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事業承継 シリーズ③  「財産を引き継ぐ」

2018-12-26 17:02:45 | 経営コンサルタント

この記事は(一社)日本経営士会発行の「環境CSRニュース」で配信した記事の一部です。日本経営士会 環境CSRのホームページはこちらへ。  http://www.compact-eco.com 

前回は人を引き継ぐでした。人の引継ぎでは経営コンサルタントが介在できる分野ですが、今回の財産の引き継ぎでは、税務上の問題が出てきますので税理士分野になるかと思います。

財産で最も大きな割合を占めるのは株式です。上場企業の株は値段がついていて解りやすいですが中小企業では現在の株価の評価は算定しなければなりません。

この評価には原則的評価法、特例的評価法がありますがここでは詳細には書きません。税理士に任せる分野です。

そして株の所有者は社長、奥様、兄弟など親戚など一族で持っている場合が多い。

また会社と個人名義の資産は別物と考える経営者が多いですが、一緒に考えざるを得ない例がほとんどです。なぜなら個人の所有する土地に会社の借入金の担保に入っている例、会社が儲かっていないのに個人で所有している不動産収入が入っている例、個人(社長等)の土地の上に会社の建物を建てている場合は借地権の問題、会社として借地権の対価の支払いを個人である社長等に支払い義務発生など複雑になっている例が多い。

このような理由で事業継承には会社と社長個人の財産を一緒に考えざるを得ません。

 

社長が引退又は死亡した場合の承継で発生するのは株の買い取り問題です。

株式をめぐって親族間の争いが生じます。結果経営権が分散してしまいます。そうしたら会社という組織が機能しなくなります。ある親族は株式の買い取りを主張し、別の親族は毎年利益が出たら配当の請求をする、別の親族は経営に口を出すなどします。このような事で会社が倒産の危機に直面する例があります。

だから相続が起きる前にあらかじめ自社株の承継者を決めて早めに株式を移しておくことが重要となります。

自社株の買い取り手法

①贈与:贈与には暦年贈与と相続時精算贈与があります。

    自社株の贈与を受ける次期社長には贈与税の納税義務があります。

②売買:株を売買する方法です。

    株を売却すればお金が入ってきますのでそのお金で譲渡税という税金を払う 

    ことになります。買い取る側の次期社長はお金の工面をする必要が出てきま  

    す。ここで金融機関が絡んできます。事業投資と違い回収しづらい借り入れ 

    のため慎重な対応が求められます。

    又は会社が金庫株として買い取ることも可能です。会社に充分な資金がなけ 

    れば金融機関から借り入れすることとなります。仮入れたら金融機関に返済  

    しなければなりません。この返済額は分配可能額(簡単に言いますと利益剰 

    余金)を越えてはならないという規則があります。

 

    話が前後すますが、事業を承継する場合は事業承継計画を作成し関係者、金

    融機関に提示する必要があります。

    この事業承継計画には時系列で以下の項目が考えられます。

    何年後に売上高、経常利益、定款の変更、株式の移動など、現経営者の実行   

    すること例えば役職はいつまで社長でいるか、会長、相談役には何年後、

    関係者への理解、後継者教育、株式、財産の分配、持ち株比率を徐徐に減ら  

    す等 、一方次期社長はいつから取締役から社長になるか、後継者教育を受  

    ける、持ち株比率を高めていく時期等です。

 

自社株式が分散している場合は可能な限り買い取りなどを実施して、後継者

に自社株式を集約します。集約後株式を分散させないために、定款に譲渡制限規定を設けることが有効です。

この規程を作成する折は総株主人数の半数以上、かつ総株主の議決権の2/3以上の賛成が必要。

関連で自社株式の集中や分散防止対策として議決権制限株式、拒否権付種類株式(黄金株)相続人に対して売渡請求等があります。

 

経営承継円滑化法の活用

現経営者の生前に計画的に事業承継対策を取り組むに当たって非上場株式に係る相続税・贈与税の納税猶予・免除制度、遺留分に関する民法特例、金融支援といった「中小企業経営承継円滑化法の活用を検討することも有益です。

  

親族内承継では後継者以外の相続人の遺留分の問題があります。

遺留分を計算する際は、通常の法定相続分とは違った分け方をします。遺留分とは、相続人が最低限もらう事のできる財産を保証している制度であり、もし遺言書などで相続人以外の人に全財産を渡すと記してあった場合など、あまりにも不利益となる自体を避ける為の法律です。 関連語として減殺請求という言葉があります。

生命保険に加入する方法は①②とは趣旨がちがいますが、関連で保険に入っておくことも事業承継の重要な選択肢です。

社長が大株主で、急逝すると株が分散する例があります。対策として生命保険に加入する方法があります。

契約者は会社、被保険者は社長、受取人は会社という形態にする方法です。

万が一現社長が急逝しても保険金は会社に入り、株の買い取り資金が準備できます。

この保険金は雑収入となり利益剰余金を押し上げる効果があります。

 経営士の中には事業承継を一つの柱として企業のコンサルをやっておられる方もいると思いますが、このテーマで経験談などこのニュースで発信して頂ければ幸いです。

●出典元は

中小機構の「中小企業経営者のための事業承継対策」平成30年度版A4 48ページ

 同じく「事業承継支援マニュアル」支援者向け平成30年度版 A4版 159ページ

   東京都神谷町の中小機構の受付で入手可能、確認していないですが送ってくれるかもしれません。TEL03-5470-1576 です。

「間違わない事業承継」弁護士、税理士、ファイナンシャルプランナー、経営コンサルタントの共著 清文社

 


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