日々乃家日誌 まにまに・てい子の日々の発見

母まにまにが娘てい子と始めた、日々の発見を綴るブログです。

ドンフンのなみだ(感想文)

2021年08月03日 | 感想文/創作物

 最終回のそれなりのハッピーエンドの前に、アパートで主人公が一人食事をしていて涙するシーンがある。


 何か食べながら食器を洗いながら、あれ?と自分でもよくわからないなと彼は目から出る液体を拭く。ちょっと姿を消して(きっと物干場のタオルに顔を埋めて泣いて)気を取り直してテレビをつけたのに、ソファの彼はついに嗚咽する。


 私たちはなんで泣いたのかな、という気持ちと、とにかく泣けてよかったな、という気持ちでそれを見ている。


 いいかげんができない不器用なやつで、周りのみんなにも、世界で一番可哀想な子にも可哀想がられる。いつでも役割を果たそうとする人だから、一人にならないと泣けなかったはずだ。


 なんで泣くのか、自分だってわからなかっただろう。自分の気持ちこそがわかんない人だし、そもそも泣いたことすらないはずだしね。


 あれはね、ポン、と栓が抜けたんだよね。


 ずっとこうあるべきって自分で自分に課したものの中で、窒息していた。そして静かに死にかけていた。


 だからあの涙は生き返る、息を吹き返す、血が流れ始める、そんなようなものだったと思う。


 きちんと自分を生きないと、ね。

 私たちもみんな。


 ファイティン。













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