クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

マメクワガタ-6年ぶりの訪島

2025-03-01 23:46:13 | マメクワガタ(兵庫)

6年ぶりのマメクワガタ

2018年10月以来6年と4ヶ月ぶりの訪島です。

今回は昆虫写真家のFさんと一緒です。

日時:2025年3月1日 11:40〜14:40

天候:晴れ  気温:17度前後 

ここに来るのは久しぶりすぎて発見できるか不安でしたが、マメクワガタはいました。

最初に発見したのは大きめの白枯れ朽ち木からで

他のクワガタ幼虫の食痕から成虫が一つ出てきました。

以前もそうでしたが、こういう場合は同材から成虫・幼虫の追加はありませんでした。

これは、去年の秋にコロニーから独立した家族を持たない越冬中の新成虫のように思え

春には新たな住処を求め、越冬材から出ていくのではないかと想像しています。

↓ 白枯れ、コクワガタの食痕から出た単独成虫 

↓ コクワガタ新成虫

↓ 同材から出現、これはマメクワガタではない

↓ 引き続き付近を探す

 

コロニー現る

今日は、斜面を下りたり横切ったりしていると少し汗ばむほどの陽気です。

ふと岩場を見ると、缶コーヒー程度の太さの朽ち木がツタに絡まった状態で立っており

林床には絡まった朽ち木の続きが転んでいました。

朽木の長さは絡まった部分も含め60cmほどで、やや乾燥気味の広葉樹朽ち木でしたが

樹皮を剥がすとすぐマメクワガタの終齢幼虫が出てきました。

「おっ、これは!」

朽木を手で崩していくと、終齢幼虫、成虫ともに出てきます。

↓ この朽ち木全体がマメクワガタのコロニーと化していた

↓ 成虫も出てきた

↓ 林床に白い紙を敷いて割り出し

↓ 終齢幼虫はドルクス系よりやや細長で、サイズばらつきは少ない

↓ まだ赤いテネラル(新成虫)も出てきた

↓ これも新成虫

↓ このコロニーからは成虫が5頭・終齢幼虫が15頭出てきた

実は今回の訪島は来週の予定でしたが

この季節は天気の移り変わりがあるため、より安定した日に変更しました。

さすがに昨日までは2月です、朝のうちはそれなりに長袖二枚が役立ちましたが

荷物を背負い、原生林を歩くとすぐに汗ばむほどの良い天気になりました。

斜面から上がってきて、「大変長らくお待たせいたしました!」

Fさんにドヤ顔で差し出したコロニー材!

6年ぶりの不安をよそに、今日はとてもよいものを見ることができました。

Fさん、お疲れ様でした。

↓ 秋〜この時期、終齢幼虫と成虫が見つかる

 

今でも移入はあるのか?

日本のマメクワガタの分布は、太平洋岸で複数個所確認されているので

本島の分布が「奇跡とか、かなり特殊」というほど大げさなものではないと私は考えており

自然の流れにより、今後も移入はありうると思っています。

 

おまけ

↓ 飼育下:成虫の餌は煮干し

↓ 複眼縁取りの違い(赤マーカー部)左からイオウマメ・マメ・マメ 


キンキコルリ・10-やっぱりニシコルリ

2025-02-21 23:16:42 | キンキコルリ(兵庫県中部)

昨年の10月20日にIエリアで採集したコルリクワガタの幼虫が羽化しました。

兵庫県でのキンキコルリとニシコルリの分布境界調査について

中部地方周辺で発見したコルリクワガタは

便宜上「キンキコルリ」のカテゴリーで覚書しています。

カテゴリー「キンキコルリ」から入ると一連の調査につながります。

↓ Iエリアで採集した幼虫が羽化 

↓ Iエリアの記事「更に西のコルリクワガタ」

 

キンキコルリ・7-更に西のコルリクワガタ - クワガタ~スズメバチ等の覚書

はじめに兵庫県でのキンキコルリとニシコルリの分布境界調査について中部地方周辺で発見したコルリクワガタ種群は便宜上「キンキコルリ」のカテゴリーで覚書しています。カ...

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昨年Iエリアで材採集した新成虫はニシコルリでした。

同日に同じIエリアで材採集した終齢幼虫も先日羽化したのですが

体色は緑が強く、私の知るキンキコルリと雰囲気が似ていたので

念のため瓢箪坊主さんに交尾器の調査をお願いしたところ、早々に検証いただきました。

瓢箪坊主さん、いつもありがとうございます。

↓ 緑がきれいな個体

↓ Aエリアのキンキコルリ:羽化したIエリアのコルリペア

調査の結果は下画像の通り、特徴のよく出たニシコルリでした。

「もしかして?」と思ったのですが、やっぱりニシコルリ。

外見での区別は難しいですね。

↓ 調査・画像提供:瓢箪坊主さん

↓ Iエリアのニシコルリ

↓ メス腹面 

↓ この春に羽化しそうな Iエリアの終齢幼虫(2025.2.16)

2月も後半に差し掛かり、春はどこかに隠れているはずですが、寒さはあまり和らぎません。

県下北部でニシコルリの新芽観察は、タイミングさえ合えば比較的容易です。

中部のキンキコルリに関しては未知なる部分が多く、まだその域にはありませんが

昨年5月に産卵中のメスを観察できたことは

県下でのキンキコルリの生態に一歩踏み込めたと考えています。

ちょうどそのころは、マグソクワガタも現る

ルリクワガタも現るかも?の、「春のクワガタ祭り」です。

残雪と天候に左右されながらそれぞれの予定配分と

タイミングを見計らうのは少し難しいですが

キンキコルリの生態に関しては、もう一二歩進みたいです。

↓ 産卵中のキンキコルリ(現地で撮影:2024年5月)


ルリクワガタ・7-ほぼルリクワガタの厳しい現実

2025-02-16 21:23:49 | ルリクワガタ

2月16日、前々記事「ほぼルリクワガタ」の結果が出ました。

結果は、採集〜飼育した幼虫4頭のうち3頭は死亡、残り1頭が下の画像です。

↓ 前々記事「ほぼルリクワガタ」

 

ルリクワガタ・5-ほぼルリクワガタ - クワガタ~スズメバチ等の覚書

県下のとある山でルリクワガタと思える終齢幼虫を見つけました。発端は、先月中ごろのこと、ニシコルリ探しをしているとき大きめの倒木でルリクワガタらしき産卵痕を見つけ...

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↓ 2024年12月7日採集〜1頭ずつ個別飼育してきた

↓ カビて原型をとどめない幼虫

↓ こちらもアウト

「これは全滅かも」と思いながら最後のカップ(マット)を崩しました。

「おっ!」マットから出てきたのはオスの蛹、間違いなくルリクワガタ属の蛹です。

しかも今日明日にでも羽化しそうな状態です。

↓ 羽化直前のオスの蛹が出てきた!

貴重な最後の1頭を凄いタイミングで掘り出し

これが本当にルリクワガタなら「あの山の分布が確実になる」などと

一人喜んでいたのですが、まったく動きません。

もしかしてご臨終?

画像を拡大してみると、体表には白い菌系らしきものが僅かに見えました。

経験上、このパターンはそのまま菌に巻かれて白くなり、最後は緑白色。

最後の頼みの綱がゴール直前でコケました。

↓ 大アゴの形からすると、ほぼルリクワガタなのだが・・・

↓ 蛹では背板の形もわかりずらい

↓ このまま菌に巻かれてしまう

結局結果は、「ほぼルリクワガタ」のまま。

県下でのルリクワガタ属調査の厳しさを、今回は違う角度から味わいました。

春にはもう一度現地でしっかり探してみます。

 

余談〜エアコントラブルの巻

エアコントラブルで15万円儲けた錯覚に陥りました。

年末に4回ほど発生したエアコントラブル(室内機に霜が付き効かなくなる)

この時は、毎回数時間にわたり室温が0度まで下がりました。

温度計によっては-0度の表示もあり

今回のルリクワガタ属のように当時前蛹あたりのステージにあった個体は

その都度ダメージを受けたと思います。

年の瀬は押し迫ってましたが、さすがにそのままではまずいので電気店に連絡

目視と状況聞き取りの結果「修理は難しい」とのこと

霜が付かない寒冷地仕様系=17万円以上するエアコンの買い替えを薦められました。

3畳の虫小屋に17万円? 罰が当たるわ、悩む隙間は1ミリもありませんでした。 

翌日、全国ネットのエアコン修理屋さんに点検を依頼

「これは直りますよ」と即答

ガスパイプ内にある空気と霜(結露〜霜)の除去

室内外の過剰に折れ曲げて設置されていたパイプの改善(ガスの通り)

最後にガスを充填、それと出張費、締めて2万5千円也!

それ以降は問題なく運転できており、すぐに駆け付けてくれたプロに感謝しています。


ルリクワガタ・6-先人のものすごさ!

2025-01-26 00:02:16 | ルリクワガタ

昨年採集したルリクワガタやコルリクワガタの幼虫の一部が羽化しています。

↓ 兵庫県産ルリクワガタ 2024.12.20羽化

↓ 腹面が黒くなるのに羽化から14日くらいかかった(管理温度20±℃)

↓ 前記事の終齢幼虫は4頭のうち2頭が死亡

 

ルリクワガタ・5-ほぼルリクワガタ - クワガタ~スズメバチ等の覚書

県下のとある山でルリクワガタと思える終齢幼虫を見つけました。発端は、先月中ごろのこと、ニシコルリ探しをしているとき大きめの倒木でルリクワガタらしき産卵痕を見つけ...

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県下でルリクワガタやコルリクワガタ等の所謂「ルリクワガタ属」を探す中

それに関する資料を探すと、毎回のように同じ字面の先人たちの足跡が出てきます。

「○○さんらは、この山でも探していたのか!」どんだけ前やねん!すごいなぁ〜

ある時はそれが良い刺激になって探索意欲を掻き立て

またある時は先人の足跡が多すぎて探索意欲を削がれそうになったりもして

入り込めば入り込むほど先人のものすごさを知り

避けては通れないことに改めて気づかされます。

例えば、昨年とある場所でルリクワガタ属の材割採集をしているとき

神戸のSさんがオニクワガタらしき幼虫を発見しました。

これは初記録かもしれないと思いSさんが文献を調べると

既にそれらの先人によって記録されていました。

また、別の山ではルリクワガタと思わしき幼虫を見つけたのですが

やはりそこも同じ字面の先人によって分布を匂わせる記録がなされていました。

どちらの記録もインターネットなど普及していないアナログな時代のものです。

私も少しはその時代を知っているので、そのころのことが少しはわかります。

当時、その場所に辿り着くには「マップル(地図本)」等も頼りになったはず。

アナログで、希薄な情報網の中で「よくもまあここまで探しに来たものだ!」

と、脱帽するばかりです。

中には、私には向いていない登山との兼ね合いも連想できる内容の記録報文もありますが

それにしても、それにしても。

「ブナがあるから探してみる、ブナはないけど探してみる」

経験とか直感、そんな感じだったのでしょうか?

↓ 兵庫県産ルリクワガタ


クルビデンス・14-クルビデンスをもっと

2025-01-19 21:48:11 | クルビデンス(bhutan)

2025年1月18日、今年もよろしくお願いいたします。

 

クルビデンスをもっと

ブータン(チュカ産)クルビデンスの累代がだいぶ進みました。

子供同士で8代、その後は親子交配含め4代進み、インラインとして12代目になりました。

直近の2代は、下画像のオスを使いましたが

それを超えるような赤いクルビデンスはまだ出ていません。

↓ 2代にわたり使用した種オス(光の加減により赤強弱あり)

1月13日、昨年の9月から放置していた産卵セットの割り出しを行いました。

母虫は2023年羽化の44㎜と46㎜の2個体いますが、産むのは46㎜のほうです。

44㎜のほうは、画像の種オスが前脚麻痺時の同居なので

もしかしたら未交尾なのかもしれません。

↓ 母虫は2023年羽化44㎜(休眠中)・46㎜(活動中)

↓ 2023年9月産卵セット〜2025年1月13日割り出し

↓ 2齢幼虫

↓ これはオスっぽい2齢幼虫

↓ 採れた数は、初2齢合わせて4頭

今回産んでいた46㎜の母虫はこの時期でも餌を食べ

割り出し後はすぐに次の材を齧っているので

チュカのクルビデンス存続のカギを握る存在となりました。

↓ 管理温度は19度くらい

↓ 割り出し二日後 1月15日

↓  小屋で唯一の菌床飼育

毎年この時期は飼育種の産卵確認や、整理など行います。

例えば、ルリクワガタ種群はまずまず順調ですが

カツラオオクワガタ・ノセオオクワガタ・マクレイコクワガタ

ウンナンイッカククワガタなど一連の中国系は絶えてしまいました。

そして、チュカのクルビデンスも少し心細くなっています。

この先、ブータンの野外個体入荷は事実上ないので

今年はこのクルビデンスを増やすべく、しっかり繁殖します。