
その4に続く
この「抱きしめたい」のレコーディングから、4トラックのテープレコーダーを駆使することになります。今までの一発録りから、オーバーダビングを繰り返して複雑な楽曲作りが始まったのです。
1964年に入り、すでに人気絶頂となったビートルズは、初のアメリカ公演や数々のライブをこなしながら、映画の撮影をしつつ、曲作りとレコーディングという殺人的スケジュールとなりました。
7月になり、遅れていた新しい映画のテーマ曲が完成しました。そして3枚目のアルバム『A Hard Day's Night(ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!) 』を発表します。
録音機材の新化が楽曲に大きく影響したアルバムとなりました。
楽器も進化しました。ジョージ・ハリスンは12弦ギターを手に入れて華麗なサウンドを披露し、初めて耳にする世界のギター少年たちの度肝を抜いたのです。
ではドラムはというと、まだラディックの3点セットは変わらず、リンゴは相変わらずシンプルなセットを使用していました。
ですが、ドラミングは大きく変わっていきます。今までのオールドロックンロールスタイルから、2拍4拍のバックビートのタメを効かせたロックビート主体になります。
アイデアの塊のようなこのアルバム。まずレコードに針を落とした瞬間、アルバムタイトルの「A Hard Day's Night」のイントロの「ジャーン!」は誰もが驚き、今でもそのコードの構成についてミュージシャン同士で話題になるほどです。
また、オーバーダビングでいろんなものをミックスして新しいグルーブを作っています。同曲ではボンゴやカウベルをダビングして疾走感を増しています。この曲のテンポは140ぐらいで決して速くないのに、このスピード感は素晴らしい。彼らの全楽曲の中でも最高傑作だと思います。
リンゴさんのスネアのタイミング、BDの突っ込み方は気持ちよすぎる出来です。特にサビの後半、ポールが声を張るところでの8分音符連打は鳥肌ものです。シンプル且つグレイト。
実は、個人的にこのドラムトラックは若干テープ速度を変えているんじゃないかとずっと昔から思っています。正式にそういう発表はないと思いますが、あのスネアやハットの音とノリがこの曲だけ違い過ぎていると思うからです。この曲の間奏はジョージの12弦ギターとジョージ・マーティンのピアノのユニゾンなんですが、何度やっても息が合わずテープ速度を落として録音した、と何かで読みました。
なので、楽曲完成を最優先しテープ速度を変える事についての抵抗は全くなかったと思われます。
したがって、このアルバム以降のリンゴさんのドラミングは、ドラマーとしての変な固定観念を持たず、多少のテープ速度の変化についてはおおらかな気持ちで聞くべきだと思っちょります。
「Tell Me Why」でのドラムブレイクはリンゴさんならではの高速両手打ち6連×2。左利きスーパードラマーじゃなきゃ絶対ムリだよな~なんだけど、これもテープスピードマジックなら?
アイデアという点では、「すてきなダンス」でオーバーダブしたタムタムサウンドが素晴らしい。あのベントダウンするドゥンって音に痺れてしまいました。
さて、3か月ちょっとの間に集中して鬼のように録音したアルバムですが、曲数が多くてアルバムに入り切らず、なんと4曲入りEP「Long Tall Sally」として先に発売したという。
ノリに乗った天才の4人組。中でもリンゴのドラミングは、若干24歳にして既に油が乗った感じです。『A Hard Day's Night』の13曲はほぼオールドスタイルのドラミングではなく、独特の重みのある8ビートに変わっています。
もっともこれはリンゴだけが変わったというのではなく、曲のつくりが4ビートシャッフル主体から8ビートロックに変化していったからであって、曲ありきのリンゴさんはそれに合わせていったという事でしょう。
それでも先に発売したEP「Long Tall Sally」でのドラミングは、リンゴお得意のオールドドラミングの中でも最高峰の芸術ドラミングをしています。ロック史上でも奇跡の1曲と断言しちゃいます。
こうしてアルバム発表しても休むことなく曲作りやライブと仕事に明け暮れる4人ですが、64年の暮れに4枚目のアルバム『Beatles For Sale』を発表します。
全体的に地味な曲の多い印象がありますが、カバー曲も随所取りいれて聞き応えのある1枚となりました。
その4に続く