クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

ルリクワガタ・7-ほぼルリクワガタの厳しい現実

2025-02-16 21:23:49 | ルリクワガタ

2月16日、前々記事「ほぼルリクワガタ」の結果が出ました。

結果は、採集〜飼育した幼虫4頭のうち3頭は死亡、残り1頭が下の画像です。

↓ 前々記事「ほぼルリクワガタ」

 

ルリクワガタ・5-ほぼルリクワガタ - クワガタ~スズメバチ等の覚書

県下のとある山でルリクワガタと思える終齢幼虫を見つけました。発端は、先月中ごろのこと、ニシコルリ探しをしているとき大きめの倒木でルリクワガタらしき産卵痕を見つけ...

goo blog

 

↓ 2024年12月7日採集〜1頭ずつ個別飼育してきた

↓ カビて原型をとどめない幼虫

↓ こちらもアウト

「これは全滅かも」と思いながら最後のカップ(マット)を崩しました。

「おっ!」マットから出てきたのはオスの蛹、間違いなくルリクワガタ属の蛹です。

しかも今日明日にでも羽化しそうな状態です。

↓ 羽化直前のオスの蛹が出てきた!

貴重な最後の1頭を凄いタイミングで掘り出し

これが本当にルリクワガタなら「あの山の分布が確実になる」などと

一人喜んでいたのですが、まったく動きません。

もしかしてご臨終?

画像を拡大してみると、体表には白い菌系らしきものが僅かに見えました。

経験上、このパターンはそのまま菌に巻かれて白くなり、最後は緑白色。

最後の頼みの綱がゴール直前でコケました。

↓ 大アゴの形からすると、ほぼルリクワガタなのだが・・・

↓ 蛹では背板の形もわかりずらい

↓ このまま菌に巻かれてしまう

結局結果は、「ほぼルリクワガタ」のまま。

県下でのルリクワガタ属調査の厳しさを、今回は違う角度から味わいました。

春にはもう一度現地でしっかり探してみます。

 

余談〜エアコントラブルの巻

エアコントラブルで15万円儲けた錯覚に陥りました。

年末に4回ほど発生したエアコントラブル(室内機に霜が付き効かなくなる)

この時は、毎回数時間にわたり室温が0度まで下がりました。

温度計によっては-0度の表示もあり

今回のルリクワガタ属のように当時前蛹あたりのステージにあった個体は

その都度ダメージを受けたと思います。

年の瀬は押し迫ってましたが、さすがにそのままではまずいので電気店に連絡

目視と状況聞き取りの結果「修理は難しい」とのこと

霜が付かない寒冷地仕様系=17万円以上するエアコンの買い替えを薦められました。

3畳の虫小屋に17万円? 罰が当たるわ、悩む隙間は1ミリもありませんでした。 

翌日、全国ネットのエアコン修理屋さんに点検を依頼

「これは直りますよ」と即答

ガスパイプ内にある空気と霜(結露〜霜)の除去

室内外の過剰に折れ曲げて設置されていたパイプの改善(ガスの通り)

最後にガスを充填、それと出張費、締めて2万5千円也!

それ以降は問題なく運転できており、すぐに駆け付けてくれたプロに感謝しています。


ルリクワガタ・6-先人のものすごさ!

2025-01-26 00:02:16 | ルリクワガタ

昨年採集したルリクワガタやコルリクワガタの幼虫の一部が羽化しています。

↓ 兵庫県産ルリクワガタ 2024.12.20羽化

↓ 腹面が黒くなるのに羽化から14日くらいかかった(管理温度20±℃)

↓ 前記事の終齢幼虫は4頭のうち2頭が死亡

 

ルリクワガタ・5-ほぼルリクワガタ - クワガタ~スズメバチ等の覚書

県下のとある山でルリクワガタと思える終齢幼虫を見つけました。発端は、先月中ごろのこと、ニシコルリ探しをしているとき大きめの倒木でルリクワガタらしき産卵痕を見つけ...

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県下でルリクワガタやコルリクワガタ等の所謂「ルリクワガタ属」を探す中

それに関する資料を探すと、毎回のように同じ字面の先人たちの足跡が出てきます。

「○○さんらは、この山でも探していたのか!」どんだけ前やねん!すごいなぁ〜

ある時はそれが良い刺激になって探索意欲を掻き立て

またある時は先人の足跡が多すぎて探索意欲を削がれそうになったりもして

入り込めば入り込むほど先人のものすごさを知り

避けては通れないことに改めて気づかされます。

例えば、昨年とある場所でルリクワガタ属の材割採集をしているとき

神戸のSさんがオニクワガタらしき幼虫を発見しました。

これは初記録かもしれないと思いSさんが文献を調べると

既にそれらの先人によって記録されていました。

また、別の山ではルリクワガタと思わしき幼虫を見つけたのですが

やはりそこも同じ字面の先人によって分布を匂わせる記録がなされていました。

どちらの記録もインターネットなど普及していないアナログな時代のものです。

私も少しはその時代を知っているので、そのころのことが少しはわかります。

当時、その場所に辿り着くには「マップル(地図本)」等も頼りになったはず。

アナログで、希薄な情報網の中で「よくもまあここまで探しに来たものだ!」

と、脱帽するばかりです。

中には、私には向いていない登山との兼ね合いも連想できる内容の記録報文もありますが

それにしても、それにしても。

「ブナがあるから探してみる、ブナはないけど探してみる」

経験とか直感、そんな感じだったのでしょうか?

↓ 兵庫県産ルリクワガタ


クルビデンス・14-クルビデンスをもっと

2025-01-19 21:48:11 | クルビデンス(bhutan)

2025年1月18日、今年もよろしくお願いいたします。

 

クルビデンスをもっと

ブータン(チュカ産)クルビデンスの累代がだいぶ進みました。

子供同士で8代、その後は親子交配含め4代進み、インラインとして12代目になりました。

直近の2代は、下画像のオスを使いましたが

それを超えるような赤いクルビデンスはまだ出ていません。

↓ 2代にわたり使用した種オス(光の加減により赤強弱あり)

1月13日、昨年の9月から放置していた産卵セットの割り出しを行いました。

母虫は2023年羽化の44㎜と46㎜の2個体いますが、産むのは46㎜のほうです。

44㎜のほうは、画像の種オスが前脚麻痺時の同居なので

もしかしたら未交尾なのかもしれません。

↓ 母虫は2023年羽化44㎜(休眠中)・46㎜(活動中)

↓ 2023年9月産卵セット〜2025年1月13日割り出し

↓ 2齢幼虫

↓ これはオスっぽい2齢幼虫

↓ 採れた数は、初2齢合わせて4頭

今回産んでいた46㎜の母虫はこの時期でも餌を食べ

割り出し後はすぐに次の材を齧っているので

チュカのクルビデンス存続のカギを握る存在となりました。

↓ 管理温度は19度くらい

↓ 割り出し二日後 1月15日

↓  小屋で唯一の菌床飼育

毎年この時期は飼育種の産卵確認や、整理など行います。

例えば、ルリクワガタ種群はまずまず順調ですが

カツラオオクワガタ・ノセオオクワガタ・マクレイコクワガタ

ウンナンイッカククワガタなど一連の中国系は絶えてしまいました。

そして、チュカのクルビデンスも少し心細くなっています。

この先、ブータンの野外個体入荷は事実上ないので

今年はこのクルビデンスを増やすべく、しっかり繁殖します。


2024年インセクトトピックス

2024-12-30 23:01:44 | クワガタムシ関連

2024年インセクトトピックス、これが今年最後の記事になります。

 

厳寒期以外はルリクワガタ属

一年のクワガタ関連の活動を振り返ると

積雪・凍結のため入山できないときと夏の高温時以外は

ルリクワガタ属の探索が増えました。

また、5月には静岡のYさんが、11月には東京からWさんが遠征され

ルリクワガタ属の探索を一緒に楽しみました。

↓ ニシコルリ(4月県下にて)

↓ 材に付くキンキコルリのメス(5月県下にて)

↓ ニシコルリ(10月県下にて)

↓ ルリクワガタと思われる産卵痕(11月県下にて)

採集した幼虫は飼育継続中で、いくつかは既に羽化しました。

また、ルリクワガタ属として扱われているオレゴンルリクワガタも

徐々に生態がわかってきたので飼育に少し余裕ができました。

↓ オレゴンルリクワガタ(カルフォニア産)とルリクワガタ(兵庫県産)

↓ オレゴンルリクワガタの産卵痕と産座と材中のオス

 

済州島産アスタコイデスノコの累代飼育

飼育は、一代で終了しようと思っていた済州島のアスタコイデスでしたが

実際に羽化させてみるとこれがなかなかよいもので

もう少し大きな個体で比較してみたく、繁殖を継続しました。

↓ 飼育個体:60㎜超でも一番大きな内歯は大アゴ基部寄り

↓ 右:済州島産飼育個体 左:台湾産野外個体

先代は、500cc程度のプリンカップマット飼育でも60㎜ほどの個体が羽化したので

今代はマット(市販)を選り好みしました、「大きくなる」と評判のマットです。

状況に応じて餌追加、容器Size変更なども予定しており、目標は65㎜。

 

ライトトラップ

今年はできるだけ多くの場所でライトトラップするつもりでしたが

いざ現地に向かうと、昨年の台風7号の影響はとても大きかったようで

複数個所の林道が未だに通行不可になっていました。

そのためライト設営出来たポイントは限られてしまいましたが

ヒメオオクワガタ・オニクワガタなどブナ帯の顔ぶれは揃いました。

↓ 見た目が「the 蛾!」な、カバフキシタバ 

 

また、今年はライトに飛来したチャイロスズメバチにも刺され

久しぶりに毒をくらいました。

↓ チャイロスズメバチには「走光性」がある

↓ 手首まで腫れましたわ!

 

台湾の友人と23年ぶりの再会

台湾の蟲友Wさん家族とタイの方、一行が仕事の関係で京都に滞在。

Sさんの呼びかけで、琵琶湖博物館で再会しました。

再会に向けてすべてのセッティングをしていただいたSさん、ありがとうございました。

蟲友Wさんらとはたまにメールでやり取りはしていましたが、実際に出会うのは23年ぶりでした。

もう懐かしすぎて懐かしすぎて興奮が止まりません!

他の蟲友らの現在や、台湾のクワガタ裏実情など

現地でないと知りえない情報で談笑談議している間に時間はあっという間に過ぎました。

↓ 蟲友一行は京都の宿に戻りました

 

南西諸島のクワガタ・カナブン

アリヤマさんから西表のマルバネ

滋賀のSさんからサキシマアオカナブンをいただきました。

貴重な種をありがとうございました。

↓ サキシマアオカナブン(画像提供:Sさん)

サキシマアオカナブンに関しては模索しながら飼育を続けます。

また、長年使いまわしてきたマルバネ用マットに良くないことが起こっているのか?

たくさん採れたアマミマルバネの幼虫の歩留りがとても悪いので

マットを一から作るべく、赤枯れ等材料を調達しました。

そして、国内南国系ではクロカタゾウムシの羽化シーンも見ることができました。

羽化直後のクロカタはサイボーグのようで衝撃的でした。

↓ 念願の上翅が癒着する虫の羽化を見ることができた!

 

小屋の一大事!

12月13日のこと、いつものように小屋の扉を開けると、寒い!

?・・・これ何度? 温度計を見ると0度、中には-1度を表示する温度計もある。

あわててエアコンのカバーを開けてみると

真っ白に霜が付き、冷たい風が微かに流れています。

棚にある透明の飼育容器はどれも曇っており

霜の付いたエアコン画像すら残せないほど焦りました。

急いで霜をかき取り、あたふたしているうちに温風は出てきましたが

その後も同じトラブルが度々起こるため

今日(30日)、専門の業者さんに点検〜修理・ガス充填などしていただきました。

小屋には、本来氷点下あたりの温度を経験しないであろう種もいます。

一連のエアコントラブルで生体が受けたダメージのほどは、まだ把握できていません。

無事であることを願うばかりです。

 

動画とblog

この goo blog は動画を掲載することができません。

「百聞は一見に如かず」、したためた動画の一部を8月からXにポストしています。

ブログのほうは、採集や生態等に関して何かしら得たり

一つの区切りみたいなことがあれば、UPしているので

下書きのまま眠っている記事も少なくありません。

クルビデンスやヒョウタンクワガタその他、地味に飼育しています。

↓ これは Aegus imitator なのか?(中国産野外個体)

以上、今年のインセクトトピックスでした。

今年もたくさんの方にご訪問いただき、またお世話になり、ありがとうございました。

それではよいお年を        

 *テナガはヤンソニーのフィギュア


オレゴンルリクワガタ・5-出現期間について

2024-12-22 21:39:22 | オレゴンルリクワガタ(CA)

出現サイクル

オレゴンルリクワガタは、活動を開始してから1ケ月程度で力尽き

クワガタムシの中では比較的短命な部類に入りますが

西山保典著,2000「世界のクワガタG」によると

出現期は「5月から11月におよぶ」とあり、約半年にわたり出現するそうです。

また、地球上のあらゆる地域の年間の気候 - Weather Sparkによると

分布地の平均的な最低気温が10度を下回るのは12〜2月ころで

その前後含む半年ほどがオレゴンルリクワガタの出現しない期間になります。

そこで「幼虫の発育零点(成長可能な最低温度)が10度あたりにある」と経験則して

年間通して成長が十分可能と思われる温度、15〜24度くらいの範囲で飼育をすると

2月・5月・10月・11月・12月に新成虫の出現があり、期間としては野外より長くなりました。

↓ 木屑を運ぶオス 2023

今年は、5月に活動を開始した個体の「子供」が10月に新成虫となって材から出てきました。

つまり、発生初期と後期の個体は親子関係にあったということです。

オレゴンルリクワガタの成虫は活動開始から1ケ月前後で死亡するのに

出現期間が長い秘密はこの辺りにもあったようです。

↓ 飼育では春と秋、1年に2度発生した

↓ 幼虫の食痕

↓ 羽化当日のメス 2024.10.19

↓ 羽化翌日 2024.10.20 肉眼では上翅は緑がかって見える

↓ 材から出てくる瞬間のメス 2024.10.19

↓ 新成虫の脱出口 

また、オレゴンルリクワガタは今のところ後食が確認できていません。

ゼリーやリンゴを与えても食する場面や、食した形跡が見当たらないので

体内には後食由来の内容物がないと思われ

仮に気温が活動零点(10度あたりと思っている)にまで落ち込んでも

体内内容物による弊害(消化不良等)が起こらないという強みがあり

意外と寒さに耐えるのではないかと勝手に想像しています。

割り出しのない飼育

今年から本格的な割り出しはしなくなりました。

産卵セットは既存の材をそのままに新しい柔らか材を追加置きしています。

理由は、割り出しのタイミングが定め難く

割り出しで出てきた各ステージの生体管理がうまくできなかった経験からです。

割り出さず放置すると、材から出てきた新成虫の発見が遅れたり

既存の材(先代の幼虫がいるかもしれない)に産卵したり

延いては個体数(卵・幼虫・蛹・新成虫)の把握ができないなどといったデメリットはありますが

割り出すことによる生体へのダメージは防ぐことができ、安心材料は増えます。

↓ 低水分の産卵材、マット「産卵一番」も無加水 

10月あたりから出現した新成虫は材を齧り、産卵を終えたと思われます。

中にはマットに潜って数日出てこなかった個体もおり

休眠に入ったかと思ったのですが、それらも次第に活動を始めました。

12月22日現在の管理温度は20度ほどです、活動する個体もいます。

↓ 2024年12月20日の様子 下のメスは産卵直後

↓ 複数のメスによる産座と産卵痕 2024.11.4 

↓ 産卵中 2024.12.7

↓ 日本の同属類より警戒心が強く、材を動かすと産卵行動をやめ、移動してしまう

オレゴンルリクワガタは産卵した材に穿孔するので材端面付近には

削った木屑がよく目立ちます。

オスが大アゴに木屑を乗せて歩いている様子は度々見かけましたが

大アゴを使った喧嘩はまだ見たことありません。

オスの大アゴは木屑の移動に役立つようです。

↓ 木屑に大アゴを突っ込むと画像のようになる 2024.12.19

↓ 刺した「つまようじ」は材を少し浮かせるため(底部に好んで産卵するため)

12月上旬現在、容器の中では活きのよいメスが現れ、材を齧っています。

オレゴンルリクワガタは、頑固な体内時計を持っているとは思えないので

幼虫の発育を止めない温度管理を継続すれば

出現期間は更に長くなるのではないかと思います。

 

ちょっと比較

↓ ルリクワガタ(兵庫県産)とオレゴンルリクワガタ(CA産)

参考文献:西山保典著,2000「世界のクワガタG」.有限会社 木曜社.

参考URL:地球上のあらゆる地域の年間の気候 - Weather Spark