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依水園のおひなさま

2019-02-19 | 日記
今日は二十四節気の「雨水」。根雪も解けてせせらぎになる時期と定義されているとか。確かに野原の草木の先には緑が出て来て、日差しにも春が近いのを感じる日が多くなってきた。
昨日、陽だまりの一角に咲いているレンゲソウを見つけてビックリしたよ。

  2月17日(日)  
それほど寒くもなく風もないので、運動運動!と思って今日もゆっくり出かけることにした。
電車に乗ると、又、ラッキー吊革に遭遇した。今回は信貴山朝護孫子寺の金運招福だった。

さて、この時期になるとお雛さま飾りが始まる。8日の朝刊で知ったのだが、奈良市の依水園の主屋で今年初めて開かれるひな人形展は平安時代貴族の歌遊び「曲水の宴」を再現した平飾りの雛人形という。明治40年に依水園主人であった関藤次郎氏が孫さんの初節句に贈った特注品らしい。
行ってみるとその他に曾孫さんの5段稚児雛飾りや市松人形2体、そしてお厨子に入った細谷而楽(ほそやじらく)作の聖観音立像も公開されていた。
華やかな実に素晴らしい雛飾りの前に座ると琴の音が聞こえて来そうな気分になり、一日中でも眺めていたい気分になった。

それぞれの位階や年齢に応じた衣装を身に着けた15体の人形が決まった場所に収まっている。松や桜の立木、それにすみれやタンポポなどは実際の木やコケを乾燥させて作られているそうである。琴も弦を爪弾けば鳴るそうである。全て各種伝統工芸の巨匠によって作られた物らしい。
それぞれの女性の顔色にも違いがあり、高齢女性の僅かに混じる白髪や顔のしわ等も繊細な仕上げになっている。
最も気になるお内裏様とお姫様は向かって右端に立っているお2人、下段の写真2段目の右端に拡大。

         (画像はクリックすると拡大する)
                   

一方、まん丸いお顔の可愛い稚児雛も非常に大きな段飾りで御簾の奥に並べられていた。
丸い顔作りは少し歪むと表情が全く変わってしまい非常に難しいらしいが、いいお顔のお雛様だった。一番下の段にいる3人は仕丁(しちょう)と呼ばれる雑務に就いていた一般庶民だそうである。箒とちり取りが側にある。左からちょっと悲し気な顔と怒っている顔と笑っている顔で並んでいる。仕丁のお勤めには辛い事や腹の立つことや嬉しい事があったのだろう。
稚児雛の手足の、思わず触ってみたくなるような福らしさ!

それに、こんなに柔らかい表情の市松人形には出会ったことが無かったように思う。ちか子様そしてそのお子様がどんなにか可愛がられていたかの証、2体共に残るスリスリの跡形が愛おしい。

                

素晴らしい物を見せていただき、すっかり晴れやかな気分になり、お天気も良いので、手向山八幡宮に参ろうと思い頑張って足を延ばした。

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二月堂、三月堂(法華堂)、四月堂、手向山八幡宮、そして戒壇堂へと歩いた。
東大寺の中門を対岸に鏡池を見ながら進んで行くと鹿が灯籠前で迎えてくれた。二月堂は東大寺初代の別当・良弁の弟子、実忠(じっちゅう)が建立、そしてお水取りの行事を752年に始めたそうである。二月堂良弁杉を見上げ、更に高くそびえる二月堂を見上げると感動的だ。

          

閼伽井屋(あかいや)【 お水取り行事にはこの屋内にある井戸・「若狭井」(わかさい)の閼伽水を汲み上げ、お香水としてご本尊の十一面観音にお供えされる。】を右手に向こうに目をやると、巨大な根付きの青竹がずらりと並んでいた。初めて見るその光景に驚いた。青竹それぞれに奉納された方のお名前が書かれていた。それで納得、成程!
長さ8m籠松明に使われる竹なんだ。    
行事の華麗な場面を想像すると、若かりし頃の思い出が蘇ってきた。小雪の舞う暗闇、二月堂の石段の下で長時間身動きの出来ない程の凄い人の行列に並んで行の始まりを待ち、舞台の欄干から落ちてくる燃えさかる松明の火の粉をかぶって感激した夜があったっけ。

三月堂、四月堂の前を通って手向山八幡宮に入った。手向山神社とも言うが、神仏習合時代は東大寺の守護神であったのが明治時代の神仏分離で独立したのだそうだ。
           

戒壇堂の近くに来た。山焼きで“はげ山”になった若草山を背景に大仏殿を見たのは初めてで、何かしら新鮮な眺めであった。今日は八幡宮以外はいずれも拝観なしで歩いただけだったが、自由気ままな独り歩きの奈良散策も中々好いものだった。
     

最後「ひがしむき」商店街でゆっくりお腹を満たし、大満足で電車に乗った。「お水とり」(3月1日~15日)が終われば奈良に春が来るんだよね。(笑)
           (おしまい)