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クワガタ~スズメバチ等の覚書

Photo & Text byこよみ / X:ジジック

春のクワガタ特集

2020-05-31 01:16:15 | クワガタムシ関連

5月末、例年なら今頃はマグソクワガタやコルリクワガタなどといった

「春のクワガタムシ」の記事を書いているのですが

今年はコロナウィルスの影響で思うように動きがとれないままシーズンが終了しました。

今回は早春〜晩春の飼育と、少しの野外から「春のクワガタムシ」を特集してみました。

 

マグソクワガタ

春の河原で発生する原始的でちょっと珍しいクワガタです。

2018年に採集したマグソクワガタの子供を用いて産卵セットを組みました。

 

↓ 2018年 河原にて

 

2018年に生まれた子供は2019年の6~8月ころに羽化し、今年活動をします。

飼育下でも2年がかりです。

 

↓ 2019年11月1日 羽化の様子確認

↓ 朽ち木内で羽化した♂

↓ ♂

↓ 朽ち木を砂で埋めると、砂中で蛹室を作ることもある(Tさん提供)

↓ 2020年5月に堀出し〜多くが死亡していた

↕ 下方が♀

↓ 右端が♀  栄養不足なのか小さい

↓ 中央が♀

↓ 下が♀

 

産卵セット

産卵セットは、マットを底部5cmくらい硬めに詰め

その上に加水した朽ち木を入れて再びマットで埋める。それだけです。

使用したマットの栄養価は高いほうではありません。

 

↓ 朽ち木の樹皮はがし

↓ マット水分は握って団子がつぶれない程度

↓転倒防止に樹皮をばらまく

↓ 昼間には動いていたので多分休眠覚醒している

↓ あずき色は♂

↓ ♀

↓ 左が♀

 

飛翔の秘密

過去の野外観察では、マグソクワガタは太陽が雲に隠れた時はほとんど飛翔しません。

そして、メスの飛行高度・ルート等に興味深い事例を幾度も観察しており

そこから得られた考察は、本種は地表の条件によって生じる紫外線反射の違いを感知して

着地場所等を選定しているのではないか?ということです。

つまり、紫外線がなければ地面か水面かの区別がつかない。

このことについては改めて記事にしたいと思います。

 

↓ マグソクワガタの水面着地は命取り

↓ 窓辺で紫外線を感じてもらう

↓ 5月1日 夏日、冷房で温度調整

 

今年は、コロナウィルスの影響で自宅で「春のマグソクワガタ」を見ました。

ちなみにこれまでマグソクワガタの分布最西は兵庫県とされていましたが

最近になって鳥取県でも発見されたそうです(文献は未確認)

 

コルリクワガタ

5月17日 いつものブナ帯はほぼ雪なしでした。

↓ わずかに残るくすんだ雪

 

コルリ系に興味のある方には既知の生態ですが

雪とひこばえがなくなった林床には

産卵のため地上に降りたメスを追ってオスも樹上から林床へと生活の場を移します。

この現象は、飼育でも同じです。


↓ ブナのひこばえ



↓ 産卵中 2019年5月30日



コルリクワガタは配偶行動があからさまで

数あるクワガタの中でも断トツに観察しやすい種です。

飼育下での実情は、少々刺激を与えても

明かりをつけても配偶行動を続ける個体が多いです。


↓ (・)マーク作成中2019年5月30日

↓ マーク作成終了

↓ 産卵直後の卵確認



コルリクワガタは産卵時に後脚を交互に動かします。

これは産卵のために必要な運動か、あるいは防衛行動なのかはわかりませんが

観察では朽ち木を離れる直前まで動かしていたので

防衛のための行動ではないかと思います。


↓ 産卵中は後脚を左右交互に動かす



↓ 2020年1月27日 昨年秋に羽化し個体の確認

↓ 終齢幼虫も

↓ ↑ 4月14日ころから気温の高い日は動き出す

↓ 2020.4.14 飼育第1代目で産卵セット

↑ 餌はリンゴ

↓ 左:ルリクワガタ 右:コルリクワガタ

↑ 窓辺に置く

↓ 2020年5月17日 野外にて

↓ 2020年5月17日 野外にて

↓ 2020年5月17日 野外にて

↓ 2020年5月17日 野外にて

↓ 2020年5月17日 メスは発見できない

↓ 2020年5月17日 野外にて

↓ 5月24日  日陰の小木ですら葉が開いている 

↓ 落ち葉に埋もれた朽ち木を探す 5月24日

↓ 産卵痕発見!

↓ ↓ ↓

↓ こちらは鮮明

 

ルリクワガタ

ルリクワガタも春~に出てくる高山性クワガタです。

私は採集したことありませんが

前記事の関東産ルリクワガタが少しだけ産卵痕を残していました。

 

↓ ルリクワガタ♂  コルリ♂との区別は難しい

↓ ルリクワガタ♀  コルリ♀との区別は♂よりたやすい

↑ 親虫は全て死亡

 

産卵セットに使用した朽ち木は市販のコナラ材で

野外にある立ち枯れをイメージしてマットの上に立てました。

産卵痕はコルリクワガタのそれとよく似ており木目に対して大方垂直です。

 

↕ ルリクワガタの飼育下産卵痕

 

ルリクワガタの生態については未だに不明な部分が大半です。

大アゴ等の形態はコルリクワガタとよく似ているため

大筋で似たような暮らしをしていると思うのですが

時期や場所が違うのでしょうか?

今年も高山帯で活動するルリクワガタとその痕跡を探しましたが

残念ながら見つけることはできませんでした。

 

↓ 様々な木で探すもルリは見つからず

↓ 朽ち木なども見たが・・・

 

番外:アカマダラハナムグリ

こちらはクワガタではありませんが春に出現するハナムグリです。

以前から飼育していた群が昨年途絶えたため

今年、関東で樹液採集されたメス1頭を入手しました。

 

↓ オレンジと黒のハイカラ種

↕ この個体はメスの特徴がよく出ている

 

このアカマダラは関東の野外個体なので

しっかり冬季休眠した成熟交尾済み個体だとは思いますが

アカマダラは猛禽類や大型鳥類の巣に好んで産卵するため

念のため、”おまじない”をした産卵セットに投入しました。

 

↓ 産卵セット

↓ 白い塊は、おまじないのツバメの糞

 

順調にいけば6月内に卵や幼虫が見えると思います。

 

最後に

今年の春はコロナウィルスの影響で一番良い時期に動くこはできませんでしたが

自宅で飼育していたことで少し補填できました。

また、時期外れの高山ではいつになく「虫屋」と呼ばれる人を見かけました。

カミキリとか玉虫とかクワガタとか、蝶とか色々です。

これもコロナの影響でしょうか?

春のクワガタは、タイミングが全てです。

来年こそは良い時期に訪山できることを願います。

以上、「春のクワガタ特集」でした。



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