『国際文化画報』1952年3月号にヴァイオリン製作に関する面白い記事がありました。
オーストリアのグラーツ(Graz)でヴァイオリンを作るカール・コールベック(Karl Kohlbeck)さんの工房です↓
コールベックさんはヴァイオリンを普通に作るのではなく、なんと、マッチの軸から製作!
マッチの軸は完全に乾燥したものであり、弦楽器の製作に特に適したものであることを彼は実験によって発見したそうです。
↑ コールベックさんの仕事はすべて手で行われる。
マッチで作られるとなると弦の張力で簡単にペキッて気持ちよく割れそうですが、特製のニカワで固められるので耐久性があるということです。
↑ 一番難しいのは渦巻きの部分で、ここだけで適切な長さに切った百本のマッチが使われる。もちろんすべて手作り。
↑ 完成したギターとヴァイオリンを持つコールベックさん。ヴァイオリンには5千本、ギターには1万5千本のマッチが使われるそうです。
↑ 自作のヴァイオリンをブエノスアイレスの注文主に送るため自ら箱に入れる。
。。。マッチの軸でつくるとか、趣味で個人的な楽しみのためだけに作っているのかと最初は思ったんですが、かなり本気の大真面目に売り物のヴァイオリンをつくっていらしたんですね。
記事には「コールベックのヴァイオリンは柔らかな、ハッキリした心地よい音色を出し、いまやコールベックの名声は世界各国に広がり、彼の名がストラディヴァリウスの名にとってかわるのも可能であるというのが音楽評論家たちの一致した意見である。」と半分冗談っぽいコメントがあります。さっきネットでちょっと検索しただけでは残念ながらコールベックさんの名前もマッチで作られたヴァイオリンのことも出てきませんでした。
アルゼンチンあたりでマッチで作られたバイオリンが今でもいい音を出してくれていたらうれしいです!