毎年年末になると第九を聴く機会が多くなる。
都会のコンサート・ホールでは大小にかかわらず
色んな会場で演奏されているようだ。
今年はコロナ禍で少し事情が違うかもしれないが。
ベートーベンがこの交響曲第九番を作曲したのは
19世紀という時代である。
合唱付きというのはこの時代にはほとんど無かった
くらい珍しい交響曲であった。
シラーの詩に曲をつけたとされる「歓喜の歌」には
Freude(フロイデ)という言葉が繰り返し出てくる。
意味が知りたかったので学生時代に使ったドイツ語
の辞書を久しぶりに開いてみた。
話はそれるが、この辞書はドイツ語を聴講した時、
教授が辞書をこれから買う人は同学社版の辞書を
買うようにという指示をしていた。
単位を落としたくなかったので、私は教授の言う
ことを素直に聞いてその辞書を買い求めたものである。
久しぶりにその辞書を開くと、かび臭いにおいが漂ってくる。
Frede(フロイデ)とは喜び、うれしさ、歓喜などと
いう意味であった。
喜びや歓喜というものは、そうどこにでもあるもの
ではない。
苦労して頑張ったのちに味わうことができるものなのだ。
今年はコロナ禍で苦しい時を過ごさねばならなかった。
だが、苦しみの後には必ず喜びがやってくるのである。
と、信じたい。ベートーベンの歌にあるように。