(8)第三の青春 ①モンテッソーリ教育との出会い1
モンテッソーリの「子どもの家」は自由な雰囲気の中で、子どもの一人ひとりの持つ素晴らしい諸能力を引出し発達させる、子ども達が主人公の場です。
「子どもの家」にはモンテッソーリ教育の理論に基づく大変ユニークな教具や教材が整備されています。
各教具は、子ども達の発達を系統的に促すように組まれており、これらの教具類との関わりによって、物を識別する訓練や知的判断が身に付き、更に自立する為の意志力や忍耐力が養われます。
また、3歳~6歳の縦割りクラスの編成は、子ども達にいたわりや励まし、優しさの気持ちを育て、大切な幼児期に人格の基礎を形成します。
このように「子どもの家」の特徴は、望ましい人間形成を目指し、子ども達が自立していく力を育てるために、自主的に行動出来る教育環境と言えます。
今、地球上には「モンテッソーリの学校」あるいは「子どもの家」と呼ばれる学校が沢山出来て、活発に活動していきます。
イタリア初の女性医学博士・マリア・モンテソーリがこの教育法を創ったのは、19世紀末から20世紀初頭にかけて、医者として精薄児の教育に携わり、子どもの特質をありのまま観察することで、普通児にも劣らない能力を発揮させる指導法を発見し、普通児にも適応して大きな効果を上げ、現在ではアメリカ・ヨーロッパを中心に一般の幼児教育にも取り入れられているというのであります。
このことを呼んだ私は、「我が意を得たり」とばかり歓喜と自信と勇気が湧き起こりました。
そんな教育法をと希っていた私は、先ず現場を見学させてもらいたいものと思っていた矢先、古田征一郎先生を団長とする全国欧州幼児教育研究視察団40名の募集が有りました。
これぞとばかり理事長共々応募してイタリアに飛びました。
昭和46年12月、冬休みのことでした。
尚、この年の10月、佐藤内閣、沖縄返還の嬉しい年でもありました。
大変ありがたいことに、ペルージアで松本静子先生の通訳のもとに、モンテッソーリの愛弟子、パオリーニ先生の説明を受けることが出来たのです。
更に附設する「子どもの家」を見学、素晴らしい教材教具と教具の持つ内容に驚嘆したのです。
整備された環境なのかで、のびのび作業している子ども達の顔は実に美しく明るく見えました。
更にスイス・フランス・西ドイツ・オランダ・イギリスに於けるモンテッソーリ教育を視察して反省させられた事は、自由と規律のバランスが上手に守られて、子ども主体の教育が行われていることでした。
教材教具は子どもサイズに、色も美しく魅力的で、自立しようとする子ども達の楽しい世界でありました。
私は、早速これの導入について考えました、
何と言っても松本先生に導入初歩の段階と、教具の基本の取り扱いをお願いしたいと思いました。
帰国途中の飛行機の中で、先生にすがる思いで釧路での講習会開催を懇願いたしました。
先生はご多忙の中を快くお引き受け下さいまして、その2か月後の卒業式直後の3日間をそれにあてて下さいました。