
何ヶ月ぶりかに人に会って、両手に抱えきれないほどの贈り物を抱えてぼうっとしながら帰る。
お土産にはカレンデュラとちりめん山椒と、お散歩と蹴りとお叱りが入っている。
大人になった私にはそれがどんなに貴重なギフトかよくわかる。
生きるために一番必要な光が空から降ってくるように、どんなに大切にされたか与えられたか、自分がどれほど恵まれているかをヒフから染み込ませながら帰る。
今別れてきた人たちへの言葉にできない感謝と、これから帰る家にいる人たちのありがたさと、両方をつなぐ綱の上の、この体の中にいる。
思いあがらずどこかにいかず、ごまかさず思考に引きずられず、忘れずにくりかえし、祈るように真摯にきちんとここにいようと思う。

もう今日は無理かと思ったけど少し遅めにおさんぽに出た。
おさんぽとは言わないな、自転車だから。
少し蒸していたから外気が気持ちいい。
試すようにこぎ出したけど夕暮れの日差しはまだ明るくて、世界はとてもやさしかった。
違うな。
世界はやさしかったりやさしくなかったりしないから。
自分がそう受け取れるようにあるんだな。
体に張りついていた透明なゼリーみたいな覆いが風で剥がれて落ちていく。
こんなにちっぽけで無力でいい年で立ち尽くしていても。
それでも大丈夫。
少しずつ歩いていける。

キッチンカウンターにつっぷして、そのままでいる。
もうダメだ、死ぬしかない。
猫は逃げたし、お金がないのにアマゾンのお買い物が届く。
みなさんはお元気ですか。
私はもうダメです。
このままここで朽ちていきます。
と思ったけど。
なのになんだかひとりな感じがしない。
窓際に黄色いフルーツ。
すぐそばに手作りのパン。
お札みたいな絵はがきも。
友人から届いたものが、何を言うでもなくそこにある。
なんだかすみません。
もう少ししたら起きあがります。
多分パン一切れかフルーツを食べる。
そして海までおさんぽします。

(猫は帰ってきました)
こねこ(ほんとはもう大猫)の元気がない
いや、走り回っているんだけれど
このこのとてもいいところ
いつもご機嫌でなんでもいつでも「いいですよ」と言ってる気のいい感じ、がない
顔色が悪い(毛だらけだから色はないけど)
軽くなったよね?と娘が測るとかなり減っている(「深刻な病が疑われるレベル」)
獣医に行って検査して胃薬もらって
恐れていたのの2.5倍のお支払い
ひゃー
でも後悔はない
このこが短命だったら一緒に死のうと思っている
