【西村朗氏は2023年9月7日にお亡くなりになりました】
西村朗・吉松隆『クラシック大作曲家診断』(学習研究社)は8時間の対談をまとめた本らしいですが、楽しくて一気に読んでしまいました。
この本で一番感心・同意したのは西村氏の「一種特殊な感情を喚起するものを持っているボロディンのような音楽と、全然それを持っていない音楽とがあることに気がついた。」という発言です。
自分でも何となくそのようなものが感じられる音楽があるなー、とは無意識に思っていたのかもしれませんが、文字にされて初めてハッキリしました!
西村氏はそのような感情を呼び起こす音楽の例としてボロディンの「ダッタン人の踊り」、「中央アジアの草原にて」(すごく賛成)、シューベルトの未完成交響曲、軍隊行進曲(第1曲)の中間部、シベリウスの「トゥオネラの白鳥」、「悲しきワルツ」、「フィンランディア」、ベートーヴェン第7交響曲のアレグレットを挙げられています。また、モーツァルトにはほとんど感じられないと付け加えられています。
この「感情」というのは、ボクとしては「幼少の頃何かを初めて見聞きした印象、普段は忘れてる懐かしさ、何かを思い出しそうになって気が遠くなる」に近いような気がします。
悲しいとか楽しいとは関係なく、別の世界に連れていってくれてフワーッと落ち着かせてくれるような音楽の瞬間。
こういう特別の感情を呼び覚ます音楽って、そうじゃない音楽とどこが違うんでしょうね?
音階?転調?聴く人のDNAや経験によっても違ってくるんでしょうか(自分は軍隊行進曲の中間部を聴いても「一種特殊な感情」にはなりません)
自分にとってそんな感情にしてくれる部分を持つ曲は例えばこんな曲です↓
特にスラブ系の作曲家の作品に多いと思いました。
・シューマンの「ミルテの花」等の歌曲や「クライスレリアーナ」などの初期のピアノ独奏曲
・ブラームスのドイツ・レクイエム、ピアノ協奏曲第2番第1楽章、交響曲第4番第2楽章、晩年のピアノ曲
・ブルックナーの交響曲第6番第2楽章
・ボロディンの弦楽四重奏曲第2番第1楽章、日本人のために遺してくれたかのような未完の第3交響曲。緩除楽章が聴きたかった。(これはもうグラズノフ作品と言ってもいいのではないでしょうか)
・グラズノフの交響曲全般、特に第1番
・プロコフィエフ交響曲第4番(改訂版)1,2楽章(相当ヤバい)
・プッチーニのラ・ボエーム、トスカの一部(どうしてなんだか全くわからない~)
・ドヴォルザークの交響曲第8番第4楽章、チェロ協奏曲
・ヤナーチェク「草陰の小径にて」
・フィンジのチェロ協奏曲
その他、クラシック音楽に限らず、ビーチ・ボーイズのPet Soundsとか「あります」(小保方さんの声で)。
...西村さんの音楽を聴いてみます!一種特殊な感情になってストレス解消したい~
(2014年3月30日の記事を修正しました)
感情を感じさせる曲。と感じさせない曲。たしかにありますね。
ご紹介ありがとうございます。
とても勉強になります。