チュエボーなチューボーのクラシック中ブログ

人生の半分を過去に生きることがクラシック音楽好きのサダメなんでしょうか?

電子楽器「テルミン」(昭和初期)

2014-11-29 23:33:19 | 楽器

近衛秀麿・菅原明朗著『楽器図鑑』(清教社、昭和12年)には様々な楽器の説明と図解が満載で、これが77年も前の本だとは思えないくらいです。

この本の最初のほうに、いきなり「電波楽器」の項があり、従来の楽器の制限・限度を全て解決することができるが、「テレミン、マルティノの二種と、半ば電気を利用したヴィブラフォーンがあるきりである。」との記述があります。

「マルティノ」はトゥーランガリラ交響曲等で活躍するオンド・マルトノのことでしょうね。

もう一つの「テレミン」はWikipediaによると日本では「テルミン」と呼ばれ、手を近づけたり遠ざけたりすることによって音の高さと音量を変える楽器だということです。

この写真では晴れ着の女性が笑顔で演奏していますが、どこの会場でしょうか。観客もいるように見えます。戦前の日本って想像以上にススんでました。


日本製初のカセットテープとエアチェックで後悔した話(ボロボロのボレロ)

2014-11-28 19:52:25 | オーディオ

「レコード藝術」1967年3月号より、初の日本製コンパクト・カセットテープの広告です。指、つりそう。



TDKって、ブルーレイやDVD、それとヘッドホン・イヤホンでお世話になっていますけど、カセットテープでは日本における先駆者だったんですね。

自分のうちにも昔「エアチェック」したカセットテープがたくさんあり、それらをエアチェックした家族が一番「後悔」したのは1981年に来日したカラヤンとベルリン・フィルによる「ボレロ」のFM放送の録音を消してしまったこと。

家族はその放送を聴きながらテープに録音していたらしいのですが、ボレロではトロンボーンが下痢か何かと思うほど最初から最後までチョ~ヘロヘロで、「日本公演だからって手抜きするのもいい加減しにしろ、バカにすんな」って怒り狂って録音を途中でやめてしまい、さらにはカラヤンの放送だから普段より高いテープを使っていたこともあり、もったいないからってせっかく録音した部分まで他の録音で上書きしてしまったんだそうです。

ベルリン・フィルがそんなメチャクチャになるって貴重な記録なんだろうから、感情的に消すなよ~。。

ネットで調べたらやはりその演奏は結構有名らしく知恵袋でも取り上げられています。でもYouTubeは削除されていてすごく残念!なおさら聴いてみたくなります。ちなみにそのトロンボーンは日本をバカにしていたワケではないし、ゲリでもなかったみたい。むしろかわいそう。


来日したケンプ・金沢での大人の行動(1954年)

2014-11-25 23:19:16 | 来日した演奏家

ドイツの偉大なピアニスト、ヴィルヘルム・ケンプ(Wilhelm Kempff, 1895-1991)が昭和29年(1954年)に2度目の来日を果たしました。初来日は昭和11年(1936年)ですから18年ぶりということになります。

その時の、ケンプを囲んだ座談会の様子が「音楽之友」昭和30年1月号に載っています。

その中で一番おもしろかったのは、座談会開始前の雑談。

「金沢に行ってホテルに泊まった時に、そばの劇場でストリップ・ショーをやっていた。福井さん(通訳)が見に行こうと思ったがケンプさんに見せたくなかったので黙って行った。ところが、いつの間にかケンプさんが先に行っていた。まあ女性も見ていることだし、大丈夫だと思ったが、ダンサーが林檎を持って踊っていた。その林檎を切ったんでしょうか、一片の林檎をケンプさんのところへ持ってきた。。。ケンプさんはホテルに帰ったら早速そのことを奥さんに話した。(笑い声)」

ダンサーや、周りの客はまさかその外人が世界的なピアニストだとは気がつかなかったでしょうね。

ジャケット写真や、ベートーヴェンをいかにもドイツ人って感じで弾くケンプの動画を見るとクソ真面目で気難しいイメージしか湧きませんが、実は普通にやさしいオジサンだったのかもしれません。下の写真の笑顔もいいですね。


日本初の本格的クラシック音楽映画「ここに泉あり」(1955年)

2014-11-25 00:00:47 | 日本の音楽家

「音楽之友」昭和30年2月号を読んでいたら、この年に封切られた『ここに泉あり』(監督・今井正、脚本・水木洋子)という映画が見たくなりました。



ストーリーは終戦直後群馬県高崎市に生まれたアマチュア・オーケストラ「群馬フィルハーモニーオーケストラ」(現・群馬交響楽団)の地方音楽活動からヒントを得て書かれたもので、昭和22年頃、荒れ果てた生活に追われる人たちを音楽で元気づけようと町の人々が「市民フィルハーモニー」をつくり、ついには東京の交響楽団と合同演奏するまでに至るという地方交響楽運動の苦闘の足跡を描いたものになっています。

 

↑ 音楽担当は団伊玖磨氏。

 

↑ 東京交響楽団が出演。「篠崎ヴァイオリン教室」って篠崎教本の?



自分としてはこの映画の一番の注目点は本物の音楽家が出演していることです。

誰よりもまず、山田耕筰さん(1886-1965)が指揮者としてかなり長い間画面に映ります。


それとピアニストの室井摩耶子さん(1921年生まれ)がチャイコフスキー、グリークの協奏曲を弾きます。

 

そして、第九のソリストとして、静止画でしか見たことのない伊藤亘行さん(1921-2002)、柴田睦陸さん(1913-1988)、川崎静子さん(1919-1982)、柴田喜代子さん(柴田睦陸さんの奥様、1924-2005)ら二期会メンバーが歌う姿も見られます。


。。。といっても、実際に演奏しているところを撮影したのではなく、あらかじめレコーディングされたものを再生し、それを聴きながら指揮をしたり、口パクしたりしたそうです。



また、山田耕筰さんは指揮以外にも半身不随の病気を押して、杖をついて歩いたり、顔での演技↓(セリフはありません)で頑張っていらっしゃいます。

↑ 「そうか。。あいつらまだ頑張っているのか」という気持ちを目で表現する山田氏。さすが指揮者!



一応、岸恵子と岡田英治のとってつけたようなラヴなシーンや、「市民フィルハーモニー」を「市民フィルハーモニカ」と言い間違える、本来爆笑すべきギャグもありますが、この映画は協奏曲、交響曲等の音楽シーンを見て聴いて楽しむべきものだと思います。

7,8人の室内楽っぽい編成から大オーケストラ風サウンドが出るシーンが頻出するのはご愛敬ですが、最後の、大人数の第九の合同演奏はちょっと背筋がブルブルきました(感動と若干の虫酸ランにより)。

↑ 会場は神宮外苑の日本青年館。


くやしいのは、自分が参加しているアマチュア合唱団より60年くらい前のこの合唱のほうがウマいってことですね。(当たり前か)

とにかく、クラシック・ファンがヒマなとき見るには良い映画だと思いました。DVDが出ていますが、YouTubeでも見れます。アップして下さったかたありがとうございます。

 

↓ 近衛秀麿。。ここでも山田耕筰との確執があったのか?音楽之友1953年9月号より


ロリン・マゼール~ロレックスの広告(1988)

2014-11-24 00:01:34 | メモ

ミラノ・スカラ座1988年の日本公演プログラムに、今年7月13日に惜しくも84歳で亡くなったマゼール(Lorin Maazel, 1930- 2014)の、ROLEXの広告がありました。

「指揮者の生涯におけるある一週間」(A Week in the Life of a Conductor)というショートムービーをフランスのテレビのために作っていたのは知りませんでした。コメディということで見てみたいです。

この広告によるとマゼールはオイスタークォーツ デイデイト No.19018を愛用していたようです。さすがいつもかっこよかったマゼール、ロレックスが似合いますね。